7月
04
2007

【宅建過去問】(平成16年問08) 相殺

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Aは、B所有の建物を賃借し、毎月末日までに翌月分の賃料50万円を支払う約定をした。またAは敷金300万円をBに預託し、敷金は賃貸借終了後明渡し完了後にBがAに支払うと約定された。AのBに対するこの賃料債務に関する相殺についての次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. Aは、Bが支払不能に陥った場合は、特段の合意がなくても、Bに対する敷金返還請求権を自働債権として、弁済期が到来した賃料債務と対当額で相殺することができる。
  2. AがBに対し不法行為に基づく損害賠償請求権を有した場合、Aは、このBに対する損害賠償請求権を自働債権として、弁済期が到来した賃料債務と対当額で相殺することはできない。
  3. AがBに対して商品の売買代金請求権を有しており、それが平成16年9月1日をもって時効により消滅した場合、Aは、同年9月2日に、このBに対する代金請求権を自働債権として、同年8月31日に弁済期が到来した賃料債務と対当額で相殺することはできない。
  4. AがBに対してこの賃貸借契約締結以前から貸付金債権を有しており、その弁済期が平成16年8月31日に到来する場合、同年8月20日にBのAに対するこの賃料債権に対する差押があったとしても、Aは、同年8月31日に、このBに対する貸付金債権を自働債権として、弁済期が到来した賃料債務と対当額で相殺することができる。

正解:4

1 誤り

相殺が可能になるのは、双方の債権が弁済期にあるときである(民法505条1項)。ただし、受動債権に関しては、期限の利益を放棄することで弁済期が来る前に相殺することができる。
本問では、「敷金の返還は明渡し完了後」と約定しており、まだ弁済期になっていない(Bが支払不能という事情は無関係)。
弁済期が到来していない債権を自働債権として、弁済期の到来した賃料債権と相殺することはできない。

■類似過去問(弁済期と相殺)
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 年-問-肢内容正誤
116-08-1賃貸人が支払不能に陥った場合、賃借人は、自らの敷金返還請求権を自働債権として、賃料債権と相殺することができる。×
207-08-2Aの債権について弁済期の定めがなく、Aから履行の請求がないときは、Bは、Bの債権の弁済期が到来しても、相殺をすることができない。×

2 誤り

不法行為に基づく損害賠償債務を自働債権として相殺することはできない。つまり、加害者側から相殺を主張することはできない(民法509条)。これに対し、被害者側から相殺を主張すること、つまり、不法行為による債務を受働債権として相殺することは許される(最判昭42.11.30)。
本肢では、不法行為に基づく損害賠償請求権を自働債権としているから、このような相殺は可能である。

■類似過去問(不法行為債権と相殺)
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 年-問-肢内容正誤
128-09-3
買主に対して債権を有している売主は、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の損害陪償請求権を受働債権とする相殺をもって、買主に対抗することができない。
218-11-3加害者が、被害者に対して損害賠償責任を負う場合、被害者は、不法行為に基づく損害賠償債権で相殺できる。
316-08-2賃借人が賃貸人に対し不法行為に基づく損害賠償請求権を有した場合、賃借人は、この債権を自働債権として、賃料債務と相殺することはできない。×
407-08-3不法行為による損害賠償債権を受働債権として相殺することはできない。
504-09-1不法行為の被害者は、損害賠償債権を目働債権として、加害者に対する金銭返還債務と相殺することができない。×

3 誤り

時効消滅した債権でも、その消滅以前に相殺適状にあれば、これを自働債権として相殺することができる(民法508条)。本問では、代金債権の時効消滅以前に、弁済期が到来している賃料債務との相殺適状が成立しているので、相殺できることになる。

■類似過去問(時効消滅した債権と相殺)
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 年-問-肢内容正誤
117-04-3時効完成前に相殺適状に達していた債権を自働債権として、時効消滅後に相殺することができる。
216-08-3時効完成前に相殺適状に達していた債権を自働債権として、時効消滅後に相殺することはできない。×
307-08-1時効完成前に相殺適状に達していた債権を自働債権として、時効消滅後に相殺することができる。
401-02-4債権が既に時効により消滅している場合、時効完成前に相殺適状にあったとしても、その債権を自働債権として、相殺することはできない。×

4 正しい

AのBに対する債権が差押後に取得した債権であれば、その相殺は許されないが、差押後に取得したものでなければ、相殺することができる(民法511条。最判昭45.06.24)。

■類似過去問(支払差止債権と相殺)
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 年-問-肢内容正誤
123-06-1差押前に取得した債権を自働債権とする場合、受働債権との弁済期の先後を問わず、相殺が可能。
223-06-2抵当権者が物上代位により賃料債権を差押した後でも、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に取得した債権を自働債権として相殺の主張ができる。×
316-08-4差押前に取得した債権を自働債権とした相殺が可能。
415-05-3抵当権者が物上代位により賃料債権を差押した後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の前に取得した債権を自働債権として相殺の主張ができない。×
507-08-4差押後に取得した債権を自働債権とした相殺は不可。

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Written by 家坂 圭一 in: 平成16年過去問,民法 |

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