【宅建過去問】(平成23年問29)宅建士登録
宅地建物取引士の登録に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 不正の手段により免許を受けたとしてその免許の取消しを受けた法人において役員ではない従業者であった者は、当該免許取消しの日から5年を経過しなければ、登録を受けることができない。
- 宅地建物取引士が、刑法第204条の傷害罪により罰金の刑に処せられ、登録が消除された場合は、当該登録が消除された日から5年を経過するまでは、新たな登録を受けることができない。
- 宅地建物取引業者(甲県知事免許)に勤務する宅地建物取引士(甲県知事登録)が、乙県に住所を変更するとともに宅地建物取引業者(乙県知事免許)に勤務先を変更した場合は、乙県知事に登録の移転の申請をしなければならない。
- 宅地建物取引業者(甲県知事免許)に勤務する宅地建物取引士(甲県知事登録)が、乙県知事に登録の移転の申請をするとともに宅地建物取引士証の交付の申請をした場合は、乙県知事は、登録後、移転申請前の宅地建物取引士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする宅地建物取引士証を交付しなければならない。
正解:4
1 誤り
以下の理由で免許を取り消された宅建業者は、取消しの日から5年間、宅建士として登録を受けることができません。
- 不正の手段により免許を受けたとき
- 業務停止処分事由に該当し情状が特に重いとき
- 業務停止処分に違反したとき
免許を取り消された法人業者の役員であったものも同様です(宅建業法18条1項3号、66条1項8号、9号)。さらに、取消処分に係る聴聞の期日・場所の公示日からさかのぼって60日以内に法人の役員であった者も、同様の扱いを受けます。
しかし、本肢で問われているのは、「役員ではない従業者であった者」です。過去に勤務していた宅建業者が免許取消処分を受けたとしても、その法人の役員でなかった以上、宅建士登録における欠格要件には該当しません。したがって、宅建士登録を受けることが可能です。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R01-44-1 | 業務停止の処分に違反したとして宅地建物取引業の免許の取消しを受けた法人の政令で定める使用人であった者は、当該免許取消しの日から5年を経過しなければ、登録を受けることができない。 | × |
2 | 23-29-1 | 不正手段で免許を取得したとして免許取消しを受けた法人の役員でない従業者→5年間は宅建士登録を受けることができない。 | × |
3 | 15-33-4 | 営業保証金を供託しないことを理由に免許が取消された場合、役員の宅建士登録も消除される。 | × |
4 | 14-35-2 | 不正手段で免許を取得したとして免許取消しを受けた法人の役員→宅建士登録を消除される。 | ◯ |
5 | 09-32-3 | 法人業者が不正手段による免許取得を理由に免許を取り消された場合、聴聞の期日・場所の公示の前日にその法人の役員であった者→5年間は宅建士登録を受けることができない。 | ◯ |
6 | 08-42-1 | 宅建業に関し不正な行為をして業務停止処分を受けた法人において、処分に係る聴聞の公示の日前60日以内に役員であった者→5年間は宅建士登録を受けることができない。 | × |
7 | 06-36-4 | 宅建業者でもある宅建士Aが不正の手段により宅建業の免許を取得したとして、免許を取り消されたときは、Aは、届出の必要はない。 | × |
8 | 05-38-1 | Aが役員をしている宅建業者B社が、不正手段により宅建業の免許を受けたとして免許を取り消されても、Aは、宅建士証の交付を受けていなければ、宅建士登録を消除されることはない。 | × |
9 | 04-36-2 | 3年前に法人業者が不正の手段により宅建業の免許を受けたとして免許を取り消されたとき、政令で定める使用人であった者→宅建士登録を受けることができない。 | × |
10 | 04-36-3 | 6月前に宅建業法に違反したとして1年間の業務停止処分を受けた法人の取締役→宅建士登録を受けることができない。 | × |
11 | 04-36-4 | 3年前に引き続き1年以上宅建業を休止したとして免許を取り消された業者で、聴聞の期日・場所の公示の日の30日前に退任した取締役→宅建士登録を受けることができない。 | × |
12 | 01-41-4 | 不正の手段により免許を取得したとして、免許を取り消された者→宅建士登録を受けることができない。 | ◯ |
関連過去問 | |||
1 | 02-37-2 | 宅建業者B社が、不正の手段により免許を受けたとして、平成元年7月1日甲県知事から免許の取消処分の聴聞の期日及び場所を公示され、聴聞の期日前に相当の理由なく合併により消滅した場合、同年6月1日まで同社の取締役であったCは、同年10月に登録を受けることができない。 | ◯ |
2 誤り
傷害罪により罰金刑に処せられ、登録を消除された場合、再び登録を受けることができるのは、「刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日」から5年経過したときです(宅建業法18条1項7号)。
「登録が消除された日から5年」では、短過ぎます。
※罰金刑を科せられたことが欠格要件となるのは、以下の犯罪です。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 23-29-2 | 傷害罪により罰金刑に処せられた場合、登録消除から5年経過しないと、新たに登録を受けることができない。 | × |
2 | 15-33-3 | 宅建業法に違反し、懲役刑には執行猶予あり、罰金刑には執行猶予なし→猶予期間満了の翌日から登録可能。 | × |
3 | 12-33-2 | 過失傷害罪により罰金刑に処せられた場合、登録消除を申請しなければならず、登録消除から5年経過しないと、新たに登録を受けることができない。 | × |
4 | 08-42-3 | 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反して、罰金の刑に処せられ罰金を納付した宅地建物取引士は、その日から60日以内に、その旨を登録をしている都道府県知事に届け出なければならない。 | × |
5 | 06-36-3 | 背任罪を犯して罰金刑に処せられた場合は、届出の必要はない。 | × |
6 | 05-38-2 | 宅建士が無免許で宅地の売買の媒介を数回行った場合、その登録を消除されることがある。 | ◯ |
7 | 05-38-4 | 業務上過失傷害罪により罰金刑に処せられた場合、登録消除されることはない。 | ◯ |
8 | 01-37-2 | 暴行罪により科料刑に処せられた場合、知事は、登録消除しなければならない。 | × |
3 誤り
本肢の宅建士は甲県知事の登録を受けていますが、今後は、乙県知事免許の宅建業者に勤務先を変更しました。したがって、登録の移転をすることができます(宅建業法19条の2)。
しかし、登録の移転は、あくまで、「必要であればできる」という任意の手続きに過ぎません。本肢のいうように、「登録の移転の申請をしなければならない」というものではありません。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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登録移転の義務?(他県で業務に従事) | |||
1 | 30-42-2 | 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士は、乙県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事しようとするときは、乙県知事に対し登録の移転の申請をし、乙県知事の登録を受けなければならない。 | × |
2 | 29-37-2 | 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士Aは、乙県に主たる事務所を置く宅地建物取引業者Bの専任の宅地建物取引士となる場合、乙県知事に登録を移転しなければならない。 | × |
3 | 23-29-3 | 登録地以外の県の宅建業者に勤務先を変更した場合、登録の移転をしなければならない。 | × |
4 | 19-31-1 | 登録地以外の県の事務所に転勤した場合、登録の移転をしなければならない。 | × |
5 | 16-34-1 | 登録地以外の県の宅建業者に就職する場合、登録の移転をしなければならない。 | × |
6 | 10-44-3 | 登録地以外の県に転職した場合、登録の移転をしなければならない。 | × |
7 | 08-39-4 | [甲県に本店を、乙県に支店を設けて国土交通大臣免許を受けている宅地建物取引業者Aは、甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士Bを本店の専任の宅地建物取引士として従事させている。]Aが本店を廃止し、乙県内にのみ事務所を有することとなった場合には、Aは乙県知事を経由して国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならないが、Bは乙県知事に登録の移転の申請をする必要はない。 | × |
8 | 07-38-1 | 甲県知事登録の宅建士が、乙県の支店に従事する場合、2週間以内に登録の移転をしなければならない。 | × |
登録移転の義務?(宅建士の住所移転) | |||
1 | 10-44-1 | 住所変更の場合、登録の移転をしなければならない。 | × |
2 | 08-42-2 | 住所変更の場合、登録の移転をしなければならない。 | × |
登録移転の義務? | |||
1 | 11-45-3 | 登録の移転をしなくても、登録地以外の事務所で勤務することができる。 | ◯ |
登録移転の可否(宅建士の住所移転) | |||
1 | 29-30-1 | 宅地建物取引士A(甲県知事登録)が、甲県から乙県に住所を変更したときは、乙県知事に対し、登録の移転の申請をすることができる。 | × |
2 | 21-29-4 | 住所変更を理由に登録の移転ができる。 | × |
3 | 14-35-1 | 住所変更を理由に登録の移転ができる。 | × |
4 | 11-45-1 | 住所変更を理由に登録の移転ができる。 | × |
5 | 03-36-3 | 住所変更の場合、転居先の県に登録の移転を申請することができる。 | × |
事務禁止期間中の登録の移転 | |||
1 | 18-32-2 | 事務禁止処分中であっても登録の移転をすることができる。 | × |
2 | 15-33-2 | 事務禁止処分を受けた宅建士も、事務禁止処分が満了すれば登録の移転ができる。 | ◯ |
3 | 02-37-1 | 事務禁止処分を受けた宅建士も、事務禁止処分が満了すれば、勤務地の知事に、登録移転が可能。 | ◯ |
4 正しい
登録の移転の申請とともに宅建士証の交付の申請があったときは、移転後の知事は、登録移転前の宅建士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする宅建士証を交付します(宅建業法22条の2第5項)。
※「交付日から5年」、「申請の日から5年」というヒッカケに注意しましょう。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 28-38-ア | 登録の移転の申請をしたときは、移転後新たに5年を有効期間とする宅建士証の交付を受けることができる。 | × |
2 | 23-29-4 | 登録の移転申請とともに宅建士証交付の申請をした場合、移転後の知事は、移転申請前の宅建士証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする宅建士証を交付しなければならない。 | ◯ |
3 | 20-30-2 | 登録の移転後であっても、移転前の宅建士証(有効期間内)を用いて宅建士としてすべき事務を行うことができる。 | × |
4 | 13-32-4 | 登録を移転したときには、移転前の都道府県知事から交付を受けた宅建士証を用いて引き続き業務を行うことができる。 | × |
5 | 10-30-1 | 登録の移転とともに宅建士証の交付を受けたとき、新たな宅建士証の有効期間は、交付日から5年となる。 | × |
6 | 04-38-2 | 登録の移転の申請をした場合、移転後の宅建士証の有効期間は、移転申請の日から5年となる。 | × |
7 | 02-39-3 | 登録の移転を受けた者は、移転後の知事から宅建士証の交付を受けなければ、宅建士の業務を行うことができない。 | ◯ |
8 | 01-40-4 | 登録の移転をしたとき、登録移転前に交付を受けていた宅建士証は効力を失う。 | ◯ |
15000円の基礎講座についてですが、テキストはダウンロードできるということですよね?
映像は10月15以降はみれないということでしょうか?
映像はダウンロードできますか?
R32SKYLINEGTR様
家坂です。
弊社(ビーグッド教育企画)では、「15000円の基礎講座」に該当するような講座を販売しておりません。
発売元などをよく確認して、そちらにお問い合わせください
先生に質問です
以前サイトで過去問以外で教材を作ってますと予告されたと思います
過去問以外でテキストみたいな基本知識習得するためのDVD教材も発売される予定ありますか?
先生の解説冊子やDVDは自分の中で一番使いやすくて分かりやすいので
でてたらとっくに買ってました・・・
R32SKYLINEGTR様
大変お待たせしました。
ようやく基本講座の御案内ができるようになりました。
http://begood.shop-pro.jp/?mode=cate&cbid=1752188&csid=2
過去の本試験問題(28年分)を選択肢別に分類・整理し、それらのデータを基礎に作成された対策講座です。
【Step.1】基本習得編講座では、知識を体系的にお話します。
【Step.2】実戦応用編講座では、一問一答式の選択肢別過去問集を解いた上で解説講義を聞いてください。これにより、「ヒッカケの見破り方」など試験問題の解法を身に付けることができます。
サンプル動画やサンプル教材がありますので、ぜひとも御覧ください。
家坂先生
いつもサイトで勉強させていただいております。
問題の趣旨とは異なりますが、4ですが、甲県知事免許の業者に勤務する宅建士(甲県登録)が、乙県の業者に勤務するわけではないのに、登録の移転申請できるでしょうか?
宜しくお願いいたします。
hirosox様
家坂です。
御質問ありがとうございます。
意識していなかったのですが、指摘されてみるとおかしな問題ですね。
宅建業者が甲県知事免許である以上、乙県内には事務所がない。
したがって、社内の異動があったとしても、
「当該登録をしている都道府県知事の管轄する都道府県以外の都道府県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事し、又は従事しようとするとき」(宅建業法19条の2本文)
という登録の移転の要件をみたしません。
かといって、この問題に関していえば、肢4以外を正解にするのも一層の無理筋です。
「登録の移転をすることができる」
状況であったことを前提に、整合性がとれるように理解するしかありません。
宅建業者(乙県知事免許)への転職が決まったとか、そういうことではないでしょうか。
(以下は蛇足)
出題のプロセスを想像するに、肢3と肢4との間で、
「どの論点をどちらの肢に割り振る。」
「どちらを正解にする。」
という調整を行ったんでしょうね。
その結果、「(甲県知事免許)」という文字が、意味なく残ってしまった。
そんなところではないでしょうか?
家坂先生
ありがとうございます。
先生の解説の通りに理解しておきます。