7月
08
1996

【宅建過去問】(平成08年問46)8つの規制

【過去問本試験解説】発売中

宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でない買主Bと宅地(価格5,000万円)の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 売買契約の締結に際し、AがBから1,500万円の金銭を手付として受領した場合で、その後、Bが手付を放棄して契約を解除したときには、Aは、受領した金銭を一切返還する必要はない。
  2. 売買契約が「宅地の引渡しまでに代金の一部として1,000万円支払う」条件の割賦販売であった場合で、Bが1,000万円を支払い、Aが宅地を引き渡すときは、Aは、登記その他引渡し以外の売主の義務も履行しなければならない。
  3. 「債務不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額を500万円とする」旨の特約をした場合でも、Aの実際に被った損害の額が予定額を超えることを証明できるときは、Aは、1,000万円を限度として、500万円を超える額の損害賠償を請求することができる。
  4. 「債務不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額と違約金の額をそれぞれ1,000万円とする」旨の特約をした場合でも、損害賠償と違約金を合計した額は、1,000万円となる。

正解:4

1 誤り

手付金の額の上限は代金の20%である(宅地建物取引業法39条1項)。本肢では、5000万円×20%=1,000万円が手付金の上限額ということになる。
したがって、手付解除に際して買主が放棄しなければならない金額は、1,000万円である。残りの500万円(受取額1,500万円-手付金1,000万円)は、売主の不当利得であるから、買主Bに返還する必要がある。

■類似過去問(手付の額の制限)
  • 平成26年問33肢2(保全措置を講じた上で、代金の20%の手付金を受領しても宅建業法に違反しない:◯)
  • 平成26年問33肢3(保全措置を講じることなく、代金の2%の手付金を受領しても宅建業法に違反しない:◯)
  • 平成21年問37肢1(5%の手付を受領する予定がある場合、損害賠償額の予定額の限度は15%:×)
  • 平成21年問39肢3(未完成物件の場合、保全措置を講じた上で、代金の10%の手付を受領可能:◯)
  • 平成21年問39肢4(保全措置を講じれば、代金の40%の手付を受領可能:×)
  • 平成21年問40肢3(買主の承諾があれば、代金の30%の手付金を受領可能:×)
  • 平成16年問45肢3(保全措置を講じれば、代金の30%の手付を受領可能:×)
  • 平成15年問38肢2(保全措置を講じた上で、代金の20%の手付金を受領しても宅建業法に違反しない:◯)
  • 平成14年問40肢1(買主の承諾があれば、代金の20%を超える手付金を受領可能:×)
  • 平成13年問42肢1(手付金が代金の2割を超える場合、保全措置が必要:×)
  • 平成09年問44肢3(保全措置を講じれば、代金の20%を超える手付金を受領可能:×)
  • 平成08年問46肢1(手付として代金の3割を受領した場合、買主が手付放棄して解除したときでも、売主は手付を一切返還する必要がない:×)
  • 平成07年問43肢4(「保全措置を講ずるので、手付金は代金の30%」という特約があれば、その手付金を受領可能:×)
  • 平成07年問47肢4(保全措置を講じれば、代金の20%の手付金を受領可能:◯)
  • 平成04年問41肢4(保全措置を講じれば、代金の20%を超える手付金を受領可能:×)
  • 平成02年問40肢4(保全措置を講じれば、代金の25%の手付金を受領可能:×)

2 誤り

宅建業者は、自ら売主として宅建業者でない者と割賦販売の契約を締結した場合、代金額の30%を超える金銭(本問では5,000万×30%=1,500万円)を受領するまでに、登記その他売主の義務を履行しなければならない(宅地建物取引業法43条1項)。
本肢で、宅建業者が受領したのは代金の20%にあたる1,000万円である。いまだ30%に達していないので、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行する義務はない。

■類似過去問(所有権留保等の禁止)
  • 平成23年問39肢3(代金の10%受領で所有権留保は適法:◯)
  • 平成21年問37肢4(代金の50%受領までに移転登記が必要:×)
  • 平成15年問35肢2(代金の30%超を支払い、保証人を立てたのに、所有権移転登記をしないのは違法:◯)
  • 平成08年問46肢2(代金の20%を受領し、物件を引き渡すときは、登記その他引渡し以外の義務も履行しなければならない:×)

3 誤り

損害賠償額の予定をした場合は、実際の損害額の多い少ないに関わらず、予定額の賠償額において精算される(民法420条)。実際の損害額が予定額を超えることを証明できたとしても、超過部分を請求することはできない。

■類似過去問(損害賠償額の予定[民法])
  • 平成26年問01肢2(当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる旨は、民法の条文に規定されている:◯)
  • 平成16年問04肢3(手付金相当額を損害賠償の予定と定めた場合、損害がその額を超えていても、その額以外に損害賠償請求することはできない:◯)
  • 平成14年問07肢1(賠償額の予定条項があっても、債務者が履行遅滞について帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される:◯)
  • 平成14年問07肢3(賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗に違反する場合でも、裁判所は減額できない:×)
  • 平成14年問07肢4(賠償額の予定条項がある場合、債権者は履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額を主張・立証する必要はない:◯)
  • 平成08年問46肢3(損害賠償を10%と予定しても、実際の損害が大きければ20%まで請求できる:×)
  • 平成06年問06肢4(実際の損害額が違約金より少なければ、違約金の減額を求めることができる:×)
  • 平成04年問07肢4(賠償額の予定がない場合、売主から解除する場合の損害賠償額は手付の倍額とされる:×)
  • 平成02年問02肢2(賠償額の予定は、契約と同時にしなければならない:×)
  • 平成02年問02肢3(賠償額の予定は、金銭以外のものですることができる:◯)
  • 平成02年問02肢4(賠償額を予定した場合、実際の損害額が予定額より大きいことを証明しても予定額を超えて請求することはできない:◯)
■類似過去問(損害賠償の予定等の制限)
  • 平成25年問38肢イ(損害賠償の予定額と違約金の合計額を20%とする特約は有効:◯)
  • 平成24年問38肢イ(損害賠償10%+違約金20%の特約をした場合、違約金については全て無効:×)
  • 平成23年問37肢3(損害賠償+違約金で10%の特約が可能:◯)
  • 平成22年問39肢2(損害賠償20%+違約金10%の特約は有効:×)
  • 平成22年問40肢2(損害賠償15%+違約金15%の特約が可能:×)
  • 平成21年問37肢1(手付金5%を受け取った場合、損害賠償の予定を15%とすることはできない:×)
  • 平成20年問40肢2(売主の違約金を30%とする特約が可能:×)
  • 平成18年問39肢2(損害賠償+違約金が20%を超える特約は不可:◯)
  • 平成17年問43肢2(損害賠償40%とする特約が可能:×)
  • 平成15年問38肢4(損害賠償+違約金で33%の特約は違法:◯)
  • 平成12年問40肢4(代金の20%の手付金を違約手付とする特約を定めた場合、別途損害賠償の予定を定めることができる:×)
  • 平成10年問36肢2(損害賠償を20%と予定した場合、違約金を定めることはできない:◯)
  • 平成08年問46肢3(損害賠償を10%と予定しても、実際の損害が大きければ20%まで請求できる:×)
  • 平成07年問43肢2(損害賠償の予定額20%、別に違約金10%という特約をすることはできない:◯)
  • 平成07年問45肢4(損害賠償の予定額として、5%の手付に加え、20%を支払うという特約は有効である:×)
  • 平成05年問43肢2(違約金20%とする特約が可能:◯)
  • 平成04年問44肢4(違約金と損害賠償額の予定を合わせて20%超としても、宅建業法に違反しない:×)

4 正しい

損害賠償の予定額と違約金の額を合算した額が代金の10分の2を超えることは禁止されている(宅地建物取引業法38条1項)。本肢では、これらの合計が10分の4(5,000万円×40%=2,000万円)に達しており、このような定めは、違法である。
この場合、損害賠償・違約金に関する定めの全てが無効となるわけではなく、10分の2を超える部分について無効になるに過ぎない(宅地建物取引業法38条2項)。
したがって、本肢の特約は、「損害賠償金・違約金の合計が1,000万円」という内容になる。

■類似過去問(損害賠償額の予定:特約の効力)
  • 平成24年問38肢イ(損害賠償10%+違約金20%の特約をした場合、違約金については全て無効:×)
  • 平成19年問41肢2(20%を超える特約は全て無効:×)
  • 平成17年問43肢4(40%とする特約は全て無効:×)
  • 平成16年問37肢4(損害賠償20%超でも、重要事項として説明すれば有効:×)
  • 平成14年問40肢4(20%を超える特約は全て無効:×)
  • 平成11年問33肢4(20%を超える特約をした場合、20%を超える部分が無効:◯)
  • 平成08年問46肢4(損害賠償20%+違約金20%の特約をした場合、それらの合計が20%となる:◯)
  • 平成06年問43肢2(違約金40%と合意しても、20%を超える部分については請求できない:◯)
  • 平成01年問48肢3(損害賠償額を33%と特約した場合、2特約は無効であり、損害賠償の額は予定しなかったことになる:×)

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