10月
24
2009

【宅建過去問】(平成21年問08)解除

【過去問本試験解説】発売中

売主Aは、買主Bとの間で甲土地の売買契約を締結し、代金の3分の2の支払と引換えに所有権移転登記手続と引渡しを行った。その後、Bが残代金を支払わないので、Aは適法に甲土地の売買契約を解除した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. Aの解除前に、BがCに甲土地を売却し、BからCに対する所有権移転登記がなされているときは、BのAに対する代金債務につき不履行があることをCが知っていた場合においても、Aは解除に基づく甲土地の所有権をCに対して主張できない。
  2. Bは、甲土地を現状有姿の状態でAに返還し、かつ、移転登記を抹消すれば、引渡しを受けていた間に甲土地を貸駐車場として収益を上げていたときでも、Aに対してその利益を償還すべき義務はない。
  3. Bは、自らの債務不履行で解除されたので、Bの原状回復義務を先に履行しなければならず、Aの受領済み代金返還義務との同時履行の抗弁権を主張することはできない。
  4. Aは、Bが契約解除後遅滞なく原状回復義務を履行すれば、契約締結後原状回復義務履行時までの間に甲土地の価格が下落して損害を被った場合でも、Bに対して損害賠償を請求することはできない。

正解:1

21-08-0

本問では、買主が代金の3分の2を支払うのと引換えに、売主が所有権移転登記と土地の引渡しを失っている(上図)。しかし、その後、Bが残額を支払わなかったため、売買契約は解除されるにいたった(民法541条)。

契約の解除があった場合、当事者は原状回復義務を負う。売主が受け取った代金、買主が受けた移転登記、引き渡された土地は、不当利得(同法703条)であるから、これらをお互いに返還しなければならない(下図)。そして、両者の原状回復義務は、同時履行の関係に立つ(同法533条)。

 

【1】 ◯ 正しい

21-08-1当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負うが、第三者の権利を害することはできない(民法545条1項)。
この場合、Cは、解除原因について悪意であっても構わないが、対抗要件を備えておく必要がある(最判昭33.06.14)。
本問でいえば、Aは、解除に当たって、登記を有する第三者Cの権利を害することができず、それはCが代金不履行について悪意であっても変わりない。つまり、Aは、Cに対して甲土地の所有権を主張することができない。

■類似過去問(解除前の第三者)
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 年-問-肢内容正誤
121-08-1解除前の第三者が登記を備えている場合、その第三者が悪意であっても、売主は所有権を主張できない。
216-09-1建物の買主がその債権者と抵当権設定契約を締結し登記をした後で、売主が売買契約を解除しても、売主は抵当権の消滅を主張できない。
316-09-2建物の買主がその建物を賃貸し引渡しを終えた後で、売主が売買契約を解除した場合、売主は賃借権の消滅を主張できる。×
416-09-3建物の買主がその債権者と抵当権設定契約を締結したが、登記をする前に、売主が売買契約を解除した場合、抵当権設定契約は無効となる。×
514-08-4買主が土地を転売した後、売買契約を解除しても、未登記の第三者の土地を取得する権利を害することはできない。×
613-05-2買主が土地を転売した後、売買契約を解除した場合、登記を受けた第三者は、所有権を売主に対抗できる。
708-05-3解除前の第三者が登記を備えていても、その第三者が解除原因につき悪意であった場合には、売主に対し所有権を対抗できない。×
803-04-2解除前の第三者が登記を備えていても、売主は第三者に対し所有権を対抗できる。×
901-03-3売主が買主の債務不履行を理由に売買契約を解除した場合、売主は、その解除を、解除前に転売を受け、解除原因について悪意ではあるが、所有権の移転登記を備えている第三者に対抗することができる。×

【2】 X 誤り

契約の解除がなされた場合、当事者は原状回復の義務を負う(民法545条1項)。このとき、買主に、解除までの間目的物を使用収益して得た利益が存在する場合には、一種の不当利得として、それを売主に償還すべき義務を負う(最判昭51.02.13)。
本問でいえば、Bは、甲土地を貸駐車場とすることによって上げた収益を、Aに償還しなければならない。

■類似過去問(解除:不当利得返還義務)
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 年-問-肢内容正誤
121-08-2解除するまでの間に目的物を使用し収益を上げた場合でも、その利益を償還する義務はない。×
210-08-2解除するまでの間に目的物を使用した場合、目的物の返還だけでなく、使用料相当額を支払う必要がある。

【3】 X 誤り

売主の代金返還義務と買主の原状回復義務とは同時履行の関係に立つ(民法546条、533条)。
したがって、Bは、自らの原状回復義務とAの代金返還義務とを同時履行すべきことを主張することができる。

■類似過去問(同時履行の抗弁:契約の解除・取消し)
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 年-問-肢内容正誤
127-08-イマンションの売買契約がマンション引渡し後に債務不履行を理由に解除された場合、契約は遡及的に消滅するため、売主の代金返還債務と、買主の目的物返還債務は、同時履行の関係に立たない 。×
221-08-3債務不履行による解除の場合、債務不履行をした側の原状回復義務が先履行となり、同時履行の抗弁権を主張できない。×
315-09-4売買契約が詐欺を理由として有効に取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係に立つ。
414-01-2詐欺による有効な取消しがなされたときには、登記の抹消と代金の返還は同時履行の関係になる。
511-08-2解除の際、一方当事者が原状回復義務の履行を提供しないとき、相手方は原状回復義務の履行を拒むことができる。
604-08-2買主が支払期日に代金を支払わない場合、売主は、不動産の引渡しについて履行の提供をしなくても、催告をすれば、当該契約を解除することができる。×
704-08-4第三者の詐欺を理由に買主が契約を取り消した場合、登記の抹消手続を終えなければ、代金返還を請求することができない。×

【4】 X 誤り

解除権を行使したからといって、損害賠償請求ができなくなるわけではない(民法545条3項)。
本問でいえば、AはBに対して損害賠償を請求することができる。

■類似過去問(解除:損害賠償請求)
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 年-問-肢内容正誤
121-08-4解除後、原状回復義務履行時までに目的物の価格が下落し損害を受けた場合、損害賠償請求はできない。×
217-09-2解除に加え、損害賠償請求はできない。×
314-08-2解除に加え、損害賠償請求ができる。
408-09-4解除に加え、損害賠償請求ができる。
505-07-1解除に加え、損害賠償請求ができる。

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Written by 家坂 圭一 in: 平成21年過去問,民法 |

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