7月
11
1991

【宅建過去問】(平成03年問49)手付金等の保全措置

【過去問本試験解説】発売中

宅地建物取引業者Aは、土地付建物(価格1億5,000万円)を、建築工事の完了前に自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bに販売し、申込証拠金30万円を受領した後、売買契約を締結し、その際手付金として申込証拠金を充当するほか別に2,000万円を受領した。契約によれば、中間金6,000万円を1月後に、残代金6,970万円を所有権移転登記完了後にそれぞれ支払うこととされている。この場合、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

  1. Aは、手付金の受領後1週間以内に、宅地建物取引業法に定める手付金等保全措置(以下この問において「手付金等保全措置」という。)を講じなければならない。
  2. Aが契約締結時に手付金等保全措置を講じなければならない金額は、2,000万円である。
  3. Bは、Aが手付金等保全措置を講じた後は、手付金を放棄して契約を解除することができない。
  4. Aは、残代金の受領については、手付金等保全措置を講ずる必要はない。

正解:4

はじめに

問題文の事情を時系列で箇条書きにすると、以下のようになる。

  1. 申込証拠金30万円を受領
  2. 売買契約締結。手付金2,000万円を受領
  3. 中間金6,000万円を受領、
  4. 所有権移転登記
  5. 残代金6,970万円を受領

1 誤り

工事完了前の物件なので、受領した手付金等が代金の5%(1億5,000万×5%=750万)を超える場合に、保全措置が必要となる。本肢では、手付金2,000万円を受領し、合計受領額が2,030万円になるときに保全措置をとる必要がある。そして、この保全措置は、手付金等を受領する前に講じなければならない(宅地建物取引業法41条第1項)。
「手付金の受領後1週間以内」では、タイミングとして遅過ぎる。

■類似過去問(保全措置と受領の順序)

2 誤り

保全措置の対象となる「手付金等」とは、「代金の全部又は一部として授受される金銭及び手付金その他の名義をもって授受される金銭で代金に充当されるものであって、契約の締結の日以後当該宅地又は建物の引渡し前に支払われるもの」をいう(宅地建物取引業法41条1項)。
本問の「申込証拠金」も「手付金に充当される」のだから、「手付金等」に該当する。すなわち、保全措置を講ずる必要がある。
以上より、保全措置を講じなければならない金額は、2,030万円である。2,000万円ではない。

■類似過去問(手付金等の保全措置:工事完了前の物件)
  • 平成26年問33肢2(代金5,000万円/手付金1,000万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない:◯)
  • 平成26年問33肢3(代金5,000万円/手付金100万円・中間金500万円→中間金受領前に500万円の保全措置を講じれば宅建業法に違反しない:×)
  • 平成25年問40肢4(代金4,000万円/手付金100万円・中間金200万円→手付金が代金の5%以内であるから保全措置は不要:×)
  • 平成23年問38肢3(代金3,000万円/代金に充当される申込証拠金5万円・手付金200万円→申込証拠金についても保全措置が必要:◯)
  • 平成23年問38肢4(代金3,000万円/手付金200万円・中間金200万円→中間金についても保全措置が必要:◯)
  • 平成21年問39肢3(代金5,000万円/手付金500万円・中間金250万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない:◯)
  • 平成21年問39肢4(代金5,000万円/手付金2,000万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない:×)
  • 平成20年問41肢1(代金5,000万円/手付金200万円→保全措置を講じずに受領すると宅建業法に違反する:×)
  • 平成20年問41肢3(代金1億円/手付金1,500万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない:◯)
  • 平成19年問43肢2(代金1億円/手付金1,500万円・中間金1,500万円→手付金・中間金それぞれにつき保全措置が必要:◯)
  • 平成16年問44肢1(代金の1/10以下で、かつ、1,000万円以下であれば、保全措置不要:×)
  • 平成13年問41肢1(代金4,000万円/申込証拠金10万・手付金300万円→申込証拠金についても保全措置が必要:◯)
  • 平成13年問41肢4(代金4,000万円/手付金300万円・中間金100万→中間金についても保全措置が必要:◯)
  • 平成09年問39肢1(代金5,000万円/手付金200万円→手付金につき保全措置は不要:◯)
  • 平成05年問43肢3(代金6,000万円/手付金500万円・中間金1,000万円→中間金受領の際に手付金についてもまとめて保全措置:×)
  • 平成03年問49肢2(代金15,000万円/申込証拠金30万円・手付金2,000万円・中間金6,000万円→保全措置の対象は2,000万円:×)
  • 平成01年問42肢1(代金1億2,000万円/手付金1,500万円・中間金4,500万円→中間金受領の際に保全措置を講じればよい:×)
■類似過去問(「手付金等」の意味)
  • 平成26年問33肢3(代金5,000万円/手付金100万円・中間金500万円→中間金受領前に500万円の保全措置を講じれば宅建業法に違反しない:×)
  • 平成25年問40肢4(代金4,000万円/手付金100万円・中間金200万円→手付金が代金の5%以内であるから保全措置は不要:×)
  • 平成24年問34肢ア(代金に充当される中間金→「手付金等」にあたる:◯)
  • 平成24年問34肢イ(代金の一部となる申込証拠金→「手付金等」にあたる:◯)
  • 平成23年問38肢3(代金に充当される申込証拠金→「手付金等」にあたる:◯)
  • 平成23年問38肢4(中間金→「手付金等」にあたる:◯)
  • 平成13年問41肢1(代金に充当される申込証拠金→「手付金等」にあたる:◯)
  • 平成13年問41肢4(中間金→「手付金等」にあたる:◯)
  • 平成03年問49肢2(手付金に充当される申込証拠金は保全措置の対象にならない:×)

3 誤り

買主Bが手付の放棄によって契約を解除できるのは、「相手方(本問のA)が履行に着手するまで」の期間である(宅地建物取引業法39条2項、民法557条1項。最判昭40.11.24)。
本問では、売主Aが手付金等保全措置を講じているが、これは単に宅建業法上の義務を果たしたのみであり、「履行の着手」には該当しない。したがって、Bは、手付金を放棄することにより、契約を解除することができる。

■類似過去問(手付解除できる当事者)
  • 平成26年問31肢ウ(「手付解除は契約後30日以内」と定めた場合、契約から30日経過したときは、売主が履行に着手していなかったとしても、買主は手付解除ができない:×)
  • 平成23年問37肢1(手付金+中間金を支払った買主からの手付解除は不可:×)
  • 平成22年問39肢4(手付金+内金を受け取った売主からの手付解除は不可:◯)
  • 平成22年問40肢3(「売主の着手後も買主からの手付解除が可能」という特約は無効:×)
  • 平成21年問39肢1(両者未着手の段階で、買主からの手付解除を拒む売主の行為は、宅建業法に違反しない:×)
  • 平成19年問43肢4(解約手付の定めがなくても、売主の着手前であれば、買主は手付解除が可能:◯)
  • 平成18年問40肢4(引渡債務の履行に着手した売主が買主の手付解除を拒否しても宅建業法に違反しない:◯)
  • 平成14年問40肢2(買主が代金の一部支払後、売主からの手付解除は不可:◯)
  • 平成09年問39肢2(解約手付と定めていなくても、売主が履行に着手していなければ、買主は手付解除ができる:◯)
  • 平成09年問39肢3(「手付解除は契約後30日以内」と定めた場合、契約から45日経過したときであっても、売主が履行に着手していなければ、買主は手付解除ができる:◯)
  • 平成04年問44肢3(「売主が履行完了するまで、買主は手付解除ができる」という特約は、宅建業法に違反しない:◯)
  • 平成03年問49肢3(売主が手付金等保全措置を講じた後は、買主から手付解除をすることができない:×)

4 正しい

買主Bへの所有権移転登記をすれば、手付金等の保全措置を講ずる必要はなくなる(宅地建物取引業法41条1項但書)。
したがって、所有権移転登記後に受領する残代金については、保全措置を講ずる必要がない。

■類似過去問(手付金等の保全措置:所有権移転登記がされたとき)
  • 平成26年問33肢4(買主への所有権移転登記が完了したときは、保全措置を講じなくてもよい:◯)
  • 平成19年問34肢3(買主への所有権移転登記がされたときは、保全措置を講じなくてもよい:◯)
  • 平成19年問43肢2(引渡し及び登記の移転を残代金の支払と同時に行う場合、手付金の受領前及び中間金の受領前それぞれについて、保全措置を講じなければならない:◯)
  • 平成18年問39肢4(買主への所有権移転登記をすれば、金額を問わず保全措置を講ずる必要はない:◯)
  • 平成14年問40肢3(手付が代金の1/10を超え、かつ1,000万円を超える場合、いかなる場合も保全措置を行わなければならない:×)
  • 平成09年問39肢4(住宅の引渡し及び登記前でも、建築工事が完了している場合には、保全措置は不要:×)
  • 平成04年問41肢3(手付金を受領する際に銀行と保証委託契約を締結したが、その後売主への所有権移転登記を行ったので、保証委託契約を解約した場合、宅建業法に違反しない:◯)
  • 平成03年問49肢4(残代金を所有権移転登記完了後に支払う場合、残代金の受領については、手付金等保全措置を講ずる必要はない:◯)
  • 平成02年問42肢1(宅地の引渡し及び登記の移転を残代金の支払いと同時とした場合、保全措置を講ずることなく、手付金及び中間金を受領することができる:×)

>>年度目次に戻る

コメントはまだありません »

RSS feed for comments on this post. TrackBack URL

Leave a comment

Copyright (C) 2005- 株式会社ビーグッド教育企画 All Rights Reserved.
Powered by WordPress | Aeros Theme | TheBuckmaker.com WordPress Themes