【宅建過去問】(平成25年問05)抵当権

抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. 債権者が抵当権の実行として担保不動産の競売手続をする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要があるが、対象不動産に関して発生した賃料債権に対して物上代位をしようとする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要はない。
  2. 抵当権の対象不動産が借地上の建物であった場合、特段の事情がない限り、抵当権の効力は当該建物のみならず借地権についても及ぶ。
  3. 対象不動産について第三者が不法に占有している場合、抵当権は、抵当権設定者から抵当権者に対して占有を移転させるものではないので、事情にかかわらず抵当権者が当該占有者に対して妨害排除請求をすることはできない。
  4. 抵当権について登記がされた後は、抵当権の順位を変更することはできない。

正解:2

1 誤り

25-05-1■物上代位とは
抵当権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる(民法372条、304条1項)。これを物上代位という。
抵当権者は抵当不動産の賃料について物上代位をすることができる。

■物上代位ができる時期
抵当権の効力が果実に及ぶのは、被担保債権につき債務不履行があったときに限られる(民法371条)。物上代位が可能になるのも、その時点以降である。また、弁済期が到来しない限り、債務不履行になることはありえない。

したがって、賃料債権に対する物上代位をするためには、被担保債権の弁済期が到来している必要がある。

■類似過去問(賃料に対する物上代位)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
125-05-1賃料債権に対して物上代位をしようとする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要はない。×
224-07-1抵当権設定登記後に、賃料債権につき一般債権者が差押えした場合、抵当権者は物上代位できない。×
324-07-2抵当権実行中でも、抵当権が消滅するまでは、賃料債権に物上代位が可能。
424-07-4Aの抵当権設定登記があるB所有の建物について、CがBと賃貸借契約を締結した上でDに転貸していた場合、Aは、CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできない。
520-04-1抵当権実行を申し立てた抵当権者は、賃料への物上代位と賃貸借契約の解除が可能。×
617-05-2抵当権者は、賃料債権に物上代位することができる。
715-05-1(抵当建物を抵当権設定者が賃貸しているケース)抵当権設定登記後に、賃料債権が第三者に譲渡され対抗要件を備えた場合、賃借人が当該第三者に弁済する前であっても、抵当権設定者は、物上代位権を行使して当該賃料債権を差し押さえることはできない。×
815-05-2(抵当建物を抵当権設定者が賃貸しているケース)抵当権設定登記後に、賃料債権につき一般債権者が差押えした場合、差押命令が賃借人に送達された後は、抵当権者は物上代位できない。×
911-04-1抵当権者は、抵当権に基づく差押えの前であっても、賃料債権の差押えが可能。
1001-07-2抵当権の効力は、被担保債権に不履行があった場合、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。

2 正しい

25-05-2

借地上の建物を抵当権の対象とした場合、建物の所有権と建物所有のための借地権が一体となって財産的価値を形成している。簡単にいえば、建物だけを手に入れても、土地の利用を拒否されるのでは意味がないのである。
したがって、建物についての抵当権の効力は、敷地の賃借権にも及ぶ(民法370条。最判昭40.05.04)。

■類似過去問(抵当権の効力の及ぶ範囲)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
127-06-1賃借地上の建物が抵当権の目的となっているときは、一定の場合を除き、敷地の賃借権にも抵当権の効力が及ぶ。
225-05-2抵当権の対象不動産が借地上の建物であった場合、借地権についても抵当権の効力が及ぶ。
319-07-4ガソリンスタンド用店舗建物に抵当権を設定した場合、抵当権設定当時に存在していた従物(地下タンクなど)にも、抵当権の効力が及ぶ。
401-07-3抵当権の効力は、抵当権設定当時の抵当不動産の従物にも及ぶ。

3 誤り

22-07-4抵当権は、目的物の価値を把握し、これを優先弁済に充てる非占有型の担保物権である。したがって、抵当権者は、目的物の利用関係には干渉できないのが原則である。
しかし、その状態を放置してしまうと、抵当権自体が無価値になるような場合にまで、この結論を貫くことはできない。例えば、 第三者が抵当不動産を不法占有している場合、競売の進行が妨害されたり、競売価格が適正な価額よりも下落するリスクが出てくる。これでは、抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となってしまう。
このような場合、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して有する抵当不動産の維持・保存請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができる(最判平11.11.24)。

■類似過去問(抵当権侵害に対する妨害排除)
内容を見る
 年-問-肢内容正誤
125-05-3対象不動産を第三者が不法占有している場合、抵当権者が妨害排除請求をすることはできない。×
222-07-4抵当権者は、抵当不動産の所有者に対し当該不動産を適切に維持又は保存することを求める請求権を保全するため、その所有者の妨害排除請求権を代位行使して、当該不動産の不法占有者に対しその不動産を直接自己に明け渡すよう請求できる場合がある。
314-06-1(Aは、Bに対する貸付金債権の担保のために、当該貸付金債権額にほぼ見合う評価額を有するB所有の更地である甲土地に抵当権を設定し、その旨の登記をした。その後、Bはこの土地上に乙建物を築造し、自己所有とした。)Aは、Bに対し、乙建物の築造行為は、甲土地に対するAの抵当権を侵害する行為であるとして、乙建物の収去を求めることができる。×
407-06-1抵当権設定者が通常の利用方法を逸脱して、建物の毀損行為を行う場合、被担保債権の債務の弁済期が到来していないときでも、抵当権者Bは、抵当権に基づく妨害排除請求をすることができる。

4 誤り

抵当権の登記の後であっても、抵当権の順位を変更することができる(民法374条1項)。ただし、利害関係者がいるときは、その承諾を得なければならない(同項但書)。

※抵当権の順位の変更とは、同一の不動産に関する抵当権者の間で、抵当権の順位を変更することである。抵当権の順位の変更は、登記をしなければ、効力を生じない(同条2項)。

■類似過去問(抵当権:対抗要件・順位)
内容を見る
民法[13]2(3)
抵当権(対抗要件・順位)
 年-問-肢内容正誤
対抗要件
129-10-4抵当権は不動産に関する物権であり、登記を備えなければ第三者に対抗することができない。
228-14-2登記することができる権利には、抵当権及び賃借権が含まれる。
326-04-2抵当権を設定した旨を第三者に対抗する場合には登記が必要であるが、根抵当権を設定した旨を第三者に対抗する場合には、登記に加えて、債務者Cの異議を留めない承諾が必要である。×
422-05-1抵当権設定者AとBとの抵当権設定契約が、AとCとの抵当権設定契約より先であっても、Cを抵当権者とする抵当権設定登記の方がBを抵当権者とする抵当権設定登記より先であるときには、Cを抵当権者とする抵当権が第1順位となる。
順位上昇の原則
118-05-2債務者兼抵当権設定者Aが抵当権によって担保されている借入金全額を一番抵当権者Bに返済しても、第一順位の抵当権を抹消する前であれば、二番抵当権者Cの同意の有無にかかわらず、AはBから新たに金銭を借り入れて、第一順位の抵当権を設定することができる。×
202-10-4抵当権者の抵当権が消滅した場合、後順位の抵当権者の順位が繰り上がる。
抵当権の順位の変更
128-04-3
一番抵当権者と二番抵当権者が抵当権の順位を変更することに合意すれば、抵当権設定者の同意がなくても、抵当権の順位を変更することができる。
225-05-4抵当権を登記した後は、抵当権の順位を変更できない。×
320-04-3設定時に後順位となった抵当権者が、先順位の抵当権者に優先して弁済を受ける方法はない。×
413-07-4抵当権者間の合意で抵当権の順位を変更できるが、登記をしなければ効力を生じない。

>>年度目次に戻る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です