【宅建過去問】(平成18年問06)請負契約の担保責任

AがBに対し建物の建築工事を代金3,000万円で注文し、Bがこれを完成させた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. 請負契約の目的物たる建物に瑕疵がある場合、瑕疵の修補が可能であれば、AはBに対して損害賠償請求を行う前に、瑕疵の修補を請求しなければならない。
  2. 請負契約の目的物たる建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には、Aは当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
  3. 請負契約の目的物たる建物に瑕疵があり、瑕疵の修補に要する費用が契約代金を超える場合には、Aは原則として請負契約を解除することができる。
  4. 請負契約の目的物たる建物の瑕疵について、Bが瑕疵担保責任を負わない旨の特約をした場合には、Aは当該建物の瑕疵についてBの責任を一切追及することができなくなる。

正解:2

18-06-0

最初に、請負人の担保責任について一覧にまとめておく。

できること 例外的にできない場合 条文
瑕疵修補請求 瑕疵が重要でなく、過分の費用を要するとき 民法634条1項
損害賠償請求   同条2項
契約解除 土地の工作物 同法635条

1 誤り

仕事の目的物に瑕疵がある場合には、注文者は、瑕疵の修補が可能なときであっても、修補を請求することなく直ちに修補に代る損害賠償を請求することができる(民法634条2項。最判昭54.03.20)。

■類似過去問
内容を見る
民法[31]3(1)①
請負人の担保責任(瑕疵修補請求・損害賠償請求)
 年-問-肢内容正誤
129-07-1請負契約が請負人の責めに帰すべき事由によって中途で終了し、請負人が施工済みの部分に相当する報酬に限ってその支払を請求することができる場合、注文者が請負人に請求できるのは、注文者が残工事の施工に要した費用のうち、請負人の未施工部分に相当する請負代金額を超える額に限られる。
224-05-1瑕疵が重要でなく、修補に過分の費用を要する場合、注文者は瑕疵の修補を請求できない。
318-06-1瑕疵の修補が可能な場合、損害賠償を請求する前に、瑕疵修補を請求しなければならない。×
407-10-3注文主が建物を譲渡した場合、譲受人が瑕疵修補・損害賠償の請求ができる。×
501-08-1完成した目的物に瑕疵があり、請負人が修補義務を負う場合において、その修補が可能なものであっても、注文者は、瑕疵の修補に代えて、直ちに損害賠償の請求をすることができる。
601-08-2完成した目的物に契約をした目的を達することができない重大な瑕疵があるときは、注文者は、瑕疵の修補又は損害賠償の請求をすることはできないが、契約を解除することができる。×
建替費用相当額の損害賠償
124-05-2建物を建て替えざるを得ない場合、建替費用相当額の損害賠償請求が可能。
224-05-3解除ができない場合、建替費用相当額の損害賠償請求は不可。×
318-06-2建物を建て替えざるを得ない場合、建替費用相当額の損害賠償請求が可能。

2 正しい

請負契約の目的物たる建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には、Aは、当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる(最判平14.9.24)。

※民法が、建物など土地の工作物について、契約の解除を認めていない(民法635条但書)のは、建物の取壊しが社会経済的損失であり(せっかく建てた建物を壊すのは、社会全体の損失!)、また、そのような責任を負わせることが請負人にとって過酷だからである。本肢のような「建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない」というケースでは、建物を取壊したとしても、社会経済的損失は発生しない(むしろ、そんな建物は取り壊した方が社会経済のためになる)。また、そんな建築物を建てた請負人に、多額の賠償を負担させたとしても、過酷ということにはならない。したがって、このようなケースでは、建替費用相当額の損害賠償を認めるのである。

■類似過去問
内容を見る
[31]3(1)②
請負人の担保責任:建替費用相当額の損害賠償
 年-問-肢内容正誤
124-05-2建物を建て替えざるを得ない場合、建替費用相当額の損害賠償請求が可能。
224-05-3解除ができない場合、建替費用相当額の損害賠償請求は不可。×
318-06-2建物を建て替えざるを得ない場合、建替費用相当額の損害賠償請求が可能。

3 誤り

請負契約の目的物に瑕疵があり、契約の目的を達成できないときには、注文者は解約を解除することができる(民法635条本文)。ただし、建物その他土地の工作物については契約を解除することができない(同条但書)。
本肢では、請負契約の目的物が建物であるから、Aは、請負契約を解除をすることができない。

■類似過去問
内容を見る
民法[31]3(1)①
請負人の担保責任:解除

 年-問-肢内容正誤
126-06-4建物の瑕疵のため請負契約の目的が達成できない場合、注文者は契約を解除できる。×
218-06-3請負の目的物である建物に瑕疵があり、瑕疵の修補に要する費用が契約代金を超える場合には、請負契約を解除できる。×
306-08-2請負の目的物である建物に瑕疵があり、契約目的が達成できないときは、引渡し1年以内であれば、解除できる。×
401-08-4建物その他土地の工作物に、契約目的を達することができない重大な瑕疵があるときは、注文者は、契約を解除できる。×

4 誤り

「瑕疵担保責任を負わない」という特約があったとしても、請負人Bが「知りながら告げなかった事実」については担保責任を免れることはできない(民法640条)。

■類似過去問
内容を見る
民法[31]3(3)
担保責任を負わない旨の特約

 年-問-肢内容正誤
129-07-4請負人が瑕疵担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることはできない。
218-06-4請負の目的物である建物につき瑕疵担保責任を負わない旨の特約をすれば、瑕疵担保責任は一切追及できなくなる。×
306-08-4瑕疵担保責任を負わない旨の特約をした場合でも、請負人が瑕疵を知っていて注文者に告げなかった場合には、免責されない。

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