8月
13
2003

【宅建過去問】(平成15年問39)8つの規制

【過去問本試験解説】発売中

宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者でない買主との間で締結した宅地の売買契約について、買主が宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき売買契約の解除(以下この問において「クーリング・オフ」という。)をする場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 買主Bは、20区画の宅地を販売するテント張りの案内所において、買受けを申し込み、契約を締結して、手付金を支払った。Bは、Aからクーリング・オフについて書面で告げられていなくても、その翌日に契約の解除をすることができる。
  2. 買主Cは、喫茶店で買受けの申込みをした際に、Aからクーリング・オフについて書面で告げられ、その4日後にAの事務所で契約を締結した場合、契約締結日から起算して8日が経過するまでは契約の解除をすることができる。
  3. 買主Dは、ホテルのロビーで買受けの申込みをし、翌日、Aの事務所で契約を締結した際に手付金を支払った。その3日後、Dから、クーリング・オフの書面が送付されてきた場合、Aは、契約の解除に伴う損害額と手付金を相殺することができる。
  4. 買主Eは、自ら指定したレストランで買受けの申込みをし、翌日、Aの事務所で契約を締結した際に代金の全部を支払った。その6日後、Eは、宅地の引渡しを受ける前にクーリング・オフの書面を送付したが、Aは、代金の全部が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。

正解:1

【1】 ◯ 正しい

テント張りの案内所は「土地に定着する建物」ということはできないから、「事務所等以外の場所」にあたる(宅地建物取引業法37条の2第1項、同法施行規則16条の5第1号ロ)。
事務所等以外の場所で買受けの申込みと契約締結をした以上、クーリング・オフの規定が適用される(宅地建物取引業法37条の2第1項)。
クーリング・オフについて書面で告げられていなかったとしても、契約の解除をすることが可能である。

■類似過去問(クーリング・オフ:土地に定着する建物)
  • 平成26年問38肢3(仮設テント張りの案内所で買受けの申込み→事務所で契約という場合、クーリング・オフ不可:×)
  • 平成26年問38肢4(仮設テント張りの案内所で買受けの申込み→事務所で契約という場合、クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成25年問34肢4(テント張りの案内所で買受けの申込み→事務所で契約という場合、クーリング・オフ不可:×)
  • 平成22年問38肢2(テント張りの案内所で買受けの申込み&契約をしてもクーリング・オフ可能:◯)
  • 平成18年問39肢1(テント張りの案内所で買受けの申込み→事務所で契約という場合、クーリング・オフ不可:×)
  • 平成15年問39肢1(テント張りの案内所で買受けの申込みと契約をした場合、クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成06年問42肢4(テント張りの案内所で買受けの申込み→自ら指定した自宅で契約という場合、クーリング・オフ不可:×)
  • 平成05年問41肢4(テント張りの案内所で契約の場合、クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成04年問45肢3(テント張りの案内所で売買契約を締結した場合、土地の引渡しと移転登記を完了すれば、代金の一部が未済でも、クーリング・オフ不可:×)
  • 平成03年問46肢3(テント張りの案内所で買受けの申込み→事務所で契約という場合、クーリング・オフ不可:×)

【2】 X 誤り

【クーリング・オフできるか】
喫茶店は、「事務所等以外の場所」にあたる(宅地建物取引業法37条の2第1項、同法施行規則16条の5)。
事務所等以外の場所で買受けの申込みをした以上、契約締結の場所が宅建業者の事務所であったとしても、クーリング・オフの規定が適用される(宅地建物取引業法37条の2第1項
したがって、Cはクーリング・オフによる解除を行うことができる。

【クーリング・オフできる期間】
「クーリング・オフについて告げられた日から起算しで8日を経過したとき」までである。
本旨のCは、喫茶店で買受けの申込みをした際に、Aからクーリング・オフについて告げられている。したがって、この日から8日間がクーリング・オフ期間である。
本肢は「契約締結日から起算して8日が経過するまで」としている点が誤り。

■類似過去問(事務所等以外で買受けの申込み→事務所等で契約締結)
  • 平成26年問38肢3(仮設テント張りの案内所で買受けの申込み→事務所で契約という場合、クーリング・オフ不可:×)
  • 平成26年問38肢4(仮設テント張りの案内所で買受けの申込み→事務所で契約という場合、クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成25年問34肢4(テント張りの案内所で買受けの申込み→事務所で契約という場合、クーリング・オフ不可:×)
  • 平成23年問35肢ウ(自ら申し出た喫茶店で買受け申込み→事務所で契約|クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成22年問38肢1(自ら指定したホテルのロビーで買受けの申込み、モデルルームで契約→クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成18年問39肢1(テント張りの案内所で買受けの申込み、事務所で契約を締結→クーリング・オフ不可:×)
  • 平成15年問39肢2(喫茶店で買受けの申込み、事務所で契約を締結→クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成15年問39肢3(ホテルのロビーで買受けの申込み、事務所で契約を締結→クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成15年問39肢4(自ら指定したレストランで買受けの申込み、事務所で契約を締結→クーリング・オフ可能:◯)
■類似過去問(クーリング・オフ:期間)
  • 平成26年問38肢2(告知なし→7日後には解除不可:×)
  • 平成25年問34肢2(月曜日にクーリング・オフにつき書面で告知→翌週の火曜日まで解除可能:×)
  • 平成24年問37肢2(契約から3日後に告知を受けた場合、契約から10日目でも解除可能:◯)
  • 平成20年問39肢2(告知なし→10日後には解除不可:×)
  • 平成17年問41肢4(書面で説明→8日経過後は解除不可:◯)
  • 平成16年問42肢2(口頭で説明→引渡しを受けていなければ、何日経過しても解除可能:◯)
  • 平成15年問39肢2(買受け申込みの際に書面で告知を受け、4日後に契約締結→契約日から8日以内は解除可能:×)
  • 平成13年問44肢1(口頭で告知した2日後に書面を交付した場合、クーリング・オフ期間は口頭での告知日から起算する:×)
  • 平成12年問41肢1(口頭のみで告知→告知から10日後で代金の一部を支払った後でも、クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成01年問38肢1(クーリング・オフにつき書面で告げられた日から8日経過したときは、申込みを撤回できない:◯)

【3】 X 誤り

【クーリング・オフできるか】
ホテルのロビーは、「事務所等以外の場所」にあたる(宅地建物取引業法37条の2第1項、同法施行規則16条の5)。
事務所等以外の場所で買受けの申込みをした以上、契約締結の場所が宅建業者の事務所であったとしても、クーリング・オフの規定が適用される(宅地建物取引業法37条の2第1項
したがって、Dはクーリング・オフによる解除を行うことができる。

【クーリング・オフの内容】
クーリング・オフによる解除が行われた場合、宅建業者は損害賠償・違約金の請求をすることはできない(宅地建物取引業法37条の2第1項)。また、受領した手付金その他の金銭を返還しなければならない(宅地建物取引業法37条の2第3項)。

したがって、そもそも契約の解除に伴う損害賠償の支払を請求すること自体が宅建業法に違反する。もちろん、これを自働債権として相殺も行うこともできない。

■類似過去問(事務所等以外で買受けの申込み→事務所等で契約締結)
  • →肢2
■類似過去問(クーリング・オフ:損害賠償請求の禁止)
  • 平成23年問35肢ア(違約金の請求が可能:×)
  • 平成20年問40肢3(履行に着手していれば損害賠償請求が可能:×)
  • 平成15年問39肢3(契約の解除に伴う損害額と手付金を相殺することができる:×)
  • 平成14年問45肢4(手付金から契約に要した費用を控除して返還することができる:×)
  • 平成13年問44肢3(申込みの撤回に伴う損害があった場合は、別途これを請求できる:×)
  • 平成01年問38肢4(買受けの申込みの撤回が行われた場合、宅建業者は、申込みを行った者に対し、速やかに、申込みに際し受領した金銭を返還しなければならない:◯)

【4】 X 誤り

【自ら指定したレストラン】
買主自らの指定があったとしても、レストランは、「事務所等以外の場所」にあたる(宅地建物取引業法37条の2第1項、同法施行規則16条の5)。したがって、クーリング・オフの規定が適用される(宅地建物取引業法37条の2第1項)。
※買主が申出た場合に「事務所等」と同視されるのは、自宅または勤務場所のみである(同法施行規則16条の5第2号)。

【クーリング・オフの期限】
クーリング・オフができなくなるのは、

  1. 書面で告げられた日から8日経過したとき
  2. 物件の引渡しを受け、かつ、代金の全額を支払ったとき

のいずれかに達した時点である(宅地建物取引業法37条の2第1項1号・2号)。
本肢のEは、代金の全額を支払っているが、いまだ物件の引渡しは受けていない。
したがって、クーリング・オフによる解除をすることができる。

■類似過去問(自ら申し出た■■)
  • 平成26年問38肢2(自ら指定した喫茶店で買受け申込み&契約|クーリング・オフ不可:×)
  • 平成25年問34肢1(自ら指定した喫茶店で買受け申込み&契約|クーリング・オフ不可:×)
  • 平成25年問34肢3(自ら指定した宅建業者(売主から代理・媒介の依頼は受けていない)の事務所で買受け申込み&契約:クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成24年問37肢2(自ら申し出た喫茶店で買受け申込み&契約|クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成23年問35肢ウ(自ら申し出た喫茶店で買受け申込み→事務所で契約|クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成22年問38肢1(自ら指定したホテルのロビーで買受け申込み→モデルルームで契約|クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成20年問39肢1(自ら希望して勤務先で買受けの申込み&契約締結|クーリング・オフ可能:×)
  • 平成15年問39肢4(自ら指定したレストランで買受けの申込み→事務所で契約|クーリング・オフ可能:◯)
  • 平成14年問45肢1(自ら申し出た自宅で買受け申込み→ホテルのロビーで契約|クーリング・オフ不可:◯)
  • 平成12年問41肢2(宅建業者の申出により買主の勤務先を訪問し、そこで契約締結した場合|クーリング・オフ不可:×)
  • 平成06年問42肢1(自らの申出により取引銀行の店舗内で売買契約を締結|クーリング・オフ不可:×)
  • 平成06年問42肢2(宅建業者の営業マンの申出により買主の勤務先で売買契約を締結|クーリング・オフ不可:×)
  • 平成05年問41肢2(自らの申出により自宅で売買契約を締結|クーリング・オフ不可:◯)
■類似過去問(事務所等以外で買受けの申込み→事務所等で契約締結)
  • →肢2
■類似過去問(クーリング・オフ:引渡し&代金全額支払)
  • 平成26年問38肢1(代金全部の支払を受け物件を引き渡したとき以降であっても、告知の7日後であれば、宅建業者は、クーリング・オフによる契約解除を拒むことができない:×)
  • 平成25年問34肢4(代金全額を支払った後は、引渡し前であってもクーリング・オフはできない:×)
  • 平成24年問37肢1(引渡しかつ全額支払の後でも、告知を受けていなければ、クーリング・オフできる:×)
  • 平成22年問38肢2(引渡しかつ全額支払の後でも、クーリング・オフできる:×)
  • 平成21年問37肢3(全額支払はしたが引渡しがない場合、クーリング・オフできる:◯)
  • 平成20年問39肢4(代金の80%を支払っても、クーリング・オフできる:◯)
  • 平成19年問41肢4(引渡しかつ全額支払の後でも、クーリング・オフできる:×)
  • 平成17年問41肢3(引渡しかつ全額支払の後でも、告知を受けていなければ、クーリング・オフできる:×)
  • 平成15年問39肢4(代金全額を支払った後は、引渡し前であってもクーリング・オフはできない:×)
  • 平成13年問44肢4(引渡日を決定し、かつ、代金の一部を支払うと、クーリング・オフできない:×)
  • 平成12年問41肢4(引渡しを受け、かつ、代金全部を支払った場合、クーリング・オフにつき告知を受けていないときでも、クーリング・オフはできなくなる:◯)
  • 平成08年問49肢1(クーリング・オフの告知がなかった場合でも、引渡しかつ全額支払の後は、契約を解除できない:◯)
  • 平成07年問45肢3(「クーリング・オフ告知から8日以内に解除を申し入れても、売主が宅地造成工事を完了しているときは手付金を返還しない」という特約は、有効である:×)
  • 平成04年問45肢3(引渡しと移転登記を完了すれば、代金の一部が未済でも、クーリング・オフできない:×)

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