7月
08
1995

【宅建過去問】(平成07年問09)委任契約

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Aは、Bにマンションの一室を賃貸するに当たり、管理を業としないCとの間で管理委託契約を締結して、Cに賃料取立て等の代理権を与えた。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

  1. Cは、Aとの間で特約がなくても、Aに対して報酬の請求をすることができる。
  2. Aは、CがBから取り立てた賃料を自己の生活費に消費したときは、Cに対して、その賃料額に、消費した日以後の利息を付した金額を支払うよう請求することができる。
  3. Aが死亡したとき、委託契約は終了するが、急迫の事情がある場合においては、Cは、その管理業務を行う必要がある。
  4. Cは、地震のため重傷を負った場合、Aの承諾を得ることなく、Dに委託して賃料の取立てをさせることができる。

正解:1

はじめに

管理を業としない者(C)に、マンションの管理(法律行為でない事務)を委託する契約は、準委任契約である。したがって、委任に関する規定が全面的に準用される(民法656条)。

1 誤り

委任契約は、原則として無償契約であり、特約がない限り、報酬の請求をすることはできない(民法648条)。
本肢は、「特約がなくても、・・・報酬の請求をすることができる」とする点が誤り。

■類似過去問(受任者の報酬)
  • 平成14年問10肢2(受任者は、委任契約をする際、有償の合意をしない限り、報酬の請求をすることができないが、委任事務のために使った費用とその利息は、委任者に請求することができる:◯)
  • 平成09年問09肢3(有償で本件管理を受託している場合で、受任者の責に帰すべからざる事由により委任契約が履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる:◯)
  • 平成07年問09肢1(受任者は、特約がなくても、委任者に対して報酬の請求をすることができる:×)

2 正しい

受任者(C)が、委任者(A)に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない(民法647条前段)。

3 正しい

委任契約は、以下の事由によって終了する(民法653条)。

委任者 受任者
死亡
破産手続開始
後見開始の審判 終了せず

したがって、委託者(A)が死亡した本肢のケースでは、委託契約は終了する。

委託契約が終了した場合であっても、この場合であっても、急迫の事情があるときは、受託者又はその相続人等は、委託者又はその相続人等が委託事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない(同法654条)。

■類似過去問(委任契約:終了)
  • 平成18年問09肢2(委任者が破産手続開始決定を受けた場合、委任契約は終了する:◯)
  • 平成18年問09肢3(委任契約が委任者の死亡により終了した場合、受任者は、委任者の相続人から終了についての承諾を得るときまで、委任事務を処理する義務を負う:×)
  • 平成18年問09肢4(委任契約の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、相手方に対抗することができず、そのときまで当事者は委任契約上の義務を負う:◯)
  • 平成13年問06肢1(委任契約において、委任者又は受任者が死亡した場合、委任契約は終了する:◯)
  • 平成09年問09肢3(有償の準委任契約が、受託者の責めに帰することができない事由で中途終了したとき、受託者は既履行の割合に応じて報酬を請求できる:◯)
  • 平成09年問09肢4(有償の準委任契約は、受託者の死亡によって終了し、受託者の相続人はその地位を相続しない:◯)
  • 平成07年問09肢3(委任者が死亡したとき、委託契約は終了するが、急迫の事情がある場合においては、受任者は、その管理業務を行う必要がある:◯)

4 正しい

委任は、委任者と受任者の信任関係をベースにするものであるから、受任者が自ら事務を処理しなければならない。他人に復委任することは、原則として、認められない。
しかし、復委任を一切不可能とすることは、委任者にとって不利な結果を招きかねない。したがって、復代理の規定(民法104条)を類推適用し、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときには、復委任をすることができる。

本肢では、受託者(C)が地震のため重傷を負った、というのだから、「やむを得ない事由」が存在する。したがって、本人(A)の承諾を得なくても、Dに復委任することが可能である。

■類似過去問(復代理)
  • 平成24年問02肢4(法定代理人は、やむを得ない事由がなくとも、復代理人を選任することができる:◯)
  • 平成21年問02肢3(任意代理人は、自ら選任・監督すれば、本人の意向にかかわらず復代理人を選任できる:×)
  • 平成19年問02肢1(任意代理人は、やむを得ない事由があれば、本人の許諾を得なくても復代理人を選任できる:◯)
  • 平成19年問02肢2(任意代理人が、復代理人の選任につき本人の許諾を得たときは、選任に過失があったとしても責任を負わない:×)
  • 平成19年問02肢3(任意代理人が、本人の許諾・指名に基づき復代理人を選任した場合、復代理人の不誠実さを見抜けなかったことに過失があったときは、本人に対し責任を負う:×)
  • 平成19年問02肢4(任意代理人が復代理人を適法に選任したときは、復代理人は本人に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負うため、代理人の代理権は消滅する:×)
  • 平成13年問08肢4(任意代理人は、やむを得ない事情があっても、本人の承諾がなければ、復代理人を選任できない:×)
  • 平成12年問01肢2(任意代理人は、自己の責任により、自由に復代理人の選任ができる:×)
  • 平成07年問09肢4(賃貸人から賃料取立て等の代理権を与えられた受託者が、地震のため重傷を負った場合、賃貸人の承諾を得ることなく、復受託人に委託して賃料の取立てをさせることができる:◯)

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Written by 家坂 圭一 in: 平成07年過去問,民法 |

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