民法[08]物権変動と対抗問題

Aが自分の所有する土地をBに売却したが、同じ土地をCにも売却した。二重売買とか、二重譲渡と呼ばれる状況です。この場合、「BとCのうち、先に登記を備えたほうが勝つ。」というのが基本的な解決方法です。
A・B・Cの関係を対抗問題とか対抗関係といいます。そして、登記のことを対抗要件といいます。登場人物の関係を図示した上で、対抗できる、できない、を判断していきましょう。

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学習項目&過去の出題例

1.物権変動?対抗問題?登記

(1).対抗問題になるケース


★過去の出題例★

民法[08]1(1)
契約締結日時の先後
 年-問-肢内容正誤
129-11-1
(A所有の甲土地につき、平成29年10月1日にBとの間で賃貸借契約(本件契約)が締結された。)Aが甲土地につき、本件契約とは別に、平成29年9月1日にCとの間で建物所有を目的として賃貸借契約を締結していた場合、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは、本件契約よりもCとの契約が優先する。×
228-03-1
Aが甲土地をBに売却する前にCにも売却していた場合、Cは所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。
×
324-06-3二重譲渡の場合、契約締結日時の先後で優劣を判定。×
422-04-1二重譲渡の場合、契約締結日時の先後で優劣を判定。×
519-03-4二重譲渡の場合、契約締結日時の先後で優劣を判定。×
(2).対抗問題にならないケース
①当事者間の関係

②順に譲渡された場合


★過去の出題例★

民法[08]1(2)
対抗問題:当事者間、順次譲渡

 年-問-肢内容正誤
116-03-4F→A→Bと所有権が移転した場合、BはFに対し、登記がなくても所有権を対抗できる。
213-25-3[A所有の宅地甲地をBが取得]甲地にA所有の住宅が建っているとき、BがAに対してこれを除却するよう求めるためには、Bは、甲地の所有権移転登記を完了していなければならない。×
308-03-1代金全額を支払ったとしても、所有権移転登記を完了していない場合には、買主は売主に所有権の移転を主張できない。×

2.対抗問題が生じているか?

(1).取消し
①取消し後の第三者(⇒[03]2(3)②

②取消し前の第三者(詐欺の場合)(⇒[03]2(3)①

③取消し前の第三者(強迫の場合)(⇒[03]2(3)②

(2).時効取得(⇒[07]2
①時効完成後の第三者
②時効完成前の第三者
★過去の出題例★
民法[08]2(2)
対抗問題:時効完成前後の第三者

 年-問-肢内容正誤
時効完成前の第三者
127-04-3
Aから甲土地を買い受けたCが所有権の移転登記を備えた後に、Bについて甲土地所有権の取得時効が完成した場合、Bは、Cに対し、登記がなくても甲土地の所有者であることを主張することができる。
224-06-1
A所有の甲土地につき、時効により所有権を取得したBは、時効完成前にAから甲土地を購入して所有権移転登記を備えたCに対して、時効による所有権の取得を主張することができない。×
322-04-3
AがBから甲土地を購入したところ、Cが時効により甲土地の所有権を取得した旨主張している場合、取得時効の進行中にBA間で売買契約及び所有権移転登記がなされ、その後に時効が完成しているときには、Cは登記がなくてもAに対して所有権を主張することができる。
410-02-3
DがBの取得時効完成前にAから甲土地を買い受けた場合には、Dの登記がBの取得時効完成の前であると後であるとを問わず、Bは、登記がなくても、時効による甲土地の所有権の取得をDに対抗することができる。
509-06-4
Jが、K所有の土地を占有し取得時効期間を経過した場合で、時効の完成後に、Kがその土地をLに譲渡して登記を移転したとき、Jは、登記なしにLに対して当該時効による土地の取得を主張できる。×
604-04-3
Bの所有地について、Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、BがDにその土地を売却し、所有権移転登記を完了してもAは、その後3年間占有を続ければ、その土地の所有権を時効取得し、Dに対抗することができる。
時効完成後の第三者
119-06-4
取得時効の完成により乙不動産の所有権を適法に取得した者は、その旨を登記しなければ、時効完成後に乙不動産を旧所有者から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。
213-05-4
(AからB、BからCに、甲地が順次売却され、AからBに対する所有権移転登記がなされた)
BからCへの売却前に、取得時効の完成により甲地の所有権を取得したEがいる場合、Eがそれを理由にして所有権登記をBから取得する前に、Eの取得時効につき善意のCがBから甲地を購入し、かつ、所有権移転登記を受けたときは、Cは甲地の所有権をEに対抗できる。
307-02-4
Aの所有する土地についてBの取得時効が完成した後、AがCに売却し、登記をC名義に移転した場合、Bは、Cに対して登記がなければ土地の所有権を主張できない。
時効期間の起算点
122-03-3
時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければならず、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。
(3).解除
①解除後の第三者(⇒[26]4(3)①
★過去の出題例★
民法[08]2(3)①
対抗問題:時効完成後の第三者
解除後の第三者

 年-問-肢内容正誤
120-02-3復帰的物権変動につき未登記の売主は、解除後の第三者に、所有権を主張できる。×
219-06-2復帰的物権変動につき未登記の売主は、登記を経た解除後の第三者に、所有権を対抗できない。
316-09-4復帰的物権変動につき未登記の売主は、解除後に物権を賃借し対抗要件を備えた賃借人に対し、賃借権の消滅を主張できる。×
413-05-3解除後に解除につき善意で物件を購入し登記を経た第三者は、復帰的物権変動につき未登記の売主に対し、所有権を対抗できる。
508-05-4解除後に解除につき悪意で物件を購入し登記を経た第三者は、復帰的物権変動につき未登記の売主に対し、所有権を対抗できない。×
②解除前の第三者(⇒[26]4(3)②


★過去の出題例★

民法[26]4(3)②
解除前の第三者

 年-問-肢内容正誤
121-08-1解除前の第三者が登記を備えている場合、その第三者が悪意であっても、売主は所有権を主張できない。
216-09-1建物の買主がその債権者と抵当権設定契約を締結し登記をした後で、売主が売買契約を解除しても、売主は抵当権の消滅を主張できない。
316-09-2建物の買主がその建物を賃貸し引渡しを終えた後で、売主が売買契約を解除した場合、売主は賃借権の消滅を主張できる。×
416-09-3建物の買主がその債権者と抵当権設定契約を締結したが、登記をする前に、売主が売買契約を解除した場合、抵当権設定契約は無効となる。×
514-08-4買主が土地を転売した後、売買契約を解除しても、未登記の第三者の土地を取得する権利を害することはできない。×
613-05-2買主が土地を転売した後、売買契約を解除した場合、登記を受けた第三者は、所有権を売主に対抗できる。
708-05-3解除前の第三者が登記を備えていても、その第三者が解除原因につき悪意であった場合には、売主に対し所有権を対抗できない。×
803-04-2解除前の第三者が登記を備えていても、売主は第三者に対し所有権を対抗できる。×
901-03-3売主が買主の債務不履行を理由に売買契約を解除した場合、売主は、その解除を、解除前に転売を受け、解除原因について悪意ではあるが、所有権の移転登記を備えている第三者に対抗することができる。×
(4).相続(⇒[34]
①相続人との関係

②相続人からの権利取得者


★過去の出題例★

民法[08]2(4)
対抗問題:相続人と対抗関係

 年-問-肢内容正誤
117-08-1Aが所有地をBに譲渡した後死亡し単独相続人Cが所有権移転登記をした場合、Bは、所有権をCに対抗できない。×
217-08-2Aが所有地をBに譲渡した後死亡し単独相続人Cが所有権移転登記をした。その後、CがDに土地を売却しDがその旨登記すると、Bは、所有権をDに対抗できない。
315-12-2相続財産である土地につき、B、C及びDが持分各3分の1の共有相続登記をした後、遺産分割協議によりBが単独所有権を取得した場合、その後にCが登記上の持分3分の1を第三者に譲渡し、所有権移転登記をしても、Bは、単独所有権を登記なくして、その第三者に対抗できる。×
410-01-4Aから土地を取得したBは、Bが当該土地を取得した後で、移転登記を受ける前に、Aが死亡した場合におけるAの相続人に対し、所有権を主張できない。×
508-03-2売主が買主への所有権移転登記を完了する前に死亡した場合、買主は、売主の相続人に対して所有権の移転を主張することができる。

3.第三者にあたるか

第三者=登記がないことを主張する正当な利益を有する者

(1).悪意者

(2).背信的悪意者
①背信的悪意者の例

②背信的悪意者についての対応

背信的悪意者=登記がないことを主張する正当な利益を有する者
→「第三者」にあたらない
→登記がなくても、対抗◯

③背信的悪意者からの転得者

④背信的悪意者と同様に扱われる者
  1. 詐欺・強迫によって登記申請を妨げた第三者
  2. 他人のために登記申請義務を負う第三者
★過去の出題例★
民法[08]3(1)(2)
対抗問題:悪意者・背信的悪意者
 年-問-肢内容正誤
128-03-3
Aから甲土地を購入したBは、所有権移転登記を備えていなかった。Eがこれに乗じてBに高値で売りつけて利益を得る目的でAから甲土地を購入し所有権移転登記を備えた場合、EはBに対して甲土地の所有権を主張することができない。
224-06-4背信的悪意者(第二買主)からの善意の転得者→第一買主:対抗可能。
315-03-1第一買主の存在を知らずに土地を購入し登記した者→第一買主:対抗可能。
415-03-2買主を欺き著しく高く売りつける目的で土地を購入した者→買主:登記があっても対抗不可。
510-01-2買主→買主が登記を受けていないことに乗じ、高値で売りつけ不当利益を得る目的で土地を購入した者:登記がなくても対抗可能。
607-02-2買主→買主を強迫して登記申請を妨げた者:登記がなくても対抗可能。
707-02-3買主→買主から登記手続を委任されたにも関わらず自らに登記移転した者:登記がなくても対抗可能。
803-04-1未登記の第一買主→第一買主の存在を知りつつ土地を譲り受け登記した第二買主:対抗不可。
(3).不法占拠者


★過去の出題例★

民法[08]3(3)
対抗問題:不法占有者

 年-問-肢内容正誤
119-03-3正当な権原なく土地を占有する者に対しては、登記を備えていなくても、土地の明渡しを請求できる。
216-03-1何ら権原のない不法占有者に対しては、登記を備えていなくても、土地の明渡しを請求できる。
310-01-3土地の不法占拠者に対しては、登記がなければ所有権を主張できない。×
(4).無権利者
①通常のケース(真の所有者が無過失)

②真の所有者に過失があるケース

虚偽表示(⇒[02]3(3))の規定を類推適用

★過去の出題例★

民法[08]3(4)
対抗問題:無権利者

 年-問-肢内容正誤
120-02-1土地の真の所有者は、無権利者からの譲受人で登記を有する者に対し、所有権を主張できる。
219-03-2登記を信頼した土地の譲受人は、真の所有者の過失の有無を問わず、所有権を取得できる。×
315-03-4二重譲渡の一方が通謀虚偽表示であり、仮装譲受人が登記を得たとしても、もう一方の譲受人は、所有権を主張できる。
413-05-1無権利者からの譲受人からさらに転得した者は、無権利の点につき善意であれば、所有権を真の所有者に対抗できる。×
508-05-2公序良俗違反の契約により、BがAから土地所有権を取得し登記をした。Bと売買契約を締結し、移転登記を受けたCは、Aに対し所有権を対抗できる。×
603-04-4土地の譲受人は、無権利者から土地を賃借し土地上の建物を登記した者に対し、土地の明渡しと建物収去を請求できる。
(5).賃借人
①状況

②建物使用権の主張

Bの賃借権vsCの所有権

③賃貸人の地位の主張

家賃を請求することができるか

Cが所有権移転の登記を受けていない場合 Cが所有権移転の登記を受けている場合
★過去の出題例★
民法[08]3(5)
対抗問題:賃借人

 年-問-肢内容正誤
124-06-2賃貸中の土地の譲受人→土地上に登記ある建物を有する土地の賃借人:登記がなくても賃貸人の地位を対抗可能。×
220-04-4建物に居住している建物の賃借人→建物の譲受人:賃借権を対抗可能。
316-03-2賃貸中の建物の譲受人→引渡しを受けた建物の賃借人:登記がなくても賃貸人の地位を対抗可能。×
410-01-1賃貸中の土地の譲受人→自己名義で保存登記をした建物を所有する土地の賃借人:登記がなくても所有権を対抗可能。×
508-03-4Aの所有する土地について、AB間で、代金全額が支払われたときに所有権がAからBに移転する旨約定して売買契約を締結した。EがAからこの土地を賃借して、建物を建てその登記をしている場合、BがAに代金全額を支払った後であれば、AからBへの所有権移転登記が完了していなくても、Bは、Eに対して所有権の移転を主張することができる。×
607-07-3賃貸中の土地の譲受人→建物を建てその登記をしている土地の賃借人:登記がなくても賃貸人の地位を対抗可能。×
701-13-1引渡しを受けた建物の賃借人→土地を譲り受け移転登記をした所有権者:賃借人の地位を対抗可能。

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