【宅建過去問】(平成19年問04)共有
A、B及びCが、持分を各3分の1とする甲土地を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 共有者の協議に基づかないでAから甲土地の占有使用を承認されたDは、Aの持分に基づくものと認められる限度で甲土地を占有使用することができる。
- A、B及びCが甲土地について、Eと賃貸借契約を締結している場合、AとBが合意すれば、Cの合意はなくとも、賃貸借契約を解除することができる。
- A、B及びCは、5年を超えない期間内は甲土地を分割しない旨の契約を締結することができる。
- Aがその持分を放棄した場合には、その持分は所有者のない不動産として、国庫に帰属する。
正解:4
1 正しい
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる(民法249条)。そして、各共有者は、自己の持分につき、他者に譲渡したり、占有使用を承認したりすることができる。このことについて、他の共有者と協議する必要はない。
したがって、共有者の協議に基づかない場合であっても、共有者Aから共有物の占有を承認された第三者Dは、Aの持分について、共有物を占有使用する権限を有する(最判昭63.05.20)。
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共有物の使用(民法[10]3(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 30-10-4 | 共同相続に基づく共有物の持分価格が過半数を超える相続人は、協議なくして単独で共有物を占有する他の相続人に対して、その共有物の明渡しを請求することはできない。 | × |
2 | 29-03-1 | 共有者は、他の共有者との協議に基づかないで当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではない。 | ◯ |
3 | 29-03-2 | AとBが共有する建物につき、AB間で協議することなくAがCと使用貸借契約を締結した場合、Bは当然にはCに対して当該建物の明渡しを請求することはできない。 | ◯ |
4 | 29-03-3 | DとEが共有する建物につき、DE間で協議することなくDがFと使用貸借契約を締結した場合、Fは、使用貸借契約を承認しなかったEに対して当該建物全体を排他的に占有する権原を主張することができる。 | × |
5 | 24-10-2 | 共同相続人の一人が相続財産である建物全部を占有する場合、他の相続人は明渡請求ができる。 | × |
6 | 23-03-4 | 他の共有者との協議に基づかないで、自己の持分に基づいて1人で現に共有物全部を占有する共有者に対し、他の共有者はその持分によらず単独で自己に対する共有物の明渡しを請求することができる。 | × |
7 | 19-04-1 | 共有者の一人から占有使用を承認された者は、承認した者の持分の限度で占有使用できる。 | ◯ |
8 | 13-01-2 | 共有者の一人が共有物全体を使用している場合、他の共有者はその明渡しを請求できる。 | × |
9 | 09-02-3 | 共有者は、その持分割合に応じて、共有物全体を使用する権利を有する。 | ◯ |
2 正しい
共有目的物である土地を賃貸借したり、その賃貸借契約を解除する行為は「管理」行為にあたり、その解除について、「解除は全員からまたは全員に対してのみすることができる」という規定(民法544条1項)は適用されない(最判昭39.02.25)。
したがって、各共有者の持分の価値に従い、その過半数で決することになる(民法252条)。
保存 | 各共有者が単独で可能 |
管理(利用・改良) | 持分価格の過半数 |
変更 | 全員の同意 |
AとBの持分を合計すると全体の3分の2になり過半数を超える。
したがって、AとBは、Cの合意を得ることなく、Eとの賃貸借契約を解除することができる。
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共有物を目的とする賃貸借契約の解除(民法[10]3(5)②)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 19-04-2 | 共有物に関する賃貸借契約の解除は、共有者の持分の過半数で決定できる。 | ◯ |
2 | 03-05-2 | 共有物に関する賃貸借契約の解除は、共有者(持分1/3)が単独ですることができる。 | × |
3 正しい
各共有者は、原則として、いつでも共有物の分割を請求することができる(民法256条1項本文)。
ただし、5年を超えない期間内であれば分割をしない旨の契約をすることも可能である(同項ただし書き)。
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分割の可否(民法[10]4(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 23-03-1 | 各共有者はいつでも分割請求可能。5年を超えない期間で不分割契約も可能。 | ◯ |
2 | 19-04-3 | 5年を超えない期間で不分割契約が可能。 | ◯ |
3 | 15-04-4 | 各共有者はいつでも分割請求可能。5年を超えない期間で不分割契約も可能。 | ◯ |
4 | 09-02-4 | 持分が過半数に満たない共有者も分割請求が可能。 | ◯ |
5 | 06-03-4 | 各共有者はいつでも分割請求可能。協議が調わなければ、裁判所に請求可能。 | ◯ |
6 | 04-12-4 | 各共有者はいつでも分割請求可能。 | ◯ |
7 | 03-05-3 | 不分割特約の期間は5年を超えることができず、また、更新することができない。 | × |
4 誤り
共有者の一人がその持分を放棄したとき、その共有者の持分は他の共有者に帰属する(民法255条)。
「所有者のない不動産」になるわけでも、「国庫に帰属」するわけでもない。
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持分の放棄(民法[10]2(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 29-03-4 | GとHが共有する建物につき、Gがその持分を放棄した場合は、その持分はHに帰属する。 | ◯ |
2 | 19-04-4 | 共有者の一人が持分を放棄した場合、その持分は、国庫に帰属する。 | × |
3 | 15-04-3 | 共有者の一人が持分を放棄した場合、その持分は、他の共有者に帰属する。 | ◯ |
4 | 09-02-2 | 共有者の一人が持分を放棄した場合、その持分は、他の共有者に帰属する。 | ◯ |