【宅建過去問】(平成20年問44)保証協会
宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)又はその社員に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 300万円の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付して当該保証協会の社員となった者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、6,000万円を限度として、当該保証協会が供託した弁済業務保証金から弁済を受ける権利を有する。
- 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべきことを通知しなければならない。
- 保証協会の社員は、保証協会から特別弁済業務保証金分担金を納付すべき旨の通知を受けた場合で、その通知を受けた日から1か月以内にその通知された額の特別弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しないときは、当該保証協会の社員の地位を失う。
- 宅地建物取引業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、当該地位を失った日から2週間以内に、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
正解:3
1 誤り
■納付すべき弁済業務保証金分担金
納付すべき弁済業務保証金分担金の額は、本店につき60万円、支店1か所につき30万円です(宅建業法64条の9第1項、同法施行令7条)。
本肢では、300万円の弁済業務保証金分担金を納付していることから、この宅建業者の事務所数は、
- 本店1か所(60万円)
- 支店8か所(30万円×8=240万円)
であることが分かります。
■弁済を受けられる額
保証協会の社員である宅建業者と取引した場合、弁済業務保証金から弁済を受けることができる限度額は、「当該社員が社員でないとしたならばその者が供託すべき営業保証金の額に相当する額の範囲内」です(同法64条の8第1項)。そして、本店と支店8か所を有する宅建業者が供託すべき営業保証金は5,000万円(1,000万+500万×8)です(同法25条2項、同法施行令2条の4)。
したがって、5,000万円が弁済の限度額ということになります。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 28-31-4 | 150万円の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付した者と宅建業に関し取引をした者は、2,500万円を限度として、保証協会が供託した弁済業務保証金から弁済を受ける権利を有する。 | ◯ |
2 | 27-42-4 | 弁済額は、弁済業務保証金分担金の範囲内に限られる。 | × |
3 | 24-43-3 | 弁済額は、弁済業務保証金分担金の範囲内に限られる。 | × |
4 | 20-44-1 | 弁済業務保証金分担金が300万円のとき、弁済の限度は6,000万円である。 | × |
5 | 06-46-2 | 弁済業務保証金分担金が150万円のとき、弁済の限度は2,500万円である。 | ◯ |
6 | 04-47-全 | 本店+4支店を有し、保証協会会員である宅建業者が、3,500万円の損害を与えた場合、弁済の限度は3,000万円である。 | ◯ |
7 | 02-50-2 | 弁済業務保証金分担金が390万円のとき、弁済の限度は5,500万円である。 | × |
8 | 01-45-2 | 弁済額は、弁済業務保証金分担金の範囲内に限られる。 | × |
2 誤り
弁済業務保証金が還付された場合、保証協会は社員に対し、還付充当金を保証協会に納付するように通知します(図の⑨。宅建業法64条の10第1項)。それに応じて、社員は、2週間以内に、保証協会に現金で還付充当金を納付しなければなりません(同⑩。同条2項)。
社員である宅建業者が、直接、供託所に供託するわけではないので、本肢は誤りです。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 28-31-3 | 保証協会から還付充当金の納付の通知を受けた社員は、通知を受けた日から2週間以内に、通知された額の還付充当金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。 | × |
2 | 26-39-3 | 保証協会は、還付充当金を保証協会に納付すべきことを通知しなければならない。 | ◯ |
3 | 25-39-3 | 還付充当金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託。 | × |
4 | 20-44-2 | 還付充当金を供託所に供託。 | × |
5 | 14-33-4 | 還付による不足額を供託。 | × |
6 | 11-44-3 | 還付充当金を供託所に供託。 | × |
3 正しい
保証協会の社員が還付充当金をキチンと納付しないと、保証協会は、弁済業務保証金の供託ができなくなってしまいます。この場合、保証協会は、まず、弁済業務保証金準備金を取り崩します(宅建業法64条の12第1項)。それでも足りない場合には、社員に対し、特別弁済業務保証金分担金の納付を通知することになります(同条3項)。
この通知を受けた場合、社員は、通知日から1か月以内に納付する必要があります(同条4項)。
期間内に納付しない場合には、社員の地位を失います(同条5項、64条の10第3項)。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 23-43-4 | 保証協会は、弁済業務保証金から生ずる利息又は配当金、及び、弁済業務保証金準備金を弁済業務保証金の供託に充てた後に社員から納付された還付充当金は、いずれも弁済業務保証金準備金に繰り入れなければならない。 | ◯ |
2 | 20-44-3 | 特別弁済業務保証金分担金の納付通知から1か月以内に納付しないと、社員の地位を失う。 | ◯ |
3 | 12-45-3 | 特別弁済業務保証金分担金の納付通知から2週間以内に納付しないと、社員の地位を失う。 | × |
4 | 02-50-4 | 特別弁済業務保証金分担金を納付すべき通知を受けたときは、その日から3月以内に、納付しなければならない。 | × |
4 誤り
保証協会の社員の地位を失った宅地建物取引業者は、その地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければなりません(宅建業法64条の15)。
「2週間以内」では長過ぎます。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-33-4 | 還付充当金の未納により保証協会の社員の地位を失った宅地建物取引業者は、その地位を失った日から2週間以内に弁済業務保証金を供託すれば、その地位を回復する。 | × |
2 | 30-44-3 | 保証協会の社員である宅地建物取引業者Aは、保証協会の社員の地位を失った場合において、保証協会に弁済業務保証金分担金として150万円の納付をしていたときは、全ての事務所で営業を継続するためには、1週間以内に主たる事務所の最寄りの供託所に営業保証金として1,500万円を供託しなければならない。 | × |
3 | 29-39-ウ | 宅地建物取引業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、その地位を失った日から1週間以内に、営業保証金を供託しなければならない。 | ◯ |
4 | 26-39-1 | 保証協会の社員の地位を失ったときは、2週間以内に弁済業務保証金を供託すれば、地位を回復する。 | × |
5 | 21-44-2 | 保証協会は、その社員の地位を失った宅地建物取引業者が地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託した場合は、当該宅地建物取引業者に対し、直ちに弁済業務保証金分担金を返還することが義務付けられている。 | × |
6 | 20-44-4 | 保証協会の社員の地位を失ったときは、2週間以内に営業保証金を供託しなければならない。 | × |
7 | 18-44-4 | 社員の地位を失った日から1週間以内に弁済業務保証金分担金を納付すれば、地位を回復する。 | × |
8 | 15-42-4 | 保証協会の社員の地位を失ったときは、2週間以内に営業保証金を供託しなければならない。 | × |
9 | 10-38-4 | 保証協会の社員の地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託したとしても、その旨を免許権者に届け出なければ、指示処分なしに、直ちに業務停止処分を受けることがある。 | × |
10 | 07-49-3 | 保証協会の社員の地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければならず、供託しないと業務停止処分を受けることがある。 | ◯ |
11 | 03-48-1 | 保証協会の社員の地位を失ったときは、2週間以内に営業保証金を供託しなければならない。 | × |
12 | 02-50-3 | 保証協会の社員の地位を失ったときは、1週間以内に営業保証金を供託しなければならない。 | ◯ |
13 | 01-45-4 | 保証協会の社員の地位を失ったときは、1週間以内に営業保証金を供託しなければならない。 | ◯ |