7月
07
1997

【宅建過去問】(平成09年問05)債権譲渡

【過去問本試験解説】発売中

Aが、AのBに対する金銭債権をCに譲渡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Aは、Cへの譲渡について、Bに対しては、Aの口頭による通知で対抗することができるが、第三者Dに対しては、Bの口頭による承諾では対抗することができない。
  2. Bは、譲渡の当時Aに対し相殺適状にある反対債権を有するのに、異議を留めないで譲渡を承諾したときは、善意のCに対しこれをもって相殺をすることはできないが、Aが譲渡の通知をしたに止まるときは、相殺をすることができる。
  3. Aが、Cに対する債務の担保として債権を譲渡し、Aの債務不履行があったとき、CからBに対して譲渡の通知をすることとしておけば、Cは、Aに代位して自己の名義で有効な譲渡の通知をすることができる。
  4. Cへの譲渡についてのAの確定日付証書による通知と、第三者Eの同一債権に対する差押命令とが、同時にBに到達したとき、Bは、Eへの支払、供託等によりこの債権が消滅していない以上、Cからの請求を拒むことはできない。

正解:3

1 正しい

09-05-1指名債権譲渡の対抗要件は、譲渡人から債務者に対する通知、又は債務者の承諾である(民法467条1項)。この通知又は承諾が、確定日付のある証書によるものでなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない(同条2項)。
したがって、本肢では、債務者Bに対しては、債権者Aの口頭による通知で対抗することができる。しかし、第三者Dに対しては、Bの口頭による承諾では対抗することができない。確定日付のある証書による通知又は承諾が対抗要件として要求される。

■類似過去問(債権譲渡:債務者に対する対抗要件)
  • 平成23年問05肢2(譲渡人から債務者に債権譲渡を通知すれば、それが確定日付によるものでなくても、債務者に対する対抗要件になる:◯)
  • 平成15年問08肢2(債務者が債権譲渡を承諾しない場合、譲受人から債務者に通知するだけでは、債務者に対する対抗要件にならない:◯)
  • 平成12年問06肢1(譲渡通知は、譲受人が譲渡人の代理人として債務者に通知しても差し支えない:◯)
  • 平成12年問06肢2(債権譲渡を承諾する相手方は、譲渡人・譲受人のいずれでも差し支えない:◯)
  • 平成09年問05肢1(債務者に対する対抗要件は債権者による口頭の通知でよいが、第三者に対する対抗要件は債務者による口頭の承諾では不十分:◯)
  • 平成09年問05肢3(債権の譲受人は、譲渡人に代位して自己の名義で有効な譲渡の通知をすることができる:×)
  • 平成05年問05肢1(債務者の承諾がないときは、債権者から債務者に債権譲渡の通知が必要:◯)
■類似過去問(債権譲渡:第三者に対する対抗要件)
  • 平成23年問05肢4(二重譲渡の場合の優劣は、確定日付ある証書の到達日時の先後で決する:◯)
  • 平成19年問09肢1(確定日付のある債権譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各債権譲受人は、債務者に対し、債権金額基準で按分した金額の弁済請求しかできない:×)
  • 平成19年問09肢2(指名債権の性質を持つ預託金会員制ゴルフクラブの会員権の譲渡については、会員名義書換えの手続を完了していれば、確定日付のある債権譲渡通知又は確定日付のある承諾のいずれもない場合でも、ゴルフ場経営会社以外の第三者に対抗できる:×)
  • 平成15年問08肢3(債権が二重に譲渡され、譲渡人が、一方の譲受人へは確定日付のない証書、他方の譲受人へは確定日付のある証書によって債務者に通知した場合、債務者への通知の到達の先後にかかわらず、確定日付のある証書によって通知を受けた譲受人が優先的に権利を行使することができる:◯)
  • 平成15年問08肢4(二重譲渡の場合の優劣は、確定日付ある証書の発信日の先後で決する:×)
  • 平成12年問06肢3(二重譲渡の場合の優劣は、確定日付ある証書の発信日の先後ではなく、到達日の先後で決する:◯)
  • 平成09年問05肢1(債務者に対しては、譲渡人の口頭による通知で対抗できるが、第三者に対しては、債務者の口頭による承諾では対抗できない:◯)
  • 平成09年問05肢4(譲渡人の確定日付証書による通知と、第三者の同一債権に対する差押命令とが、同時に債務者に到達したとき、債務者は、差押債権者への支払、供託等によりこの債権が消滅していない以上、譲受人からの請求を拒むことはできない:◯)
  • 平成05年問05肢3(Bを債権者、Cを債務者とする債権について、Cが、Bの債権者Dの申立てによる差押命令の送達を受けた場合、その送達前にBから確定日付のある債権譲渡通知が届いていても、Cは、Dの取立てに応じなければならない:×)
  • 平成02年問03肢1(貸主Aが借主Bに対する貸金債権をCに譲渡した場合、Cは、その旨をBに確定日付のある証書で通知しなければ、第三者に対抗することができない:×)

2 正しい

債権譲渡について、債務者が異議を留めないで債権譲渡の承諾をした場合には、譲渡人に対抗できた事由であっても、譲受人に対抗することができない(民法468条1項)。すなわち、譲渡の当時、BがAに対し相殺適状にある反対債権を有していたとしても、Cに対して、相殺による債務の消滅を主張することはできない(左図)。
一方、譲渡人Aが譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる(同条2項)。したがって、Bは、Cに対しても、相殺を主張することができる(右図)。

09-05-2a 09-05-2b
■類似過去問(債務者の抗弁)
  • 平成23年問05肢3(債権者が債務者に譲渡の通知をした場合、債務者は譲受人に対し、譲渡人に対する相殺を主張できない:×)
  • 平成23年問06肢4(債権者が債務者に譲渡の通知をした場合、債務者は譲受人に対し、譲渡人に対する相殺を主張できない:×)
  • 平成12年問06肢4(すでに譲渡人に弁済していたのに、異議を留めないで承諾した場合、債務者は、弁済したことを譲受人にも譲渡人にも主張できない:×)
  • 平成09年問05肢2(債務者が異議を留めない承諾をした場合、債務者は、善意の譲受人に譲渡人に対する相殺を主張できない。債権者が譲渡の通知をした場合は、相殺を主張できる:◯)
  • 平成05年問05肢2(債権者が債務者に譲渡の通知をした場合、債務者は譲受人に対し、譲渡人に対する相殺を主張できる:◯)

3 誤り

02-03-1b債権譲渡の通知は債権の譲渡人(A)が債務者(B)に対して行う必要がある(民法467条1項)。
債権の譲受人(C)が譲渡人Aに代位して、債務者に対する債権譲渡の通知を行っても効力は生じない。

※債権の譲受人(C)が、譲渡人(A)の代理人として、債権譲渡の通知をすることは可能である。

■類似過去問(債権譲渡:債務者に対する対抗要件)
  • →肢1

4 正しい

債権の譲受人と同一債権に対し債権差押命令を得た者との間の優劣は、確定日付ある通知が債務者に到達した日時によって決すべきである(最判昭58.10.04)。
さらに、双方の通知が同時に債務者に到達した場合、各債権譲受人は、債務者に対し債権全額の弁済を請求することができる(最判昭55.01.11)。

09-05-4

本肢では、Cへの債権譲渡の通知とEの差押命令が、同時にBに到達しているから、CとEは、いずれもBに対し、債権全額の弁済を請求することができる。Bは、供託や一方への弁済により債務が消滅した場合でない限り、この請求を拒むことができない。

■類似過去問(債権譲渡:第三者に対する対抗要件)
  • →肢1

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Written by 家坂 圭一 in: 平成09年過去問,民法 |

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