【宅建過去問】(平成28年問25)不動産鑑定評価基準

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不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、正しいものはどれか。

  1. 不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には正常価格であるが、市場性を有しない不動産については、鑑定評価の依頼目的及び条件に応じて限定価格、特定価格又は特殊価格を求める場合がある。
  2. 同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいうが、不動産の種類、性格及び規模に応じた需要者の選好性によって、その地域的範囲は狭められる場合もあれば、広域的に形成される場合もある。
  3. 鑑定評価の各手法の適用に当たって必要とされる取引事例等については、取引等の事情が正常なものと認められるものから選択すべきであり、売り急ぎ、買い進み等の特殊な事情が存在する事例を用いてはならない。
  4. 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であるが、市場における土地の取引価格の上昇が著しいときは、その価格と収益価格との乖離が増大するものであるため、この手法の適用は避けるべきである。

正解:2

1 誤り

正常価格限定価格特定価格特殊価格は、それぞれ下表のような意味です。

これらのうち、正常価格だけでなく、限定価格や特定価格も市場性を有する不動産に対するものです。市場性を有しない不動産を対象にしているのは、特殊価格に限られます。本肢は、「市場性を有しない不動産については、……限定価格、特定価格」とする点が誤りです。

■参照項目&類似過去問
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価格の種類(税・鑑定[09]2(1)(2))
年-問-肢内容正誤
全般
1H28-25-1不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には正常価格であるが、市場性を有しない不動産については、鑑定評価の依頼目的及び条件に応じて限定価格、特定価格又は特殊価格を求める場合がある。×
正常価格
1H22-25-3正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。
2H17-29-1不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には正常価格であり、正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。
限定価格
1H30-25-4限定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格のことをいい、民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提として求められる価格が例としてあげられる。×
2H07-33-2市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格を限定価格という。×
特定価格
1H30-25-4限定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格のことをいい、民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提として求められる価格が例としてあげられる。×
2H20-29-3特殊価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。×
3H17-29-2資産の流動化に関する法律に基づく評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合は、正常価格ではなく、特定価格として求めなければならない。
4H16-29-1不動産鑑定評価基準にいう「特定価格」とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。
5H07-33-2市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格を限定価格という。×
特殊価格
1R02-25-3特殊価格とは、一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいい、例としては、文化財の指定を受けた建造物について、その保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合において求められる価格があげられる。
2H20-29-3特殊価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。×

2 正しい

同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいいます。
同一需給圏の地域的範囲は、不動産の種類・性格・規模に応じた需要者の選好性によって、狭くなったり広くなったりします。例えば、歴史と伝統のある住宅地で「◯◯町一丁目と二丁目でなければダメ」というほどのブランド力がある場合であれば、同一需給圏は、「◯◯町一丁目と二丁目」という極めて狭いものにとどまります。同じ◯◯町でも三丁目の土地では代替関係が成立せず、三丁目の土地価格は一丁目・二丁目の土地価格の形成に影響を及ぼさないからです。一方、海外から輸入した原料を加工するための大規模な工場用地というのであれば、同一需給圏は、広域なものになります。工場に適した用地が存在するならば、関東地方でも、東海地方でも、九州でも、北海道でも、どこでもOK、ということもありうるからです。

■参照項目&類似過去問
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同一需給圏(税・鑑定[09]3(3))
年-問-肢内容正誤
1H28-25-2同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいうが、不動産の種類、性格及び規模に応じた需要者の選好性によって、その地域的範囲は狭められる場合もあれば、広域的に形成される場合もある。
2H07-33-3対象不動産の属する地域であって、居住、商業活動等人の生活と活動とに関し、ある特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを示している地域を同一需給圏という。×

3 誤り

売り急ぎ、買い進み等の特殊な事情が存在する場合には、事情補正をした上でその事例を用いることができます。
用いることができないのは、投機的取引の事例です。

■参照項目&類似過去問
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取引事例比較法(補正・修正)(税・鑑定[09]3(3)③)
年-問-肢内容正誤
1R03-25-3取引事例等に係る取引が特殊な事情を含み、これが当該取引事例等に係る価格等に影響を及ぼしている場合に、適切に補正することを時点修正という。×
2H28-25-3鑑定評価の各手法の適用に当たって必要とされる取引事例等については、取引等の事情が正常なものと認められるものから選択すべきであり、売り急ぎ、買い進み等の特殊な事情が存在する事例を用いてはならない。×
3H22-25-4取引事例に係る取引が特殊な事情を含み、これが当該取引事例に係る価格等に影響を及ぼしているときは、適切に補正しなければならない。
4H16-29-3鑑定評価に当たって必要とされる取引事例は、当該事例に係る取引の事情が正常なものでなければならず、特殊な事情の事例を補正して用いることはできない。×
5H07-33-4取引事例等にかかる取引の時点が価格時点と異なり、その間に価格水準に変動があると認められる場合に、当該取引事例等の価格を価格時点の価格に修正することを事情補正という。×

4 誤り

収益還元法は、対象不動産が将来生み出すと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であり、その資産価格を収益価格といいます。
市場における不動産の取引価格の上昇が著しいときは、取引価格と収益価格との乖離が増大します。この場合、先走りがちな取引価格に対する有力な験証手段として、むしろ収益還元法が活用されるべきです。
本肢は、「この手法の適用は避けるべき」とする点が誤っています。

※収益還元法が適用できないのは、「文化財の指定を受けた建造物等の一般的に市場性を有しない不動産」に限られます。

■参照項目&類似過去問
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収益還元法(対象)(税・鑑定[09]3(4)②)
年-問-肢内容正誤
1H30-25-2収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効な手法であるが、事業の用に供さない自用の不動産の鑑定評価には適用すべきではない。×
2H28-25-4収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であるが、市場における土地の取引価格の上昇が著しいときは、その価格と収益価格との乖離が増大するものであるため、この手法の適用は避けるべきである。×
3H20-29-4収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であることから、賃貸用不動産の価格を求める場合に有効であり、自用の住宅地には適用すべきでない。×
4H16-29-4収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であるため、自用の住宅地には適用することはできない。×
5H13-29-3収益還元法は、学校、公園等公共又は公益の目的に供されている不動産も含めすべての不動産に適用すべきものであり、自用の住宅地といえども賃貸を想定することにより適用されるものである。×
6H10-29-4収益還元法は、文化財の指定を受けた建造物等の、一般的に市場性を有しない不動産を除き、あらゆる不動産に適用すべきものであり、自用の住宅地については賃貸を想定することにより適用できる。
7H09-29-4市場における土地の取引価格の上昇が著しいときは、その価格と収益価格の乖離が増大するものであるので、土地の鑑定評価に収益還元法が適用できなくなることに留意すべきである。×
8H04-33-4収益還元法は、賃貸用不動産又は一般企業用不動産の価格を求める場合に適用されるものであり、自用の住宅地の価格を求める場合には適用しない。×

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【宅建過去問】(平成28年問25)不動産鑑定評価基準” に対して2件のコメントがあります。

  1. ほそ より:

    4の解説文にあります、「有力な験証手段として」は「有力な検証手段として」ではないでしょうか?

    1. 家坂 圭一 より:

      『不動産鑑定評価基準』の通りです。間違えではありません。

      気になるようであれば、
      『不動産鑑定評価基準』(国土交通省のWebサイト)
      の27ページを御覧ください。

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