【宅建過去問】(平成26年問06)瑕疵担保責任(売買・請負)


Aは、Bに建物の建築を注文し、完成して引渡しを受けた建物をCに対して売却した。本件建物に瑕疵があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. Cは、売買契約の締結の当時、本件建物に瑕疵があることを知っていた場合であっても、瑕疵の存在を知ってから1年以内であれば、Aに対して売買契約に基づく瑕疵担保責任を追及することができる。
  2. Bが建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき義務を怠ったために本件建物に基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合には、当該瑕疵によって損害を被ったCは、特段の事情がない限り、Bに対して不法行為責任に基づく損害賠償を請求できる。
  3. CがBに対して本件建物の瑕疵に関して不法行為責任に基づく損害賠償を請求する場合、当該請求ができる期間は、Cが瑕疵の存在に気付いてから1年以内である。
  4. 本件建物に存在している瑕疵のために請負契約を締結した目的を達成することができない場合、AはBとの契約を一方的に解除することができる。

正解:2

設定の確認

26-06-0

1 誤り

瑕疵担保責任でいう「隠れた瑕疵」とは、「買主が契約当時過失なくその存在を知らなかった瑕疵」のことをいいます(民法570条。大判大13.06.23)。つまり、売主の瑕疵担保責任を追及することができるのは、契約時点で善意無過失だった買主に限られます。
本肢では、買主Cは、「建物に瑕疵があることを知って」います。善意無過失ではないわけです。したがって、Cは、Aの瑕疵担保責任を追及することができません。

■類似過去問
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瑕疵担保責任:買主の善意無過失(民法[27]3(4)①)
 年-問-肢内容正誤
126-06-1契約締結当時、瑕疵があることを知っていた場合でも、瑕疵の存在を知ってから1年以内であれば、瑕疵担保責任を追及できる。×
219-11-3契約時、瑕疵の存在を知っていたり、過失により瑕疵に気づかなかった買主に対し、売主は瑕疵担保責任を負わない。
316-10-1瑕疵を知っていた買主は、売主の瑕疵担保責任を追及できない。
415-10-1欠陥を知って契約した場合、契約の解除はできないが、損害賠償請求はできる。×

2 正しい

建物の設計者には、建築にあたり、居住者等に対して基本的な安全性に配慮する注意義務が生じています。この義務を怠った結果、建物に安全性を損なう瑕疵が生じ、居住者等の生命・身体・財産が侵害された場合、設計者は、不法行為による賠償責任を負います(最判平19.07.06。民法709条)。

■類似過去問
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不法行為(請負人と建物の買主との関係)(民法[33])
 年-問-肢内容正誤
126-06-2(Aは、Bに建物の建築を注文し、完成して引渡しを受けた建物をCに対して売却した。)Bが建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき義務を怠ったために本件建物に基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合には、当該瑕疵によって損害を被ったCは、特段の事情がない限り、Bに対して不法行為責任に基づく損害賠償を請求できる。
208-06-2(AがBとの請負契約によりBに建物を建築させてその所有者となり、その後Cに売却した。Cはこの建物をDに賃貸し、Dが建物を占有していたところ、この建物の建築の際におけるBの過失により生じた瑕疵により、その外壁の一部が剥離して落下し、通行人Eが重傷を負った。)Bは、Aに対してこの建物の建築の請負契約に基づく債務不履行責任を負うことがあっても、Eに対して不法行為責任を負うことはない。×

3 誤り

不法行為による損害賠償の請求権は、以下のいずれかに達したとき、時効によって消滅します(民法724条)。「Cが瑕疵の存在に気付いてから1年以内」を基準とするわけではありません。

※「瑕疵の存在に気付いてから1年以内」というのは、買主が売主の瑕疵担保責任を追及する場合の期間制限です(同法570条、566条3項)。

■類似過去問
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不法行為による損害賠償請求の期間制限(民法[33]5(2))
 年-問-肢内容正誤
128-09-1
信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の損害賠償請求権は、買主が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効により消滅する。
228-09-2
信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の損害賠償請求権は、損害を被っていることを買主が知らない場合でも、売買契約から10年間行使しないときは、時効により消滅する。
×
326-06-3建物の瑕疵に関して不法行為責任に基づく損害賠償を請求する場合、請求ができる期間は、瑕疵の存在に気付いてから1年以内である。×
426-08-1不法行為による損害賠償請求権の期間の制限を定める民法724条における、被害者が損害を知った時とは、被害者が損害の発生を現実に認識した時をいう。
526-08-2不法行為による損害賠償債務の不履行に基づく遅延損害金債権は、債権が発生した時から10年間行使しないことにより、時効によって消滅する。×
626-08-3不法占拠により日々発生する損害については、加害行為が終わった時から一括して消滅時効が進行し、日々発生する損害を知った時から別個に消滅時効が進行することはない。×
726-08-4加害者が海外に在住している間は、民法724条後段の20年の時効期間は進行しない。×
819-05-4不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、権利行使ができることとなった時から10年である。×
917-11-4不法行為による損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年間行使しなかったときは、時効消滅する。
1012-08-3不法行為による損害と加害者を知った時から1年間、損害賠償請求権を行使しなければ、請求権は時効消滅する。×

4 誤り

請負契約の目的物に瑕疵があり、契約の目的を達成できないときには、注文者は、契約を解除することができます(民法635条本文)。ただし、建物その他土地の工作物については契約を解除することができません(同条但書)。
本肢では、請負契約の目的物が建物ですから、Aは、請負契約を解除することができません。

※民法は、請負人の担保責任につき、以下のように定めています。

■類似過去問
内容を見る
請負人の担保責任:解除(民法[31]3(1)①)
 年-問-肢内容正誤
126-06-4建物の瑕疵のため請負契約の目的が達成できない場合、注文者は契約を解除できる。×
218-06-3請負の目的物である建物に瑕疵があり、瑕疵の修補に要する費用が契約代金を超える場合には、請負契約を解除できる。×
306-08-2請負の目的物である建物に瑕疵があり、契約目的が達成できないときは、引渡し1年以内であれば、解除できる。×
401-08-4建物その他土地の工作物に、契約目的を達することができない重大な瑕疵があるときは、注文者は、契約を解除できる。×

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【宅建過去問】(平成26年問06)瑕疵担保責任(売買・請負)” に対して1件のコメントがあります。

  1. T510 より:

    選択肢4の契約解除(民法635条)の解説について
    「瑕疵の補修に代えて、又は補修とともに請求」となっていますが、
    正解は、
    「①契約の目的が達成できない場合に限る。
     ②建物その他の工作物では解除不可」なのでは…。
    特にこの設問ですと、②の建物は解除不可との解説は必要だと思いますが、
    いかがでしょうか。

    1. 家坂 圭一 より:

      T510様

      御指摘ありがとうございます。
      確かに「契約解除」に関する説明がおかしくなっています。
      【講義編】民法[31]請負契約 3(1)①の表と統一しましたので、御確認ください。
      https://e-takken.tv/mp31/

      今後ともよろしくお願い申し上げます。

      1. T510 より:

        早速のご対応ありがとうございます。

        【講義編】民法[31]請負契約 3(1)①の表に統一したとのことですが、
        できれば、kindle版の解説の表に統一していただけたらありがたいのでが…。

        受験生にとっては、kindle版の解説の表が最も分かり易く腑に落ちるからです。

        よろしくお願いいたします。

        1. 家坂 圭一 より:

          返信が遅くなり申し訳ありません。
          【講義編】の図とKindle版の図は、基本的に同じものを使っています。
          ただし、Kindle版は、書籍としてのデザインをしているので、見やすいのかも知れません。
          残念ながら、Web上の表記をそれと一致させるのは困難(たぶん無理)です。その点は、御容赦下さい。

          1. T510 より:

            ご返信ありがとうございます。

            Web上の表記をそれと一致させるのは困難なのであれば、仕方ありません。
            ただし、kindle版の表は、デザインの問題ではなく、明らかに講義編の表とは違います。
            因みに、kindle版の表では、損害賠償の項目の「できる場合・できない場合」にコメントがありますし、それぞれの項目に根拠条文が付加されていますので、とても見やすく、理解し易いものとなっています。

            1. 家坂 圭一 より:

              ベストな図表に統一したい気持ちは強いのですが、コンテンツの量も多く、なかなか一気には進みません。
              長い目で見ていただけると助かります。
              今後とも宜しくお願いします。

  2. ムギ より:

    あ、すみません、解決しました。
    申し訳御座いません。
    私のコメント削除頂いて大丈夫です。

  3. ムギ より:

    選択肢3番の解説で、
    損害賠償請求権は
    不法行為時から20年経過したとき
    消滅する
    とありますが、

    26年問3の選択肢3の解説では、損害賠償請求権が10年で消滅する
    とあり、違いが分かりません!

    お忙しい中恐縮ですが、ご解答いただけると幸いです。

    1. 家坂 圭一 より:

      ムギ様

      講師の家坂です。
      疑問が解決したようで何よりです。

      念のため、まとめておくと、
      不法行為による損害賠償請求権と通常の債権の消滅時効期間の違いがポイントになっています。

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