6月
14
2013

【宅建過去問】(平成24年問05)請負

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次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、明らかに誤っているものはどれか。

(判決文)
請負人が建築した建物に重大な瑕疵があって建て替えるほかはない場合に、当該建物を収去することは社会経済的に大きな損失をもたらすものではなく、また、そのような建物を建て替えてこれに要する費用を請負人に負担させることは、契約の履行責任に応じた損害賠償責任を負担させるものであって、請負人にとって過酷であるともいえないのであるから、建て替えに要する費用相当額の損害賠償請求をすることを認めても、民法第635条ただし書の規定の趣旨に反するものとはいえない。

  1. 請負の目的物である建物の瑕疵が重要でない場合であって、その修補に過分の費用を要するときは、注文者は瑕疵の修補を請求することはできない。
  2. 請負の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には、注文者は、請負人に対し、建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償請求をすることができる。
  3. 請負の目的物が建物であって、民法第635条ただし書によって注文者が請負契約の解除をすることができない場合には、その規定の趣旨に照らし、注文者は建て替えに要する費用相当額の損害賠償請求をすることは認められない。
  4. 請負の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合であっても、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求は、請負人が当該建物を引き渡した時から1年以内にしなければならない。

正解:3と4

まずは、民法の規定と判決文について、簡単にまとめておこう。

【民法の規定(635条)】

  1. 請負契約の目的物に瑕疵があり、契約目的が達成できない場合、注文者は契約を解除することができる(同条本文)。
  2. ただし、建物など土地の工作物については例外とされており、契約の解除は認められない(同条但書)。
  3. このような規定になっているのは、契約解除や建物収去を認めると、(1)社会経済的に大きな損失であり、(2)請負人にとって過酷だから、である。

【判決文(最判平14.09.24)】

建物を建て替えるほかない場合で、(1)社会経済的に大きな損失とはいえず、(2)請負人にとって過酷ともいえない場合には、建替費用相当額の損害賠償請求を認めたとしても、民法635条但書に反するものとはいえない。

  民法の規定 判決文
原則 (1)瑕疵修補請求
(2)損害賠償請求
(3)契約解除
建替費用相当額の損害賠償が可能
例外 土地の工作物では解除不可
理由 (1)社会経済的損失
(2)請負人にとって過酷
(1)社会経済的損失なし
(2)過酷な負担でもない
  重大な瑕疵があって建て替えるほかない場合

【1】 ◯ 正しい

瑕疵が重要でないにも関わらず、修補に過分の費用を要する場合、注文者は瑕疵の修補を請求することができない(民法634条1項但書)。

■類似過去問(請負人の担保責任:瑕疵修補請求・損害賠償請求)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
124-05-1瑕疵が重要でなく、修補に過分の費用を要する場合、注文者は瑕疵の修補を請求できない。
218-06-1瑕疵の修補が可能な場合、損害賠償を請求する前に、瑕疵修補を請求しなければならない。×
307-10-3注文主が建物を譲渡した場合、譲受人が瑕疵修補・損害賠償の請求ができる。×
401-08-1完成した目的物に瑕疵があり、請負人が修補義務を負う場合において、その修補が可能なものであっても、注文者は、瑕疵の修補に代えて、直ちに損害賠償の請求をすることができる。
501-08-2完成した目的物に契約をした目的を達することができない重大な瑕疵があるときは、注文者は、瑕疵の修補又は損害賠償の請求をすることはできないが、契約を解除することができる。×
601-08-4完成した目的物が建物その他土地の工作物である場合において、その物に契約をした目的を達することができない重大な瑕疵があるときは、注文者は、契約の解除をすることができる。×
建替費用相当額の損害賠償
124-05-2建物を建て替えざるを得ない場合、建替費用相当額の損害賠償請求が可能。
224-05-3解除ができない場合、建替費用相当額の損害賠償請求は不可。×
318-06-2建物を建て替えざるを得ない場合、建替費用相当額の損害賠償請求が可能。

【2】 ◯ 正しい

判決文の趣旨そのものである。

■類似過去問(請負人の担保責任:瑕疵修補請求・損害賠償請求)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
124-05-1瑕疵が重要でなく、修補に過分の費用を要する場合、注文者は瑕疵の修補を請求できない。
218-06-1瑕疵の修補が可能な場合、損害賠償を請求する前に、瑕疵修補を請求しなければならない。×
307-10-3注文主が建物を譲渡した場合、譲受人が瑕疵修補・損害賠償の請求ができる。×
401-08-1完成した目的物に瑕疵があり、請負人が修補義務を負う場合において、その修補が可能なものであっても、注文者は、瑕疵の修補に代えて、直ちに損害賠償の請求をすることができる。
501-08-2完成した目的物に契約をした目的を達することができない重大な瑕疵があるときは、注文者は、瑕疵の修補又は損害賠償の請求をすることはできないが、契約を解除することができる。×
601-08-4完成した目的物が建物その他土地の工作物である場合において、その物に契約をした目的を達することができない重大な瑕疵があるときは、注文者は、契約の解除をすることができる。×
建替費用相当額の損害賠償
124-05-2建物を建て替えざるを得ない場合、建替費用相当額の損害賠償請求が可能。
224-05-3解除ができない場合、建替費用相当額の損害賠償請求は不可。×
318-06-2建物を建て替えざるを得ない場合、建替費用相当額の損害賠償請求が可能。

【3】 X 誤り

判決文は、「建替えに要する費用相当額」の損害賠償請求を認めている。

■類似過去問(請負人の担保責任:瑕疵修補請求・損害賠償請求)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
124-05-1瑕疵が重要でなく、修補に過分の費用を要する場合、注文者は瑕疵の修補を請求できない。
218-06-1瑕疵の修補が可能な場合、損害賠償を請求する前に、瑕疵修補を請求しなければならない。×
307-10-3注文主が建物を譲渡した場合、譲受人が瑕疵修補・損害賠償の請求ができる。×
401-08-1完成した目的物に瑕疵があり、請負人が修補義務を負う場合において、その修補が可能なものであっても、注文者は、瑕疵の修補に代えて、直ちに損害賠償の請求をすることができる。
501-08-2完成した目的物に契約をした目的を達することができない重大な瑕疵があるときは、注文者は、瑕疵の修補又は損害賠償の請求をすることはできないが、契約を解除することができる。×
601-08-4完成した目的物が建物その他土地の工作物である場合において、その物に契約をした目的を達することができない重大な瑕疵があるときは、注文者は、契約の解除をすることができる。×
建替費用相当額の損害賠償
124-05-2建物を建て替えざるを得ない場合、建替費用相当額の損害賠償請求が可能。
224-05-3解除ができない場合、建替費用相当額の損害賠償請求は不可。×
318-06-2建物を建て替えざるを得ない場合、建替費用相当額の損害賠償請求が可能。

【4】 X 誤り

請負人が担保責任を負う期間は、原則として、引き渡した時から1年以内である(民法637条1項)。
しかし、この期間は、建物その他の土地の工作物に関しては引き渡し後5年、石造・土造・れんが造・コンクリート造・金属造その他これらに類する構造の工作物に関しては10年とされている(民法638条1項但書)。

■類似過去問(請負人の担保責任:存続期間)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
124-05-4建物建築請負の瑕疵担保責任の追及は、引渡しから1年以内にしなければならない。×
207-10-1建物建築請負の瑕疵担保責任の追及は、引渡しから2年以内にしなければならない。×
306-08-3建物建築請負の瑕疵担保責任の追及は、引渡しから原則5年間であり、特約で10年まで伸長できる。
401-08-3完成した目的物が建物その他土地の工作物である場合において、その物が引き渡しを受けてから3年目に瑕疵により損傷したときは、注文者は、その時から2年以内に修補又は損害賠償の請求をすることができる。×

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Written by 家坂 圭一 in: 平成24年過去問,民法 |

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