【宅建過去問】(平成12年問09)代物弁済


Aが、Bに対する金銭債務について、代物弁済をする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. Aが、不動産の所有権をもって代物弁済の目的とする場合、Bへの所有権移転登記その他第三者に対する対抗要件を具備するため必要な行為を完了しなければ、弁済としての効力は生じない。
  2. Aの提供する不動産の価格が1,000万円で、Bに対する金銭債務が950万円である場合、AB間で清算の取決めをしなければ、代物弁済はできない。
  3. Aが、Bに対する金銭債務の弁済に代えて、Cに対するAの金銭債権を譲渡する場合に、その金銭債権の弁済期が未到来のものであるときは、弁済としての効力は生じない。
  4. Bは、Aから代物弁済として不動産の所有権の移転を受けた後は、その不動産が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであっても、Aの責任を追及することはできない。

正解:1

■参照項目&類似過去問(全選択肢合わせて)
内容を見る
代物弁済(民法[20]1(3))
年-問-肢内容正誤
120-08-3借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人は、土地賃貸人の意思に反しても、地代について金銭以外のもので代物弁済することができる。×
212-09-1Bが、Aに対する金銭債務について、不動産の所有権をもって代物弁済の目的とする場合、Aへの所有権移転登記その他第三者に対する対抗要件を具備するため必要な行為を完了しなければ、弁済としての効力は生じない。
312-09-2Aの提供する不動産の価格が1,000万円で、Bに対する金銭債務が950万円である場合、AB間で清算の取決めをしなければ、代物弁済はできない。
×
412-09-3Aが、Bに対する金銭債務の弁済に代えて、Cに対するAの金銭債権を譲渡する場合に、その金銭債権の弁済期が未到来のものであるときは、弁済としての効力は生じない。
×
512-09-4BのAに対する金銭債務について、Aは、代物弁済として不動産の所有権の移転を受けた後は、その不動産が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときであっても、Bの責任を追及することはできない。
×

1 正しい

不動産を代物弁済の目的物とする場合、意思表示のみでは足りず、原則として登記その他の引渡行為の完了がないと、弁済の効力は生じない(民法482条。最判昭40.04.30)。

2 誤り

代物弁済契約は、当事者が納得すれば、代物弁済によって消滅する債権と代物弁済の目的物の価格が等しくなくてもすることができ、清算の必要もない(大判大10.11.24)。

3 誤り

代物弁済の目的物が債権である場合、弁済期未到来であっても弁済の効力が生じる(大判大04.11.20)。

4 誤り

代物弁済契約は、有償契約であるから、売買契約の規定が準用される(民法559条)。
したがって、Bは、Aに対し、契約不適合担保責任を追及することができる(民法562条、563条、564条)。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
売買に関する規定の有償契約への準用(民法[24]なし)
年-問-肢内容正誤
127-03-4貸主は借主に対して、貸借の目的物である建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しなければ、賃貸借契約では担保責任を負う場合があるが、使用貸借契約では担保責任を負わない。
×
218-10-4建物の賃借人が賃貸人の承諾なく当該建物を転貸し、無断転貸を理由に転借人が賃貸人から明渡請求を受けた場合、転借人は賃借人(転貸人)に対する賃料の全部又は一部の支払を拒むことができる。
312-09-4代物弁済として不動産の所有権の移転を受けた後は、その不動産に隠れた瑕疵があっても、弁済者の責任を追及することはできない。×
403-13-1賃貸借契約の締結に関する費用は、賃貸人と賃借人が平等な割合で負担する。

>>年度目次に戻る

【無料公開講座】スリー・ステップ学習法

宅建学習のプロセスを3段階に分け、着実なステップアップを目指す『スリー・ステップ学習法』。この講座の特長を実際に理解・体験していただくための「無料公開講座」です。
  • [Step.1]基本習得編で宅建合格に必要な基礎知識を学ぶ。
  • [Step.2]一問一答編で「一問一答式」の本試験過去問で基礎知識を確認し、○×を見分ける解法テクニックを身に付ける。
  • [Step.3]過去演習編で「四択問題」の解決法を学ぶ。

この3段階で、着実に合格レベルに進むことができます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です