10月
19
2008

【宅建過去問】(平成20年問12)遺留分

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Aには、相続人となる子BとCがいる。Aは、Cに老後の面倒をみてもらっているので、「甲土地を含む全資産をCに相続させる」旨の有効な遺言をした。この場合の遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. Bの遺留分を侵害するAの遺言は、その限度で当然に無効である。
  2. Bが、Aの死亡の前に、A及びCに対して直接、書面で遺留分を放棄する意思表示をしたときは、その意思表示は有効である。
  3. Aが死亡し、その遺言に基づき甲土地につきAからCに対する所有権移転登記がなされた後でも、Bは遺留分に基づき減殺を請求することができる。
  4. Bは、遺留分に基づき減殺を請求できる限度において、減殺の請求に代えて、その目的の価額に相当する金銭による弁償を請求することができる。

正解:3

BとCは、ともにAの子であるから1/2ずつの法定相続分を有している(民法900条4号)。しかし、Aは、「全財産をCに相続させる」旨の遺言をしており、これにしたがえば、Bの相続分は、ゼロとなってしまう。
このような場合、Cは、Aの財産の1/4を、遺留分として受けることができる(同法1028条2号、900条4号)。そして、この遺留分を保全するのに必要な限度で、遺留分減殺請求権を行使することができる(同法1031条)。つまり、AのCに対する遺言は、1/4の範囲で効力を減殺され、全資産は、Bに1/4、Cに3/4の割合で帰属することになる。

C
法定相続分 1/2 1/2
Aの遺言 0 1/1
遺留分 1/4 1/4
 20-12-0

【1】 X 誤り

被相続人が、遺言で、共同相続人の相続分を定める場合、遺留分に関する規定に違反することができない(民法902条1項但書)。
しかし、遺留分を侵害するような遺言がなされたとしても、そのことによって、遺言自体が当然に無効になるわけではない。遺言が有効であることを前提に、遺留分を侵害された者が、遺留分減殺請求できるだけである。

■類似過去問(遺留分減殺請求)
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 年-問-肢内容正誤
120-12-1相続人の一部の遺留分を侵害する被相続人の遺言は、その限度で当然に無効である。×
220-12-3Aが死亡し、その遺言に基づき甲土地につきAから子Cに対する所有権移転登記がなされた後でも、子Bは遺留分に基づき減殺を請求することができる。
312-10-2Aは、「Aの財産をすべて子Bに遺贈する。子CはBに対して遺留分の減殺請求をしてはならない」旨の遺言をして、CをAの相続から排除することができる。×
412-10-4Aは、「Aの乙建物を子Cに相続させる」旨の遺言をした場合で、子Bの遺留分を害しないとき、これをC単独の所有に帰属させることができる。
509-10-2遺留分の減殺請求は、訴えを提起しなくても、内容証明郵便による意思表示だけでもすることができる。
607-11-2Aが遺産の全部を子Cに遺贈した場合も、子DからCに対して遺留分の減殺をすれば、Cは、その部分を除外した部分を承継するほかない。
702-11-2Aが遺産を子Cに遺贈していた場合、その遺贈は、配偶者B、子D及び子Eの遺留分を侵害した部分について、効力を生じない。×

【2】 X 誤り

相続の開始前に遺留分を放棄するには、家庭裁判所の許可を受けなければならない(民法1043条1項)。書面で遺留分を放棄する意思表示をしただけでは、遺留分の放棄は有効とならない。

■類似過去問(遺留分の放棄)
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 年-問-肢内容正誤
120-12-2相続開始前でも、書面で意思表示すれば、遺留分を放棄できる。×
209-10-4相続開始前に、家裁の許可を得て遺留分を放棄した場合でも、遺産を相続する権利を失わない。
302-11-4被相続人の生前に被相続人Dが遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けていた場合においても、Dは、相続人となることができる。

【3】 ◯ 正しい

遺留分の減殺請求権は、以下の場合に時効消滅する(民法1042条)。

  1. 遺留分権利者が、相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないとき
  2. 相続開始の時から10年を経過したとき

したがって、被相続人の遺言に基づき土地の所有権移転登記がなされた後であっても、遺留分に基づく減殺請求は可能である。

■類似過去問(減殺請求権の期間の制限)
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 年-問-肢内容正誤
120-12-3土地の所有権移転登記がなされた後でも、遺留分減殺請求が可能である。
209-10-3相続開始9年6か月後に相続開始と遺留分を害する遺贈を知った遺留分権利者は、6か月以内であれば遺留分減殺請求できる。

【4】 X 誤り

受遺者(C)は減殺を受けるべき限度において、遺贈の目的の価格を遺留分権利者に弁償して、返還の義務を免れることができる(民法1041条)。しかし、遺留分権利者(B)の方から、減殺の請求に代えて、その目的の価額に相当する金銭による弁償を請求することはできない。


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Written by 家坂 圭一 in: 平成20年過去問,民法 |

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