【宅建過去問】(平成28年問08)転貸借

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AがBに甲建物を月額10万円で賃貸し、BがAの承諾を得て甲建物をCに適法に月額15万円で転貸している場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Aは、Bの賃料の不払いを理由に甲建物の賃貸借契約を解除するには、Cに対して、賃料支払の催告をして甲建物の賃料を支払う機会を与えなければならない。
  2. BがAに対して甲建物の賃料を支払期日になっても支払わない場合、AはCに対して、賃料10万円をAに直接支払うよう請求することができる。
  3. AがBの債務不履行を理由に甲建物の賃貸借契約を解除した場合、CのBに対する賃料の不払いがなくても、AはCに対して、甲建物の明渡しを求めることができる。
  4. AがBとの間で甲建物の賃貸借契約を合意解除した場合、AはCに対して、Bとの合意解除に基づいて、当然には甲建物の明渡しを求めることができない。

正解:1

設定の確認

28-08-0

1 誤り

Bの債務不履行(賃料の不払い)を理由に賃貸借契約を解除する場合、Aは、Bに対して、解除の手続をとれば十分です。Cに対して賃料代払いの機会を与える必要はありません(民法541条、最判昭37.03.29)。

28-08-1

■参照項目&類似過去問
内容を見る
転貸の終了(債務不履行による解除)(民法[26]5(4)②借地借家法[06]4(2)②

[共通の設定]
Aは、Bに対し甲建物を賃貸し、Bは、その建物をAの承諾を得てCに対し適法に転貸している。
年-問-肢内容正誤
1R03s-12-3
建物の転貸借がされている場合において、本件契約がB(転貸人)の債務不履行によって解除されて終了するときは、Aが転借人に本件契約の終了を通知した日から6月を経過することによって、転貸借契約は終了する。×
2H28-08-1
Aは、Bの賃料の不払いを理由に甲建物の賃貸借契約を解除するには、Cに対して、賃料支払の催告をして甲建物の賃料を支払う機会を与えなければならない。×
3H28-08-3
AがBの債務不履行を理由に甲建物の賃貸借契約を解除した場合、CのBに対する賃料の不払いがなくても、AはCに対して、甲建物の明渡しを求めることができる。
4H26-07-3BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸した場合、AB間の賃貸借契約がBの債務不履行で解除されても、AはCに解除を対抗することができない。×
5H25-11-2Bの債務不履行を理由にAが賃貸借契約を解除したために当該賃貸借契約が終了した場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸していたときには、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。×
6H23-07-4Aは、Bの債務不履行を理由としてBとの賃貸借契約を解除するときは、事前にCに通知等をして、賃料を代払いする機会を与えなければならない。×
7H18-10-2BがAの承諾を受けてCに対して当該建物を転貸している場合には、AB間の賃貸借契約がBの債務不履行を理由に解除され、AがCに対して目的物の返還を請求しても、BC間の転貸借契約は原則として終了しない。×
8H16-13-4賃貸人AがAB間の賃貸借契約を賃料不払いを理由に解除する場合は、転借人Cに通知等をして賃料をBに代わって支払う機会を与えなければならない。×
9H10-06-3Aは、Bの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を解除しようとする場合、Cに対して、3ヵ月以前に通知し、Bに代わって賃料を支払う機会を与えなければならない。×
10H10-06-4Aが、Bの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を適法に解除した場合、Cは、BC間の転貸借契約に基づく転借権をAに対抗することができない。

2 正しい

賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負います(民法613条1項前段)。したがって、賃貸人は転借人に対して直接に賃料を請求することが可能です。ただし、請求できるのは賃借料と転借料のうち、少ないほうの額に限られます。
本肢では、賃借料(10万円)より転借料(15万円)のほうが高額です。したがって、賃貸人Aは転借人Cに対して、賃借料(10万円)の範囲で賃料の直接支払いを請求することができます。

28-08-2

■参照項目&類似過去問
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転貸の効果(民法[26]5(3))
年-問-肢内容正誤
[共通の設定]
AがBに甲建物を月額10万円で賃貸し、BがAの承諾を得て甲建物をCに適法に月額15万円で転貸している。
1R02s-06-4
BがAに約定の賃料を支払わない場合、Cは、Bの債務の範囲を限度として、Aに対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負い、Bに賃料を前払いしたことをもってAに対抗することはできない。
228-08-2
BがAに対して甲建物の賃料を支払期日になっても支払わない場合、AはCに対して、賃料10万円をAに直接支払うよう請求することができる。
323-07-1BがAに対して賃料を支払わない場合、Aは、Bに対する賃料の限度で、Cに対し、Bに対する賃料を自分に直接支払うよう請求することができる。
416-13-1転借人Cは、賃貸人Aに対しても、月10万円の範囲で、賃料支払債務を直接に負担する。
510-06-2Cは、Aから請求があれば、CがBに支払うべき転借料全額を直接Bに支払うべき義務を負う。
×
601-06-4BがAの承諾を得て第三者Cに建物を転貸した場合、Aは、Cに対して直接賃料を請求することができる。

3 正しい

賃貸人Aと賃借人Bとの間の賃貸借契約が、Bの債務不履行により解除されたケースです。この場合、AがCに対して甲建物の返還を請求した時点で、BC間の転貸借契約における転貸人Bの債務が履行不能となり、転貸借契約は終了します(最判平09.02.25)。Cに債務不履行があるかないかは、無関係です。

28-08-3

■参照項目&類似過去問
内容を見る
転貸の終了(債務不履行による解除)(民法[26]5(4)②借地借家法[06]4(2)②

[共通の設定]
Aは、Bに対し甲建物を賃貸し、Bは、その建物をAの承諾を得てCに対し適法に転貸している。
年-問-肢内容正誤
1R03s-12-3
建物の転貸借がされている場合において、本件契約がB(転貸人)の債務不履行によって解除されて終了するときは、Aが転借人に本件契約の終了を通知した日から6月を経過することによって、転貸借契約は終了する。×
2H28-08-1
Aは、Bの賃料の不払いを理由に甲建物の賃貸借契約を解除するには、Cに対して、賃料支払の催告をして甲建物の賃料を支払う機会を与えなければならない。×
3H28-08-3
AがBの債務不履行を理由に甲建物の賃貸借契約を解除した場合、CのBに対する賃料の不払いがなくても、AはCに対して、甲建物の明渡しを求めることができる。
4H26-07-3BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸した場合、AB間の賃貸借契約がBの債務不履行で解除されても、AはCに解除を対抗することができない。×
5H25-11-2Bの債務不履行を理由にAが賃貸借契約を解除したために当該賃貸借契約が終了した場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸していたときには、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。×
6H23-07-4Aは、Bの債務不履行を理由としてBとの賃貸借契約を解除するときは、事前にCに通知等をして、賃料を代払いする機会を与えなければならない。×
7H18-10-2BがAの承諾を受けてCに対して当該建物を転貸している場合には、AB間の賃貸借契約がBの債務不履行を理由に解除され、AがCに対して目的物の返還を請求しても、BC間の転貸借契約は原則として終了しない。×
8H16-13-4賃貸人AがAB間の賃貸借契約を賃料不払いを理由に解除する場合は、転借人Cに通知等をして賃料をBに代わって支払う機会を与えなければならない。×
9H10-06-3Aは、Bの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を解除しようとする場合、Cに対して、3ヵ月以前に通知し、Bに代わって賃料を支払う機会を与えなければならない。×
10H10-06-4Aが、Bの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を適法に解除した場合、Cは、BC間の転貸借契約に基づく転借権をAに対抗することができない。

4 正しい

賃貸人Aが賃借人Bと賃貸借契約を合意解除したとしても、転借人Cに対して解除を対抗することができません。したがって、甲建物の明渡しを請求することもできません(民法613条3項本文)。

28-08-4

■参照項目&類似過去問
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転貸の終了(合意解除)(民法[26]5(4)①)
年-問-肢内容正誤
[共通の設定]
Aは、Bに対し建物を賃貸し、Bは、その建物をAの承諾を得てCに対し適法に転貸している。
1R02s-06-1
Aは、Bとの間の賃貸借契約を合意解除した場合、解除の当時Bの債務不履行による解除権を有していたとしても、合意解除したことをもってCに対抗することはできない。×
228-08-4
AがBとの間で甲建物の賃貸借契約を合意解除した場合、AはCに対して、Bとの合意解除に基づいて、当然には甲建物の明渡しを求めることができない。
327-09-1土地の賃借人が無断転貸した場合において賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるため賃貸人が無断転貸を理由に賃貸借契約を解除できないときであっても、賃貸借契約を合意解除したときは、賃貸人は転借人に対して賃貸土地の明渡しを請求することができる。
×
427-09-4土地の賃借人が無断転貸した場合、転借人は、賃貸人と賃借人との間で賃貸借契約が合意解除されたとしても、賃貸人からの賃貸土地の明渡し請求を拒絶することができる場合がある。
523-07-3Aが、Bとの賃貸借契約を合意解除しても、特段の事情がない限り、Cに対して、合意解除の効果を対抗することができない。
616-13-3AB間で賃貸借契約を合意解除しても、転借人Cに不信な行為があるなどの特段の事情がない限り、賃貸人Aは、転借人Cに対し明渡しを請求することはできない。
710-06-1AとBとが賃貸借契約を合意解除した場合、BC間の転貸借契約は、その前提を失うため、特別の事情のある場合を除き、当然に終了する。
×
806-12-2AB間の賃貸借が合意解除によって終了すれば、CがBの承諾を得て転借していても、特段の事由のない限り、AC間の転貸借は終了し、Cの権利は、消滅する。
×
904-11-4賃貸人の承諾を得て、賃借人から建物を転借している場合、賃貸借契約が合意解除されても、転借人の権利は、特段の事由がある場合を除き、消滅しない。

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