7月
08
1996

【宅建過去問】(平成08年問05)所有権移転

【過去問本試験解説】発売中

A所有の土地について、AがBに、BがCに売り渡し、AからBへ、BからCへそれぞれ所有権移転登記がなされた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. Cが移転登記を受ける際に、AB間の売買契約がBの詐欺に基づくものであることを知らなかった場合で、当該登記の後にAによりAB間の売買契約が、取り消されたとき、Cは、Aに対して土地の所有権の取得を対抗できる。
  2. Cが移転登記を受ける際に、AB間の売買契約が公序良俗に反し無効であることを知らなかった場合、Cは、Aに対して土地の所有権の取得を対抗できる。
  3. Cが移転登記を受ける際に、AB間の売買契約に解除原因が生じていることを知っていた場合で、当該登記の後にAによりAB間の売買契約が解除されたとき、Cは、Aに対して土地の所有権の取得を対抗できない。
  4. Cが移転登記を受ける際に、既にAによりAB間の売買契約が解除されていることを知っていた場合、Cは、Aに対して土地の所有権の取得を対抗できない。

正解:1

1 正しい

08-05-1

  1. 買主Bが売主Aをだます
  2. 売主Aが買主Bに売却
  3. 買主Bが第三者Cに売却
  4. (Cは善意で登記有)
  5. 売主Aが詐欺により取消

というプロセスを経ており、第三者Cは、取消の第三者にあたる。
取消前の第三者については、保護規定があり、その者が詐欺の事実について善意の(知らなかった)第三者に対抗することができない(民法96条3項)。
したがって、Cは、Aに対して土地の所有権の取得を対抗できる。

■類似過去問(詐欺による取消前の第三者)
  • 平成14年問01肢4(買主が建物を、詐欺について善意の第三者に転売して所有権移転登記を済ませても、売主は詐欺による取消しをして、第三者から建物の返還を求めることができる:×)
  • 平成08年問05肢1(第三者が移転登記を受ける際に、売買契約が買主の詐欺に基づくものであることを知らなかった場合で、当該登記の後に売主により売主・買主間の売買契約が、取り消されたとき、第三者は、売主に対して土地の所有権を対抗できる:◯)
  • 平成01年問03肢1(詐欺による意思表示の取消は、取消前に出現した登記を有する善意の第三者に対抗できる:×)

2 誤り

08-05-2公序良俗に反する契約は無効である(民法90条)。だとすると、本肢におけるBは、単なる無権利者に過ぎない。したがって、Bから土地を購入したCも、単に無権利者からの譲受人に過ぎず、土地の所有権を取得することはできない。
以上より、Cは、Aに対して土地の所有権の取得を対抗することができない。

※確かに、登記の名義は、A→B→Cと移転している。しかし、登記には公信力がない。したがって、登記上の名義人から土地を取得し、自らが移転登記を受けているとしても、土地の所有権を主張することはできない。

■類似過去問(公序良俗)
  • 平成08年問05肢2(A→B→Cと売買・登記がなされたが、AB間の契約が公序良俗違反で無効であり、そのことにつきCが善意だった場合、Cは、Aに所有権取得を対抗できる:×)
  • 平成06年問02肢1(公序良俗違反の契約は、取消しできる:×)
■類似過去問(登記の公信力)
  • 平成20年問02肢1(土地の真の所有者は、無権利者からの譲受人で登記を有する者に対し、所有権を主張できる:◯)
  • 平成19年問03肢2(登記を信頼した土地の譲受人は、真の所有者の過失の有無を問わず、所有権を取得できる:×)
  • 平成15年問03肢4(二重譲渡の一方が通謀虚偽表示であり、仮装譲受人が登記を得たとしても、もう一方の譲受人は、所有権を主張できる:◯)
  • 平成13年問05肢1(無権利者からの譲受人からさらに転得した者は、無権利の点につき善意であれば、所有権を真の所有者に対抗できる:×)
  • 平成08年問05肢2(公序良俗違反の契約により、BがAから土地所有権を取得し登記をした。Bと売買契約を締結し、移転登記を受けたCは、Aに対し所有権を対抗できる:×)
  • 平成03年問04肢4(土地の譲受人は、無権利者から土地を賃借し土地上の建物を登記した者に対し、土地の明渡しと建物収去を請求できる:◯)

3 誤り

08-05-3当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負うが、第三者の権利を害することはできない(民法545条1項)。
この場合、Cは、解除原因について悪意であっても構わないが、対抗要件を備えておく必要がある(最判昭33.06.14)。
本問でいえば、Aは、解除に当たって、登記を有する第三者Cの権利を害することができず、それはCが悪意であっても変わりない。したがって、Cは、Aに対して土地の所有権の取得を対抗することができる。

■類似過去問(解除前の第三者)
  • 平成21年問08肢1(解除前の第三者が登記を備えている場合、その第三者が悪意であっても、売主は所有権を主張できない:◯)
  • 平成16年問09肢1(建物の買主がその債権者と抵当権設定契約を締結し登記をした後で、売主が売買契約を解除しても、売主は抵当権の消滅を主張できない:◯)
  • 平成16年問09肢2(建物の買主がその建物を賃貸し引渡しを終えた後で、売主が売買契約を解除した場合、売主は賃借権の消滅を主張できる:×)
  • 平成16年問09肢3(建物の買主がその債権者と抵当権設定契約を締結したが、登記をする前に、売主が売買契約を解除した場合、抵当権設定契約は無効となる:×)
  • 平成14年問08肢4(買主が土地を転売した後、売買契約を解除しても、未登記の第三者の土地を取得する権利を害することはできない:×)
  • 平成13年問05肢2(買主が土地を転売した後、売買契約を解除した場合、登記を受けた第三者は、所有権を売主に対抗できる:◯)
  • 平成08年問05肢3(解除前の第三者が登記を備えていても、その第三者が解除原因につき悪意であった場合には、売主に対し所有権を対抗できない:×)
  • 平成03年問04肢2(解除前の第三者が登記を備えていても、売主は第三者に対し所有権を対抗できる:×)
  • 平成01年問03肢3(売主が買主の債務不履行を理由に売買契約を解除した場合、売主は、その解除を、解除前に転売を受け、解除原因について悪意ではあるが、所有権の移転登記を備えている第三者に対抗することができる:×)

4 誤り

08-05-4a

  1. 売主Aから買主Bへの売却
  2. 売主Aが契約解除
  3. 買主Bが第三者Cに売却
  4. (Cは悪意で登記有)

というプロセスを経ており、Cは、解除の第三者にあたる。

この場合、売主と第三者との優劣関係は、通常の対抗問題として考える(最判昭35.11.29。民法177条)。
08-05-4bつまり、買主Bを起点として、

  • 契約解除による物権の復帰を求める売主A
  • 買主Bからの取得を理由に所有権の移転を求める第三者C

の二重譲渡類似の関係があると考えるのである。
本肢では、Cが登記を備えている。したがって、登記を有しないAに対して土地の所有権の取得を対抗することができる。

■類似過去問(解除後の第三者)
  • 平成20年問02肢3(復帰的物権変動につき未登記の売主は、解除後の第三者に、所有権を主張できる:×)
  • 平成19年問06肢2(復帰的物権変動につき未登記の売主は、登記を有する解除後の第三者に、所有権を対抗できない:◯)
  • 平成16年問09肢4(復帰的物権変動につき未登記の売主は、解除後に物権を賃借し対抗要件を備えた賃借人に対し、賃借権の消滅を主張できる:×)
  • 平成13年問05肢3(解除後に解除につき善意で物件を購入し登記を経た第三者は、復帰的物権変動につき未登記の売主に対し、所有権を対抗できる:◯)
  • 平成08年問05肢4(解除後に解除につき悪意で物件を購入し登記を経た第三者は、復帰的物権変動につき未登記の売主に対し、所有権を対抗できない:×)

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Written by 家坂 圭一 in: 平成08年過去問,民法 |

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