7月
18
2007

【宅建過去問】(平成18年問02)無権代理

【過去問本試験解説】発売中

AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。しかし、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. BがCに対し、Aは甲土地の売却に関する代理人であると表示していた場合、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないことをCが過失により知らなかったときは、BC間の本件売買契約は有効となる。
  2. BがAに対し、甲土地に抵当権を設定する代理権を与えているが、Aの売買契約締結行為は権限外の行為となる場合、甲土地を売り渡す具体的な代理権がAにあるとCが信ずべき正当な理由があるときは、BC間の本件売買契約は有効となる。
  3. Bが本件売買契約を追認しない間は、Cはこの契約を取り消すことができる。ただし、Cが契約の時において、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権がないことを知っていた場合は取り消せない。
  4. Bが本件売買契約を追認しない場合、Aは、Cの選択に従い、Cに対して契約履行又は損害賠償の責任を負う。ただし、Cが契約の時において、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないことを知っていた場合は責任を負わない。

正解:1

無権代理の場合の相手方の権限を、主観別に分けてまとめておく。
なお、表見代理も相手方が「善意無過失」の場合にしか成立しない。合わせてここでまとめておこう。

相手方の主観

注意

悪意 善意
有過失
善意
無過失
無権代理 本人への
催告
本人から確答ないときは追認拒絶。
契約の
取消
× 本人が追認をしない間に限り可能。
代理人の責任追及 × × 代理人に行為能力がない場合は適用なし。
表見代理の成立 × ×

1 誤り

18-02-1代理権を与えていなくても、「代理人である」と表示した場合には、表見代理として契約が有効となる場合がある(代理権授与の表示による表見代理)。しかし、それは、相手方Cが善意無過失の場合に限られる(民法109条)。
本肢では、相手方Cが「過失により知らなかった」というのであるから、表見代理は成立せず、この売買契約は無効である。

■類似過去問(表見代理)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
代理権授与の表示による表見代理
118-02-1本人Bが相手方Cに対し、Aは甲土地の売却に関する代理人であると表示していた場合、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないことをCが過失により知らなかったときは、売買契約は有効となる。×
権限外の行為の表見代理
126-02-イ不動産を担保に金員を借り入れる代理権を与えられた代理人が、本人の名において不動産を売却した場合、相手方において本人自身の行為であると信じたことについて正当な理由があるときは、表見代理の規定を類推適用できる。
218-02-2抵当権設定の代理権を与えられた代理人が、売買契約を締結した場合、代理人に代理権があると相手方が信ずべき正当な理由があるときは、売買契約は有効となる。
316-02-1夫婦の一方による法律行為が、日常家事の範囲にないと相手方が考えていた場合でも、表見代理が成立する。×
414-02-2抵当権設定の代理権しか与えられていない代理人が、その土地を売却した場合、相手方が代理権があると信じることに正当な事由があるときでも、売買契約は成立しない。×
511-07-3家賃徴収の代理をさせていた代理人が、売買契約を締結した場合、相手方が代理人に代理権があると信じ、そう信じることについて正当な理由があるときは、売主に所有権移転登記を請求できる。
608-02-2抵当権設定の代理権を与えられ、土地の登記済証・実印・印鑑証明書の交付を受けていた代理人が、売買契約を締結した場合、代理人に代理権があると相手方が過失なく信じたときは、相手方は本人に対して土地の引渡しを求めることができる。
706-04-2抵当権設定の代理権しか与えられていない代理人が、売買契約を締結した場合、本人は、相手方が善意無過失であっても、売買契約を取り消すことができる。×
代理権消滅後の表見代理
117-03-イ代理権消滅後でも、相手方がそのことにつき善意無過失であれば、契約は有効となる。
208-02-4代理人が、自らの破産手続き開始後に契約締結した場合、相手方が破産手続につき悪意であっても、契約は有効となる。×
306-04-4破産により代理権が消滅しても、相手方が善意無過失であれば、契約は有効である。

2 正しい

18-02-2代理人Aが権限外の行為をした場合であっても、相手方Cに「代理権がある」と信ずべき正当な理由がある場合には、本人Bが責任を負う(権限外の行為の表見代理)。すなわち、契約は有効となる(民法110条)。

■類似過去問(表見代理)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
代理権授与の表示による表見代理
118-02-1本人Bが相手方Cに対し、Aは甲土地の売却に関する代理人であると表示していた場合、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないことをCが過失により知らなかったときは、売買契約は有効となる。×
権限外の行為の表見代理
126-02-イ不動産を担保に金員を借り入れる代理権を与えられた代理人が、本人の名において不動産を売却した場合、相手方において本人自身の行為であると信じたことについて正当な理由があるときは、表見代理の規定を類推適用できる。
218-02-2抵当権設定の代理権を与えられた代理人が、売買契約を締結した場合、代理人に代理権があると相手方が信ずべき正当な理由があるときは、売買契約は有効となる。
316-02-1夫婦の一方による法律行為が、日常家事の範囲にないと相手方が考えていた場合でも、表見代理が成立する。×
414-02-2抵当権設定の代理権しか与えられていない代理人が、その土地を売却した場合、相手方が代理権があると信じることに正当な事由があるときでも、売買契約は成立しない。×
511-07-3家賃徴収の代理をさせていた代理人が、売買契約を締結した場合、相手方が代理人に代理権があると信じ、そう信じることについて正当な理由があるときは、売主に所有権移転登記を請求できる。
608-02-2抵当権設定の代理権を与えられ、土地の登記済証・実印・印鑑証明書の交付を受けていた代理人が、売買契約を締結した場合、代理人に代理権があると相手方が過失なく信じたときは、相手方は本人に対して土地の引渡しを求めることができる。
706-04-2抵当権設定の代理権しか与えられていない代理人が、売買契約を締結した場合、本人は、相手方が善意無過失であっても、売買契約を取り消すことができる。×
代理権消滅後の表見代理
117-03-イ代理権消滅後でも、相手方がそのことにつき善意無過失であれば、契約は有効となる。
208-02-4代理人が、自らの破産手続き開始後に契約締結した場合、相手方が破産手続につき悪意であっても、契約は有効となる。×
306-04-4破産により代理権が消滅しても、相手方が善意無過失であれば、契約は有効である。

3 正しい

18-02-3無権代理行為があった場合、相手方Cは、本人Bが追認をしない間は、契約を取消すことができる。ただし、契約のときに、無権代理であることを知っていた場合は、取消すことができない(民法115条)。

■類似過去問(無権代理:相手方の取消権)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
118-02-3本人が無権代理行為を追認しない間は、相手方は契約を取消可能。ただし、相手方が悪意のときには取消不能。
209-01-2無権代理人は、本人の追認のない間は、契約を取り消すことができる。×
305-02-1本人が追認するまでの間、相手方は、無権代理について悪意であっても、契約を取り消すことができる。×
405-02-3相手方は、無権代理について善意無過失であれば、本人が追認しても、契約を取り消すことができる。×
504-03-2無権代理行為は有効であるが、本人が取り消すことができる。×
604-03-3善意無過失の相手方は、本人が追認するまでは、契約を取り消すことができる。
702-05-4BがAに代理権を与えていなかった場合は、相手方Cは、そのことについて善意であり、かつ、Bの追認がないとき、当該売買契約を取り消すことができる。

4 正しい

18-02-4代理人Aは、相手方Cの選択にしたがい、履行または損害賠償の責任を負う。ただし、この責任が発生するのは、相手方Cが無権代理について善意無過失の場合に限られる(民法117条)。

■類似過去問(無権代理人の責任追及)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
118-02-4本人が無権代理行為を追認しない場合、無権代理人は相手方の選択に従い、契約履行または損害賠償責任を負う。ただし、相手方が契約時に悪意の場合は責任を負わない。
211-07-4表見代理に該当する場合でも、相手方は無権代理を主張し、無権代理人に対し損害賠償請求できる場合がある。
309-01-4本人が追認を拒絶した場合、無権代理人が自ら契約を履行する責任を負うことがある。
405-02-2本人が追認しないときは、相手方は、無権代理につき善意であれば過失の有無に関係なく、無権代理人に履行を請求できる。×
502-05-1本人BがAに代理権を与えていなかった場合は、相手方Cは、そのことについて善意無過失であり、かつ、Bの追認がないとき、Aに対して契約の履行の請求又は損害賠償の請求をすることができる。

>>年度目次に戻る

Written by 家坂 圭一 in: 平成18年過去問,民法 |

コメントはまだありません »

RSS feed for comments on this post. TrackBack URL

Leave a comment

Copyright (C) 2005- 株式会社ビーグッド教育企画 All Rights Reserved.
Powered by WordPress | Aeros Theme | TheBuckmaker.com WordPress Themes