【宅建過去問】(平成22年問21)土地区画整理法

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土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 施行地区の土地についての土地区画整理事業は、都市計画事業として施行されることから、これを土地収用法第3条各号の一に規定する事業に該当するものとみなし、同法の規定を適用する。
  2. 宅地について所有権を有する者は、1人で、又は数人共同して、当該権利の目的である宅地及び一定の区域の宅地以外の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
  3. 宅地について所有権を有する者が設立する土地区画整理組合は、当該権利の目的である宅地を含む一定の区域の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
  4. 国土交通大臣は、施行区域の土地について、国の利害に重大な関係がある土地区画整理事業で特別の事情により急施を要すると認められるもののうち、国土交通大臣が施行する公共施設に関する工事と併せて施行することが必要であると認められるものについては自ら施行することができる。

正解:1

1 誤り

土地区画整理事業のすべてが都市計画事業として施行されるわけではありません。都市計画事業として施行されるのは公的施行の場合に限られるのです。そして、土地区画整理事業が土地収用法上の事業とみなされるのは、都市計画事業として施行される場合に限られます(都市計画法69条)。
本肢は、「土地区画整理事業は、都市計画事業として施行される」という記述が誤っています。

■参照項目&類似過去問
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土地区画整理事業と都市計画事業の関係(区画整理法[01]2)
年-問-肢内容正誤
1H22-21-1施行地区の土地についての土地区画整理事業は、都市計画事業として施行されることから、これを土地収用法第3条各号の一に規定する事業に該当するものとみなし、同法の規定を適用する。×
2H12-21-4都道府県が施行する土地区画整理事業は、すべて都市計画事業として施行される。

2 正しい

(肢1の表参照。)
宅地について所有権を有する者は、1人で、又は数人共同して、当該権利の目的である宅地及び一定の区域の宅地以外の土地について土地区画整理事業を施行することができます(土地区画整理法3条1項)。これを個人施行といいます。

■参照項目&類似過去問
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施行者による分類(区画整理法[01]2)
年-問-肢内容正誤
個人施行
1H22-21-2宅地について所有権を有する者は、1人で、又は数人共同して、当該権利の目的である宅地及び一定の区域の宅地以外の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
2H07-27-1個人施行の場合、施行地区となるべき区域内の宅地について借地権を有する者の同意を得られないときは、その旨の理由を記載した書面を添えて土地区画整理事業の施行の認可を申請することができる。×
組合施行
1H22-21-3宅地について所有権を有する者が設立する土地区画整理組合は、当該権利の目的である宅地を含む一定の区域の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
2H19-24-3宅地について所有権又は借地権を有する者が設立する土地区画整理組合は、当該権利の目的である宅地を含む一定の区域の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
国交大臣施行
1H22-21-4国土交通大臣は、施行区域の土地について、国の利害に重大な関係がある土地区画整理事業で特別の事情により急施を要すると認められるもののうち、国土交通大臣が施行する公共施設に関する工事と併せて施行することが必要であると認められるものについては自ら施行することができる。

3 正しい

(肢1の表参照。)
宅地について所有権を有する者が設立する土地区画整理組合は、当該権利の目的である宅地を含む一定の区域の土地について土地区画整理事業を施行することができます(土地区画整理法3条2項)。これを組合施行といいます。

■参照項目&類似過去問
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施行者による分類(区画整理法[01]2)
年-問-肢内容正誤
個人施行
1H22-21-2宅地について所有権を有する者は、1人で、又は数人共同して、当該権利の目的である宅地及び一定の区域の宅地以外の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
2H07-27-1個人施行の場合、施行地区となるべき区域内の宅地について借地権を有する者の同意を得られないときは、その旨の理由を記載した書面を添えて土地区画整理事業の施行の認可を申請することができる。×
組合施行
1H22-21-3宅地について所有権を有する者が設立する土地区画整理組合は、当該権利の目的である宅地を含む一定の区域の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
2H19-24-3宅地について所有権又は借地権を有する者が設立する土地区画整理組合は、当該権利の目的である宅地を含む一定の区域の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
国交大臣施行
1H22-21-4国土交通大臣は、施行区域の土地について、国の利害に重大な関係がある土地区画整理事業で特別の事情により急施を要すると認められるもののうち、国土交通大臣が施行する公共施設に関する工事と併せて施行することが必要であると認められるものについては自ら施行することができる。

4 正しい

国土交通大臣は、施行区域の土地について、国の利害に重大な関係がある土地区画整理事業で災害の発生その他特別の事情により急施を要すると認められるもののうち、

  1. 国土交通大臣が施行する公共施設に関する工事と併せて施行することが必要であると認められるもの
  2. 都道府県若しくは市町村が施行することが著しく困難若しくは不適当であると認められるもの

については自ら施行することができます(土地区画整理法3条5項)。

■参照項目&類似過去問
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施行者による分類(区画整理法[01]2)
年-問-肢内容正誤
個人施行
1H22-21-2宅地について所有権を有する者は、1人で、又は数人共同して、当該権利の目的である宅地及び一定の区域の宅地以外の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
2H07-27-1個人施行の場合、施行地区となるべき区域内の宅地について借地権を有する者の同意を得られないときは、その旨の理由を記載した書面を添えて土地区画整理事業の施行の認可を申請することができる。×
組合施行
1H22-21-3宅地について所有権を有する者が設立する土地区画整理組合は、当該権利の目的である宅地を含む一定の区域の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
2H19-24-3宅地について所有権又は借地権を有する者が設立する土地区画整理組合は、当該権利の目的である宅地を含む一定の区域の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
国交大臣施行
1H22-21-4国土交通大臣は、施行区域の土地について、国の利害に重大な関係がある土地区画整理事業で特別の事情により急施を要すると認められるもののうち、国土交通大臣が施行する公共施設に関する工事と併せて施行することが必要であると認められるものについては自ら施行することができる。

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【宅建過去問】(平成22年問21)土地区画整理法” に対して7件のコメントがあります。

  1. ロヒモト より:

    いつもお世話になっております。
    肢1について質問させて下さい。
    (すいません、色々調べて入るのですが、土地区画整理と土地収用の関係がどうしても理解出来ず…)

    解説部分の「土地区画整理事業のすべてが都市計画事業として施行されるわけではありません。都市計画事業として施行されるのは公的施行の場合に限られるのです。」ここまではよく理解出来ます。

    ●「そして、土地区画整理事業が土地収用法上の事業とみなされるのは、都市計画事業として施行される場合に限られます(都市計画法69条)。」

    ここで言わんとしている意味がどうしても分かりません。
    土地収用法条の事業をするのだから、土地区画整理事業も兼ねている?といった理解なのでしょうか?

    お時間ある時に解説頂けますと幸甚です。
    いつも質問恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

    1. 家坂 圭一 より:

      (1)公的施行による土地区画整理事業
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      公的施行による土地区画整理事業であれば、以下の理屈が成り立ちます。
      (a)土地区画整理事業は、都市計画事業である。
      (b)都市計画事業である土地区画整理事業は、土地収用法上の事業とみなされる。
      (c)土地収用法上の事業には、土地収用法が適用される。

      (2)民間施行による土地区画整理事業
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      一方、民間施行による土地区画整理事業は、必ずしも都市計画事業として施行されるわけではありません。
      この場合、(a)の前提がないわけです。そうすると、(b)(c)の話にもつながりません。

      (3)本肢では
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      本肢が(1)公的施行に限定した話であれば、「正しい」記述ということになります。
      しかし、実際には、「公的施行」とも「民間施行」とも書かれていません。
      したがって、(2)の都市計画事業に該当しない土地区画整理事業」の場合も考える必要があります。
      それにも関わらず、この選択肢では、「全ての土地区画整理事業について(a)(b)(c)が成り立つ。」と書かれているのです。
      これは、「誤り」ということになります。

      1. fujimong より:

        家坂先生

        いつもお世話になっております.
        上記ご質問とそれに対するご回答,大変参考になりました.その上で,本肢に関して「どこをどう直せば正しい記述になるのか」を考えた際,「施行地区」(土地区画整理法第二条第4項)を「施行区域」(同条第8項)に変えれば良いのではと思い至りました.

        「施行区域」は都市計画法第十二条第2項の規定,すなわち市街地開発事業によって定められた区域をいい,また,同法第四条第15項によれば,そもそも都市計画事業とは「都市計画施設の整備に関する事業」と「市街地開発事業」とをいい,であれば

        (a’) 施工区域の土地についての土地区画整理事業は,都市計画事業である.

        と言え,(a’)(b)(c)の三段論法が成り立つ,と考えましたが,この理解・説明に誤りございますか?

        (上記解説文およびご質問へのご回答は当然理解の上,納得できたのですが,「出題者の意図を汲む」という余計なことを考えると,「『施工地区』が誤りである」と言った方が簡潔なのかな,と思った次第です.)

        また,本問のように,(私の理解では)土地区画整理法の問題で都市計画法の理解を聞くような問題,すなわち複数の法令に関しての横断的な理解を問う問題というのは,過去に出題がありましたか?(宅建的にはオーバーワークなのは重々承知なのですが,将来的に不動産鑑定士等の取得も考えているため,このような質問をさせていただきました.)

        1. fujimong より:

          数か所,「施行」を「施工」と書き間違えております.失礼致しました.

        2. 家坂 圭一 より:

          fujimongさん

          ご質問ありがとうございます。

          本肢に関して「どこをどう直せば正しい記述になるのか」を考えた際,「施行地区」(土地区画整理法第二条第4項)を「施行区域」(同条第8項)に変えれば良いのではと思い至りました.

          その通りです。
          (a)(b)(c)のうち(a)の部分が誤っているのですから、ここを訂正すれば、正しい記述になります。

          上の解説で、これと異なるアプローチをしているのは、「他の問題にも対応できる」ことを重視したからです。
          「施行地区」と「施行区域」を入れ替えるだけで正解になるのは、この選択肢しかありません。
          今後の出題への対応を考えると、この選択肢を契機に、
          民間施行と公的施行の違い
          特に

            1. 施行できるエリアの違い
            2. 土地区画整理審議会設置の有無

          に関する知識を確認しておくのが効率的だと思います。
          1.に関する過去問が3肢、2.に関するものが7肢あります。
          具体的には、
          【講義編】土地区画整理法[01]土地区画整理法のシステム
          2.施行者による分類
          の末尾にある「★過去の出題例★」をご覧ください。

          本問のように,(私の理解では)土地区画整理法の問題で都市計画法の理解を聞くような問題,すなわち複数の法令に関しての横断的な理解を問う問題というのは,過去に出題がありましたか?

          「土地区画整理事業」と「都市計画事業」との関連を問う問題として、平成12年問21肢4があります。
          https://e-takken.tv/12-21/
          (本問の「類似過去問」にも挙げています。)

        3. fujimong より:

          なるほど,よく理解できました.今回もご丁寧にありがとうございました!

        4. 家坂 圭一 より:

          とんでもないです。
          本試験までラスト10日、詰めの勉強を頑張りましょう!

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