【宅建過去問】(平成10年問33)業務上必要な手続
宅地建物取引業者A(法人)が甲県知事から免許を受けている場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- Aが、甲県の区域内の事務所を廃止し、乙県の区域内のみに事務所を設置して引き続き事業を営もうとする場合、Aは、乙県知事に対し免許換えの申請をし、乙県知事の免許を受けた後、甲県知事に廃業の届出をしなければならない。
- Aの役員aが退職し、後任にbを充てた場合、当該役員の職が非常勤のものであっても、Aは、甲県知事に変更の届出をしなければならない。
- Aが甲県知事から業務の全部の停止を命じられた場合、Aは、免許の更新の申請を行っても、その停止の期間内には免許の更新を受けることはできない。
- AがB法人に吸収合併され消滅した場合、Bを代表する役員は、30日以内に、甲県知事にその旨の届出をしなければならない。
正解:2
1 誤り
甲県内の事務所を廃止し、乙県内で新たに事務所を設置して宅建業を営むのだから、乙県知事の免許を受ける必要がある。つまり、免許換えの申請が必要となる(宅地建物取引業法7条1項2号)。
※免許換えの申請は、乙県知事に対して行われる(甲県知事経由ではない)。
ここで必要となる手続は免許換えの手続のみであり、甲県知事に廃業の届出(宅地建物取引業法11条1項5号)を行う必要はない。
※免許の種類が換わるだけで廃業するわけではないから
■類似過去問
内容を見る
免許換え(宅建業法[02]3)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
新設 | |||
1 | 01-36-2 | A県知事から免許を受けている宅建業者が、新たにB県内にも事務所を有することとなった場合には、当該事務所において事業を開始してから2週間以内に、A県知事を経由して、国交大臣に免許申請書を提出しなければならない。 | × |
移転 | |||
1 | 20-30-4 | 甲県知事免許の宅建業者が、甲県の事務所を廃止し、乙県内に事務所を設置して宅建業を営む場合、甲県知事への廃業届と乙県知事への免許換え申請が必要である。 | × |
2 | 10-33-1 | 甲県知事免許の宅建業者が、甲県の事務所を廃止し、乙県内に事務所を設置して宅建業を営む場合、乙県知事に免許換えを申請し、免許を受けた後、甲県知事に廃業届をしなければならない。 | × |
3 | 06-38-1 | 甲県知事免許の宅建業者が、甲県の事務所を廃止し、乙県内に事務所を設置して宅建業を営む場合、甲県知事を経由して乙県知事への免許換え申請しなければならない。 | × |
4 | 01-36-1 | A県知事免許の宅建業者が、A県内の事務所を廃止し、B県内に新たに事務所を設置して、引き続き宅建業を営む場合、A県知事経由でB県知事に免許換え申請しなければならない。 | × |
廃止 | |||
1 | 08-39-4 | 甲県に本店を、乙県に支店を設けて国交大臣免許を受けている宅建業者が、本店を廃止し、乙県内にのみ事務所を有することとなった場合、乙県知事を経由して国交大臣に免許換えの申請をしなければならない。 | × |
2 | 06-38-3 | 大臣免許の宅建業者が、甲県の事務所を廃止し、乙県の事務所だけで宅建業を営む場合、乙県知事に直接免許換え申請しなければならない。 | ◯ |
3 | 20-30-3 | 甲県・乙県に事務所を持ち大臣免許を受けていた宅建業者が、乙県の支店を廃止し、事務所を甲県のみに設置する場合、甲県知事免許への免許換えが必要である。 | ◯ |
4 | 15-32-1 | 甲県・乙県に事務所を持ち大臣免許を受けていた宅建業者が、乙県の支店を廃止し、甲県の本店のみで宅建業を行う場合、乙県知事を経由して国交大臣に支店廃止の届出を行う必要がある。 | × |
5 | 07-44-4 | 甲乙両県に事務所を有し国交大臣免許を有していた宅建業者が、甲県のみで宅建業を営むことになった場合、甲県知事免許に免許換えする必要があり、甲県知事に直接、申請することになるが、乙県知事に廃業の届出をする必要はない。 | ◯ |
免許換えが不要なケース | |||
1 | 30-36-2 | 甲県に事務所を設置する宅地建物取引業者B(甲県知事免許)が、乙県所在の宅地の売買の媒介をする場合、Bは国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。 | × |
2 | 25-43-1 | 甲県知事免許の宅建業者が乙県に所在する物件を取引する場合、国交大臣免許への免許換えが必要である。 | × |
3 | 21-26-4 | 甲県知事免許の宅建業者が乙県に案内所を設置する場合、免許換えが必要である。 | × |
4 | 09-33-1 | 甲県知事免許のAが、乙県内で建設業を営んでいる法人Bを吸収合併して、Bの事務所をAの支店とし、そこで建設業のみを営む場合→国交大臣免許への免許換えは不要 | ◯ |
5 | 09-33-3 | 甲県知事免許の宅建業者が乙県に案内所を設置する場合、免許換えが必要である。 | × |
6 | 07-44-1 | 甲県知事免許の宅建業者が、自己の所有する建物を不特定多数の者に賃貸するため、新たに乙県内に事務所を設けることとなった場合→国交大臣免許への免許換えが必要 | × |
7 | 06-39-1 | 甲県知事免許の宅建業者が、乙県でも新たに宅地分譲を行うこととして、宅地分譲については乙県知事免許の宅建業者と販売代理契約を締結して行うこととした場合、国土交通大臣に免許換え申請する必要はない。 | ◯ |
8 | 03-37-1 | 甲県知事免許の宅建業者が、乙県内に事務所を設置することなく、乙県の区域内で業務を行う場合、国交大臣の免許を受けなければならない。 | × |
その他の知識 | |||
1 | 28-37-ア | 免許換えの申請を怠っていることが判明したときは、業務停止処分を受けることがある。 | × |
2 | 28-37-エ | 免許換え申請中の宅建業者は、従前の免許に基いて、取引の相手方等に対し、重要事項書面や37条書面を交付することができない。 | × |
3 | 08-50-1 | [甲県内にのみ事務所を設置している宅地建物取引業者Aが、自ら売主として乙県内でマンション(建築工事完了前)の分譲を行う。]Aが乙県内にも事務所を有することとなった場合で、国土交通大臣の免許を受けていないことが判明したとき、甲県知事は、Aに対し1年以内の業務停止を命ずることができる。 | × |
2 正しい
役員の氏名は宅建業者名簿の登載事項である(宅地建物取引業法8条2項3号)。
したがって、役員aがbに交代する場合には、30日以内に免許権者に届出なければならない(宅地建物取引業法9条)。
※aやbが、非常勤であることは結論に無関係。
■類似過去問
内容を見る
変更の届出(役員・政令で定める使用人の氏名)(宅建業法[04]1(3)①)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 30-36-4 | いずれも宅地建物取引士ではないDとEが宅地建物取引業者F社の取締役に就任した。Dが常勤、Eが非常勤である場合、F社はDについてのみ役員の変更を免許権者に届け出る必要がある。 | × |
2 | 21-28-1 | 役員の住所の変更→変更の届出が必要。 | × |
3 | 18-31-2 | 宅建士でない非常勤取締役の就任→変更の届出は不要。 | × |
4 | 16-32-2 | 政令で定める使用人の本籍地の変更→変更の届出は不要。 | ◯ |
5 | 16-32-4 | 監査役の氏名の変更→変更の届出が必要。 | ◯ |
6 | 10-33-2 | 非常勤役員の交代→変更の届出が必要。 | ◯ |
7 | 03-38-1 | 新たに政令で定める使用人を設置→変更の届出が必要。 | ◯ |
8 | 02-41-4 | 非常勤役員の氏名の変更→変更の届出が必要。 | ◯ |
3 誤り
業務停止処分とは、広告や契約など宅建業に関する業務を停止するものである。免許の更新を停止するような効果は持たず、業務停止期間内であっても、免許の更新を受けることができる。
■類似過去問
内容を見る
免許の更新手続(宅建業法[02]2(2)①)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 28-35-2 | 免許の更新の申請を行っても、その業務の停止の期間中は免許の更新を受けることができない。 | × |
2 | 21-26-2 | 免許の更新手続は、有効期間満了の2週間前までにしなければならない。 | × |
3 | 16-32-3 | 免許の更新手続は、有効期間満了の90日前から30日前までにしなければならない。 | ◯ |
4 | 10-33-3 | 業務停止処分の期間内は、免許の更新を受けることができない。 | × |
4 誤り
法人である宅建業者が合併により消滅した場合、合併により消滅した法人を代表する役員であった者が、その日から30日以内に、届け出なければならない(宅地建物取引業法11条1項2号)。
本肢の場合でいうと、届出義務者は消滅法人であるAを代表する役員であった者である。
■類似過去問
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廃業等の届出(法人業者が合併で消滅)(宅建業法[04]2(1)②)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 29-30-4 | 宅地建物取引業者D社(甲県知事免許)が、合併により消滅したときは、その日から30日以内に、D社を代表する役員であった者が、その旨を甲県知事に届け出なければならない。 | ◯ |
2 | 29-36-4 | 宅地建物取引業者である法人Dが、宅地建物取引業者でない法人Eに吸収合併されたことにより消滅した場合、一般承継人であるEは、Dが締結した宅地又は建物の契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において宅地建物取引業者とみなされる。 | ◯ |
3 | 29-44-1 | 宅地建物取引業者A社が免許を受けていないB社との合併により消滅する場合、存続会社であるB社はA社の免許を承継することができる。 | × |
4 | 24-27-4 | 存続会社の役員が届出。 | × |
5 | 22-28-2 | 存続会社が免許を承継。 | × |
6 | 21-28-2 | 消滅会社の役員が届出。 | ◯ |
7 | 18-31-3 | 存続会社の役員が届出。 | × |
8 | 10-33-4 | 存続会社の役員が届出。 | × |
9 | 09-33-2 | 宅建業者が合併により消滅した場合、消滅した業者の代表役員であった者は免許権者に届出しなければならないが、免許は、届出の時にその効力を失う。 | × |
10 | 07-35-4 | 消滅会社の事務所を存続会社の事務所として使用→廃業の届出は不要。 | × |
11 | 02-43-2 | 消滅会社の役員が、存続会社の免許権者に届出。 | × |
12 | 01-36-4 | 消滅会社の役員が、免許権者と全事務所所在地の知事に届出。 | × |
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