10月
19
2008

【宅建過去問】(平成20年問02)物権の移転と対抗問題

【過去問本試験解説】発売中

所有権がAからBに移転している旨が登記されている甲土地の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. CはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、甲土地の真の所有者はAであって、Bが各種の書類を偽造して自らに登記を移していた場合、Aは所有者であることをCに対して主張できる。
  2. DはBとの間で売買契約を締結したが、AB間の所有権移転登記はAとBが通じてした仮装の売買契約に基づくものであった場合、DがAB間の売買契約が仮装であることを知らず、知らないことに無過失であっても、Dが所有権移転登記を備えていなければ、Aは所有者であることをDに対して主張できる。
  3. EはBとの間で売買契約を締結したが、BE間の売買契約締結の前にAがBの債務不履行を理由にAB間の売買契約を解除していた場合、Aが解除した旨の登記をしたか否かにかかわらず、Aは所有者であることをEに対して主張できる。
  4. FはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、その後AはBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合、FがBによる強迫を知っていたときに限り、Aは所有者であることをFに対して主張できる。

正解:1

【1】 ◯ 正しい

20-02-1本問におけるBは無権利者であり、自らに登記を移転したとしても、甲土地の権利者となるわけではない。つまり、Cは、単に無権利者から譲り受けただけであり、Cもまた無権利者に過ぎない。
たしかに、Cは、所有権移転登記を受けている。しかし、登記には公信力がない。すなわち、登記を得たというだけでは所有権を主張できないのである。
以上より、Cは土地の所有権を取得しておらず、Aは所有者であることをCに対して主張することができる。

■類似過去問(登記の公信力)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
120-02-1土地の真の所有者は、無権利者からの譲受人で登記を有する者に対し、所有権を主張できる。
219-03-2登記を信頼した土地の譲受人は、真の所有者の過失の有無を問わず、所有権を取得できる。×
315-03-4二重譲渡の一方が通謀虚偽表示であり、仮装譲受人が登記を得たとしても、もう一方の譲受人は、所有権を主張できる。
413-05-1無権利者からの譲受人からさらに転得した者は、無権利の点につき善意であれば、所有権を真の所有者に対抗できる。×
508-05-2公序良俗違反の契約により、BがAから土地所有権を取得し登記をした。Bと売買契約を締結し、移転登記を受けたCは、Aに対し所有権を対抗できる。×
603-04-4土地の譲受人は、無権利者から土地を賃借し土地上の建物を登記した者に対し、土地の明渡しと建物収去を請求できる。

【2】 X 誤り

20-02-2AB間の所有権移転登記が通謀虚偽表示であった場合、その売買は、無効である(民法94条1項)。
しかし、この無効は善意の第三者に対抗することができない(同条2項)。 したがって、Dが善意である以上、Aは所有者であることを主張することができない。

※第三者は、善意であればよく、所有権移転登記を具備している必要はない。

■類似過去問(通謀虚偽表示:第三者への対抗)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
127-02-1善意のCがBから甲土地を買い受けた場合、Cがいまだ登記を備えていなくても、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない 。
227-02-2善意のCが、Bとの間で、Bが甲土地上に建てた乙建物の賃貸借契約(貸主B、借主C)を締結した場合、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない 。×
327-02-3Bの債権者である善意のCが、甲土地を差し押さえた場合、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない 。
427-02-4甲土地がBから悪意のCへ、Cから善意のDへと譲渡された場合、AはAB間の売買契約の無効をDに主張することができない 。
524-01-1Aが所有する甲土地につき、AとBが通謀の上で売買契約を仮装し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、B名義の甲土地を差し押さえたBの債権者Cは、通謀虚偽表示における「第三者」に該当する。
624-01-2Aが所有する甲土地につき、AとBの間には債権債務関係がないにもかかわらず、両者が通謀の上でBのために抵当権を設定し、その旨の登記がなされた場合に、Bに対する貸付債権を担保するためにBから転抵当権の設定を受けた債権者Cは、通謀虚偽表示における「第三者」に該当する。
724-01-3Aが所有する甲土地につき、AとBが通謀の上で売買契約を仮装し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、Bが甲土地の所有権を有しているものと信じてBに対して金銭を貸し付けたCは、通謀虚偽表示における「第三者」に該当する。×
824-01-4AとBが通謀の上で、Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約を仮装した場合に、当該仮装債権をAから譲り受けたCは、通謀虚偽表示における「第三者」に該当する。
922-04-4第三者は、善意悪意によらず、所有権を主張できない。×
1020-02-2仮装売買の売主→虚偽表示に善意無過失だが登記を備えていない第三者|対抗できる。×
1115-03-4土地の買主B(未登記)→Bと二重譲渡の関係に立ち登記を有する仮想譲渡の買主F|土地所有権を主張できる。
1212-04-2善意無過失で未登記の第三者→売主|対抗できる。
1312-04-3(Aが、債権者の差押えを免れるため、Bと通謀して、A所有地をBに仮装譲渡)
DがAからこの土地の譲渡を受けた場合には、所有権移転登記を受けていないときでも、Dは、Bに対して、その所有権を主張することができる。
1412-04-4(Aが、債権者の差押えを免れるため、Bと通謀して、A所有地をBに仮装譲渡)
Eが、AB間の契約の事情につき善意無過失で、Bからこの土地の譲渡を受け、所有権移転登記を受けていない場合で、Aがこの土地をFに譲渡したとき、Eは、Fに対して、その所有権を主張することができる。
×
1507-02-1土地の買主B→Bと二重譲渡の関係に立ち登記を有する仮想譲渡の買主C|登記がなければ土地所有権を主張できない。×
1607-04-1仮想譲渡の売主→悪意の抵当権設定者|抵当権設定の無効を主張できる。
1707-04-2仮想譲渡の売主→善意有過失の転得者|所有権を主張できる。×
1807-04-4仮想譲渡の売主→悪意の転得者|対抗可、
仮想譲渡の売主→悪意の転得者から取得した善意の転得者|対抗不可。
1905-03-1売主→善意の第三者に対抗可。×
2005-03-2売主の善意の債権者→善意の転得者に対抗可。×
2105-03-3売主→善意で未登記の第三者に対抗可。×
2205-03-4善意の転得者→売主に対抗可。
2303-04-3Aの所有地にFがAに無断でF名義の所有権移転登記をし、Aがこれを知りながら放置していたところ、FがF所有地として善意無過失のGに売り渡し、GがG名義の所有権移転登記をした場合、Aは、その所有権をGに対抗することができない。
2402-04-4通謀虚偽表示は当事者間では無効だが、善意無過失の転得者には所有権を主張できない。

【3】 X 誤り

  1. AB間の契約締結
  2. 契約解除し
  3. BE間の契約締結

という場合、すなわち、第三者Eの出現が解除以後である場合には、B→Aの復帰的物権変動とB→Eの物権変動が対抗関係に立つものと考える(最判昭35.11.29)。つまり、Aは、解除した旨の登記をしない限り、Eに対して所有権を主張することができない(同法177条)。

 20-02-3a  20-02-3b
■類似過去問(解除後の第三者)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
120-02-3復帰的物権変動につき未登記の売主は、解除後の第三者に、所有権を主張できる。×
219-06-2復帰的物権変動につき未登記の売主は、登記を経た解除後の第三者に、所有権を対抗できない。
316-09-4復帰的物権変動につき未登記の売主は、解除後に物権を賃借し対抗要件を備えた賃借人に対し、賃借権の消滅を主張できる。×
413-05-3解除後に解除につき善意で物件を購入し登記を経た第三者は、復帰的物権変動につき未登記の売主に対し、所有権を対抗できる。
508-05-4解除後に解除につき悪意で物件を購入し登記を経た第三者は、復帰的物権変動につき未登記の売主に対し、所有権を対抗できない。×
■関連過去問(解除前の第三者)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
121-08-1解除前の第三者が登記を備えている場合、その第三者が悪意であっても、売主は所有権を主張できない。
216-09-1建物の買主がその債権者と抵当権設定契約を締結し登記をした後で、売主が売買契約を解除しても、売主は抵当権の消滅を主張できない。
316-09-2建物の買主がその建物を賃貸し引渡しを終えた後で、売主が売買契約を解除した場合、売主は賃借権の消滅を主張できる。×
416-09-3建物の買主がその債権者と抵当権設定契約を締結したが、登記をする前に、売主が売買契約を解除した場合、抵当権設定契約は無効となる。×
514-08-4買主が土地を転売した後、売買契約を解除しても、未登記の第三者の土地を取得する権利を害することはできない。×
613-05-2買主が土地を転売した後、売買契約を解除した場合、登記を受けた第三者は、所有権を売主に対抗できる。
708-05-3解除前の第三者が登記を備えていても、その第三者が解除原因につき悪意であった場合には、売主に対し所有権を対抗できない。×
803-04-2解除前の第三者が登記を備えていても、売主は第三者に対し所有権を対抗できる。×
901-03-3売主が買主の債務不履行を理由に売買契約を解除した場合、売主は、その解除を、解除前に転売を受け、解除原因について悪意ではあるが、所有権の移転登記を備えている第三者に対抗することができる。×

【4】 X 誤り

20-02-4a

  1. Bの強迫
  2. AB間の契約締結
  3. BからFへの転売
  4. Aが強迫を理由に取消し

という場合、すなわち、Fの出現が取消以前である場合には、「強迫による取消しと第三者」の問題として考える。つまり、Aは、Fの善意・悪意に関わらず、第三者Fに契約の取消しを対抗することができる(民法96条3項の反対解釈)。この場合、登記を得る必要はない。

【参考】取消後の第三者

第三者Fの出現が取消以後である場合には、A→Bの復帰的物権変動とB→Fの物権変動が対抗関係に立つものと考える。つまり、Aは、取り消した旨の登記をしない限り、Aに対して所有権を主張することができない(同法177条)。

 20-02-3c  20-02-4c
■類似過去問(強迫による取消しと第三者)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
123-01-4強迫の場合、取消前の第三者に対しては、登記なくして対抗可能。
222-04-2強迫の場合、取消前・取消後両方の第三者に対して、登記なくして対抗可能。×
320-02-4強迫の場合、取消前の第三者に対しては、第三者が悪意のときに限り、所有権を主張可能。×
410-07-2強迫の場合、取消前の善意の第三者に対しては、取消しの対抗不可。×
503-02-全強迫の場合、取消前の第三者に対しては、第三者の善意悪意を問わず、対抗可能。
601-03-4強迫による意思表示の取消は、取消前に出現した登記を有する善意の第三者に対抗できる。

>>年度目次に戻る

Written by 家坂 圭一 in: 平成20年過去問,民法 |

コメントはまだありません »

RSS feed for comments on this post. TrackBack URL

Leave a comment

Copyright (C) 2005- 株式会社ビーグッド教育企画 All Rights Reserved.
Powered by WordPress | Aeros Theme | TheBuckmaker.com WordPress Themes