【宅建過去問】(平成23年問25)地価公示法

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地価公示法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 公示区域とは、土地鑑定委員会が都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域内において定める区域である。
  2. 土地収用法その他の法律によって土地を収用することができる事業を行う者は、公示区域内の土地を当該事業の用に供するため取得する場合において、当該土地の取得価格を定めるときは、公示価格を規準としなければならない。
  3. 土地の取引を行う者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行わなければならない。
  4. 土地鑑定委員会が標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは、当該価格については官報で公示する必要があるが、標準地及びその周辺の土地の利用の現況については官報で公示しなくてもよい。

正解:2

1 誤り

公示区域とは、都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域をいいます(地価公示法2条1項)。
「その他の…区域」とありますから、公示区域は「都市計画区域内」に限られません。この点が本肢の一つ目の誤りです。
また、公示区域は、「国土交通省令で定める区域」とされており、国土交通省令(地価公示法施行規則)では、「公示区域は、…国土交通大臣が定める」と規定されています(同規則1条1項)。つまり、公示区域を定めるのは、国土交通大臣です。土地鑑定委員会が定めるわけではありません。この点が二つ目の誤りです。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
標準地の選定(公示区域)(税・鑑定[08]2(1)②)
年-問-肢内容正誤
1R04-25-4
公示区域とは、都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域のうち、国土利用計画法第12条第1項の規定により指定された規制区域を除いた区域をいう。
2R01-25-2
標準地は、都市計画区域外や国土利用計画法の規定により指定された規制区域内からは選定されない。
×
3H27-25-1
都市計画区域外の区域を公示区域とすることはできない。×
4H23-25-1
公示区域とは、土地鑑定委員会が都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域内において定める区域である。×
5H06-34-1
土地鑑定委員会は、都市計画区域内の標準地について、単位面積当たりの正常な価格を判定し、これを公示する。×
6H03-34-1地価公示の対象となる標準地は、都市計画区域内において、自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる一団の土地について選定される。×
7H01-32-1
地価公示は、都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域(国土利用計画法による規制区域を除く。)内の土地について、行われる。

2 正しい

土地収用法などにより土地収用ができる事業を行う者が公示区域内の土地を取得する場合、公示価格を規準として、取得価格を定める必要があります(地価公示法9条)。

※公示価格が規準となるのは、以下の場面です。

公示価格を規準とするケース

■参照項目&類似過去問
内容を見る
公示価格の効力(公示価格を規準とするケース)(税・鑑定[08]3(2)①)
年-問-肢内容正誤
1R04-25-3
公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格を規準とする必要があり、その際には、当該土地とこれに類似する利用価値を有すると認められる1又は2以上の標準地との位置、地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因についての比較を行い、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該土地の価格との間に均衡を保たせる必要がある。
2R03s-25-2
不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格と実際の取引価格を規準としなければならない。×
3R02s-25-4
土地収用法その他の法律によって土地を収用することができる事業を行う者は、標準地として選定されている土地を取得する場合において、当該土地の取得価格を定めるときは、公示価格と同額としなければならない。×
4H23-25-2
土地収用法その他の法律によって土地を収用することができる事業を行う者は、公示区域内の土地を当該事業の用に供するため取得する場合において、当該土地の取得価格を定めるときは、公示価格を規準としなければならない。
5H15-29-3
不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格と実際の取引価格のうちいずれか適切なものを規準としなければならない。×
6H04-34-1
公示価格は、標準地の単位面積当たりの正常な価格、すなわち、土地について、自由な取引が行われるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格を示すものであり、公共事業の用に供する土地の取得価格の算定の規準ともなるものである。

3 誤り

土地の取引を行う者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行うよう努めなければなりません(地価公示法1条の2)。
あくまで、「指標とする努力義務」です。本肢は、「公示された価格を指標として取引を行わなければならない」として、法的義務ととらえる点が誤っています。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
公示価格の効力(指標)(税・鑑定[08]3(1))
年-問-肢内容正誤
1R01-25-1都市及びその周辺の地域等において、土地の取引を行う者は、取引の対象土地から最も近傍の標準地について公示された価格を指標として取引を行うよう努めなければならない。×
2H29-25-4土地の取引を行なう者は、取引の対象となる土地が標準地である場合には、当該標準地について公示された価格により取引を行なう義務を有する。×
3H23-25-3土地の取引を行う者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行わなければならない。×
4H18-29-4土地の取引を行う者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として、取引を行わなければならない。×
5H14-29-1都市及びその周辺の地域等において、土地の取引を行う者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行うよう努めなければならない。
6H08-33-1都市及びその周辺の地域において土地の取引を行う者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を規準として取引を行わなければならない。×
7H04-34-2公示価格は、一般の土地の取引価格に対する指標となるものであり、国又は地方公共団体がその所有する土地の取引を行う場合においても、公示価格を指標として取引を行うよう努めなければならない。
8H03-34-3公示価格は、一般の土地の取引価格に対する指標となるものであり、標準地の鑑定評価を行うに当たっては、近傍類地の地代等から算定される推定の価格、いわゆる収益価格を勘案する必要はない。×
9H01-32-4都市及びその周辺の地域等で土地の取引を行う者は、公示価格を規準として取引を行うよう努めなければならない。×

4 誤り

土地鑑定委員会は、標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは、すみやかに、以下の事項を官報公示しなければなりません(地価公示法6条)。

官報による公示の内容

2「価格」だけでなく、4「標準地及びその周辺の土地の利用の現況」も、公示すべき事項に含まれます。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
官報による公示(税・鑑定[08]2(5))
年-問-肢内容正誤
1R04-25-1
土地鑑定委員会は、標準地の正常な価格を判定したときは、標準地の単位面積当たりの価格のほか、当該標準地の地積及び形状についても官報で公示しなければならない。
2R02s-25-3
土地鑑定委員会は、標準地の正常な価格を判定したときは、標準地の単位面積当たりの価格のほか、当該標準地の価格の総額についても官報で公示しなければならない。×
3H29-25-1
土地鑑定委員会は、標準地の単位面積当たりの価格及び当該標準地の前回の公示価格からの変化率等一定の事項を官報により公示しなければならないとされている。
×
4H27-25-4
土地鑑定委員会が標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは、標準地の形状についても公示しなければならない。
5H26-25-1
土地鑑定委員会は、標準地の価格の総額を官報で公示する必要はない。
6H23-25-4
土地鑑定委員会が標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは、当該価格については官報で公示する必要があるが、標準地及びその周辺の土地の利用の現況については官報で公示しなくてもよい。×
7H08-33-4
標準地の正常な価格とは、当該土地に建物がある場合にはその建物が存しないものとして通常成立すると認められる価格をいうので、標準地の利用の現況は、官報で公示すべき事項に含まれていない。×
8H03-34-4地価公示は、毎年1月1日時点の標準地の単位面積当たりの正常な価格を公示するものであり、この公示価格は官報で公示されるほか、関係市町村の一定の事務所において閲覧できる。
9H02-32-1
標準地の単位面積当たりの正常な価格が判定されたときは、国土交通大臣は、その価格、所在地等について官報で公示し、関係市町村長に所要の図書を送付しなければならない。×

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【宅建過去問】(平成23年問25)地価公示法” に対して4件のコメントがあります。

  1. 関根 より:

    家坂先生

    ご返信ありがとうございます。
    確かにそうでした。頭がこんがらがっていたようです。
    失礼いたしましたm(_ _)m

    1. 家坂 圭一 より:

      関根様

      とんでもないです。
      地価公示については、以下の「全体の流れ」を把握しておくと、各知識の理解が容易になります。

      【講義編】税・鑑定[08]地価公示法を見直して、個別の知識を「全体の流れ図」に当てはめておきましょう。

  2. 関根 より:

    いつもお世話になっております。
    肢1の解説ですが、
    地価公示法には、以下のように「土地鑑定委員会が選定する」とあります。
    (標準地の選定)
    第三条 前条第一項の標準地は、土地鑑定委員会が、国土交通省令で定めるところにより、自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる一団の土地について選定するものとする。

    なので、「国土交通大臣が選定する」という解説は違うような気がしたのですがいかがでしょうか? 

    気になりましたのでコメントいたしました。
    よろしくお願い致します。

    1. 家坂 圭一 より:

      関根様

      ご質問ありがとうございます。

      1 公示区域とは、土地鑑定委員会が都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域内において定める区域である。

      肢1は、「公示区域を定めるのは誰か?」という問題です。
      そして、解説で書いたように、公示区域は、国土交通大臣が定めます。

      それに対して、関根さんがおっしゃっているのは、「標準地を選定するのは誰か?」というテーマです。
      標準地を選定するのは、もちろん、土地鑑定委員会です。
      しかし、このことは、肢1とは関係がありません。

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