【宅建過去問】(平成25年問44)宅建士(個数問題)
宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引士資格登録(以下この問において「登録」という。)、宅地建物取引士及び宅地建物取引士証に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
- ア 登録を受けている者は、登録事項に変更があった場合は変更の登録申請を、また、破産者となった場合はその旨の届出を、遅滞なく、登録している都道府県知事に行わなければならない。
- イ 宅地建物取引士証の交付を受けようとする者(宅地建物取引士資格試験合格日から1年以内の者又は登録の移転に伴う者を除く。)は、都道府県知事が指定した講習を、交付の申請の90日前から30日前までに受講しなければならない。
- ウ 宅地建物取引業法第35条に規定する事項を記載した書面への記名押印及び同法第37条の規定により交付すべき書面への記名押印については、専任の宅地建物取引士でなければ行ってはならない。
- エ 宅地建物取引士は、事務禁止処分を受けた場合、宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に速やかに提出しなければならないが、提出しなかったときは10万円以下の過料に処せられることがある。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- なし
正解:1
ア 誤り
■変更の登録
宅建士は、宅建士登録簿の登録事項に変更があった場合には、遅滞なく、変更の登録の申請をする必要があります(宅建業法20条)。
この点については、正しい記述です。
■死亡等の届出
宅建士が破産者となった場合、その日から30日以内に、本人が甲県知事にその旨を届け出なければなりません(同法21条2号 、18条1項3号)。
「30日以内」であって「遅滞なく」ではないので、本肢は、誤りです。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 25-44-ア | 登録を受けている者は、破産者となった場合はその旨の届出を、遅滞なく、登録している知事に行わなければならない。 | × |
2 | 15-33-1 | 宅建士が破産者で復権を得ないものに該当することとなったときは、破産手続開始の決定があった日から30日以内に宅建士の破産管財人が届け出なければならない。 | × |
3 | 06-36-1 | 宅建士が破産手続開始の決定を受けたときは本人が、届出しなければならない。 | ◯ |
4 | 04-46-2 | 宅建士は、破産の日から30日以内にその旨を、また、復権したときは速やかにその旨を、届け出なければならない。 | × |
5 | 03-35-1 | 宅建士が破産者となった場合、本人が、その日から30日以内に、届け出なければならない。 | ◯ |
イ 誤り
宅建士証の交付を受けようとする者は、登録をしている知事が指定する講習(法定講習)で交付の申請前6か月以内に行われるものを受講する必要があります(宅建業法22条の2第2項)。
本肢は、「交付の申請の90日前から30日前まで」とする点が誤りです。
※宅建試験に合格した日から1年以内に宅建士証の交付を受けようとする者は、講習の受講が免除されます。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 29-30-3 | 宅地建物取引士資格試験合格後18月を経過したC(甲県知事登録)が、甲県知事から宅地建物取引士証の交付を受けようとする場合は、甲県知事が指定する講習を交付の申請前6月以内に受講しなければならない。 | ◯ |
2 | 25-44-イ | 知事指定の講習を申請の90日前から30日前までに受講しなければならない。 | × |
3 | 23-28-4 | 合格後1年以内は知事指定の法定講習の受講不要。 | ◯ |
4 | 19-31-3 | 国交大臣指定の法定講習を受講しなければならない。 | × |
5 | 18-32-3 | 知事指定の法定講習で申請前1年以内のものを受講しなければならない。 | × |
6 | 14-31-3 | 知事指定の法定講習を受講すれば、宅建士証の更新を申請せずに宅建士の事務を行っても、宅建業法に違反しない。 | × |
7 | 11-31-3 | 知事指定の法定講習で有効期間満了前1年以内のものを受講しなければならない。 | × |
8 | 10-30-4 | 申請前6月以内に行われる国交大臣指定の法定講習を受講しなければならない。 | × |
9 | 06-49-1 | 宅建士が宅建士証の有効期間満了前に知事指定の講習を受けることができず、宅建士証の有効期間を更新することができなかった場合、受講できなかったことに特別の事情があるとしても、有効期間満了後は、宅建士の業務を行うことはできない。 | ◯ |
10 | 04-38-1 | 実務経験が2年以上あれば、知事指定の法定講習を受講する必要はない。 | × |
11 | 02-39-1 | 国土交通大臣指定の法定講習で、申請前6月以内に行われるものを受講しなければならない。 | × |
12 | 01-40-3 | 宅建士証の交付後、6月以内に法定講習を受けなければ、宅建士証は効力を失う。 | × |
ウ 誤り
重要事項説明書(35条書面)にも、契約書面(37条書面)にも、宅建士の記名・押印が必要です(宅建業法35条5項、37条3項)。
しかし、ここで要求されているのは、あくまで、「宅建士」であることです。「専任宅建士」である必要はありません。
※35条書面と37条書面の記名・押印者が同一である必要もありません。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-34-4 | 宅地建物取引業者は、その媒介により契約を成立させ、37条書面を作成したときは、法第35条に規定する書面に記名押印した宅地建物取引士をして、37条書面に記名押印させなければならない。 | × |
2 | 27-29-4 | 重要事項の説明を行う宅建士は専任の宅建士でなくてもよいが、書面に記名押印する宅建士は専任の宅建士でなければならない。 | × |
3 | 26-35-3 | 宅建士証の有効期間が満了している場合、35条書面に記名押印できるが、取引の相手方に対し説明はできない。 | × |
4 | 25-44-ウ | 35条書面・37条書面の記名押印者は、専任の宅建士でなければならない。 | × |
5 | 23-34-4 | 37条書面に記名押印する宅建士は、35条書面に記名押印した宅建士と同じである必要はない。 | ◯ |
6 | 22-37-4 | 37条書面に記名押印する宅建士は、35条書面と同一の者でなければならない。 | × |
7 | 19-40-1 | 35条書面・37条書面のいずれの交付に際しても、宅建士の記名押印と内容説明が必要である。 | × |
8 | 18-36-4 | 建物の貸借の媒介であっても、宅建士は35条書面に記名押印する必要がある。 | ◯ |
9 | 14-38-1 | 35条書面には宅建士が記名押印したが、37条書面には宅建士でない従業者が宅建士名義で記名押印しても、宅建業法に違反しない。 | × |
10 | 14-38-4 | 35条書面に記名押印した宅建士と別の宅建士が37条書面に記名押印しても、宅建業法に違反しない。 | ◯ |
11 | 10-39-2 | 複数の宅建業者が媒介した場合、いずれかの業者の宅建士が記名押印すればよい。 | × |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R01-34-4 | 宅地建物取引業者は、その媒介により契約を成立させ、37条書面を作成したときは、法第35条に規定する書面に記名押印した宅地建物取引士をして、37条書面に記名押印させなければならない。 | × |
2 | 30-29-1 | [Aは、Bとの間で、Aが所有する建物を代金2,000万円で売却する売買契約を締結した。]A及びBがともに宅地建物取引業者である場合において、Aは、本件契約の成立後、法第37条の規定により交付すべき書面を作成し、記名押印は宅地建物取引士ではない者が行い、これをBに交付した。 | × |
3 | 28-30-4 | 宅建業者は、宅建士をして37条書面に記名押印させなければならないが、書面の交付は宅建士でない従業者に行わせることができる。 | ◯ |
4 | 28-42-3 | 宅建業者Aは、自ら売主として、宅建業者Dの媒介により、宅建業者Eと宅地の売買契約を締結した。Dが宅建士をして37条書面に記名押印させている場合、Aは宅建士をして当該書面に記名押印させる必要はない。 | × |
5 | 26-40-イ | 37条書面の交付に当たり、宅建士をして、書面に記名押印の上、内容を説明させなければならない。 | × |
6 | 26-42-イ | 媒介により、事業用宅地の定期賃貸借契約を公正証書によって成立させた場合、公正証書とは別に37条書面を作成して交付するに当たって、宅建士をして記名押印させる必要はない。 | × |
7 | 25-36-3 | 37条書面に宅建士が記名押印し、宅建士でない従業員が交付しても、宅建業法に違反しない。 | ◯ |
8 | 25-44-ウ | 35条書面・37条書面の記名押印者は、専任の宅建士でなければならない。 | × |
9 | 23-34-4 | 37条書面に記名押印する宅建士は、35条書面に記名押印した宅建士と同じである必要はない。 | ◯ |
10 | 22-37-1 | 37条書面に宅建士が記名押印すれば、交付を宅建士でない代表者・従業員が行ってもよい。 | ◯ |
11 | 22-37-2 | 37条書面を公正証書で作成する場合、宅建士の記名押印は不要である。 | × |
12 | 22-37-4 | 37条書面に記名押印する宅建士は、35条書面に記名押印した宅建士と同一の者でなければならない。 | × |
13 | 21-35-1 | 37条書面には、法人の代表者が記名・押印しなければならない。 | × |
14 | 21-36-1 | 宅建士が37条書面を作成、記名押印したが、買主への交付は宅建士でない従業者が行った場合、宅建業法に違反しない。 | ◯ |
15 | 19-40-1 | 35条書面・37条書面のいずれの交付に際しても、宅建士の記名押印と内容説明が必要である。 | × |
16 | 18-36-3 | 業者間取引であっても、37条書面に宅建士をして記名押印させなければならない。 | ◯ |
17 | 17-39-3 | 宅建士が記名押印した契約書面を交付すれば、説明の必要はない。 | ◯ |
18 | 17-40-2 | 37条書面には、専任でない宅建士が記名押印してもよい。 | ◯ |
19 | 15-37-1 | 37条書面に宅建士が署名すれば、押印は省略できる。 | × |
20 | 14-38-1 | 35条書面には宅建士が記名押印したが、37条書面には宅建士でない従業者が宅建士名義で記名押印しても、宅建業法に違反しない。 | × |
21 | 14-38-4 | 35条書面に記名押印した宅建士と別の宅建士が37条書面に記名押印しても、宅建業法に違反しない。 | ◯ |
22 | 10-43-4 | 宅建業者は、宅建士をして37条書面に記名押印させなければならず、違反すると指示処分を受け、罰金に処せられることがある。 | ◯ |
23 | 08-38-3 | 37条書面に専任でない宅建士をして記名押印させた。 | ◯ |
24 | 05-37-3 | 37条書面には宅建士の記名押印が必要で、建物賃貸借の媒介でも省略できない。 | ◯ |
エ 正しい
宅建士が事務禁止処分を受けた場合には、速やかに、宅建士証を交付者である知事に提出する義務を負います(宅建業法22条の2第7項)。
この義務を怠った場合、10万円以下の過料に処せられることがあります(同法86条)。
※登録を受けた知事以外の知事から事務禁止処分を受けた場合でも、提出先は、登録を受けた知事です。「処分をした知事に提出」というヒッカケに注意しましょう。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 30-32-4 | 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士が、乙県知事から事務の禁止の処分を受けた場合は、速やかに、宅地建物取引士証を乙県知事に提出しなければならない。 | × |
2 | 30-42-3 | 宅地建物取引士は、事務禁止の処分を受けたときは宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなくてよいが、登録消除の処分を受けたときは返納しなければならない。 | × |
3 | 25-44-エ | 事務禁止処分を受けた場合、宅建士証を提出しなければならず、提出しなかったときは10万円以下の過料に処せられる | ◯ |
4 | 14-35-3 | 勤務先の宅建業者が業務停止処分を受けた場合、宅建士は速やかに、宅建士証を交付を受けた知事に提出しなければならない | × |
5 | 13-32-3 | 宅建士は、事務禁止処分を受けたときは、2週間以内に、宅建士証を処分を行った知事に提出しなければならない | × |
6 | 11-31-2 | 甲県登録の宅建士が、乙県知事から事務禁止処分を受けたとき、1週間以内に乙県知事に宅建士証を提出しなければならない | × |
7 | 10-30-2 | 甲県登録の宅建士が、乙県知事から事務禁止処分を受けたときは、速やかに、宅建士証を乙県知事に提出しなければならない | × |
8 | 03-35-3 | 甲県登録の宅建士が、乙県知事から事務禁止処分を受けたときは、速やかに乙県知事に宅建士証を提出しなければならない | × |
9 | 02-39-2 | 事務禁止処分を受けた場合、速やかに、宅建士証を処分をした知事に提出しなければならない | × |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 25-44-エ | 事務禁止処分を受けた場合、宅建士証を提出しなければならず、提出しなかったときは10万円以下の過料に処せられる | ◯ |
2 | 25-30-2 | 重要事項説明時、請求がなくても宅建士証を提示する必要があり、提示しないと宅建業者が20万円以下の罰金に処せられる | × |
3 | 06-37-1 | 取引関係者から請求されても宅建士証を提示しない場合、10万円以下の過料に処せられる | × |
まとめ
以上より、正しい記述はエの1つだけです。正解は、肢1。
肢アの解説表ですが、届け出事由に、
・成年者と同一の行為能力を有しない未成年者になった場合
・一定の事由により免許を取り消された場合
・暴力団員等になった場合
は必要無いでしょうか。(他テキストに記載有り)
もちろんそれらも「死亡等の届出」をすべき場合に該当します。
しかし、当サイトや当社の教材が目指しているのは、
「最小限の努力で合格できる。」
ということです。
その観点から、過去の出題がなく、将来の出題の可能性も低いものは、省略していることもあります。
網羅的な概説書を指向するものではありませんので、その旨を御理解のうえ、当サイトを御利用ください。
細かい知識が必要であれば、宅建業法21条を御確認ください。