【宅建過去問】(平成23年問37)8つの規制


宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結する建築工事完了後の建物の売買契約に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. 当該契約の締結に際し、BがA社に手付金を支払い、さらに中間金を支払った場合、Bは、A社が契約の履行に着手しないときであっても、支払った手付金を放棄して契約の解除をすることができない。
  2. 当該契約の締結に際し、A社がBから代金の額の10分の2の手付金を受領する場合には、当該手付金を受領するまでに、宅地建物取引業法第41条の2の規定に基づく保全措置を講じなければならない。
  3. 当該契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、違約金を定める場合、これらを合算した額について代金の額の10分の1とする旨の特約を定めることができる。
  4. 当該契約において、Bが瑕疵担保責任に基づく請求をすることができる期間として、Bが瑕疵を発見した時から2年間とする旨の特約を定めることができる。

正解:1

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1 誤り

手付の授受があった場合、相手方が履行に着手するまで、買主は手付を放棄し、売主は手付の倍額を償還することで、契約を解除することができます(宅建業法39条2項。最判昭40.11.24)。

本肢のBは、中間金を支払うことにより、履行に着手しています。一方、A社はいまだ履行に着手していません。したがって、Bの側からは手付の放棄による契約の解除が可能です。

※Bが履行に着手している以上、Aの側からは、手付倍返しによる解除をすることはできません。

■類似過去問
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手付解除ができる期間(宅建業法[18]3(3))
 年-問-肢内容正誤
128-34-3
売主である宅建業者は、買主から手付放棄による契約の解除の通知を受けたとしても、すでに所有権の移転登記を行い引渡しも済んでいる場合は、そのことを理由に当該契約の解除を拒むことができる。
226-31-ウ「手付解除は契約後30日以内」と定めた場合、契約から30日経過したときは、売主が履行に着手していなかったとしても、買主は手付解除ができない。×
323-37-1手付金+中間金を支払った買主からの手付解除は不可。×
422-39-4手付金+内金を受け取った売主からの手付解除は不可。
522-40-3「売主の着手後も買主からの手付解除が可能」という特約は無効。×
621-37-2[自らが売主である宅地建物取引業者Aと、宅地建物取引業者でないBとの間での売買契約]AとBが締結した建物の売買契約において、Bが手付金の放棄による契約の解除ができる期限について、金融機関からBの住宅ローンの承認が得られるまでとする旨の定めをした。この場合において、Aは、自らが契約の履行に着手する前であれば、当該承認が得られた後は、Bの手付金の放棄による契約の解除を拒むことができる。×
721-39-1両者未着手の段階で、買主からの手付解除を拒む売主の行為は、宅建業法に違反しない。×
819-43-4解約手付の定めがない場合、売主の着手前であっても、買主は手付放棄による解除ができない。×
918-40-4引渡債務の履行に着手した売主が買主の手付解除を拒否しても宅建業法に違反しない。
1014-40-2買主が代金の一部支払後、売主からの手付解除は不可。
1109-39-2解約手付と定めていなくても、売主が履行に着手していなければ、買主は手付解除ができる。
1209-39-3「手付解除は契約後30日以内」と定めた場合、契約から45日経過したときであっても、売主が履行に着手していなければ、買主は手付解除ができる。
1308-49-4「引渡しがあるまで、いつでも手付解除が可能」という特約がある場合、買主は、売主が履行に着手していても、手付解除できる。
1404-44-3「売主が履行完了するまで、買主は手付解除ができる」という特約は、宅建業法に違反しない。
1503-49-3売主が手付金等保全措置を講じた後は、買主から手付解除をすることができない。×

2 正しい

建築工事完了後の物件に関する売買契約なので、代金の10%(10分の1)又は1,000万円を超える手付金等につき、保全措置が必要です(宅建業法41条の2第1項、同法施行令3条の3)。
本肢では、「代金の額の10分の2」の手付金を受領しようというのですから、保全措置を講じなければなりません。
そして、この保全措置は、手付金等を受領する前に講じる必要があります。

■類似過去問
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保全措置が不要な場合(完成物件)(宅建業法[19]3(1))
 年-問-肢内容正誤
130-38-1[宅地建物取引業者である売主は、宅地建物取引業者ではない買主との間で、戸建住宅の売買契約(所有権の登記は当該住宅の引渡し時に行うものとする。)を締結した。]当該住宅が建築工事の完了後で、売買代金が3,000万円であった場合、売主は、買主から手付金200万円を受領した後、当該住宅を引き渡す前に中間金300万円を受領するためには、手付金200万円と合わせて保全措置を講じた後でなければ、その中間金を受領することができない。
228-28-イ代金4,000万円/手付金400万円→保全措置を講じることなく受領。
324-34-ア代金2,000万円/手付金200万円・中間金100万円→中間金受領後に保全措置。×
424-34-イ代金2,000万円/代金に充当される申込証拠金10万円・手付金200万円→保全措置を講じた上で手付金を受領。
524-38-ウ代金3,000万円/手付金300万円→保全措置を講じなければ受領できない。×
623-37-2代金の10分の2の手付金→受領するまでに保全措置が必要。
720-41-2代金5,000万円/手付金700万円→保全措置を講じずに受領できる。×
817-42-1代金4,000万円/手付金400万円→保全措置を講じずに受領できる。
917-42-2代金4,000万円/手付金100万円・中間金600万円→中間金のみ保全措置を講じればよい。×
1015-38-2手付金20%→保全措置を講じた上で受領。
1114-40-3手付が代金の1/10を超え、かつ、1,000万円を超える→いかなる場合も保全措置が必要。×
1209-44-1手付金が代金の10%を超えるが、営業保証金の額の範囲内→保全措置は不要。×
1309-44-4手付金が本体価額(税引価格)の10%を超えるが、売買代金(税込価格)の10%以下→保全措置は不要。
1404-41-1代金4,500万円/手付金400万円・中間金2000万円→中間金のみ保全措置を講じればよい。×
1502-42-4代金1億円/手付金900万円・中間金4,100万円/引渡し・登記の移転は中間金の支払いと同時→保全措置なしで、手付金を受領できない。×
1601-42-2代金12,000万円/手付金1,500万円・中間金4,500万円・残代金6,000万円/引渡し・登記移転は中間金の支払いと同時 →手付金の受領前に保全措置が必要。
保全措置と受領の順序(宅建業法[19]4(2))
 年-問-肢内容正誤
128-28-ア
中間金受領後に、保全措置。
×
227-40-イ
代金3,000万円/手付金300万円。手付金等について保証保険契約を締結して、手付金を受領し、後日保険証券を交付した。×
324-34-ア受領後に保全措置。×
423-37-2完成物件につき代金の20%の手付金を受領する前に保全措置。
522-41-エ受領後遅滞なく保全措置を講じる旨を買主に説明した上で、保全措置なしに手付金を受領。×
615-41-3手付金受領後直ちに、保全措置。×
709-44-2手付金受領後すみやかに、保全措置。×
803-49-1手付金受領後1週間以内に、保全措置。×

3 正しい

損害賠償の予定額と違約金の額を合算した額代金の20%(10分の2)を超えることは禁止されています(宅建業法38条1項)。
しかし、本肢の特約は、損害賠償の予定額と違約金の合計を「代金の10分の1」とするものです。これは、宅建業法が認めた範囲内なので、特約は有効です。

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損害賠償額の予定(予定額の上限)(宅建業法[17]2(1))
 年-問-肢内容正誤
130-29-2
[Aは、Bとの間で、Aが所有する建物を代金2,000万円で売却する売買契約を締結した。]A及びBがともに宅地建物取引業者である場合において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除があったときの損害賠償の額を600万円とする特約を定めた。
229-31-ウ
宅地建物取引業者Aは、宅地建物取引業者でないBとの間で、当事者の債務不履行を理由とする契約解除に伴う違約金について300万円とする特約を定めた場合、加えて、損害賠償の予定額を600万円とする特約を定めることができる。×
328-28-エ
損害賠償の予定額を25%とする特約が可能。
×
427-36-ア損害賠償20%+違約金10%とする特約は、全体として無効。×
525-38-イ損害賠償の予定額と違約金の合計額を20%とする特約は有効。
624-38-イ損害賠償10%+違約金20%の特約をした場合、違約金については全て無効。×
723-37-3損害賠償+違約金で10%の特約が可能。
822-39-2損害賠償20%+違約金10%の特約が可能。×
922-40-2損害賠償15%+違約金15%の特約が可能。×
1021-37-1手付金5%+損害賠償15%の特約は不可。×
1120-40-2売主の違約金30%の特約が可能。×
1218-39-2損害賠償+違約金が20%を超える特約は不可。
1317-43-2損害賠償40%とする特約が可能。×
1415-38-4損害賠償+違約金で33%の特約は違法。
1512-40-4代金の20%の手付金を違約手付とする特約を定めた場合、別途損害賠償の予定を定めることができる。×
1610-36-2損害賠償を20%と予定した場合、違約金を定めることはできない。
1708-46-3損害賠償を10%と予定しても、実際の損害が大きければ20%まで請求できる。×
1807-43-2損害賠償の予定額20%、別に違約金10%という特約をすることはできない。
1907-45-4損害賠償の予定額として、手付の5%に加え、20%を支払うという特約は有効である。×
2005-43-2違約金20%とする特約が可能。
2104-44-4違約金と損害賠償額の予定を合わせて20%超でも、宅建業法に違反しない。×

4 正しい

宅建業者は、自ら売主となる売買契約において、瑕疵担保責任につき、民法よりも買主に不利な内容の特約をすることができません。例外は、瑕疵担保期間を「引渡しの日から2年間」とする場合に限られます(宅建業法40条1項)。
本肢の特約は、瑕疵担保を負う期間を「瑕疵の発見から2年以内」とするものであり、民法の規定(瑕疵の発見から1年以内。民法571条、566条3項)よりも、むしろ買主に有利な内容です。したがって、このような特約は有効とされます。

■類似過去問
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瑕疵担保責任を負う期間(宅建業法[16]2(1)②)
 年-問-肢内容正誤
130-29-4[Aは、Bとの間で、Aが所有する建物を代金2,000万円で売却する売買契約を締結した。]Aは宅地建物取引業者であるが、Bは宅地建物取引業者ではない場合において、本件契約の目的物である建物の瑕疵を担保すべき責任に関し、契約の解除又は損害賠償の請求は目的物の引渡しの日から1年以内にしなければならないものとする旨の特約を定めた。×
229-27-ア売買契約において、瑕疵担保責任を負う期間を引渡しの日から2年間とする特約を定めた場合、その特約は無効となる。×
329-27-イ売買契約において、売主の責めに帰すべき事由による瑕疵についてのみ引渡しの日から1年間担保責任を負うという特約を定めた場合、その特約は無効となる。
427-34-2「引渡しから1年」という特約は無効で、「引渡しから2年」となる。×
527-39-4引渡しを売買契約締結の1月後とし、瑕疵担保責任を負う期間を契約日から2年間とする特約を定めることができる。×
626-31-ア「引渡しから3年」とする特約は無効。×
725-38-ア宅地建物取引業者A社は、宅地建物取引業者でないBとの間で締結した中古住宅の売買契約において、引渡後2年以内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の瑕疵についてのみ責任を負うとする特約を定めることができる。×
824-39-3「引渡しから2年」という特約は有効。
923-37-4「瑕疵発見から2年」という特約は有効。
1022-40-1「引渡しから3年」という特約は有効。
1121-40-4「引渡しから2年」という特約は有効。
1220-40-4「引渡しから2年かつ瑕疵発見から30日」という特約は有効。×
1317-42-3「契約締結から2年」という特約は有効。×
1415-41-4「引渡しから1年」という特約は無効で、「引渡しから2年」となる。×
1514-41-1「引渡しから半年」という特約は有効。×
1612-40-1「引渡しから1年」という特約は無効で、「瑕疵発見から1年」となる。
1711-33-3「引渡しから2年、買主の知っている瑕疵は担保しない」という特約は有効。
1810-36-4損害賠償額を予定した場合、「瑕疵担保期間は引渡しから1年」という特約は有効。×
1909-41-1「引渡しから2年の期間内、契約を解除できないが、損害賠償を請求できる」旨の特約は無効。
2009-41-3「契約締結から2年、その期間内に瑕疵修補請求権も行使できる」という特約は有効。×
2109-41-4「引渡しから1年」という特約は無効で、「引渡しから2年」となる。×
2208-48-2「引渡しから1年」という特約は業者間では有効だが、業者以外を売主・業者を買主とする売買契約では無効。×
2307-43-1「引渡しから2年」という特約をしたときでも、瑕疵発見から1年は瑕疵担保責任を負う。×
2407-45-1「瑕疵発見から1年半」という特約は有効。
2506-43-1「瑕疵の事実を知ってから1年」と定めても、「引渡しから2年」は責任を負う。×

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