【宅建過去問】(平成27年問01)民法に規定されているもの

【注意】

「民法の条文に規定されているかどうか」を問う問題は、民法改正を控えた平成24年~29年の6年間に渡り出題されました。令和2年に改正民法が施行されたため、今後この形式で出題される可能性は低いです。ここでは、改正後の民法に合うように問題を修正して掲載しています。


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次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはいくつあるか。

  • ア 債務の不履行に基づく人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する旨
  • イ 事業のために負担した貸金債務を主たる債務とする保証契約は、保証人になろうとする者が、契約締結の日の前1か月以内に作成された公正証書で保証債務を履行する意思を表示していなければ無効となる旨
  • ウ 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる旨
  • エ 債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める旨
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解:4

ア 条文に規定されている

債権の消滅時効期間は、原則として、以下のうち、早いほうが来た時点です(民法167条1項)。

人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効については、例外的な扱いがされます。この場合、客観的基準による時効期間は20年間です(同法167条)。

■参照項目&類似過去問
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消滅時効の起算点(民法[06]3(1))
年-問-肢内容正誤
1H27-01-1債務の不履行に基づく人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。
2H26-03-3売買契約の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の買主の売主に対する担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する。
3H22-06-3履行不能による損害賠償債務の消滅時効は、本来の債務を請求し得る時から進行する。
4H09-04-1弁済期を定めない貸金債権は、時効によって消滅しない。×
5H02-03-2
返済期を定めていない貸金債権の消滅時効は、貸主の催告の有無にかかわらず、貸し付けたときから起算される。

イ 条文に規定されている

保証契約は、書面でしなければ、効力を生じません(民法446条2項。電磁的記録でも書面による契約とみなされます)。
さらに、事業のために負担した貸金債務を主たる債務とする保証契約については、契約締結の前1か月以内に作成された公正証書で保証債務を履行する意思を表示していなければ、契約は無効となります(同法465条の6第1項)。

■参照項目&類似過去問
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保証契約の成立(民法[18]1(2))
年-問-肢内容正誤
契約当事者
1H22-08-1保証人となるべき者が、主たる債務者と連絡を取らず、同人からの委託を受けないまま債権者に対して保証したとしても、その保証契約は有効に成立する。
要式契約
1R02-02-1ケース①(個人Aが金融機関Bから事業資金として1,000万円を借り入れ、CがBとの間で当該債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約は、口頭による合意でも有効であるが、ケース②(個人Aが建物所有者Dと居住目的の建物賃貸借契約を締結し、EがDとの間で当該賃貸借契約に基づくAの一切の債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約は、書面でしなければ効力を生じない。×
2H27-01-2事業のために負担した貸金債務を主たる債務とする保証契約は、保証人になろうとする個人が、契約締結の日の前1か月以内に作成された公正証書で保証債務を履行する意思を表示していなければ無効となる。
3H24-03-3保証契約は、書面でしなければその効力を生じない。
4H22-08-2口頭での意思表示で保証契約が成立する。×
保証人の責任
1H25-07判決文の読み取り問題
特殊な保証契約(民法[18]5)
年-問-肢内容正誤
1R02-02-2ケース①(個人Aが金融機関Bから事業資金として1,000万円を借り入れ、CがBとの間で当該債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約は、Cが個人でも法人でも極度額を定める必要はないが、ケース②(個人Aが建物所有者Dと居住目的の建物賃貸借契約を締結し、EがDとの間で当該賃貸借契約に基づくAの一切の債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約は、Eが個人でも法人でも極度額を定めなければ効力を生じない。
×
2R02-02-4保証人が保証契約締結の日前1箇月以内に公正証書で保証債務を履行する意思を表示していない場合、ケース①(個人Aが金融機関Bから事業資金として1,000万円を借り入れ、CがBとの間で当該債務に係る保証契約を締結した場合)のCがAの事業に関与しない個人であるときはケース①の保証契約は効力を生じないが、ケース②(個人Aが建物所有者Dと居住目的の建物賃貸借契約を締結し、EがDとの間で当該賃貸借契約に基づくAの一切の債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約は有効である。
3H27-01-24事業のために負担した貸金債務を主たる債務とする保証契約は、保証人になろうとする者が、契約締結の日の前1か月以内に作成された公正証書で保証債務を履行する意思を表示していなければ無効となる。

ウ 条文に規定されている

併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができます(民法470条2項)。

■参照項目&類似過去問
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債務引受(民法[19]5)
年-問-肢内容正誤
128-01-3
免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。

227-01-3
併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。

エ 条文に規定されている

債務不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定めます(民法418条)。これが過失相殺です。

■参照項目&類似過去問
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過失相殺(民法[15]4)
年-問-肢内容正誤
1H27-01-4債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。
2H22-06-4債務者から主張がなければ、裁判所は過失相殺を考慮することができない。×
3H14-07-2賠償額の予定があっても、裁判所は過失相殺の考慮が可能。

まとめ

条文に規定されているものは、ア、イ、ウ、エの全てです。正解は、肢4。


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