7月
21
2007

【宅建過去問】(平成18年問12)相続

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成年Aには将来相続人となるB及びC(いずれも法定相続分は2分の1)がいる。Aが所有している甲土地の処分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. Aが精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況になった場合、B及びCはAの法定代理人となり甲土地を第三者に売却することができる。
  2. Aが「相続財産全部をBに相続させる」旨の有効な遺言をして死亡した場合、BがAの配偶者でCがAの子であるときはCには相続財産の4分の1の遺留分があるのに対し、B及びCがAの兄弟であるときはCには遺留分がない。
  3. Aが「甲土地全部をBに相続させる」旨の有効な遺言をして死亡し、甲土地以外の相続財産についての遺産分割協議の成立前にBがCの同意なく甲土地を第三者Dに売却した場合、特段の事情がない限り、CはBD間の売買契約を無権代理行為に準じて取り消すことができる。
  4. Aが遺言なく死亡し、B及びCの協議により甲土地をBが取得する旨の遺産分割協議を有効に成立させた場合には、後になってB及びCの合意があっても、甲土地をCが取得する旨の遺産分割協議を成立させることはできない。

正解:2

1 誤り

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況になった場合であっても、それだけで成年被後見人となるわけではない。成年被後見人となるためには、家庭裁判所の後見開始の審判を受ける必要があるのである(民法7条)。
Aが成年被後見人となっていない以上、B・Cも法定代理人になっていない(同法843条1項)。したがって、甲土地を第三者に売却することもできない。

■類似過去問(成年被後見人)
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 年-問-肢内容正誤
128-02-3
成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する際、後見監督人がいる場合には、後見監督人の許可があれば足り、家庭裁判所の許可は不要である。
×
226-09-1成年被後見人が建物の贈与を受ける契約をした場合、成年後見人は、取り消すことができない。×
326-09-4成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。
422-01-2
成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却するためには、家庭裁判所の許可が必要である。
520-01-1成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。
618-12-1成年者Aが精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況になった場合、Aの推定相続人はAの法定代理人となる。×
715-01-3成年被後見人が成年後見人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合、成年後見人は、当該意思表示を取り消すことができる。
802-04-1成年被後見人は、契約の際完全な意思能力を有していても契約を取り消すことができる。

2 正しい

遺言者は、自らの財産の全部又は一部を遺贈することができるが、遺留分に関する規定に反することはできない(民法964条)。
遺留分を主張することができるのは、被相続人の配偶者・子・直系尊属に限られる(同法1028条)。法定相続人であっても、兄弟姉妹は遺留分権利者ではない。

【B=配偶者、C=子の場合】
「配偶者Bに相続財産全部を相続させる」という遺言をしても、被相続人Aの子であるCには遺留分がある。その額はCの法定相続分(1/2。同法900条1号)のさらに1/2であるから、相続財産の1/4である(同法1028条2号)。

【B・C=兄弟の場合】
兄弟には遺留分がない(同法1028条)。したがって、「配偶者Bに相続財産全部を相続させる」という遺言があった場合、Cが遺留分を主張することはできない。

■類似過去問(遺留分権利者)
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 年-問-肢内容正誤
124-10-4甥姪は遺留分を主張できない。
218-12-2配偶者・子は遺留分主張可能。兄弟姉妹は不可。
317-12-4配偶者に全財産を相続させる遺言がある場合、子は遺留分権利者とならない。×
409-10-1配偶者・兄弟姉妹が遺留分を主張できる。×
504-13-2兄弟姉妹は遺留分を主張できる。×
602-11-3Aが死亡し、相続人として、妻Bと嫡出子C・D・Eがいる場合、Eの遺留分は、被相続人Aの財産の1/12の額である。

3 誤り

「特定遺産を特定相続人に相続させる」という遺言があった場合、その遺産は、相続開始(被相続人の死亡)の時に直ちに相続により承継される(民法909条、985条1項。最判平03.04.19)。
本肢でいえば、甲土地は、被相続人Aの死亡のときに直ちにBに相続されたことになる。したがって、Bは、甲土地を自由に売却することができる。Cの同意を得る必要はないし、売買契約をCが取り消すこともできない。

■類似過去問(遺産の分割)
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 年-問-肢内容正誤
118-12-3被相続人Aが、相続人BCのうちのBに特定遺産を相続させる旨の遺言をして死亡し、特定遺産以外の相続財産についての遺産分割協議の成立前にBがCの同意なく特定遺産を第三者に売却した場合、CはBD間の売買契約を無権代理行為に準じて取り消すことができる。×
218-12-4B及びCの協議により甲土地をBが取得する旨の遺産分割協議を有効に成立させた場合、後にB及びCの合意があっても、甲土地をCが取得する旨の遺産分割協議を成立させることはできない。×
311-03-2被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定めることができ、また相続開始の時から5年を超えない期間内で遺産の分割を禁ずることもできる。
411-03-3遺産の分割について共同相続人間に協議が調わないとき、各共同相続人は、その分割を、相続開始地の地方裁判所に請求することができる。×
511-03-4遺産分割の効力は、第三者の権利を害しない範囲で、相続開始の時にさかのぼって生ずる。
607-11-4遺産分割協議の結論は、相続人の多数決によって決する。×

4 誤り

共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、改めて分割協議を成立させることができる(民法907条。最判平02.09.27)。
したがって、いったん遺産分割協議で甲土地をBが取得することになったとしても、後に改めて分割協議をし、Cが取得することが可能である。

■類似過去問(遺産の分割)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
118-12-3被相続人Aが、相続人BCのうちのBに特定遺産を相続させる旨の遺言をして死亡し、特定遺産以外の相続財産についての遺産分割協議の成立前にBがCの同意なく特定遺産を第三者に売却した場合、CはBD間の売買契約を無権代理行為に準じて取り消すことができる。×
218-12-4B及びCの協議により甲土地をBが取得する旨の遺産分割協議を有効に成立させた場合、後にB及びCの合意があっても、甲土地をCが取得する旨の遺産分割協議を成立させることはできない。×
311-03-2被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定めることができ、また相続開始の時から5年を超えない期間内で遺産の分割を禁ずることもできる。
411-03-3遺産の分割について共同相続人間に協議が調わないとき、各共同相続人は、その分割を、相続開始地の地方裁判所に請求することができる。×
511-03-4遺産分割の効力は、第三者の権利を害しない範囲で、相続開始の時にさかのぼって生ずる。
607-11-4遺産分割協議の結論は、相続人の多数決によって決する。×

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Written by 家坂 圭一 in: 平成18年過去問,民法 |

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