【宅建過去問】(平成26年問03)時効・即時取得
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- 売買契約に基づいて土地の引渡しを受け、平穏に、かつ、公然と当該土地の占有を始めた買主は、当該土地が売主の所有物でなくても、売主が無権利者であることにつき善意で無過失であれば、即時に当該不動産の所有権を取得する。
- 所有権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは消滅し、その目的物は国庫に帰属する。
- 売買契約の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の買主の売主に対する担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する。
- 20年間、平穏に、かつ、公然と他人が所有する土地を占有した者は、占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず、当該土地の所有権を取得する。
正解:3
1 誤り
即時取得の対象は、動産に限られます(民法192条)。不動産を即時取得することは不可能です。
※即時取得というのは、「第三者の所有する動産であっても、それが売主の物であると信じて購入した買主は、一定の要件のもと所有権を取得する」という制度です(民法192条)。例えば、A所有のDVDソフトを借りて占有していたBが、それをCに転売したとしましょう。この場合、Cが①平穏・公然と動産の占有を始め、かつ、②Bが無権利者であることに善意無過失であったとすれば、Cは、DVDソフトの所有権を即時に取得することになります。
※不動産の場合は、取得時効が成立する20年後又は10年後まで所有権は移転しません。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | 26-03-1 | 売買契約に基づいて土地の引渡しを受け、平穏・公然と占有を始めた買主は、売主が無権利者であることにつき善意無過失であれば、即時に不動産の所有権を取得する。 | × |
2 | 24-02-2 | 法人について即時取得の成否が問題となる場合、当該法人の代表機関が代理人によって取引を行ったのであれば、即時取得の要件である善意・無過失の有無は、当該代理人を基準にして判断される。 | ◯ |
3 | 19-03-1 | Aと売買契約を締結したBが、平穏かつ公然と甲土地の占有を始め、善意無過失であれば、甲土地がAの土地ではなく第三者の土地であったとしても、Bは即時に所有権を取得することができる。 | × |
2 誤り
所有権が時効によって消滅することはありません(民法167条2項参照)。
※Aの所有物を、Bが時効により取得することはあり得えます。この場合、Aは、所有権を失うことになります。しかし、これは、あくまでBが時効取得した結果に過ぎないのです。Aの所有権が時効によって消滅したわけではありません。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R02-10-4 | Aが所有する甲土地を使用しないで20年以上放置していたとしても、Aの有する甲土地の所有権が消滅時効にかかることはない。 | ◯ |
2 | 26-03-2 | 所有権は、権利行使できる時から20年間行使しないときは消滅し、目的物は国庫に帰属する。 | × |
3 | 17-04-1 | 所有権は、取得のときから20年間行使しなかった場合、時効により消滅する。 | × |
3 正しい
①契約不適合担保責任による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、②この消滅時効は、「買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する」とするのが判例です(最判平13.11.27。民法166条1項2号、564条、415条)。
※このように考えないと、目的物の引渡しから何十年も経過した後でも、契約不適合の発見から1年以内に通知すれば、責任を追及できることになります。判例は、これでは売主の負担が重過ぎると考え、時効による期間制限を認めました。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | H27-01-1 | 債務の不履行に基づく人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。 | ◯ |
2 | H26-03-3 | 売買契約の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の買主の売主に対する担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する。 | ◯ |
3 | H22-06-3 | 履行不能による損害賠償債務の消滅時効は、本来の債務を請求し得る時から進行する。 | ◯ |
4 | H09-04-1 | 弁済期を定めない貸金債権は、時効によって消滅しない。 | × |
5 | H02-03-2 | 返済期を定めていない貸金債権の消滅時効は、貸主の催告の有無にかかわらず、貸し付けたときから起算される。 | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-04-4 | 売主Aと買主Bとの間で締結した売買契約に関し、目的物の引渡しの時点で目的物が品質に関して契約の内容に適合しないことをAが知っていた場合には、当該不適合に関する請求権が消滅時効にかかっていない限り、BはAの担保責任を追及することができる。 | ◯ |
2 | R02s-07-1 | Aを売主、Bを買主として、甲土地の売買契約が締結された。甲土地の実際の面積が本件契約の売買代金の基礎とした面積より少なかった場合、Bはそのことを知った時から2年以内にその旨をAに通知しなければ、代金の減額を請求することができない。 | × |
[共通の設定] Aを売主、Bを買主として甲建物の売買契約を締結した。甲建物には、品質に関して契約の内容に適合しない箇所(本件不適合)があった。 | |||
3 | R01-03-1 | Aは本件不適合を知っていたがBに告げず、Bはそのことを知らなかった。Bが本件不適合を建物引渡しから1年が経過した時に知ったとしても、本件不適合を知った時から2年後にその旨をAに通知すれば、BはAに対して担保責任を追及することができる。 | ◯ |
4 | 20-09-3 | 甲建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合に、BがAの担保責任を追及するときには、Bは、その不適合を知った時から1年以内にその不適合をAに通知すればよく、1年以内に担保責任を追及するまでの必要はない。 | ◯ |
5 | 19-11-4 | 売買契約に、目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を追及できる期間について特約を設けていない場合、BがAの担保責任を追及するときは、その不適合を知った時から1年以内に当該不適合についてAに通知しなければならない。 | ◯ |
6 | 15-10-3 | Bが、本件不適合の存在を知らないまま契約を締結した場合、契約締結から1年以内に担保責任の追及を行わなければ、BはAに対して担保責任を追及することができなくなる。 | × |
7 | 14-09-3 | Bが、Aに対し、本件不適合に基づき行使できる権利を行使するためには、Bが欠陥を知った時から1年以内にその旨をAに通知しなければならない。 | ◯ |
消滅時効との関係 | |||
8 | 26-03-3 | 売買契約の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の買主の売主に対する担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する。 | ◯ |
4 誤り
時効によって所有権を取得することができるのは、①所有の意思をもって、②平穏かつ公然と他人の物を占有し、③20年間経過した場合です(民法162条1項)。つまり、時効取得するためには、「所有の意思をもって」占有(自主占有)する必要があります。
本肢は、「③20年間、②平穏に、かつ、公然と他人が所有する土地を占有」するだけで、「占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず」、時効取得できるとする点が誤りです。その占有が自主占有でない限り、時効取得することはできません。
※所有の意思に基づかない占有(他主占有)の代表例は、賃借人の占有です。賃借権に基づく占有をいくら続けても、所有権を時効取得することはできません。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R04-10-3 | AはBに対し、自己所有の甲土地を売却し、代金と引換えにBに甲土地を引き渡したが、その後にCに対しても甲土地を売却し、代金と引換えにCに甲土地の所有権登記を移転した。Bが、甲土地の引渡しを受けた時点で所有の意思を有していたとしても、AC間の売買及びCに対する登記の移転を知ったときは、その時点で所有の意思が認められなくなるので、Bは甲土地を時効により取得することはできない。 | × |
2 | H27-04-1 | A所有の甲土地を占有しているBが父から甲土地についての賃借権を相続により承継して賃料を払い続けている場合であっても、相続から20年間甲土地を占有したときは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができる。 | × |
3 | H26-03-4 | 20年間、平穏に、かつ、公然と他人が所有する土地を占有した者は、占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず、当該土地の所有権を取得する。 | × |
4 | H16-05-3 | Aから土地を借りていたBが死亡し、借地であることを知らない相続人Cがその土地を相続により取得したと考えて利用していたとしても、CはBの借地人の地位を相続するだけなので、土地の所有権を時効で取得することはない。 | × |
5 | H16-05-4 | A所有の土地の占有者がAからB、BからCと移った。Cが期間を定めずBから土地を借りて利用していた場合、Cの占有が20年を超えれば、Cは20年の取得時効を主張することができる。 | × |
6 | H04-04-4 | AがBの所有地を20年間平穏かつ公然に占有を続けた場合においても、その占有が賃借権に基づくもので所有の意思がないときは、Bが賃料を請求せず、Aが支払っていないとしても、Aは、その土地の所有権を時効取得することができない。 | ◯ |
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家坂先生
こんにちは。
質問させて頂きます。
肢1ですが、不動産を即時取得することは不可能ですと解答されてますが、全ての不動産売買が対象とされますか?
もし、「当該土地が売主の所有物であり」売買契約に基づいて土地の引渡しを受け、平穏に、かつ、公然と当該土地の占有を始めた買主は、即時に当該不動産の所有権を取得することになりますでしょうか?
お忙しいところ申し訳ないですが、よろしくお願いいたします。
ホンケ様
ご質問ありがとうございます。
「不動産」を即時取得することは一切不可能です。例外はありません。
最大の理由は、民法が以下のように規定しているからです。
講座では、以下の箇所で説明しています。
もう一度、確認しておきましょう。
■民法[08]占有権
2.占有権の効力
(2).即時取得
続いて2問目のご質問。
質問のご趣旨が分かりません???
これって、何の問題もない「売買契約」の話ではないでしょうか。
売主である土地所有者と売買契約をしたのですから、その売買契約に基づいて土地の所有権は、売主から買主に移転します。
「即時取得」や「時効取得」について考える必要はありません。