10月
24
2009

【宅建過去問】(平成21年問05)担保物権

【過去問本試験解説】発売中

担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 抵当権者も先取特権者も、その目的物が火災により焼失して債務者が火災保険金請求権を取得した場合には、その火災保険金請求権に物上代位することができる。
  2. 先取特権も質権も、債権者と債務者との間の契約により成立する。
  3. 留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。
  4. 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。

正解:1

法定担保物権 約定担保物権
留置権 先取特権 質権 抵当権
目的物の占有 占有型 非占有型 占有型 非占有型
付従性・随伴性・不可分性
優先弁済権・物上代位性 ×
対象物 不動産
動産 ×

【1】 ◯ 正しい

先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる(民法304条1項)。これを物上代位という。この条文が、抵当権にも準用されているので、抵当権にも物上代位性がある(民法372条)。
また、判例は、担保物権の目的である建物が火災によって焼失したが、それにより担保物権設定者が火災保険金請求権を取得した場合に、保険金請求権に対する物上代位を認めている。

■類似過去問(火災保険金に対する物上代位)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
128-04-2
[Aは、A所有の甲土地にBから借り入れた3,000万円の担保として抵当権を設定]甲土地上の建物が火災によって焼失してしまったが、当該建物に火災保険が付されていた場合、Bは、甲土地の抵当権に基づき、この火災保険契約に基づく損害保険金を請求することができる。
×
224-07-3火災保険に基づく損害保険金請求権は、物上代位の対象となる。
322-05-2火災保険に基づく損害保険金請求権は、物上代位の対象となる。
421-05-1火災保険に基づく損害保険金請求権は、抵当権・先取特権による物上代位の対象となる。
517-05-3火災保険に基づく損害保険金請求権は、物上代位の対象となる。
607-06-3第三者の不法行為により建物が焼失したので抵当権設定者がその損害賠償金を受領した場合、抵当権者は、損害賠償金に対して物上代位をすることができる。×

【2】 X 誤り

先取特権は法律の規定により当然に成立する担保物権(法定担保物権)であり、債権者と債務者との間の契約によっては成立するものではない(民法303条)。
これに対し、質権は当事者間の契約によって成立する約定担保物権である(民法342条)。

■類似過去問(先取特権)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
法定担保物権
121-05-2先取特権も質権も、債権者と債務者との間の契約により成立する。×
219-07-1建物の建築工事の費用について先取特権を行使するには、あらかじめ債務者である建築主との間で、先取特権の行使について合意しておく必要がある。×
目的物
121-05-3留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。×
物上代位
121-05-1火災保険に基づく損害保険金請求権は、抵当権・先取特権による物上代位の対象となる。
217-05-1不動産の売買により生じた債権を有する者は先取特権を有し、当該不動産が賃借されている場合には、賃料に物上代位することができる。
312‐03‐3建物の賃料債権の先取特権に関し、賃借人が建物内の動産を第三者に売却した場合、賃貸人は、代金債権に対し、払渡し前に差押えをしなくても先取特権を行使できる。×
動産の先取特権
123-07-2建物の賃料債権の先取特権に関賃借人が建物に備え付けた動産、転貸人の転借料債権→先取特権の対象。
212-03-1賃借人所有の家具類、自己使用のために持ち込んだ時計・宝石類→先取特権の対象。
312-03-2転借人が建物内に所有する動産→先取特権の対象。
412-03-3賃借人が建物内の動産を第三者に売却した場合、賃貸人は、代金債権に対し、払渡し前に差押えをしなくても先取特権を行使できる。×
512-03-4敷金を受領している場合、敷金を差し引いた残額についてのみ先取特権が発生。
不動産保存・不動産工事の先取特権
103-07-3不動産を目的とする担保物権の順位は、すべて登記の先後による。×

【3】 X 誤り

不動産についても先取特権は成立する(民法325~328条)。

■類似過去問(先取特権)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
法定担保物権
121-05-2先取特権も質権も、債権者と債務者との間の契約により成立する。×
219-07-1建物の建築工事の費用について先取特権を行使するには、あらかじめ債務者である建築主との間で、先取特権の行使について合意しておく必要がある。×
目的物
121-05-3留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。×
物上代位
121-05-1火災保険に基づく損害保険金請求権は、抵当権・先取特権による物上代位の対象となる。
217-05-1不動産の売買により生じた債権を有する者は先取特権を有し、当該不動産が賃借されている場合には、賃料に物上代位することができる。
312‐03‐3建物の賃料債権の先取特権に関し、賃借人が建物内の動産を第三者に売却した場合、賃貸人は、代金債権に対し、払渡し前に差押えをしなくても先取特権を行使できる。×
動産の先取特権
123-07-2建物の賃料債権の先取特権に関賃借人が建物に備え付けた動産、転貸人の転借料債権→先取特権の対象。
212-03-1賃借人所有の家具類、自己使用のために持ち込んだ時計・宝石類→先取特権の対象。
312-03-2転借人が建物内に所有する動産→先取特権の対象。
412-03-3賃借人が建物内の動産を第三者に売却した場合、賃貸人は、代金債権に対し、払渡し前に差押えをしなくても先取特権を行使できる。×
512-03-4敷金を受領している場合、敷金を差し引いた残額についてのみ先取特権が発生。
不動産保存・不動産工事の先取特権
103-07-3不動産を目的とする担保物権の順位は、すべて登記の先後による。×

【4】 X 誤り

留置権者も質権者も、善良な管理者の注意をもって、留置物や質物を占有する必要がある(民法298条1項、350条)。

■類似過去問(留置権)
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 年-問-肢内容正誤
目的物
121-05-3留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。×
内容
125-04-1賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、建物を留置できる。×
225-04-2不動産が二重売買され、第2買主が所有権移転登記を備えたため、第1買主が所有権を取得できなくなった場合、第1買主は、損害賠償を受けるまで不動産を留置できる。×
325-04-3建物の賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された後に、賃借人が建物に関して有益費を支出した場合、賃借人は、有益費の償還を受けるまで建物を留置できる。×
425-04-4建物賃借人が必要費を支出した場合、建物所有者ではない第三者所有の敷地を留置できない。
521-05-4留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。×
619-07-2建物の賃借人が造作買取代金債権を有している場合、弁済を受けるまで、建物を留置できる。×
717-05-4不動産に留置権を有する者は、目的物が金銭債権に転じた場合には、当該金銭に物上代位することができる。×
809-03-1建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。
909-03-2建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。×
1009-03-3賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、当該建物に引き続き居住したとき、それによる利益(賃料相当額)は返還しなければならない。
1109-03-4建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。
1203-07-1不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものもある。
■類似過去問(質権)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
約定担保物権
121-05-2先取特権も質権も、債権者と債務者との間の契約により成立する。×
被担保債権の範囲
114-05-2利息請求権は、常に満期となった最後の2年分についてのみ、質権の被担保債権となる。×
善管注意義務
121-05-4留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。×
不動産質権者による使用及び収益
119-07-3質権は、占有の継続が第三者に対する対抗要件と定められているため、動産を目的として質権を設定することはできるが、登記を対抗要件とする不動産を目的として質権を設定することはできない。×
指名債権を目的とする質権の対抗要件
114-05-1
債権質の質権者は、債務者の承諾が書面によるものであれば、確定日付を得ていなくても、この質権設定を、第三者に対しても対抗することができる。×
210-03-2
確定日付のある証書による債権者から債務者への通知又は債務者の承諾がないときでも、質権者は、建物賃貸借契約証書及び敷金預託を証する書面の交付を受けている限り、質権の設定を他の債権者に対抗することができる。×
質権者による債権の取立て
114-05-3
敷金返還請求権に質権の設定を受けた者は、賃借人に対する債権の弁済期到来前に、敷金返還請求権の弁済期が到来した場合は、賃貸人に対し、敷金を供託するよう請求できる。
214-05‐4
敷金返還請求権に質権の設定を受けた者は、賃借人に対する債権の弁済期が到来した場合、賃貸人に対し、敷金返還請求権の弁済期の前に、敷金を直ちに交付するよう請求できる。×
310-03-3
敷金返還請求権に質権の設定を受けた者は、賃借人の承諾を得ることなく、賃貸人から直接取立てを行うことができる。

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Written by 家坂 圭一 in: 平成21年過去問,民法 |

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