【宅建過去問】(平成25年問02)未成年者

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未成年者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. 父母とまだ意思疎通することができない乳児は、不動産を所有することができない。
  2. 営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには、父母双方がいる場合、父母のどちらか一方の同意が必要である。
  3. 18歳になれば婚姻することができるが、父母双方がいる場合には、必ず父母双方の同意が必要である。
  4. Aが死亡し、Aの妻Bと嫡出でない未成年の子CとDが相続人となった場合に、CとDの親権者である母EがCとDを代理してBとの間で遺産分割協議を行っても、有効な追認がない限り無効である。

正解:4

1 誤り

「不動産を所有することができる」、すなわち、法的権利の主体となるためには、権利能力が必要です。
そして、権利能力を獲得するのは、出生の時とされています(民法3条1項)。つまり、乳児や幼児であろうと、この世に生まれ出た人は、全て権利能力を有しているのです。したがって、乳児であっても、不動産を所有することができます。父母と意思疎通できるかどうかは、結論に関係ありません。
※もちろん、乳幼児には、十分な行為能力がないため、自分自身の判断で取引をすることはできません。所有する不動産を売却するようなときには、法定代理人に頼ることになります。

■参照項目&類似過去問
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権利能力(民法[01]1(1))
年-問-肢内容正誤
1H25-02-1父母とまだ意思疎通することができない乳児は、不動産を所有することができない。×
2H17-01-3買主である団体Dが法律の規定に基づかずに成立した権利能力を有しない任意の団体であった場合、DがAとの間で売買契約を締結しても、当該土地の所有権はDに帰属しない。

2 誤り

営業を許可された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有します(民法6条1項)。例えば、古着の仕入れ販売に関する営業を許されたのであれば、その営業、すなわち古着の仕入れや販売については、成年者として扱うのです。つまり、単独で契約した場合でも、その契約は有効です。父母の同意は必要ありません。

■参照項目&類似過去問
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未成年者(民法[01]2)
年-問-肢内容正誤
1R04-03-4成年年齢は18歳であるため、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しない。
2R03-05-119歳の者は未成年であるので、携帯電話サービスの契約や不動産の賃貸借契約を1人で締結することはできない。×
3R03-05-3営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。×
4H28-02-1古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。
×
5H26-09-3未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。×
6H26-09-4成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。
7H25-02-2営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには、父母双方がいる場合、父母のどちらか一方の同意が必要である。
×
8H22-01-1土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになるので、未成年者が土地を売却するに当たっては、その法定代理人の同意は必要ない。
×
9H20-01-2未成年者は、営業を許されているときであっても、その営業に関するか否かにかかわらず、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。×
10H17-01-4自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方Bが未成年者であり、法定代理人から宅地建物取引業の営業に関し許可を得ている場合、Bは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。
×
11H14-02-3未成年者であっても、成年者を代理人とすれば、法定代理人の同意を得ることなく、土地の売買契約を締結することができ、この契約を取り消すことはできない。×
12H11-01-1満18歳に達した者は、成年とされる。
13H01-03-2A所有の土地が、AからB、BからCへと売り渡され、移転登記も完了している。Aは、Bに土地を売ったとき未成年者で、かつ、法定代理人の同意を得ていなかったので、その売買契約を取り消した場合、そのことを善意のCに対し対抗することができない。
×

3 誤り

18歳は、婚姻(結婚)が可能になる年齢です(民法731条)。そして、成人年齢でもあります(同法4条)。
したがって、18歳になった人は婚姻が可能で、その意思決定は、単独ですることができます。
父母の同意は必要ありません。

■参照項目&類似過去問
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婚姻適齢(民法[01]2)
年-問-肢内容正誤
1H25-02-318歳になれば婚姻することができるが、父母双方がいる場合には、必ず父母双方の同意が必要である。
×
2H11-01-2満15歳に達した者は、父母の同意を得て、婚姻をすることができる。×

4 正しい

一人の親権者が、数人の子に対して親権を行う場合、子の間で利益が相反する行為については、家庭裁判所に対して、特別代理人の選任を請求する必要があります(民法826条2項)。つまり、親権者が子の双方を代理することは許されません。

25-02-4

本肢におけるCとDは、遺産分割において、利害関係が対立します。このような場合に、親権者Eが共同相続人C・Dの双方を代理して遺産分割の協議をすると、例えば「Cに100%、Dは0%」というような偏った結論を出しかねません。つまり、双方を代理する行為は、利益相反行為なのです。したがって、親権者が共同相続人である数人の子を代理して遺産分割の協議をしたとしても、追認がない限り、無効です(最判昭48.04.24)。


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