7月
07
1997

【宅建過去問】(平成09年問06)物権変動

【過去問本試験解説】発売中

物権変動に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. Aが、Bに土地を譲渡して登記を移転した後、詐欺を理由に売買契約を取り消した場合で、Aの取消し後に、BがCにその土地を譲渡して登記を移転したとき、Aは、登記なしにCに対して土地の所有権を主張できる。
  2. DとEが土地を共同相続した場合で、遺産分割前にDがその土地を自己の単独所有であるとしてD単独名義で登記し、Fに譲渡して登記を移転したとき、Eは、登記なしにFに対して自己の相続分を主張できる。
  3. GがHに土地を譲渡した場合で、Hに登記を移転する前に、Gが死亡し、Iがその土地の特定遺贈を受け、登記の移転も受けたとき、Hは、登記なしにIに対して土地の所有権を主張できる。
  4. Jが、K所有の土地を占有し取得時効期間を経過した場合で、時効の完成後に、Kがその土地をLに譲渡して登記を移転したとき、Jは、登記なしにLに対して当該時効による土地の取得を主張できる。

正解:2

1 誤り

09-06-1a

  1. 買主Bが売主Aをだます
  2. 売主Aが買主Bに売却
  3. 売主Aが詐欺により取消
  4. 買主Bが第三Cに売却
  5. BからCに登記移転

というプロセスを経ており、売却を受けた第三者Cは取消の第三者にあたる。

09-06-1bこの場合、売主と第三者との優劣関係は、通常の対抗問題として考える(大判昭17.09.30。民法177条)。
つまり、買主Bを起点として、

  • 取消による物権の復帰を求める売主A
  • 買主からの取得を理由に所有権の移転を求める第三者C

の間に二重譲渡類似の関係があると考えるのである。つまり、AとCとは、先に登記を備えた方が勝ち、という関係である。

本肢では、CがBから登記の移転を受けている。したがって、Cは、Aに対して、所有権を主張することができる。逆にいえば、Aは、登記がない以上、Cに対して所有権を主張することができない。

■類似過去問(詐欺による取消後の第三者)
  • 平成23年問01肢3(詐欺の場合、取消後の第三者には、登記なくして対抗可能:×)
  • 平成19年問06肢1(詐欺の場合、取消後の第三者には、登記がなければ対抗不可:◯)
  • 平成09年問06肢1(詐欺の場合、取消後の第三者には、登記なくして対抗可能:×)

2 正しい

09-06-2

  1. DとEが土地を共同相続
  2. Dが単独名義で登記
  3. Dが土地全体をFに譲渡
  4. DからFに登記移転

というプロセスを経ている。

この場合、Dは、Eの持分について無権利者である。つまり、DからFへの譲渡は、Eの持分については、無権利者からの譲り受けに過ぎない。登記に公信力がない以上、Fは、Eの持分を取得することができない。
したがって、Eは、登記がなくても、Fに対して、自己の持分を主張することができる最判昭38.02.22)。

■類似過去問(共同相続と登記)
  • 平成19年問06肢3(共同相続人の一人が単独所有権移転登記し、さらに第三者に移転登記した場合、他の共同相続人は、共同相続の登記をしなければ、第三者に対し自己の持分権を対抗できない:×)
  • 平成15年問12肢1(遺産分割協議前に、共同相続人の一人が単独所有権移転登記し、第三者に譲渡、第三者が所有権移転登記をした場合、他の共同相続人は、自己の持分を登記なくして、第三者に対抗できる:◯)
  • 平成09年問06肢2(共同相続した土地につき、遺産分割前に、共同相続人の一人が単独所有権移転登記し、第三者に譲渡、第三者が所有権移転登記をした場合、他の共同相続人は、自己の持分を登記なくして、第三者に対抗できる:◯)

3 誤り

09-06-3GからHへの譲渡と、GからIへの特定遺贈(民法964条)は、Gを起点とした対抗関係である。したがって、登記を備えた方が優先することになる。
本肢では、Iが登記の移転を受けている。すなわち、Iは、Hに対して土地の所有権を主張することができる。逆に、Hは、登記がない以上、Iに所有権を主張することができない。

4 誤り

09-06-4a

  1. 時効完成によりKからJが取得
  2. KがLに譲渡

というプロセスを経ており、Lは、時効完成の第三者にあたる。

09-06-4bこの場合、時効取得者と第三者との優劣関係は、通常の対抗問題として考える(最判昭33.08.28。民法177条)。
つまり、旧所有者(K)を起点として、

  • 時効による所有権取得を主張する者(J)
  • 旧所有者からの取得を理由に所有権の移転を求める第三者(L)

の二重譲渡類似の関係があると考えるのである。

本肢では、Lが登記の移転を受けている。したがって、Lは、Jに対して土地の所有権を主張することができる。逆に、Jは、登記がない以上、Lに所有権を主張することができない。

■類似過去問(時効完成前後の第三者)
  • 平成24年問06肢1(時効取得者→時効完成前の第三者、登記がなければ対抗不可:×)
  • 平成22年問03肢3(時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければならず、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない:◯)
  • 平成22年問04肢3(時効取得者→時効完成前の第三者、登記がなくても対抗可能:◯)
  • 平成19年問06肢4(時効取得者→時効完成後の譲受人、登記がなければ対抗不可:◯)
  • 平成13年問05肢4(時効完成後の第三者→時効取得者、登記があれば対抗可能:◯)
  • 平成10年問02肢3(時効取得者→時効完成前の第三者、登記がなくても対抗可能:◯)
  • 平成09年問06肢4(時効取得者→時効完成後の第三者、登記がなくても対抗可能:×)
  • 平成07年問02肢4(時効取得者→時効完成後の第三者、登記がなくても対抗可能:×)
  • 平成04年問04肢3(時効取得者→時効完成前の第三者、登記がなくても対抗可能:◯)

>>年度目次に戻る

Written by 家坂 圭一 in: 平成09年過去問,民法 |

コメントはまだありません »

RSS feed for comments on this post. TrackBack URL

Leave a comment

Copyright (C) 2005- 株式会社ビーグッド教育企画 All Rights Reserved.
Powered by WordPress | Aeros Theme | TheBuckmaker.com WordPress Themes