【宅建過去問】(平成20年問09)売主の担保責任

宅地建物取引業者であるAが、自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者でないBに売却した場合のAの責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. 売買契約で、Aが一切の瑕疵担保責任を負わない旨を合意したとしても、Aは甲土地の引渡しの日から2年間は、瑕疵担保責任を負わなければならない。
  2. 甲土地に設定されている抵当権が実行されてBが所有権を失った場合、Bが甲土地に抵当権が設定されていることを知っていたとしても、BはAB間の売買契約を解除することができる。
  3. Bが瑕疵担保責任を追及する場合には、瑕疵の存在を知った時から1年以内にAの瑕疵担保責任を追及する意思を裁判外で明確に告げていればよく、1年以内に訴訟を提起して瑕疵担保責任を追及するまでの必要はない。
  4. 売買契約で、Aは甲土地の引渡しの日から2年間だけ瑕疵担保責任を負う旨を合意したとしても、Aが知っていたのにBに告げなかった瑕疵については、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権が時効で消減するまで、Bは当該損害賠償を請求できる。

正解:1

22-38-0

【1】誤り

「瑕疵担保責任を一切負わない」という特約は無効であり、これに反する特約は無効となる(宅地建物取引業法40条1項、2項)。したがって、民法の規定通りの責任を負うことになり、瑕疵担保の期間は、「瑕疵を発見した時から1年以内」となる(民法570条、566条3項)。
「引渡しの日から2年間」となるわけではない。

■類似過去問(瑕疵担保責任に関する特約)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
127-39-2買主が建物を短期間使用後取り壊す予定である場合、瑕疵担保責任を負わない旨の特約を定めることができる。×
225-38-ア引渡後2年以内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の瑕疵についてのみ責任を負うとする特約を定めることができる。×
324-39-1瑕疵担保責任を負う期間に関し、特約を定めないことは宅建業法に違反する。×
424-39-4「損害賠償のみ可能、解除不可」という特約は宅建業法に違反する。

521-38-ア「瑕疵担保責任を負わない」という特約は有効。×
621-38-イ「重要事項として説明した瑕疵については担保責任を負わない」という特約は有効。
721-38-ウ「瑕疵担保責任を負わない」という特約は無効で、「引渡しから2年」となる。×
820-09-1「瑕疵担保責任を負わない」という特約は無効で、「引渡しから2年」となる。×
919-41-3「売主に帰責性がない場合、瑕疵担保責任を負わない」という特約は有効。×
1017-42-4「売主に帰責性がない場合、瑕疵担保責任を負わない」という特約は宅建業法に違反しない。×
1111-33-2「契約解除できるのは、瑕疵により契約目的が達成できないときに限る」という特約は無効。×
1211-33-3「引渡しから2年、買主の知っている瑕疵は担保しない」という特約は有効。
1309-41-1「契約は解除できないが、損害賠償請求はできる」という特約は無効。
1409-41-2「売主に帰責性がない場合、瑕疵担保責任を負わない」という特約は有効。×
1505-45-1「瑕疵担保責任は売主の責めに帰するものに限る」という特約は有効。×

【2】正しい

解除 損害賠償
善意の買主
悪意の買主

土地の買主は、土地に設定された抵当権が実行され、所有権を失った場合には、売買契約を解除し、損害賠償を請求することができる(民法567条1項、3項)。買主は、土地の所有権を失った以上、善意・悪意に関わらず、これらの担保責任を追求することができる。
本問の土地の買主Bは、抵当権の存在につき悪意であるが、それでもAB間の売買契約を解除することができる。

■類似過去問(売主の担保責任(抵当権・地上権等がある場合))
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
抵当権等がある場合
128-06-3
[Aを売主、Bを買主とする甲土地の売買契約]Bが、A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失い損害を受けたとしても、BはAに対して、損害賠償を請求することができない。
×
228-06-4
[Aを売主、Bを買主とする甲土地の売買契約]Bが、A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失ったときは、Bは、本件契約を解除することができる。

320-09-2抵当権が設定された土地の購入者が、抵当権の実行により所有権を失った場合、抵当権の設定につき悪意であっても、契約を解除できる。
417-09-3抵当権が設定された不動産の購入者が、抵当権の実行により所有権を失った場合、抵当権の設定につき悪意であるときは、契約を解除できるが、損害賠償請求はできない。×
511-10-3抵当権が設定された不動産の購入者が、抵当債務を弁済した場合、抵当権の設定につき悪意であるときは、損害賠償請求はできないが、弁済額の償還請求はできる。×
608-08-3抵当権の目的となっている土地の購入者が、抵当権の実行により所有権を失った場合、契約を解除できる。
704-06-3抵当権の存在を知らなかった建物の購入者は、抵当権の実行前でも、契約を解除できる。×
802-06-1土地の買主Aは、契約の際Cの抵当権のあることを知らなくても、その理由だけでは、Aと売主Bとの間の売買契約を解除することはできない。
901-04-4売買の目的物である土地に抵当権が設定されていて、買主がそのことを知らなかったときは、買主は、その事実を知ったとき、抵当権行使の有無に関係なく、契約を解除することができる。×
地上権等がある場合
105-08-4売買の目的物である土地に第三者が登記済みの地上権を有していて、買主が利用目的を達成することができなかった場合、善意のときに限り、契約を解除することができる。

【3】正しい

瑕疵担保責任を追及する場合、瑕疵の存在を知った時から1年以内に瑕疵担保責任を追求しなければならない(民法570条、566条)。この場合、瑕疵担保責任を追及する意思を裁判外で明確に告げればよい(最判平04.10.20)。
必ずしも訴訟を提起する必要はない。

■類似過去問(瑕疵担保責任:知った時から1年以内)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
120-09-3瑕疵担保責任の追及は、瑕疵を知ってから1年以内に、裁判外で明確に告げればよい。
219-11-4瑕疵担保責任の追及は、瑕疵を知ってから1年以内に行わなければならない。
315-10-3瑕疵担保責任の追及は、契約から1年以内に行わなければならない。×
414-09-3瑕疵担保責任の追及は、瑕疵を知ってから1年以内に行わなければならない。

【4】正しい

瑕疵担保責任に関する特約として、宅建業法が認めているのは、期間を「引渡しの日から2年以上」とする場合に限られる(宅地建物取引業法40条1項)。したがって、本肢の「引渡しの日から2年間だけ瑕疵担保責任を負う」という特約は有効である。
しかし、売主が知っていたのに告げなかった瑕疵については、特約で定めた期間の経過後であっても、担保責任を負う(民法572条)。したがって、Bは、損害賠償請求権が時効で消減するまで、当該損害賠償を請求することができる。

■類似過去問(瑕疵担保責任:知りながら告げなかった瑕疵)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
120-09-4瑕疵担保責任につき特約しても、売主が知りながら告げなかった事実については免責されない。
219-11-1瑕疵担保責任を全部免責する特約があっても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を負う。
304-05-全瑕疵担保責任を負わない旨の特約があっても、売主が知りながら告げなかった瑕疵があり、契約の目的が達成できなくなった場合、買主は、瑕疵の発見から1年は契約の解除ができる。

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