【宅建過去問】(平成22年問42)報酬

解説動画を視聴する方法受講料
1eラーニング講座[Step.3]過去問演習編を受講する。980円/回
2YouTubeメンバーシップに登録する。1,790円/月~
宅地建物取引業者(消費税課税事業者)の媒介により建物の賃貸借契約が成立した場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、借賃及び権利金(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいう。)には、消費税相当額を含まないものとする。

  1. 依頼者と宅地建物取引業者との間であらかじめ報酬の額を定めていなかったときは、当該依頼者は宅地建物取引業者に対して国土交通大臣が定めた報酬の限度額を報酬として支払わなければならない。
  2. 宅地建物取引業者は、国土交通大臣の定める限度額を超えて報酬を受領してはならないが、相手方が好意で支払う謝金は、この限度額とは別に受領することができる。
  3. 宅地建物取引業者が居住用建物の貸主及び借主の双方から媒介の依頼を受けるに当たって借主から承諾を得ていなければ、借主から借賃の1.1月分の報酬を受領することはできない。
  4. 宅地建物取引業者が居住用建物以外の建物の貸借の媒介を行う場合において、権利金の授受があるときは、当該宅地建物取引業者が受領できる報酬額は、借賃の1.1月分又は権利金の額を売買代金の額とみなして算出した金額のいずれか低い方の額を上限としなければならない。

正解:3

1 誤り

宅建業法の報酬に関する規定は、宅建業者が受け取ることのできる報酬の上限額を定めているだけです(宅建業法46条)。
あらかじめ報酬の額を定めていなかった場合に、自動的に報酬の上限額が受け取れるわけではありません。

2 誤り

宅建業者は、国土交通大臣の定める上限額を超えて報酬を受け取ることができません(宅建業法46条)。例外は、以下のものに限られます(解釈・運用の考え方)。

これ以外のものは、たとえ相手方が好意で支払ったとしても、受領することができません。

 

■参照項目&類似過去問
内容を見る
依頼者の依頼による費用(宅建業法[21]5(1))
年-問-肢内容正誤
1R05-27-3既存住宅の売買の媒介を行う宅地建物取引業者が売主に対して建物状況調査を実施する者のあっせんを行った場合、宅地建物取引業者は売主から報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。
2R05-34-イ宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDとの間で、1か月分の借賃を12万円(消費税等相当額を含まない。)とする賃貸借契約を成立させた。AはBから事前に特別な広告の依頼があったので、依頼に基づく大手新聞掲載広告料金に相当する額をBに請求し、受領した。×
3R05-34-ウ宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDとの間で、1か月分の借賃を12万円(消費税等相当額を含まない。)とする賃貸借契約を成立させた。CはDに対し、賃貸借契約書の作成費を、Dから限度額まで受領した媒介報酬の他に請求して受領した。×
4R04-27-1Aが、Bから売買の媒介を依頼され、Bからの特別の依頼に基づき、遠隔地への現地調査を実施した。その際、当該調査に要する特別の費用について、Bが負担することを事前に承諾していたので、Aは媒介報酬とは別に、当該調査に要した特別の費用相当額を受領することができる。
5R04-31-1Aが、Bと一般媒介契約を締結した場合、AがBに対し当該土地付建物の価額について意見を述べるために行った価額の査定に要した費用をBに請求することはできない。
6R03s-31-エ宅地建物取引業者は、依頼者から媒介報酬の限度額まで受領する他に、依頼者の依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を別途受領することができる。
×
7R03-30-イ宅地建物取引業者は、建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬の限度額を超えて、当該広告の料金に相当する額を受領することができる。×
8R02s-34-4
宅地建物取引業者は、依頼者の依頼によらない広告の料金に相当する額を報酬額に合算する場合は、代理又は媒介に係る報酬の限度額を超える額の報酬を依頼者から受けることができる。×
9R01-30-ウ
建物の貸借の媒介において、依頼者の依頼によらない通常の広告を行い、国土交通大臣の定める報酬限度額の媒介報酬のほか、当該広告の料金に相当する額を受領した。
×
10R01-32-3
宅地建物取引業者Aは、既存住宅の売買の媒介について、Aが売主Bに対して建物状況調査を実施する者をあっせんした場合、AはBから報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。
11H30-30-3
建物が店舗用である場合、宅地建物取引業者Aは、貸主Bからの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が賃貸借契約の成立に寄与したときは、報酬とは別に、その広告料金に相当する額をBに請求することができる。×
12H30-33-3
宅地建物取引業者Aは、Bから、Bが所有し居住している甲住宅の売却について媒介の依頼を受けた。Aは、甲住宅の評価額についての根拠を明らかにするため周辺の取引事例の調査をした場合、当該調査の実施についてBの承諾を得ていなくても、同調査に要した費用をBに請求することができる。×
13H29-26-2
宅地建物取引業者は、限度額の報酬に加えて、依頼者の依頼によって行った広告の料金に相当する額を別途受領することができない。×
14H29-26-3
宅地建物取引業者は、限度額の報酬に加えて、法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行った対価として、報酬を受領することができる。×
15H29-43-エ
専任媒介契約に係る通常の広告費用は宅地建物取引業者Aの負担であるが、指定流通機構への情報登録及び依頼者BがAに特別に依頼した広告に係る費用については、成約したか否かにかかわらず、国土交通大臣の定める報酬の限度額を超えてその費用をBに請求することができる。×
16H28-33-イ
宅地建物取引業者は、媒介に係る報酬の限度額の他に、依頼者の依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を報酬に合算して、依頼者から受け取ることができる。
×
17H26-37-ア宅地建物取引業者Aが居住用建物の貸借の媒介をするに当たり、依頼者からの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が貸借の契約の成立に寄与したとき、Aは、報酬とは別に、その広告料金に相当する額を請求できる。
×
18H25-37-ウ宅地建物取引業者A社(消費税課税事業者)は売主Bから土地付建物の売却の代理の依頼を受け、宅地建物取引業者C社(消費税課税事業者)は買主Dから戸建住宅の購入の媒介の依頼を受け、BとDの間で売買契約を成立させた。なお、土地付建物の代金は5,500万円(うち、土地代金は2,200万円)で、消費税額及び地方消費税額を含むものとする。A社はBから1,660,000円の報酬を受領し、C社はDから1,669,500円を報酬として受領したほか、Dの特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した特別の費用について、Dが事前に負担を承諾していたので、50,000円を受領した。
19H24-35-エ宅地建物取引業者A社が売主Bから土地付中古別荘の売却の代理の依頼を受け、売買契約を成立させた場合、A社は、代理報酬のほかに、Bからの依頼の有無にかかわらず、通常の広告の料金に相当する額についても、Bから受け取ることができる。
×
20H23-36-3宅地建物取引業者は、建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬とは別に、当該広告の料金に相当する額を受領することができる。
×
21H23-40-4宅地建物取引業者は、媒介報酬の限度額まで受領できるほかに、法第37条の規定に基づく契約の内容を記載した書面を作成した対価として、文書作成費を受領することができる。×
22H22-42-2宅地建物取引業者は、国土交通大臣の定める限度額を超えて報酬を受領してはならないが、相手方が好意で支払う謝金は、この限度額とは別に受領することができる。
×
23H19-42-2宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は、B所有の建物についてB及びCから媒介の依頼を受け、Bを貸主、Cを借主とする賃貸借契約を成立させた。Aは、媒介報酬の限度額のほかに、Bの依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を報酬に合算して、Bから受け取ることができる。×
24H18-43-イ宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は、BからB所有の宅地の売却について媒介の依頼を受け、Cを買主として代金1,000万円で売買契約を成立させた。その際、Bから報酬30万円のほかに、Bの特別の依頼による広告に要した実費10万円を受領した。
25H17-34-4宅地建物取引業者Aは、建物の貸借の媒介に当たり、依頼者の依頼に基づいて広告をした。Aは報酬とは別に、依頼者に対しその広告料金を請求することができない。
×
26H12-35-2宅地建物取引業者は、建物の売買の媒介をするに当たり、建物の売主から特別の依頼を受けて広告をし、当該建物の売買契約が成立したので、国土交通大臣が定めた報酬限度額の報酬のほかに、その広告に要した実費を超える料金を受領した。×
27H12-38-3宅地建物取引業者Aが、建物の貸借の媒介をするに当たり、依頼者からの依頼に基づくことなく広告した場合でも、その広告が貸借の契約の成立に寄与したとき、Aは、報酬とは別に、その広告料金を請求できる。×
28H09-43-1宅地建物取引業者Aが宅地の売買の媒介をするに当たり、特に依頼者から依頼されて特別の広告を行った場合には、当該売買が不成立に終わったときでも、Aは、その広告の料金に相当する額を依頼者から受け取ることができる。

3 正しい

22-42-3

居住用建物につき、貸主・借主の双方から媒介の依頼を受けた場合の報酬の限度額は、原則として、双方から借賃の0.5か月分+税です。例外的に、依頼者の承諾を得ている場合に限り、依頼者から借賃の1か月分+税の報酬を受領することができます(宅建業法46条。告示第四)。
本肢では、借主から承諾を得ていないのですから、借主から借賃の1か月分+税の報酬を受領することはできません。

4 誤り

22-42-4
(肢3の表参照。)
居住用建物以外の建物の貸借の媒介を行う場合で、権利金の授受があるときは、宅建業者は権利金の額を売買代金の額とみなして報酬を計算することができます(宅建業法46条。告示第六)。
宅建業者は、①借賃を基準にした計算した額と②権利金の額を基準と計算した額のどちらを選ぶこともできます(通常は、額の高いほうを選ぶでしょう)。
本肢は、「いずれか低い方」を上限額としている点が誤りです。


>>年度目次に戻る

【無料公開講座】スリー・ステップ学習法

宅建学習のプロセスを3段階に分け、着実なステップアップを目指す『スリー・ステップ学習法』。この講座の特長を実際に理解・体験していただくための「無料公開講座」です。
  • [Step.1]基本習得編で宅建合格に必要な基礎知識を学ぶ。
  • [Step.2]一問一答編で「一問一答式」の本試験過去問で基礎知識を確認し、○×を見分ける解法テクニックを身に付ける。
  • [Step.3]過去演習編で「四択問題」の解決法を学ぶ。

この3段階で、着実に合格レベルに進むことができます。

【宅建過去問】(平成22年問42)報酬” に対して2件のコメントがあります。

  1. 宅建業法(平成22年問42)報酬 肢1

    (報酬)
    第四十六条  宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
    2  宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
    3  国土交通大臣は、第一項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
    4  宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。

     したがって、解説文の『宅建業法の報酬に関する規定は、宅建業者が受け取ることのできる報酬の上限額を定めているのみである』という説明の『のみ』という記述は不適切ではないかと思います。上記の説明では『のみ』という言葉を使うことにより『あらかじめ上限を定めないは業者が報酬貰えない』と意味にもなるのではないかと思います。また、第四十六条には上記のような記述もありません。
     
     正しくは『媒介契約を成立させたとき、業者は報酬限度額以下の範囲で報酬が貰える』みたいな記述が正しいのではないでしょうか?

    1. 家坂 圭一 より:

      クリスティーン様

      講師の家坂です。
      この度は御質問をいただき、ありがとうございます。

      頂戴した文章を繰り返し拝読しましたが、
      >解説文の『宅建業法の報酬に関する規定は、宅建業者が受け取ることのできる報酬の上限額を定めているのみである』という説明の『のみ』という記述は不適切ではないかと思います。

      という御指摘は、当たらないように思います。
      したがって、解説文を訂正することはしません。

      以下、理由を申し述べます。

      まず、宅建業法46条2項は、「宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。」としています。すなわち、宅建業法は、報酬額の限度額『のみ』を定めています。
      (この点から、「第四十六条には上記のような記述もありません。」という御指摘も妥当ではありません。)

      逆にいえば、宅建業法46条の規定をどのように解釈したとしても、本問肢1のいうような、
      「あらかじめ報酬の額を定めていなかったときは、当該依頼者は宅地建物取引業者に対して国土交通大臣が定めた報酬の限度額を報酬として支払わなければならない。」
      という結論を導き出すことはできません。
      宅建業法には、受領できる金額を具体的に定めた規定は、存在しないのです。

      つぎに、御指摘の以下の部分について、述べます。
      >上記の説明では『のみ』という言葉を使うことにより『あらかじめ上限を定めないは業者が報酬貰えない』と意味にもなるのではないかと思います。

      宅建業者が受領することのできる報酬は、
      (1)宅建業法46条1項に基づいて国土交通大臣の定める報酬の額を超えないもので、
      (2)当事者間が合意した額
      に限られます。
      極端な話、当事者間で「報酬はゼロとする」と合意すれば、その特約は有効なのです。

      >『あらかじめ上限を定めないは業者が報酬貰えない』
      という文章の意味は分かりにくいのですが、上記(1)(2)と同義であれば、その通りだと思います。

      媒介契約の対象が売買契約であれば、媒介契約の内容として、「報酬に関する事項」を定め、これを書面化する必要があります(宅建業法34条の2第1項6号)。
      貸借の媒介の契約の場合、宅建業者に上記の義務はありません。また、報酬の額について、業者と顧客との間で個別に交渉をするようなことは、ほとんどないと思われます。宅建業者の側で、報酬の計算方法を予め設定しておくのが通常でしょう。
      この場合であっても、宅建業法46条4項の掲示義務を遵守している限りにおいて、掲示された報酬額で合意があるものとみるべきではないでしょうか。

      最後に、頂戴した書換案についてです。
      >正しくは『媒介契約を成立させたとき、業者は報酬限度額以下の範囲で報酬が貰える』みたいな記述が正しいのではないでしょうか?

      (a)媒介契約を成立させたとき、
      (b)業者は報酬限度額以下の範囲で報酬が貰える
      の2つに分けて考えます。

      まず(a)に関して。
      報酬を受領することができるのは、「媒介契約に基づく賃貸借契約が成立したとき」です。「媒介契約の成立」を理由に報酬を請求することはできません。

      つぎに(b)に関して。
      この表現でも、具体的に受領できる報酬の額は決まりませんよね。
      正確に表現するには、上で述べたように、
      (1)宅建業法46条1項に基づいて国土交通大臣の定める報酬の額を超えないもので、
      (2)当事者間が合意した額
      とするしかないのではないように思います。

      これら全てをまとめると、現状の解説文がコンパクトで優れているように感じます。
      いかがでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です