10月
19
2008

【宅建過去問】(平成20年問13)借地借家法

【過去問本試験解説】発売中

Aが所有している甲土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合と、一時使用目的ではなく建物所有目的を有するCに貸す場合とに関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. AB間の土地賃貸借契約の期間は、AB間で60年と合意すればそのとおり有効であるのに対して、AC間の土地賃貸借契約の期間は、50年が上限である。
  2. 土地賃貸借契約の期間満了後に、Bが甲土地の使用を継続していてもAB間の賃貸借契約が更新したものと推定されることはないのに対し、期間満了後にCが甲土地の使用を継続した場合には、AC間の賃貸借契約が更新されたものとみなされることがある。
  3. 土地賃貸借契約の期間を定めなかった場合、Aは、Bに対しては、賃貸借契約開始から1年が経過すればいつでも解約の申入れをすることができるのに対し、Cに対しては、賃貸借契約開始から30年が経過しなければ解約の申入れをすることができない。
  4. AB間の土地賃貸借契約を書面で行っても、Bが賃借権の登記をしないままAが甲土地をDに売却してしまえばBはDに対して賃借権を対抗できないのに対し、AC間の土地賃貸借契約を口頭で行っても、Cが甲土地上にC所有の登記を行った建物を有していれば、Aが甲土地をDに売却してもCはDに対して賃借権を対抗できる。

正解:4

借地借家法にいう借地権とは、「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」のことである(借地借家法2条1号)。本問でいえば、「平置きの駐車場用地として利用しようとする」場合は、建物の所有を目的としていないため、借地借家法の対象外である。したがって、民法のみが適用される。
一方、「建物所有目的を有するCに貸す」場合は、借地借家法の適用がある。

※一時使用目的の場合には、借地期間や契約更新などに関する規定が適用されない(同法25条)。しかし、本問では、「一時使用目的ではない」とされているから、この点を考慮する必要はない。

【1】 X 誤り

【民法上の賃貸借】
民法では、賃貸借契約の存続期間の上限を20年としており、それより長い期間を定めた場合は、存続期間が20年となる(民法604条)。したがって、契約期間を60年と合意したとしても、その期間は20年ということになる。

【借地借家法】
借地借家法では、借地権の存続期間を30年以上と定めている(借地借家法3条)。下限が定められているのみで、上限の定めはないから、50年を超える契約も有効である。

■類似過去問(民法の賃貸借:存続期間)
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 年-問-肢内容正誤
126-11-1口頭による合意で存続期間を40年と定めた場合、期間は40年となる。×
220-13-1駐車場用地の賃貸借契約において、期間の上限は50年である。×
318-13-1駐車場用地の賃貸借契約で契約期間を35年とした場合、期限は定めなかったものとみなされる。×
■類似過去問(借地権の存続期間)
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 年-問-肢内容正誤
126-11-1存続期間40年と定めた場合、書面で契約を締結しなければ期間が30年となる。×
226-11-3期間を定めない契約を締結した場合、賃貸人が解約の申入れをしても合意がなければ契約は終了しない。
320-13-1建物所有目的の賃貸借契約において、賃貸借契約の期間の上限は60年である。×
420-13-3期間の定めがない場合、貸主は、契約開始から30年過ぎなければ、解約の申入れができない。
519-13-4期間の定めがない場合、貸主は、正当事由があればいつでも解約申入れできる。×
618-13-1小売業を行う目的で公正証書によらず賃貸借契約を締結した場合、存続期間35年という約定は有効である。
707-12-1期間の定めがない場合、堅固な建物については30年、非堅固な建物は20年となる。×
805-11-1存続期間を25年・35年のいずれと定めようと、契約期間は30年となる。×
901-12-1存続期間を10年と定めた場合、その約定はなかったものとみなされ、契約期間は20年となる。×

【2】 X 誤り

【民法上の賃貸借】
賃貸借期間の満了後、賃借人が賃借物の使用・収益を継続する場合、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定される(民法619条1項)。

【借地借家法】
賃貸借期間の満了後、賃借人が土地の使用を継続していた場合、賃貸人が遅滞なく異議を述べないときは、契約が更新されたものとみなす(借地借家法5条2項)。

■類似過去問(借地契約の更新請求等)
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 年-問-肢内容正誤
125-12-2借地権の存続期間が満了する際、借地権者の更新請求に対し、借地権設定者が遅滞なく異議を述べた場合には、借地契約は当然に終了する。×
221-11-2当初の存続期間満了時に、借地権者が更新請求し、建物がある場合は、借地権設定者が異議を述べたとしても、異議の理由にかかわらず、借地契約を更新したものとみなされる。×
320-13-2存続期間満了後に、借地権者が土地使用を継続した場合、契約更新とみなされることがある。
419-13-3存続期間が満了した場合でも、借地権者が、建物収去・土地明渡しを請求できない場合がある。
510-11-2存続期間満了時に借地権者が更新を請求し、借地権設定者が異議を述べたがその異議に正当事由がない場合、契約は更新され、その存続期間は30年である。×
605-11-2「期間満了の際、借地権者に対し相当の一定額の交付さえ行えば、借地権設定者は更新を拒絶できる」と特約してもその特約は、無効である。
704-10-2当初の存続期間内に、建物が滅失し再築しない場合、期間満了時に、借地権者が更新請求しても、借地権設定者が異議を述べたときは、契約は更新されない。×
804-10-3存続期間満了後、借地権者が土地使用を継続しており、借地権設定者が異議を述べなければ、期間の定めのない借地権が設定されたとみなされる。
901-12-2存続期間満了時に、借地権者が更新請求し、建物がある場合は、借地権設定者が異議を述べなければ、前の契約と同一条件で更新したものとみなされる。
1001-12-3存続期間満了後、借地権者が土地使用を継続しており、建物がある場合は、借地権設定者が異議を述べなければ、前の契約と同一条件で更新したものとみなされる。

【3】 X 誤り

【民法上の賃貸借】
賃貸借期間を定めなかった場合、各当事者はいつでも解約の申入れをすることができる(民法617条)。
「契約開始から1年」経過する必要はない。

※解約の申入れをした場合、賃貸借は1年経過後に終了する。

【借地借家法】
契約期間を定めない場合、その期間は30年となる(借地借家法3条)。この30年経過時に、借地権者の更新請求に対して、借地権設定者が異議を述べ、正当事由が認められた場合に限り、契約は終了する(借地借家法5条)。したがって、Aは、賃貸借契約開始から30年が経過しなければ解約の申入れをすることができない。

■類似過去問(土地賃貸借の中途解約)
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 年-問-肢内容正誤
126-11-3建物の所有を目的として賃貸するため、期間を定めない土地の賃貸借契約を締結した後に賃貸人が甲土地を使用する事情が生じた場合、賃貸人が解約の申入れをしても合意がなければ契約は終了しない。
226-11-3建物の所有を目的とせずに資材置場として賃貸するため、期間を定めない土地の賃貸借契約を締結した後に賃貸人が甲土地を使用する事情が生じた場合、賃貸人が解約の申入れをすれば契約は申入れの日から1年を経過することによって終了する。
326-11-4建物の所有を目的として土地を賃貸する場合、賃借人側は期間内であっても1年前に予告することによって中途解約することができる。×
426-11-4建物の所有を目的とせずに資材置場として土地を賃貸する場合、賃貸人も賃借人もいつでも一方的に中途解約することができる。×
520-13-3平置きの駐車場用地として利用するための土地賃貸借契約において、期間を定めなかった場合、賃貸人は、賃借人に対して、賃貸借契約開始から1年が経過すればいつでも解約の申入れをすることができる。×
620-13-3一時使用目的ではなく建物所有目的のための土地賃貸借契約において、期間を定めなかった場合、賃貸借契約開始から30年が経過しなければ解約の申入れをすることができない。
■類似過去問(借地権の存続期間)
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 年-問-肢内容正誤
126-11-1存続期間40年と定めた場合、書面で契約を締結しなければ期間が30年となる。×
226-11-3期間を定めない契約を締結した場合、賃貸人が解約の申入れをしても合意がなければ契約は終了しない。
320-13-1建物所有目的の賃貸借契約において、賃貸借契約の期間の上限は60年である。×
420-13-3期間の定めがない場合、貸主は、契約開始から30年過ぎなければ、解約の申入れができない。
519-13-4期間の定めがない場合、貸主は、正当事由があればいつでも解約申入れできる。×
618-13-1小売業を行う目的で公正証書によらず賃貸借契約を締結した場合、存続期間35年という約定は有効である。
707-12-1期間の定めがない場合、堅固な建物については30年、非堅固な建物は20年となる。×
805-11-1存続期間を25年・35年のいずれと定めようと、契約期間は30年となる。×
901-12-1存続期間を10年と定めた場合、その約定はなかったものとみなされ、契約期間は20年となる。×

【4】 ◯ 正しい

【民法上の賃貸借】
民法が賃借権の対抗要件として認めているのは、賃借権の登記のみである(民法605条)。したがって、賃借権の登記がない限り、BはDに対し、賃借権を対抗することができない。
※賃貸借契約を書面で行ったかどうか、は結論に無関係である。

【借地借家法】
借地権者が、土地の上に登記されている建物を所有する場合には、譲受人に対して賃借権を対抗することができる(借地借家法10条1項)。
本肢では、Cが甲土地上にC所有の登記を行った建物を有しているから、土地の賃借権について、対抗要件を備えている。したがって、甲土地の所有者がDに変わっても、賃借権を対抗することができる。
※賃貸借契約が口頭のものであっても、結論に変わりはない。

■類似過去問(民法の賃貸借:対抗要件)
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 年-問-肢内容正誤
128-14-2登記することができる権利には、抵当権及び賃借権が含まれる。
226-11-2建物の所有を目的とせずに資材置場として借りている土地が第三者に売却された場合に賃借人であることを当該第三者に対抗する方法はない。×
320-13-4平置きの駐車場用地として利用するための土地の賃貸借契約を書面で行っても、賃借権の登記をしない場合、土地の譲受人に賃借権を対抗できない。
419-14-4賃借権登記も建物引渡しもないまま、建物が譲渡された場合でも、賃借権を所有者に主張できる。×
■類似過去問(借地権の対抗要件)
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 年-問-肢内容正誤
128-11-1
[Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借]Aが甲建物を所有していても、建物保存登記をAの子C名義で備えている場合には、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたDに対して、Aは借地権を対抗することができない。

228-11-2
[Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借]Aが甲建物を所有していても、登記上の建物の所在地番、床面積等が少しでも実際のものと相違している場合には、建物の同一性が否定されるようなものでなくても、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたEに対して、Aは借地権を対抗することができない。
×
326-07-2借地権者が借地上の建物につき自己名義で保存登記をしている場合、借地の不法占拠者に対し、賃借権に基づいて妨害排除を求めることができる。
426-11-2借地上の建物の登記があれば、土地が第三者に売却されても、借地権を対抗可。
525-12-3二筆ある土地の借地権者が、一筆の土地上に登記ある建物を所有し、他方の土地は庭として使用している場合、後者の土地には対抗力が及ばない。
624-11-1借地上の建物の表示登記があれば、借地権を対抗可。
724-11-3土地の転借人は、転貸人たる賃借人が対抗力ある建物を所有していれば、賃借権を対抗可。
820-13-4口頭の借地契約でも、借地上の建物の登記があれば、借地権を対抗可。
918-13-4公正証書で借地契約をしても、対抗力が認められない場合がある。
1015-13-1借地上の建物の保存登記があれば、借地権を対抗可。
1111-13-1自己名義の保存登記があっても、居住していなければ対抗不可。×
1211-13-2配偶者名義の保存登記があっても、対抗不可。
1311-13-3一筆の土地上にある2棟の建物のうち1棟について自己名義の保存登記があれば、全体について借地権を対抗可。
1411-13-4所在地番が多少相違しても同一性が認識できれば対抗可。
1508-13-1長男名義の保存登記があれば、対抗可。×
1608-13-2自己名義の保存登記があれば、強制競売の競落者にも対抗可。
1708-13-4定期借地権の場合、公正証書で契約締結していれば、建物の登記がなくても対抗可。×

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Written by 家坂 圭一 in: 平成20年過去問,民法,借地借家法 |

1件のコメント »

  • みやど

    2ですが、民法の方は「みなす」でなく「推定する」です。違うという証拠があれば覆せます。借地借家法は解説のとおりで、違うという証拠があっても覆せません。選択肢でもちゃんと区別してあります。

    Comment | 2008/10/31

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