7月
08
2007

【宅建過去問】(平成17年問09) 契約解除

【過去問本試験解説】発売中

売買契約の解除に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. 買主が、売主以外の第三者の所有物であることを知りつつ売買契約を締結し、売主が売却した当該目的物の所有権を取得して買主に移転することができない場合には、買主は売買契約の解除はできるが、損害賠償請求はできない。
  2. 売主が、買主の代金不払を理由として売買契約を解除した場合には、売買契約はさかのぼって消滅するので、売主は買主に対して損害賠償請求はできない。
  3. 買主が、抵当権が存在していることを知りつつ不動産の売買契約を締結し、当該抵当権の行使によって買主が所有権を失った場合には、買主は、売買契約の解除はできるが、売主に対して損害賠償請求はできない。
  4. 買主が、売主に対して手付金を支払っていた場合には、売主は、自らが売買契約の履行に着手するまでは、買主が履行に着手していても、手付金の倍額を買主に支払うことによって、売買契約を解除することができる。

正解:1

1 正しい

解除 損害賠償
善意の買主
悪意の買主 ×

他人物売買において、売主が売却した権利を取得し、買主に移転することができなかった場合、買主は、契約の解除をすることができる(民法561条前段)。これは、買主が善意か悪意かによらない。ただし、悪意の買主は、損害賠償の請求をすることができない(同条後段)。

■類似過去問(他人物売買:売主の担保責任)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
128-06-1
他人物であることにつき悪意の買主は、損害賠償請求ができない。
228-06-2
他人物であることにつき悪意の買主は、契約を解除することができる。
317-09-1他人物であることにつき悪意の買主は、解除はできるが、損害賠償請求はできない。
416-10-2他人物売買につき悪意であるとして損害賠償請求できない場合でも、売主に帰責性があるときは、債務不履行による損害賠償請求ができる。
508-08-1他人物であることにつき悪意の買主でも、契約を解除することができる。
605-08-3他人物であることにつき買主が善意でも悪意でも、契約を解除することができる。
703-11-2他人物につき権利を移転できないとき、買主の善意悪意に関係なく、契約を解除することができる。

2 誤り

解除することによって契約はさかのぼって消滅する(民法545条1項)。
しかし、それでは解除権者の保護にかけるので、解除をしてもなお損害賠償請求することができる(民法545条3項)。

■類似過去問(解除:損害賠償請求)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
121-08-4解除後、原状回復義務履行時までに目的物の価格が下落し損害を受けた場合、損害賠償請求はできない。×
217-09-2解除に加え、損害賠償請求はできない。×
314-08-2解除に加え、損害賠償請求ができる。
408-09-4解除に加え、損害賠償請求ができる。
505-07-1解除に加え、損害賠償請求ができる。

3 誤り

不動産の買主は、設定された抵当権が実行され、所有権を失った場合には、売買契約を解除し、損害賠償を請求することができる(民法567条1項、3項)。買主は、不動産の所有権を失った以上、善意・悪意に関わらず、これらの担保責任を追及することができる。
本肢の土地の買主は、抵当権の存在につき悪意であるが、それでも売買契約解除と損害賠償請求の双方が可能である。

17-09-3
解除 損害賠償
善意の買主
悪意の買主 ×
■類似過去問(売主の担保責任(抵当権・地上権等がある場合))
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 年-問-肢内容正誤
抵当権等がある場合
128-06-3
[Aを売主、Bを買主とする甲土地の売買契約]Bが、A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失い損害を受けたとしても、BはAに対して、損害賠償を請求することができない。
×
228-06-4
[Aを売主、Bを買主とする甲土地の売買契約]Bが、A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失ったときは、Bは、本件契約を解除することができる。

320-09-2抵当権が設定された土地の購入者が、抵当権の実行により所有権を失った場合、抵当権の設定につき悪意であっても、契約を解除できる。
417-09-3抵当権が設定された不動産の購入者が、抵当権の実行により所有権を失った場合、抵当権の設定につき悪意であるときは、契約を解除できるが、損害賠償請求はできない。×
511-10-3抵当権が設定された不動産の購入者が、抵当債務を弁済した場合、抵当権の設定につき悪意であるときは、損害賠償請求はできないが、弁済額の償還請求はできる。×
608-08-3抵当権の目的となっている土地の購入者が、抵当権の実行により所有権を失った場合、契約を解除できる。
704-06-3抵当権の存在を知らなかった建物の購入者は、抵当権の実行前でも、契約を解除できる。×
802-06-1土地の買主Aは、契約の際Cの抵当権のあることを知らなくても、その理由だけでは、Aと売主Bとの間の売買契約を解除することはできない。
901-04-4売買の目的物である土地に抵当権が設定されていて、買主がそのことを知らなかったときは、買主は、その事実を知ったとき、抵当権行使の有無に関係なく、契約を解除することができる。×
地上権等がある場合
105-08-4売買の目的物である土地に第三者が登記済みの地上権を有していて、買主が利用目的を達成することができなかった場合、善意のときに限り、契約を解除することができる。

4 誤り

17-09-4手付による解除ができなくなるのは、契約の相手方が契約の履行に着手した時点以降である(民法557条1項。最判昭40.11.24。 自らが履行に着手していても、相手方が履行に着手していなければ、解約手付による解除をすることができる。

買主が契約の履行に着手 売主からの手付解除は不可
売主が契約の履行に着手 買主からの手付解除は不可
■類似過去問(履行の着手と手付解除)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
121-10-2売主が履行に着手していなくても、買主が履行に着手していれば、買主は契約を解除できない。×
217-09-4売主は、自らが履行に着手するまでは、買主が履行に着手していても、契約を解除できる。×
316-04-2売主が履行に着手した場合、買主が履行に着手したかどうかにかかわらず、売主は契約を解除できない。×
412-07-2買主が履行に着手した場合、売主が履行に着手していないときでも、買主は契約を解除できない。×
506-06-2買主は、売主が履行に着手するまでは、自らが履行に着手していても、契約を解除できる。
604-07-3買主は、自らが履行に着手していても、売主が履行に着手していなければ、契約を解除できる。

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Written by 家坂 圭一 in: 平成17年過去問,民法 |

3 Comments »

  • MM

    肢3の挿入表は間違っていませんでしょうか?
    ”抵当権の存在につき悪意であるが、それでも売買契約解除と損害賠償請求の双方が可能である。”と説明文に有りますが、悪意の場合の損害賠償がXとなっております。ご確認くださいませ。

    Comment | 2015/10/15
  • naoko

    土地手付後買い主の家相の間取り等の打ち合わせをし手付の日付、地番が記入され契約に基ずく手付と書いたものに差し換え建売りの契約をした。営業を疑うことなくまた買主は建売りと説明を受けない限り建築条件付土地の契約をしていましたが打ち合わせ通りの建物でなく建物を壊すように伝えたが無視され契約を解約するように伝えたが売主は内容証明で購入催告、違約金損害賠償の最終催告をし契約解除で第三者に販売し損害がでたら損害賠償を請求するときました。買主はどのような事ができますか?

    Comment | 2015/11/03
  • 家坂 圭一

    naoko様

    本サイトは、宅建試験の過去問解説サイトです。
    弁護士法に違反しますので、個別具体的な法律相談にはお答えできません。

    Comment | 2015/11/06

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