7月
02
2007

【宅建過去問】(平成16年問03) 物権の移転と対抗問題

【過去問本試験解説】発売中

Aは、自己所有の建物をBに売却したが、Bはまだ所有権移転登記を行っていない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

  1. Cが何らの権原なくこの建物を不法占有している場合、Bは、Cに対し、この建物の所有権を対抗でき、明渡しを請求できる。
  2. DがAからこの建物を賃借し、引渡しを受けて適法に占有している場合、Bは、Dに対し、この建物の所有権を対抗でき、賃貸人たる地位を主張できる。
  3. この建物がAとEとの持分1/2ずつの共有であり、Aが自己の持分をBに売却した場合、Bは、Eに対し、この建物の持分の取得を対抗できない。
  4. Aはこの建物をFから買い受け、FからAに対する所有権移転登記がまだ行われていない場合、Bは、Fに対し、この建物の所有権を対抗できる。

正解:2

物権の帰属を争う「対抗関係」になるかどうか、
また、「対抗関係」にあるとしても、「第三者(登記がないことを主張する正当な利益を有する者)」といえるか、
という問題である(民法177条)。

1 正しい

不法占拠者(C)は「第三者(登記がないことを主張する正当な利益を有する者)」に該当しない(最判昭25.12.19)。
したがって、BはCに対して、登記がなくとも、所有権を主張し、明渡しを請求することができる。

■類似過去問(土地の不法占有者への対抗)
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 年-問-肢内容正誤
119-03-3正当な権原なく土地を占有する者に対しては、登記を備えていなくても、土地の明渡しを請求できる。
216-03-1何ら権原のない不法占有者に対しては、登記を備えていなくても、土地の明渡しを請求できる。
310-01-3土地の不法占拠者に対しては、登記がなければ所有権を主張できない。×

2 誤り

賃貸借契約を締結し建物の引渡しを受けているDは、登記がないことを主張する正当な利益を有する。
したがって、BがDに対して賃貸人たる地位を主張するためには、所有権移転登記を行わなければならない(最判昭49.03.19)。

■類似過去問(土地・建物の賃借人への対抗)
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 年-問-肢内容正誤
124-06-2賃貸中の土地の譲受人→土地上に登記ある建物を有する土地の賃借人:登記がなくても賃貸人の地位を対抗可能。×
220-04-4建物に居住している建物の賃借人→建物の譲受人:賃借権を対抗可能。
316-03-2賃貸中の建物の譲受人→引渡しを受けた建物の賃借人:登記がなくても賃貸人の地位を対抗可能。×
410-01-1賃貸中の土地の譲受人→自己名義で保存登記をした建物を所有する土地の賃借人:登記がなくても所有権を対抗可能。×
508-03-4Aの所有する土地について、AB間で、代金全額が支払われたときに所有権がAからBに移転する旨約定して売買契約を締結した。EがAからこの土地を賃借して、建物を建てその登記をしている場合、BがAに代金全額を支払った後であれば、AからBへの所有権移転登記が完了していなくても、Bは、Eに対して所有権の移転を主張することができる。×
607-07-3賃貸中の土地の譲受人→建物を建てその登記をしている土地の賃借人:登記がなくても賃貸人の地位を対抗可能。×
701-13-1引渡しを受けた建物の賃借人→土地を譲り受け移転登記をした所有権者:賃借人の地位を対抗可能。

3 正しい

不動産の共有者(AとE)の1人(A)が自己の持分を譲渡した場合、譲受人(B)と他の共有者(E)との関係は対抗関係になる、とするのが判例である(最判昭46.06.18)。
したがって、Bは登記を経由しない限りは、自己の持分をEに対抗することができない。

■類似過去問(対抗問題(ちょっと複雑なケース))
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 年-問-肢内容正誤
117-06-1BはAに対して自己所有の甲建物に平成15年4月1日に抵当権を設定し、Aは同日付でその旨の登記をした。Bは、平成15年2月1日に甲建物をCに期間4年の約定で賃貸し、同日付で引き渡していた。Cは、この賃貸借をAに対抗できる。
216-03-3Aは、自己所有の建物をBに売却したが、Bはまだ所有権移転登記を行っていない。この建物がAとEとの持分1/2ずつの共有であり、Aが自己の持分をBに売却した場合、Bは、Eに対し、この建物の持分の取得を対抗できない。
315-03-3Aは、自己所有の甲地をBに売却し引き渡したが、Bはまだ所有権移転登記を行っていない。Eが、甲地に抵当権を設定して登記を得た場合であっても、その後Bが所有権移転登記を得てしまえば、以後、EはBに対して甲地に抵当権を設定したことを主張することができない。×
414-02-4Aが、Bの代理人としてCとの間で、B所有の土地の売買契約を締結しようとしている。AがBに無断でCと売買契約をしたが、Bがそれを知らないでDに売却して移転登記をした後でも、BがAの行為を追認すれば、DはCに所有権取得を対抗できなくなる。×
514-04-1Aは、自己所有の甲土地の一部につき、通行目的で、隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約を、乙土地所有者Bと締結した。この通行地役権の設定登記をしないまま、Aが、甲土地をCに譲渡し、所有権移転登記を経由した場合、Cは、通路として継続的に使用されていることが客観的に明らかであり、かつ、通行地役権があることを知っていたときでも、Bに対して、常にこの通行地役権を否定することができる。×
609-06-3GがHに土地を譲渡した場合で、Hに登記を移転する前に、Gが死亡し、Iがその土地の特定遺贈を受け、登記の移転も受けたとき、Hは、登記なしにIに対して土地の所有権を主張できる。×
708-03-3Aの所有する土地について、AB間で、代金全額が支払われたときに所有権がAからBに移転する旨約定して売買契約を締結した。Aが、Bとの売買契約締結前に、Dとの間で本件土地を売却する契約を締結してDから代金全額を受領していた場合、AからDへの所有権移転登記が完了していなくても、Bは、Aから所有権を取得することはできない。×

4 正しい

この建物の所有権は、F→A→Bと移転している。
したがって、FとBは、建物につき前主・後主の関係にあり、所有権を争う対抗関係にあるわけではない。
したがって、Bは登記がなくとも、Fに対して建物の所有権を対抗することができる。

■類似過去問(当事者間、前主後主間)
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 年-問-肢内容正誤
116-03-4F→A→Bと所有権が移転した場合、BはFに対し、登記がなくても所有権を対抗できる。
208-03-1代金全額を支払ったとしても、所有権移転登記を完了していない場合には、買主は売主に所有権の移転を主張できない。×

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Written by 家坂 圭一 in: 平成16年過去問,民法 |

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