【宅建過去問】(平成20年問34)営業保証金

宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、甲県内に本店Xと支店Yを設置して、額面金額1,000万円の国債証券と500万円の金銭を営業保証金として供託して営業している。この場合の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、本店Xと支店Yとでは、最寄りの供託所を異にする。

  1. Aが新たに支店Zを甲県内に設置したときは、本店Xの最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託すれば、支店Zでの事業を開始することができる。
  2. Aが、Yを本店とし、Xを支店としたときは、Aは、金銭の部分に限り、Yの最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求することができる。
  3. Aは、額面金額1,000万円の地方債証券を新たに供託すれば、既に供託している同額の国債証券と変換することができる。その場合、遅滞なく、甲県知事に営業保証金の変換の届出をしなければならない。
  4. Aは、営業保証金の還付が行われ、営業保証金が政令で定める額に不足することになったときは、その旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければ、免許取消の処分を受けることがある。

正解:4

1 誤り

■事業開始までの流れ

宅建業者が事業の開始後に①事務所を新設した場合、②その事務所についても営業保証金を供託しなければなりません(宅建業法26条1項)。営業保証金を供託したときは、③供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、免許権者に届け出る必要があります(同条2項、25条4項)。④事業を開始することができるのは、供託した旨の届出をした後です(同法26条2項、25条5項)。
本肢では、①②までは順調だったものの、③の届出をしないまま、④事業を開始できることになっています。これでは順序が違います。

事業開始までの流れ(事務所新設時)

■営業保証金の供託

宅建業者が、開業後、新たに従たる事務所を設置した場合、その事務所についても営業保証金(事務所ごとに500万円)を供託する必要があります(宅建業法26条1項、同法施行令2条の4)。その際、営業保証金を供託する先は、主たる事務所の最寄りの供託所です(同条2項、25条1項)。
本肢は、この点に関しては正しい記述です。

■類似過去問
内容を見る
事業開始までの流れ(事務所新設時)(宅建業法[06]2(4)①)
 年-問-肢内容正誤
129-32-2宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに事務所を設置するため営業保証金を供託したときは、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
226-29-3宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに従たる事務所を設置したときは、その従たる事務所の最寄りの供託所に政令で定める額を供託し、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。×
323-30-1支店新設→事業開始→供託→届出。×
420-34-1支店新設→供託→事業開始、届出なし。×
516-35-1支店新設→供託→事業開始→届出。×
615-34-3支店新設→供託→事業開始→届出。×
712-44-2支店新設→2週間以内に供託→届出。×
810-37-3支店新設→供託→事業開始、届出なし。×
901-43-1本店と2支店a・bで免許取得→1,500万供託→届出→本店と支店aで開業→500万供託→届出→支店bで開業。×
1001-43-2支店新設→事業開始→供託。×
供託すべき供託所(事務所新設時)(宅建業法[06]2(4)②)
 年-問-肢内容正誤
129-39-ア宅地建物取引業者(国土交通大臣免許)は、甲県内にある主たる事務所とは別に、乙県内に新たに従たる事務所を設置したときは、営業保証金をその従たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。×
227-42-1[営業保証金を供託している宅地建物取引業者Aと保証協会の社員である宅地建物取引業者B]新たに事務所を設置する場合、Aは、主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべき営業保証金に、Bは、保証協会に納付すべき弁済業務保証金分担金に、それぞれ金銭又は有価証券をもって充てることができる。×
326-29-3新設支店の最寄りの供託所×
420-34-1新たに支店を設置したとき、本店の最寄りの供託所
518-34-2新設支店の最寄りの供託所×
615-34-2新設支店の最寄りの供託所×
615-34-2新設支店の最寄りの供託所×
708-47-3新設支店の最寄りの供託所×

2 誤り

Yを本店にしたことにより、主たる事務所の最寄りの供託所が変更されました。この場合、以下の手続が必要となります(宅建業法29条)。

主たる事務所が移転した場合

本問の宅建業者Aは、営業保証金を金銭と有価証券(国債証券)とで供託していますから、保管替えの手続を利用することはできません。移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに営業保証金を供託(二重供託)する必要があります。

主たる事務所が移転した場合

■類似過去問
内容を見る
主たる事務所が移転した場合(宅建業法[06]2(5))
 年-問-肢内容正誤
金銭のみ→保管替え
118-34-3金銭のみで供託していた場合、遅滞なく、保管替えを申請しなければならない。
212-44-4営業保証金を金銭のみで供託している場合で、免許換えにより主たる事務所のもよりの供託所が変更したとき、営業保証金の保管替えを請求しなければならない。
金銭のみ→取戻し後供託
129-32-1宅地建物取引業者は、主たる事務所を移転したことにより、その最寄りの供託所が変更となった場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、従前の供託所から営業保証金を取り戻した後、移転後の最寄りの供託所に供託しなければならない。×
金銭+有価証券→二重供託
128-40-1[Aは甲県内に本店と支店を有し、営業保証金を金銭と国債証券で供託している宅建業者]Aは、本店を移転したため、その最寄りの供託所が変更した場合は、遅滞なく、移転後の本店の最寄りの供託所に新たに営業保証金を供託しなければならない。
金銭+有価証券→保管替え
126-29-4金銭と有価証券で供託している場合、金銭の部分に限り、保管替えを請求できる。×
220-34-2金銭と国債で供託していた場合、金銭の部分に限り、保管替えを請求できる。×
311-38-4金銭と有価証券で供託していた場合、金銭の部分に限り、保管替えを請求できる。×
407-36-2金銭と国債で供託していた場合、金銭の部分に限り、保管替えを請求できる。×
506-45-3現金と国債で供託していた場合、保管替えを請求できる。×
602-36-2金銭と有価証券で供託していた場合、保管替えを請求しなければならない。×
有価証券のみ→保管替え
125-27-3国債のみで供託していた場合、遅滞なく、保管替えを申請しなければならない。×

3 誤り

有価証券を営業保証金に充てる場合、その価額は表のように評価されます(宅建業法25条3項、同法施行規則15条1項)。

有価証券の評価

額面1,000万円の国債証券は、額面通り金銭1,000万円分として評価されます。一方、「額面金額1,000万円の地方債証券」は、金銭900万円分としてしか評価されません。金額が見合いませんので、両者を単純に変換することは不可能です。

※本肢のように、供託物を変更することを「営業保証金の変換」といいます。
※営業保証金を変換した場合、遅滞なく、免許権者に届け出る必要があります(同法施行規則15条の4の2)。

■類似過去問
内容を見る
有価証券の評価(宅建業法[06]2(2)②)
 年-問-肢内容正誤
130-43-4
宅地建物取引業者は、新たに事務所を2か所増設するための営業保証金の供託について国債証券と地方債証券を充てる場合、地方債証券の額面金額が800万円であるときは、額面金額が200万円の国債証券が必要となる。
×
226-29-2
国債を額面の100%と評価。
324-33-1地方債を額面の90%と評価。
420-34-3地方債を同額の国債証券と変換。×
517-33-1地方債を額面通りに評価。×
611-38-1国債は額面通り、地方債・その他は額面の90%と評価。×
708-47-2地方債を額面の90%と評価。
807-36-1地方債を額面の90%と評価。
906-45-1地方債を額面の80%と評価。×
営業保証金の変換(宅建業法[06]2(2)③)
 年-問-肢内容正誤
126-29-2額面金額1,000万円の国債証券と変換するため1,000万円の金銭を供託した場合、遅滞なく、免許権者に届け出なければならない。
220-34-3額面金額1,000万円の地方債証券を新たに供託すれば、既に供託している同額の国債証券と変換することができる。その場合、遅滞なく、営業保証金の変換の届出をしなければならない。×
307-36-1額面金額1,000万円の国債証券を取り戻すため、額面金額が同額である地方債証券及び100万円の金銭を新たに供託したときは、遅滞なく、甲県知事に営業保証金の変換の届出をしなければならない。

4 正しい

営業保証金の還付(図の③)により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなった場合、宅建業者は、免許権者から不足額を供託すべき旨の通知を受けます(同⑤)。この場合、通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託する必要があります(同⑥、宅建業法28条1項、営業保証金規則5条)。


この義務を怠ったときには、業務停止処分の対象になります(同法65条2項2号)。さらに、情状が特に重い場合には、免許取消処分を受ける可能性があります(同法66条1項9号)。

■類似過去問
内容を見る
営業保証金の不足額の供託(宅建業法[06]3(4))
 年-問-肢内容正誤
通知から2週間以内に供託
129-32-4宅地建物取引業者は、営業保証金の還付があったために営業保証金に不足が生じたときは、国土交通大臣又は都道府県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内に、不足額を供託しなければならない。
221-30-4[宅地建物取引業者A(国土交通大臣免許)]営業保証金の還付により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなった場合、Aは、国土交通大臣から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
320-34-4[宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、甲県内に本店Xと支店Yを設置して、額面金額1,000万円の国債証券と500万円の金銭を営業保証金として供託して営業している。]Aは、営業保証金の還付が行われ、営業保証金が政令で定める額に不足することになったときは、その旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければ、免許取消の処分を受けることがある。
414-33-4[宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許)は営業保証金を供託所に供託しており、宅地建物取引業者C(甲県知事免許)は宅地建物取引業保証協会に加入していた。]Aの権利実行により、還付がなされた場合は、Bは国土交通大臣から通知を受けてから、Cは甲県知事から通知を受けてから、それぞれ2週間以内に不足額を供託しなければならない。×
513-33-3宅地建物取引業者は、営業保証金の還付が行われ、営業保証金が政令で定める額に不足することになったときは、通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければ、業務停止の処分を受けることがあるが、免許取消しの処分を受けることはない。×
611-38-2Aは、取引の相手方の権利の実行により営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなったときは、甲県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
707-36-3[宅地建物取引業者Aは、甲県に本店aと支店bを設けて、額面金額1,000万円の国債証券と500万円の金銭を供託して営業]Aは、営業保証金が還付されたため甲県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けたときは、その日から14日以内に不足額を供託しなければならない。
802-36-4宅地建物取引業者は、営業保証金の還付が行われ、営業保証金が政令で定める額に不足することとなったときは、通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければ、10万円以下の罰金に処せられることがある。×
供託期間の起算点
125-27-4宅地建物取引業者は、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事から、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなった旨の通知を受けたときは、供託額に不足を生じた日から2週間以内に、その不足額を供託しなければならない。×
208-47-4宅地建物取引業者は、営業保証金が還付されたためその額に不足を生じた場合、不足が生じた日から2週間以内に、その不足額を供託しなければならない。×
306-45-4宅地建物取引業者Aは、Aの営業保証金の還付がなされたときは、その不足額を供託しなければならないが、その供託は、還付がなされれば、その旨の通知がなくても、行わなければならない。×
供託の方法
118-34-4宅地建物取引業者は、取引の相手方の権利の実行により営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなったときは、通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を金銭で供託しなければならない。×
214-44-1営業保証金の供託は、金銭のみならず、一定の有価証券をもって行うこともできるが、営業保証金の不足額の供託は、金銭により行わなければならない。×
301-43-3[宅地建物取引業者Aは、主たる事務所aとその他の事務所b及びcの3事務所を設けて、B県知事から、平成元年4月1日宅地建物取引業の免許を受けた。]Aは、2,000万円を供託して届け出た後、a、b及びcで業務を開始したところ、Aと宅地建物取引業に関し取引をしたCが、その取引により生じた1,000万円の債権に関し、Aの供託した営業保証金から弁済を受けたので、Aは、営業保証金の不足額を供託する代わりに、b及びcの業務を停止した。×
監督処分・罰則
120-34-4[宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、甲県内に本店Xと支店Yを設置して、額面金額1,000万円の国債証券と500万円の金銭を営業保証金として供託して営業している。]Aは、営業保証金の還付が行われ、営業保証金が政令で定める額に不足することになったときは、その旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければ、免許取消の処分を受けることがある。
213-33-3宅地建物取引業者は、営業保証金の還付が行われ、営業保証金が政令で定める額に不足することになったときは、通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければ、業務停止の処分を受けることがあるが、免許取消しの処分を受けることはない。×
302-36-4宅地建物取引業者は、営業保証金の還付が行われ、営業保証金が政令で定める額に不足することとなったときは、通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければ、10万円以下の罰金に処せられることがある。×
免許権者への届出
128-40-2[宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、甲県に本店と支店を設け、営業保証金として1,000万円の金銭と額面金額500万円の国債証券を供託し、営業している。]Aは、営業保証金が還付され、営業保証金の不足額を供託したときは、供託書の写しを添附して、30日以内にその旨を甲県知事に届け出なければならない。×
216-35-4[宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が本店と2つの支店を有する場合、]Aは営業保証金の還付がなされ、甲県知事から政令で定める額に不足が生じた旨の通知を受け、その不足額を供託したときは、2週間以内にその旨を甲県知事に届け出なければならない。

>>年度目次に戻る

1+

宅建講座(eラーニング/DVD)のご案内

ビーグッド教育企画の宅建講座をご紹介する動画です(上の画像をクリックすると再生が始まります)。
教材のお申込みやお問合せは、当社のWebストアまで。

【宅建過去問】(平成20年問34)営業保証金” に対して2件のコメントがあります。

  1. FOD より:

    肢4解説図の⑦に相違があります。

    0
    1. 家坂 圭一 より:

      【講義編】で使っているのと同一の図に差し替えました。
      【講義編】宅建業法[06]営業保証金

      御指摘ありがとうございます。

      0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です