【宅建過去問】(平成17年問01) 権利能力・行為能力

自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. 買主Bが被保佐人であり、保佐人の同意を得ずにAとの間で売買契約を締結した場合、当該売買契約は当初から無効である。
  2. 買主Cが意思無能力者であった場合、Cは、Aとの間で締結した売買契約を取り消せば、当該契約を無効にできる。
  3. 買主である団体Dが法律の規定に基づかずに成立した権利能力を有しない任意の団体であった場合、DがAとの間で売買契約を締結しても、当該土地の所有権はDに帰属しない。
  4. 買主Eが婚姻している未成年者であり、当該婚姻がEの父母の一方の同意を得られないままになされたものである場合には、Eは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。

正解:3

1 誤り

被保佐人が保佐人の同意を得ずに土地の売買契約をした場合は、その契約を取り消すことができる(民法13条1項3号、4項)。そして、取消しのときに初めて、当初から無効だったものとみなされる(同法121条本文)。
「当初から無効」になるわけではない。

■類似過去問(被保佐人)
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 年-問-肢内容正誤
128-02-2
被保佐人が、不動産を売却する場合には、保佐人の同意が必要であるが、贈与の申し出を拒絶する場合には、保佐人の同意は不要である。
×
222-01-3不動産の売却・日用品の購入の双方につき保佐人の同意が必要。×
320-01-4被保佐人が詐術を用いたときでも、土地の売却を取り消すことができる。×
417-01-1保佐人の同意を得ずに締結した土地の売買契約は無効である。×
515-01-4保佐人の同意を得て土地売却の意思表示をした場合、保佐人は取り消すことができる。×
606-02-4保佐人の同意を得ずに土地購入の意思表示をした場合、保佐人は無効を主張することができる。×

2 誤り

意思能力とは、自己の行為の結果を判断することができる精神的能力のことをいう。この能力を欠く場合(意思無能力)、法律行為は無効とされる(条文はないが、判例上認められている)。

無効というのは、当初から何の効力も生じないことである。一方、取消しの場合、取り消されたときに限り、当初から無効であったものとみなされる(民法121条)。その点で、両者は大きく異なる。

■類似過去問(意思無能力者の法律行為)
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 年-問-肢内容正誤
124-03-1意思能力を欠く状態での意思表示が無効であることは、民法の条文で規定されている。×
219-01-4意思無能力者の法律行為は取消可能。×
317-01-2意思無能力者の法律行為は取消可能。×
415-01-1意思無能力者の法律行為は親族が取消可能。×

3 正しい

団体Dは、権利能力を有しないから、権利義務の主体となることができない。したがって、Aとの間で売買契約を締結したとしても、土地の所有権はDに帰属しない。

権利能力=権利義務の主体となる地位・資格。自然人であれば、乳児・幼児であろうと、この世に生まれ出た者はみな権利能力を有している。

■類似過去問(権利能力)
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 年-問-肢内容正誤
125-02-1父母と意思疎通できない乳児は、不動産を所有できない。×
217-01-3買主である団体Dが法律の規定に基づかずに成立した権利能力を有しない任意の団体であった場合、DがAとの間で売買契約を締結しても、当該土地の所有権はDに帰属しない。

4 誤り

未成年者が婚姻をするには、原則として父母の同意が必要である(民法737条1項)。しかし、父母の一方が同意しない場合には、他の一方だけの同意で構わない(同条2項)。したがって、父母の一方の同意を得ている本肢の婚姻は、有効である。
未成年者が婚姻をすると、成年者として扱われる(婚姻による成年擬制。民法753条)。
したがって、Eがした売買契約は確定的に有効である。Eは、未成年者であることを理由として売買契約を取り消すことができない。

■類似過去問(未成年者の婚姻)
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 年-問-肢内容正誤
125-02-3男は18歳、女は16歳で婚姻できるが、必ず父母双方の同意が必要。×
217-01-4土地の買主が婚姻している未成年者であり、婚姻が父母の一方の同意を得ていない場合、売買契約を取り消すことができる。×
311-01-2満15歳に達した者は、父母の同意を得て、婚姻をすることができる。×
■類似過去問(婚姻による成年擬制)
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 年-問-肢内容正誤
120-01-2婚姻した未成年者は、法定代理人の同意を得ずに行った法律行為を取消可能。×
217-01-4父母の一方の同意を得ずに婚姻した未成年者は、契約を取消可能。×
315-01-2婚姻している未成年者の意思表示を、親権者が取り消せば、遡って無効となる。×
411-01-3未成年者が婚姻したときは、成年に達したとみなされる。

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