【宅建過去問】(平成14年問40)8つの規制
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となって宅地建物取引業者でない買主Bと建物(完成物件)を売買する場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- Aは、Bの承諾を得ている場合は、契約自由の原則に則り、購入代金の額の2/10を超える額の手付を受領できる。
- Bが手付を支払った後、代金の一部を支払った場合は、Aは、手付の倍額を償還することによる契約解除はできない。
- AがBから受領した手付が代金の額の1/10を超え、かつ、1,000万円を超える場合、Aは、いかなる場合も手付金等の保全措置を行わなければならない。
- Aは、Bの債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額の予定や違約金を契約条項に定めることができるが、これらの合計額が代金の額の2/10を超える場合は、Bに不利になるので全額無効である。
正解:2
1 誤り
宅建業者が売主として、業者でない者と宅地建物の売買をするときは、代金の2/10を超える手付金を受領することができない(宅地建物取引業法39条1項)。
買主Bの承諾を得たとしても、この制限の例外とはならないから、購入代金の2/10を超える額の手付金を受領することはできない。
■類似過去問
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手付の額の制限(宅建業法[18]2(1)(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 30-29-3 | [Aは、Bとの間で、Aが所有する建物を代金2,000万円で売却する売買契約を締結した。]Aは宅地建物取引業者であるが、Bは宅地建物取引業者ではない場合において、Aは、本件契約の締結に際して、500万円の手付を受領した。 | × |
2 | 27-36-イ | 原則として20%を超える手付金を受領できないが、あらかじめ買主の承諾を得た場合に限り、30%まで受領できる。 | × |
3 | 27-43-2 | 甲県に本店、乙県に支店を設置する宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許)は、自ら売主となる乙県内におけるマンションの売買の業務に関し、乙県の支店において当該売買の契約を締結するに際して、代金の30%の手付金を受領した。この場合、Bは、甲県知事から著しく不当な行為をしたとして、業務停止の処分を受けることがある。 | × |
4 | 26-33-2 | 保全措置を講じた上で、代金の20%の手付金を受領しても宅建業法に違反しない。 | ◯ |
5 | 21-37-1 | 5%の手付を受領する予定がある場合、損害賠償額の予定額の限度は15%。 | × |
6 | 21-39-4 | 保全措置を講じれば、代金の40%の手付を受領可能。 | × |
7 | 21-40-3 | 買主の承諾があれば、代金の30%の手付金を受領可能。 | × |
8 | 16-45-3 | 保全措置を講じれば、代金の30%の手付を受領可能。 | × |
9 | 15-38-2 | 保全措置を講じた上で、代金の20%の手付金を受領しても宅建業法に違反しない。 | ◯ |
10 | 14-40-1 | 買主の承諾があれば、代金の20%を超える手付金を受領可能。 | × |
11 | 13-42-1 | 手付金が代金の2割を超える場合、保全措置が必要。 | × |
12 | 09-44-3 | 保全措置を講じれば、代金の20%を超える手付金を受領可能。 | × |
13 | 08-46-1 | 手付として代金の3割を受領した場合、買主が手付放棄して解除したときでも、売主は手付を一切返還する必要がない。 | × |
14 | 07-43-4 | 「保全措置を講ずるので、手付金は代金の30%」という特約があれば、その手付金を受領可能。 | × |
15 | 07-47-4 | 保全措置を講じれば、代金の20%の手付金を受領可能。 | ◯ |
16 | 04-41-4 | 保全措置を講じれば、代金の20%を超える手付金を受領可能。 | × |
17 | 02-40-4 | 保全措置を講じれば、代金の25%の手付金を受領可能。 | × |
2 正しい
買主Bが代金の一部を支払うことは「履行の着手」にあたる。
相手方Bが履行に着手している以上、売主Aはもはや手付金の倍額償還による解除をすることはできない(宅地建物取引業法39条2項)。
■類似過去問
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手付解除ができる期間(宅建業法[18]3(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-37-2 | [宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約]Aが手付金を受領している場合、Bが契約の履行に着手する前であっても、Aは、契約を解除することについて正当な理由がなければ、手付金の倍額を償還して契約を解除することができない。 | × |
2 | 28-34-3 | 売主である宅建業者は、買主から手付放棄による契約の解除の通知を受けたとしても、すでに所有権の移転登記を行い引渡しも済んでいる場合は、そのことを理由に当該契約の解除を拒むことができる。 | ◯ |
3 | 26-31-ウ | 「手付解除は契約後30日以内」と定めた場合、契約から30日経過したときは、売主が履行に着手していなかったとしても、買主は手付解除ができない。 | × |
4 | 23-37-1 | 手付金+中間金を支払った買主からの手付解除は不可。 | × |
5 | 22-39-4 | 手付金+内金を受け取った売主からの手付解除は不可。 | ◯ |
6 | 22-40-3 | 「売主の着手後も買主からの手付解除が可能」という特約は無効。 | × |
7 | 21-37-2 | [自らが売主である宅地建物取引業者Aと、宅地建物取引業者でないBとの間での売買契約]AとBが締結した建物の売買契約において、Bが手付金の放棄による契約の解除ができる期限について、金融機関からBの住宅ローンの承認が得られるまでとする旨の定めをした。この場合において、Aは、自らが契約の履行に着手する前であれば、当該承認が得られた後は、Bの手付金の放棄による契約の解除を拒むことができる。 | × |
8 | 21-39-1 | 両者未着手の段階で、買主からの手付解除を拒む売主の行為は、宅建業法に違反しない。 | × |
9 | 19-43-4 | 解約手付の定めがない場合、売主の着手前であっても、買主は手付放棄による解除ができない。 | × |
10 | 18-40-4 | 引渡債務の履行に着手した売主が買主の手付解除を拒否しても宅建業法に違反しない。 | ◯ |
12 | 14-40-2 | 買主が代金の一部支払後、売主からの手付解除は不可。 | ◯ |
12 | 09-39-2 | 解約手付と定めていなくても、売主が履行に着手していなければ、買主は手付解除ができる。 | ◯ |
13 | 09-39-3 | 「手付解除は契約後30日以内」と定めた場合、契約から45日経過したときであっても、売主が履行に着手していなければ、買主は手付解除ができる。 | ◯ |
14 | 08-49-4 | 「引渡しがあるまで、いつでも手付解除が可能」という特約がある場合、買主は、売主が履行に着手していても、手付解除できる。 | ◯ |
15 | 04-44-3 | 「売主が履行完了するまで、買主は手付解除ができる」という特約は、宅建業法に違反しない。 | ◯ |
16 | 03-49-3 | 売主が手付金等保全措置を講じた後は、買主から手付解除をすることができない。 | × |
3 誤り
完成物件については、手付が代金の1/10を超えるか、または、1,000万円を超える場合には手付金等の保全措置を行わなけれければならない。
ただし、所有権移転の登記がされた場合には、手付金等の保全措置を講ずる必要はなくなる(宅地建物取引業法41条の2第1項)。
「いかなる場合も」保全措置が必要なわけではない。
■類似過去問
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保全措置が不要な場合(完成物件)(宅建業法[19]3(1))
保全措置が不要な場合(買主が登記したケース)(宅建業法[19]3(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 30-38-1 | [宅地建物取引業者である売主は、宅地建物取引業者ではない買主との間で、戸建住宅の売買契約(所有権の登記は当該住宅の引渡し時に行うものとする。)を締結した。]当該住宅が建築工事の完了後で、売買代金が3,000万円であった場合、売主は、買主から手付金200万円を受領した後、当該住宅を引き渡す前に中間金300万円を受領するためには、手付金200万円と合わせて保全措置を講じた後でなければ、その中間金を受領することができない。 | ◯ |
2 | 28-28-イ | 代金4,000万円/手付金400万円→保全措置を講じることなく受領。 | ◯ |
3 | 24-34-ア | 代金2,000万円/手付金200万円・中間金100万円→中間金受領後に保全措置。 | × |
4 | 24-34-イ | 代金2,000万円/代金に充当される申込証拠金10万円・手付金200万円→保全措置を講じた上で手付金を受領。 | ◯ |
5 | 24-38-ウ | 代金3,000万円/手付金300万円→保全措置を講じなければ受領できない。 | × |
6 | 23-37-2 | 代金の10分の2の手付金→受領するまでに保全措置が必要。 | ◯ |
7 | 20-41-2 | 代金5,000万円/手付金700万円→保全措置を講じずに受領できる。 | × |
8 | 17-42-1 | 代金4,000万円/手付金400万円→保全措置を講じずに受領できる。 | ◯ |
9 | 17-42-2 | 代金4,000万円/手付金100万円・中間金600万円→中間金のみ保全措置を講じればよい。 | × |
10 | 15-38-2 | 手付金20%→保全措置を講じた上で受領。 | ◯ |
11 | 14-40-3 | 手付が代金の1/10を超え、かつ、1,000万円を超える→いかなる場合も保全措置が必要。 | × |
12 | 09-44-1 | 手付金が代金の10%を超えるが、営業保証金の額の範囲内→保全措置は不要。 | × |
13 | 09-44-4 | 手付金が本体価額(税引価格)の10%を超えるが、売買代金(税込価格)の10%以下→保全措置は不要。 | ◯ |
14 | 04-41-1 | 代金4,500万円/手付金400万円・中間金2000万円→中間金のみ保全措置を講じればよい。 | × |
15 | 02-42-4 | 代金1億円/手付金900万円・中間金4,100万円/引渡し・登記の移転は中間金の支払いと同時→保全措置なしで、手付金を受領できない。 | × |
16 | 01-42-2 | 代金12,000万円/手付金1,500万円・中間金4,500万円・残代金6,000万円/引渡し・登記移転は中間金の支払いと同時 →手付金の受領前に保全措置が必要。 | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | 28-43-エ | [宅建業者Aが、自ら売主として、宅建業者でないBと建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約を締結]Aは、保全措置を講じないで、Bから手付金150万円を受領した場合、その後、建築工事が完了しBに引き渡す前に中間金150万円を受領するときは、建物についてBへの所有権移転の登記がなされるまで、保全措置を講じる必要がない。 | × |
2 | 26-33-4 | 買主への所有権移転登記が完了したときは、保全措置を講じなくてもよい。 | ◯ |
3 | 19-34-3 | 買主への所有権移転登記がされたときは、保全措置を講じなくてもよい。 | ◯ |
4 | 19-43-2 | 引渡し及び登記の移転を残代金の支払と同時に行う場合、手付金の受領前及び中間金の受領前それぞれについて、保全措置を講じなければならない。 | ◯ |
5 | 18-39-4 | 買主への所有権移転登記をすれば、金額を問わず保全措置を講じる必要はない。 | ◯ |
6 | 14-40-3 | 手付が代金の1/10を超え、かつ1,000万円を超える場合、いかなる場合も保全措置を行わなければならない。 | × |
7 | 04-41-3 | 手付金を受領する際に銀行と保証委託契約を締結したが、その後売主への所有権移転登記を行ったので、保証委託契約を解約した場合、宅建業法に違反しない。 | ◯ |
8 | 03-49-4 | 残代金を所有権移転登記完了後に支払う場合、残代金の受領については、手付金等保全措置を講じる必要はない。 | ◯ |
9 | 02-42-1 | 宅地の引渡し及び登記の移転を残代金の支払いと同時とした場合、保全措置を講じることなく、手付金及び中間金を受領することができる。 | × |
4 誤り
損害賠償の予定と違約金の合計が代金の2/10を超える場合には、特約は、2/10を超える部分について無効となる(宅地建物取引業法38条)。
全額が無効になるわけではない。
■類似過去問
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損害賠償額の予定(20%を超える特約)(宅建業法[17]2(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 27-36-ア | 損害賠償20%+違約金10%とする特約は、全体として無効。 | × |
2 | 24-38-イ | 損害賠償10%+違約金20%の特約をした場合、違約金については全て無効。 | × |
3 | 19-41-2 | 20%を超える特約は全て無効。 | × |
4 | 17-43-4 | 40%とする特約は全て無効。 | × |
5 | 16-37-4 | 損害賠償20%超でも、重要事項として説明すれば有効。 | × |
6 | 14-40-4 | 20%を超える特約は全て無効。 | × |
7 | 11-33-4 | 20%を超える特約をした場合、20%を超える部分が無効。 | ◯ |
8 | 08-46-4 | 損害賠償20%+違約金20%の特約をした場合、それらの合計が20%となる。 | ◯ |
9 | 06-43-2 | 違約金40%と合意しても、20%を超える部分については請求できない。 | ◯ |
10 | 01-48-3 | 損害賠償額を33%と特約した場合、その特約は無効であり、損害賠償の額は予定しなかったことになる。 | × |
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