過去の免許取消しが免許の欠格要件になるケース
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はじめに
平成23年問27肢1に関して御質問をいただきました。
免許の欠格要件に関する問題なのですが、ごく簡単にまとめると、
「法人業者が免許取消処分を受けた場合、その法人自身や法人の役員であった者が改めて免許を取得することができるか。」
という御質問です。
丁寧にお答えしようと思って書いたら、ずいぶん長い文章になってしまいました。また、この質問と回答は、質問されたかた以外にも役に立つ内容だと思います。そこで、質問の回答ではなく、独立の記事としてまとめることにしました。
御質問に対する結論は、免許取消しの事由によって、2パターンに分かれます。
【1】過去の免許取消しが免許の再取得にあたって欠格要件となる場合
過去に免許を取り消されたことが、新たに免許を取得するに際して、欠格要件となるのは、以下の3つの場合に限られます。
- (a)不正の手段により免許を受けたとき
- (b)業務停止処分事由に該当し情状が特に重いとき
- (c)業務停止処分に違反したとき
免許を取り消された法人業者を「A社」、その役員を「B」とすると、免許取消後5年間に渡って、
① | A社自身が免許を再取得することはできません。 |
② | Bが個人業者として免許を取得することもできません。 |
③ | BがA社以外の法人(「C社」とします。)の役員や政令で定める使用人になった場合、C社も免許を取得することができません。 |
それぞれのパターンについて、過去問を整理しておきます。
パターン | 過去問 | 取消事由 |
① | 平成19年問33肢3 | b |
平成16年問31肢3 | c | |
② | 平成18年問30肢2 | a |
平成元年問39肢4 | a | |
③ | 平成12年問30肢2 | a |
平成05年問36肢4 | b |
【2】(a)(b)(c)以外の理由で免許を取り消された場合
a~c以外の理由で法人業者が免許を取り消された場合は、ルールが異なります。
(1)A社自身に欠格事由があった場合と、(2)役員Bに欠格事由があった場合とで、さらに分けて考えましょう。
(1)A社自身が欠格事由に該当して、免許が取り消された場合
例えば、「A社が破産を理由に免許を取り消された。」ようなケースです。この場合、
① | A社自身は、復権を得ない限り、新たに免許を取得することはできません。 |
② | Bは、個人業者として免許を取得することができます。 |
③ | Bを役員や政令で定める使用人にしたとしても、C社は免許を取得することができます |
平成3年問39肢アは、③のパターンについての問題です。
(2)役員Bが欠格事由に該当して、免許が取り消された場合
例えば、「Bが暴力団員であることが判明した」とか、「Bが禁錮以上の刑に処せられた」という事情で、A社が免許を取り消された場合です。この場合、
① | A社自身は、Bを退任させた後であれば、新たに免許を取得することができます。 |
② | Bは、個人業者として免許を取得することができません(5年間)。 |
③ | Bに欠格要件がある間、C社も免許を取得することができません |
平成27年問27肢4はBが暴力団員と判明したケース、平成23年問27肢1はBが禁錮以上の刑に処せられたケースに関する①のパターンです。
まとめ
以上を表にまとめると、以下のようになります。◯は「免許を取得できる」、×は「免許を取得できない」の意味です。
免許取消事由 | a~c | a~c以外 | |
A社の事情 | Bの事情 | ||
①A社は | × | × | ◯ |
②Bは | × | ◯ | × |
③C社は | × | ◯ | × |