【宅建過去問】(平成03年問06)連帯債務


A及びBは、Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し、連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

  1. Aの債務が時効により消滅したときでも、Bは、代金全額を支払う債務を負う。
  2. CがAに対して期限の猶予をしたときは、Bの債務についても、期限が猶予される。
  3. CがBに対して支払いを請求して、Cの代金債権の消滅時効の完成が猶予されたときでも、Aの債務については、完成が猶予されない。
  4. Aが債務を承認して、Cの代金債権の消滅時効が更新されたときでも、Bの債務については、更新されない。

正解:2

1 正しい

連帯債務者の一人のために時効が完成した場合であっても、他の連帯債務者の債務には影響がありません(相対効。民法441条本文)。
したがって、Aの債務が時効で消滅した場合でも、Bは、代金全額を支払う義務を負います。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
連帯債務者の一人に生じた事由(時効完成)(民法[17]4(4)②)

[共通の設定]
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れた。

年-問-肢内容正誤
1H29-08-3Bのために時効が完成した場合、CのAに対する連帯債務も時効によって全部消滅する。
×
2H20-06-3Bについて時効が完成した場合にはCが、Cについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。×
3H03-06-1Bの債務が時効により消滅したときでも、Cは、1,000万円全額を返済する債務を負う。

2 誤り

更改・混同など、民法が絶対効を認めた一定のケースを除いては、連帯債務者の一人に生じた事由は、他の連帯債務者に影響を及ぼしません。これを相対効の原則といいます(民法441条)。
期限の猶予は、絶対効のリストに入っていないので、原則通り、相対効しか持ちません。
したがって、CがAに対して期限を猶予した場合でも、Bの期限は猶予されません。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
連帯債務者の一人に生じた事由(相対的効力の原則)(民法[17]4(4))

[共通の設定]
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れた。
年-問-肢内容正誤
1H08-04-4Aが、本件金銭消費貸借契約を解除する意思表示をBに対してした場合、その効力はCにも及ぶ。
×
2H03-06-2AがBに対して期限の猶予をしたときは、Cの債務についても、期限が猶予される。
×

3 正しい

CがBに対して支払いを請求すれば、Bの債務の消滅時効について、完成が猶予されます(民法147条1項1号)。
しかし、連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しては、その効力を生じません(相対効。民法441条本文)。つまり、CがBに対して履行の請求をしても、Aに対しては履行の請求をしたことにならないわけです。
以上より、CがBに対して支払いを請求しても、Aの債務については消滅時効の完成は猶予されません。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
連帯債務者の一人に生じた事由(履行の請求)(民法[17]4(4)③)

[共通の設定]
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れた。
年-問-肢内容正誤
1R03-02-1AがBに対して裁判上の請求を行ったとしても、特段の合意がなければ、CがAに対して負う債務の消滅時効の完成には影響しない。
2H29-08-1AがBに対して履行の請求をした場合、Cがそのことを知っていれば、Cについても、その効力が生じる。
×
3H20-06-2Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及ばす、Cに対して履行を請求した効果はBに及ばない。
4H08-04-2Aが、Bに対し代金の支払いを請求した場合、その効力はCには及ばない。
5H03-06-3AがBに対して貸金の返済を請求して、Aの貸金債権の消滅時効の完成が猶予されたときでも、Cの債務については、猶予されない。
6H02-07-4BとCが連帯債務を負う場合、AのBに対する履行の請求は、Cに対しては効力を生じない。
7H01-10-1AがBに対して代金支払いの請求をすると、Aの代金債権の消滅時効は、Cについても完成が猶予される。
×

4 正しい

連帯債務者の一人が債務を承認し、その時効が更新された場合であっても、他の連帯債務者の債務には影響がありません(相対効。民法441条本文)。本肢の例でいうと、Aが債務を承認して時効が更新されても、Bの債務の時効の進行に影響はなく、時効が更新されることはありません。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
連帯債務者の一人に生じた事由(権利の承認)(民法[17]4(4)④)

[共通の設定]
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れた。
年-問-肢内容正誤
1H16-06-4Bが債務を承認して時効が更新されてもCの連帯債務の時効の進行には影響しない。
2H03-06-4Bが債務を承認して、Aの代金債権の消滅時効が更新されたときでも、Cの債務については、更新されない。
3H01-10-3BがAに対して債務を承認すると、Aの貸金債権の消滅時効は、Cについても更新される。
×

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