7月
11
1993

【宅建過去問】(平成05年問43)8つの規制

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宅地建物取引業者Aは、自ら売主となって、建築工事完了前の建物を、宅地建物取引業者でない買主Bに代金6,000万円で譲渡する契約を締結し、手付金として500万円を受け取った。この場合、次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。

  1. 契約締結の際、ABの合意で、「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、Bは手付を放棄して、また、Aは手付の3倍の額を償還して、契約を解除することができる」との特約を結んだ。
  2. 契約締結の際、ABの合意で、「当事者の一方が契約の履行に着手した後契約を解除するには、1,200万円の違約金を支払わなければならない」との特約を結んだ。
  3. 契約締結の1週間後に中間金1,000万円を支払うこととされていたので、Aは、手付金500万円について、中間金受領の際に、まとめて手付金等の保全措置を講じた。
  4. Aは、手付金等の保全措置について、C信用金庫と保証委託契約を締結し、その連帯保証書をBに交付した。

正解:3

1 違反しない

売主が手付を受領した場合、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して、売主(宅建業者)は手付の倍額を償還して、契約の解除をすることができる(宅地建物取引業法39条2項)。

本肢の特約は「売主から解除するときは手付金の3倍を償還」というものであり、以上のルールと異なっている。
しかし、禁止されているのは買主に不利な特約のみである(宅地建物取引業法39条3項)。
本肢の特約は、買主に有利でこそあれ不利になることはないので、宅建業法の規定に違反しない。

■類似過去問(手付解除の方式)
  • 平成25年問38肢ウ(当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、売主は買主に手付金・中間金の倍額を支払い、買主は売主に手付金・中間金を放棄して、契約を解除できる旨の特約は有効である:×)
  • 平成22年問39肢3(売主が、売買契約の解除を行う場合、買主に対して「手付の倍額を償還して、契約を解除する。」という意思表示を書面で行うことのみをもって、契約を解除できる:×)
  • 平成21年問37肢2(買主に不利な特約がある場合でも、売主は、買主の手付放棄による契約解除を拒否できる:×)
  • 平成20年問40肢1(売主は、解除にあたり、手付の3倍返しが必要という特約は有効:◯)
  • 平成19年問34肢1(売主は、手付を償還すれば解除できる:×)
  • 平成18年問39肢3(売主は、手付を償還すれば解除できるという特約は無効:◯)
  • 平成18年問41肢1(売主は、手付解除をした買主に対し、違約金の請求が可能:×)
  • 平成15年問41肢1(「相手方が履行に着手するまで、買主は手付金の半額を放棄し、売主は手付金の倍額を償還して、契約を解除できる」という特約は、有効である:◯)
  • 平成13年問41肢3(売主は、手付を返還すれば解除できるという特約は有効:×)
  • 平成11年問33肢1(「当事者の一方が契約の履行に着手するまで、買主は手付金を放棄して、売主は手付金の2.5倍を償還して、契約を解除できる」旨の定めは無効である:×)
  • 平成08年問49肢4(「引渡しがあるまで、いつでも手付解除が可能」という特約がある場合、買主は、売主が履行に着手していても、手付解除できる:◯)
  • 平成07年問43肢3(「買主は手付金の半額を放棄すれば解除できる」という特約があっても、手付金全額を放棄しなければ解除できない:×)
  • 平成07年問45肢2(「買主は手付金・中間金を放棄し、売主はそれらの倍額を償還して、契約を解除できる」という特約は、有効である:×)
  • 平成06年問43肢3(「買主は手付の半額を放棄し、売主は手付全額を償還して、契約を解除できる」と定めても、売主は手付の倍返しが必要:◯)
  • 平成06年問43肢4(「買主が履行に着手するまで、売主は手付の3倍額を償還して解除できる」と定めた場合、売主は手付の倍額償還だけでは解除できない:◯)
  • 平成05年問43肢1(「買主は手付金を放棄し、売主はその3倍額を償還して、契約を解除できる」という特約は、宅建業法に違反する:×)

2 違反しない

損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、合算した額が代金の額の2/10を超えてはならない(宅地建物取引業法38条1項)。
本肢の特約は、20%ジャスト(6,000万円×20%=1,200万円)であり、20%を超えてはいない。したがって、宅建業法には違反しない。

■類似過去問(損害賠償の予定等の制限)
  • 平成25年問38肢イ(損害賠償の予定額と違約金の合計額を20%とする特約は有効:◯)
  • 平成24年問38肢イ(損害賠償10%+違約金20%の特約をした場合、違約金については全て無効:×)
  • 平成23年問37肢3(損害賠償+違約金で10%の特約が可能:◯)
  • 平成22年問39肢2(損害賠償20%+違約金10%の特約は有効:×)
  • 平成22年問40肢2(損害賠償15%+違約金15%の特約が可能:×)
  • 平成21年問37肢1(手付金5%を受け取った場合、損害賠償の予定を15%とすることはできない:×)
  • 平成20年問40肢2(売主の違約金を30%とする特約が可能:×)
  • 平成18年問39肢2(損害賠償+違約金が20%を超える特約は不可:◯)
  • 平成17年問43肢2(損害賠償40%とする特約が可能:×)
  • 平成15年問38肢4(損害賠償+違約金で33%の特約は違法:◯)
  • 平成12年問40肢4(代金の20%の手付金を違約手付とする特約を定めた場合、別途損害賠償の予定を定めることができる:×)
  • 平成10年問36肢2(損害賠償を20%と予定した場合、違約金を定めることはできない:◯)
  • 平成08年問46肢3(損害賠償を10%と予定しても、実際の損害が大きければ20%まで請求できる:×)
  • 平成07年問43肢2(損害賠償の予定額20%、別に違約金10%という特約をすることはできない:◯)
  • 平成07年問45肢4(損害賠償の予定額として、5%の手付に加え、20%を支払うという特約は有効である:×)
  • 平成05年問43肢2(違約金20%とする特約が可能:◯)
  • 平成04年問44肢4(違約金と損害賠償額の予定を合わせて20%超としても、宅建業法に違反しない:×)

3 違反する

未完成物件に関する売買契約であるから、代金の5%(150万円)または1,000万円を超える手付金等につき、保全措置が必要である(宅地建物取引業法41条1項)。
本肢では、代金6,000万円の5%は300万円であるから、500万円の手付金を受領する時点で、すでに保全措置が必要である。
中間金を受領する際に、手付金とまとめて保全措置をとるのでは、タイミングとして遅過ぎ、宅建業法に違反する。

■類似過去問(手付金等の保全措置:工事完了前の物件)
  • 平成26年問33肢2(代金5,000万円/手付金1,000万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない:◯)
  • 平成26年問33肢3(代金5,000万円/手付金100万円・中間金500万円→中間金受領前に500万円の保全措置を講じれば宅建業法に違反しない:×)
  • 平成25年問40肢4(代金4,000万円/手付金100万円・中間金200万円→手付金が代金の5%以内であるから保全措置は不要:×)
  • 平成23年問38肢3(代金3,000万円/代金に充当される申込証拠金5万円・手付金200万円→申込証拠金についても保全措置が必要:◯)
  • 平成23年問38肢4(代金3,000万円/手付金200万円・中間金200万円→中間金についても保全措置が必要:◯)
  • 平成21年問39肢3(代金5,000万円/手付金500万円・中間金250万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない:◯)
  • 平成21年問39肢4(代金5,000万円/手付金2,000万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない:×)
  • 平成20年問41肢1(代金5,000万円/手付金200万円→保全措置を講じずに受領すると宅建業法に違反する:×)
  • 平成20年問41肢3(代金1億円/手付金1,500万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない:◯)
  • 平成19年問43肢2(代金1億円/手付金1,500万円・中間金1,500万円→手付金・中間金それぞれにつき保全措置が必要:◯)
  • 平成16年問44肢1(代金の1/10以下で、かつ、1,000万円以下であれば、保全措置不要:×)
  • 平成13年問41肢1(代金4,000万円/申込証拠金10万・手付金300万円→申込証拠金についても保全措置が必要:◯)
  • 平成13年問41肢4(代金4,000万円/手付金300万円・中間金100万→中間金についても保全措置が必要:◯)
  • 平成09年問39肢1(代金5,000万円/手付金200万円→手付金につき保全措置は不要:◯)
  • 平成05年問43肢3(代金6,000万円/手付金500万円・中間金1,000万円→中間金受領の際に手付金についてもまとめて保全措置:×)
  • 平成03年問49肢2(代金15,000万円/申込証拠金30万円・手付金2,000万円・中間金6,000万円→保全措置の対象は2,000万円:×)
  • 平成01年問42肢1(代金1億2,000万円/手付金1,500万円・中間金4,500万円→中間金受領の際に保全措置を講じればよい:×)

4 違反しない

未完成物権について、保全措置として認められているのは、宅建業者が銀行等との間で保証委託契約を締結すること、または保険事業者との間で保証保険契約を締結することである。この場合、保険証券を買主に交付しなければならない(宅地建物取引業法41条1項1号)。
したがって、本肢の宅建業者Aの措置は、宅建業法に違反しない。

■類似過去問(保全措置の種類)
  • 平成25年問40肢1(工事完了前の建物につき代金の5%を超える手付金を受領する場合、銀行等による連帯保証、保険事業者による保証保険又は指定保管機関による保管により保全措置を講じなければならない:×)
  • 平成22年問41肢イ(売主の代表取締役の連帯保証は、保全措置として有効である:×)
  • 平成05年問43肢4(工事完了前の建物につき、手付金等の保全措置として、信用金庫と保証委託契約を締結し、連帯保証書を買主に交付した場合、宅建業法に違反する:×)
  • 平成05年問45肢2(宅建業者の資金事情が悪化し債務を履行しない場合、買主は、手付金等の保全措置により連帯保証した信託会社に対し、契約を解除することなく、手付金の返還を求めることができる:×)
  • 平成05年問45肢3(手付金等の保全措置により手付金の返還を求めるとともに、営業保証金から弁済を求めることができる:◯)
  • 平成04年問41肢2(売主の友人の連帯保証は、保全措置として有効である:×)
  • 平成02年問42肢2(工事完了前の宅地につき、手付金等の保全措置として、手付金等寄託契約を利用することができる:×)
  • 平成02年問42肢3(工事完了後の宅地につき、手付金等の保全措置として、信用金庫による保証委託契約を利用することができる:◯)

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