7月
07
1998

【宅建過去問】(平成10年問02)取得時効

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所有の意思をもって、平穏かつ公然にA所有の甲土地を占有しているBの取得時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. Bの父が15年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有し、Bが相続によりその占有を承継した場合でも、B自身がその後5年間占有しただけでは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができない。
  2. Bが2年間自己占有し、引き続き18年間Cに賃貸していた場合には、Bに所有の意思があっても、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができない。
  3. DがBの取得時効完成前にAから甲土地を買い受けた場合には、Dの登記がBの取得時効完成の前であると後であるとを問わず、Bは、登記がなくても、時効による甲土地の所有権の取得をDに対抗することができる。
  4. 取得時効による所有権の取得は、原始取得であるが、甲土地が農地である場合には、Bは、農地法に基づく許可を受けたときに限り、時効によって甲土地の所有権を取得することができる。

正解:3

1 誤り

占有が承継された場合、Bは、

  1. 自分(B)の占有のみを主張する
  2. 前占有者(Bの父)の占有を合わせて主張する

のいずれかを選択することができる(民法187条1項)。
上の(2)を選択した場合、Bは、Bの父の占有期間(15年間)に、B自身の占有期間(5年間)を加算することができ、占有期間は合計20年間となるから、所有権を時効取得することができる(民法162条1項)。

■類似過去問(占有の承継)
  • 平成16年問05肢1(Bが平穏・公然・善意・無過失に所有の意思をもって8年間占有し、CがBから土地の譲渡を受けて2年間占有した場合、当該土地の真の所有者はBではなかったとCが知っていたとしても、Cは10年の取得時効を主張できる:◯)
  • 平成16年問05肢2(Bが所有の意思をもって5年間占有し、CがBから土地の譲渡を受けて平穏・公然に5年間占有した場合、Cが占有の開始時に善意・無過失であれば、Bの占有に瑕疵があるかどうかにかかわらず、Cは10年の取得時効を主張できる:×)
  • 平成10年問02肢1(Bの父が15年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有し、Bが相続によりその占有を承継した場合でも、B自身がその後5年間占有しただけでは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができない:×)
  • 平成04年問04肢1(Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、Cに3年間賃貸した場合、Aは、その土地の所有権を時効取得できない:×)

2 誤り

占有権は、代理人によって取得することができ、これを代理占有という(民法181条)。そして、他人に賃貸し、賃借人に占有させることも、「代理占有」に該当する。
したがって、Bは、B自身の占有期間(2年間)に、賃借人の占有期間(18年間)に、を加算することができ、占有期間は合計20年間となるから、所有権を時効取得することができる(民法162条1項)。

■類似過去問(代理占有)
  • 平成14年問03肢1(売主A・買主Bの売買契約解除後、Aが、Bに対して建物をCのために占有することを指示し、Cがそれを承諾しただけでは、AがCに建物を引き渡したことにはならない:×)
  • 平成10年問02肢2(A所有の甲土地をBが2年間自己占有し、引き続き18年間Cに賃貸していた場合には、Bに所有の意思があっても、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができない:×)
  • 平成04年問04肢1(Bの所有地をAが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、Cに3年間賃貸した場合、Aは、その土地の所有権を時効取得することはできない:×)

3 正しい

時系列に整理すると、

  1. AからDへの譲渡・所有権登記
  2. Bの時効完成

という順序であり、BにとってDは、時効完成の第三者にあたる。
この場合、DとBの関係は対抗関係ではなく、Bは登記なくしてDに所有権を対抗することができる(最判昭41.11.22)。
A→D→Bと順次所有権が移転したに過ぎず、対抗関係は生じていないからである。

※時効完成の第三者の場合には、対抗問題になる。比較して整理しておくこと。

■類似過去問(時効完成前後の第三者)
  • 平成24年問06肢1(時効取得者→時効完成前の第三者、登記がなければ対抗不可:×)
  • 平成22年問03肢3(時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければならず、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない:◯)
  • 平成22年問04肢3(時効取得者→時効完成前の第三者、登記がなくても対抗可能:◯)
  • 平成19年問06肢4(時効取得者→時効完成後の譲受人、登記がなければ対抗不可:◯)
  • 平成13年問05肢4(時効完成後の第三者→時効取得者、登記があれば対抗可能:◯)
  • 平成10年問02肢3(時効取得者→時効完成前の第三者、登記がなくても対抗可能:◯)
  • 平成09年問06肢4(時効取得者→時効完成後の第三者、登記がなくても対抗可能:×)
  • 平成07年問02肢4(時効取得者→時効完成後の第三者、登記がなくても対抗可能:×)
  • 平成04年問04肢3(時効取得者→時効完成前の第三者、登記がなくても対抗可能:◯)

4 誤り

取得時効による所有権取得は、原始取得であり、これは、その土地が農地であっても変わりがない。
したがって、Bは、農地法の許可を得ることなく、甲土地の所有権を時効取得することができる。


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Written by 家坂 圭一 in: 平成10年過去問,民法 |

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