過去問のリサイクル?デジャヴュ?

本試験での既視感

今年(平成30年)の宅建本試験を受けていて、
「あれ?この問題は、どこかで見たことがある。」
という既視感が何度か沸き起こりました。
毎年出題されるような論点であれば当然なのですが、それとは違います。
「繰り返し見たわけではないけれど、どこかで見たのは確実だ。」
という気持ち悪い感覚なのです。

過去問分析で見えてきたこと

本試験問題を選択肢別に分解し、過去29年間分の問題と照らし合わせていたとき、私は、からくりに気づきました。
「見たことがあるような」どころか、「見たことがあった!」のです。
下の過去問を御覧ください。

最有効使用の原則の問題

平成30年問25の肢1と平成07年問33肢1は、一字一句同じです。
最有効使用の原則(税・鑑定[09]2(3))

年-問-肢内容正誤
1R02-25-1不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、不動産についての現実の使用方法は当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意すべきである。
2H30-25-1不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、これを最有効使用の原則という。
3H07-33-1不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、これを最有効使用の原則という。
農地所有適格法人の問題

23年前の過去問だったらリサイクルも許されるかも知れません。しかし、もう一組は、たった2年の間隔でリサイクルをしています。
法人による農地の利用(農地法[01]4)

年-問-肢内容正誤
1R05-21-4社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人(社会福祉法人)が、農地をその目的に係る業務の運営に必要な施設の用に供すると認められる場合、農地所有適格法人でなくても、農業委員会の許可を得て、農地の所有権を取得することができる。
2R04-21-2法第2条第3項の農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社は、耕作目的で農地を借り入れることはできない。×
3H30-22-3法第2条第3項の農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社は、耕作目的で農地を借り入れることはできない。×
4H28-22-2法第2条第3項の農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社は、耕作目的で農地を借り入れることはできない。×
2年前の過去問、受験生なら誰だった確認する範囲です。そこから使い回すのは、あんまりよくない気がします。
これが模擬試験問題の原稿で、私が発注者だったら、受取拒否です。

定期建物賃貸借契約の再契約の問題

さらにもう一組、◯と×を入れ替えただけ、という手抜きペアも見つけましたよ。
報酬(定期建物賃貸借契約)(宅建業法[21]4(2)⑤)

年-問-肢内容正誤
1H30-30-4定期建物賃貸借契約の契約期間が終了した直後に宅地建物取引業者Aが依頼を受けて貸主Bと借主Cとの間の定期建物賃貸借契約の再契約を成立させた場合、Aが受け取る報酬については、宅地建物取引業法の規定が適用される。
2H19-42-4定期建物賃貸借契約の契約期間が終了した直後に、AがBC間の定期建物賃貸借契約の再契約を成立させた場合にAが受け取る報酬については、宅地建物取引業法の規定は適用されない。×
定期建物賃貸借契約の再契約を成立させたときの報酬に関する知識。10年分過去問ではフォローできない微妙な古さが怪しい感じですね。

過去問学習の重要性

今回の話は、「過去問学習の重要性」とか「過去問学習の方法」というのとは、ちょっと違った話です。
「過去問は何年分解いたらいいか」
などという頻出質問には、今後、ゆっくりとお答えしていきましょう。

今日はただ、
「過去問を対象に見ていると、怪奇現象を見つけてしまう。」
という、そういう御報告でございます。

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この3段階で、着実に合格レベルに進むことができます。

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