【宅建過去問】(平成26年問09)後見人制度

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後見人制度に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 成年被後見人が第三者との間で建物の贈与を受ける契約をした場合には、成年後見人は、当該法律行為を取り消すことができない。
  2. 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する場合には、家庭裁判所の許可を要しない。
  3. 未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。
  4. 成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。

正解:4

1 誤り

成年被後見人の法律行為は、取り消すことができます。例外的に取り消すことができないのは、日用品の購入その他日常生活に関する行為のみです(民法9条)。
「建物の贈与を受ける契約」は、日常生活に関する行為にはあたりません。したがって、原則通り、契約を取り消すことが可能です。
取消権は、制限行為能力者だけでなく、その代理人も有しています(同法120条1項)。そして、成年後見人は、被後見人の法定代理人です(同法859条1項)。したがって、成年後見人が契約の取消しを行うことも可能です。

■参照項目&類似過去問
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成年被後見人(民法[01]3(1))
年-問-肢内容正誤
1R04-03-1成年後見人は、後見監督人がいる場合には、後見監督人の同意を得なければ、成年被後見人の法律行為を取り消すことができない。×
2R04-03-2相続の放棄は相手方のない単独行為であるから、成年後見人が成年被後見人に代わってこれを行っても、利益相反行為となることはない。×
3R04-03-3成年後見人は成年被後見人の法定代理人である一方、保佐人は被保佐人の行為に対する同意権と取消権を有するが、代理権が付与されることはない。×
4R04-03-4成年年齢は18歳であるため、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しない。
5H26-09-1成年被後見人が第三者との間で建物の贈与を受ける契約をした場合には、成年後見人は、当該法律行為を取り消すことができない。×
6H26-09-4成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。
7H20-01-1成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。
8H18-12-1成年者Aが精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況になった場合、Aの推定相続人はAの法定代理人となる。×
9H15-01-3成年被後見人が成年後見人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合、成年後見人は、当該意思表示を取り消すことができる。
10H02-04-1成年被後見人は、契約の際完全な意思能力を有していても契約を取り消すことができる。

2 誤り

成年後見人が、成年被後見人に代わって居住用不動産を処分するには、家庭裁判所の許可を得る必要があります(民法859条の3)。

※成年被後見人が単独でできる行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為に限られます(民法9条)。これ以外の行為については、成年後見人に代理してもらう必要があるわけです(同法859条)。本肢の「居住用不動産の処分(売却・賃貸・賃貸借の解除・抵当権の設定など)」は、このルールの例外です。成年被後見人が居住する建物やその敷地を失うことは重大なダメージであるため、成年後見人が代理するだけでなく、さらに家庭裁判所の許可が要求されます。

■参照項目&類似過去問
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成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可(民法[01]3(1))
年-問-肢内容正誤
1R03s-03-1成年後見人が、成年被後見人を代理して、成年被後見人が所有する乗用車の第三者への売却を行う場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。×
2R03s-03-2成年後見人が、成年被後見人を代理して、成年被後見人が所有する成年被後見人の居住の用に供する建物への第三者の抵当権の設定を行う場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。
3R03s-03-3成年後見人が、成年被後見人を代理して、成年被後見人が所有するオフィスビルへの第三者の抵当権の設定を行う場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。×
4R03s-03-4成年後見人が、成年被後見人を代理して、成年被後見人が所有する倉庫についての第三者との賃貸借契約の解除を行う場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。×
5H28-02-3成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する際、後見監督人がいる場合には、後見監督人の許可があれば足り、家庭裁判所の許可は不要である。×
6H26-09-2成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する場合には、家庭裁判所の許可を要しない。×
7H22-01-2成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却するためには、家庭裁判所の許可が必要である。

3 誤り

未成年後見人は、後見開始の審判を請求することができます(民法7条)。

※例えば、未成年の知的障害者が成年に達すると、法定代理人が誰もいなくなるという事態が生じます。このような不都合を防ぐために、未成年者が後見開始の審判を受けることができるようになっているわけです。

■参照項目&類似過去問
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未成年者(民法[01]2)
年-問-肢内容正誤
1R04-03-4成年年齢は18歳であるため、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しない。
2R03-05-119歳の者は未成年であるので、携帯電話サービスの契約や不動産の賃貸借契約を1人で締結することはできない。×
3R03-05-3営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。×
4H28-02-1古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。
×
5H26-09-3未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。×
6H26-09-4成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。
7H25-02-2営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには、父母双方がいる場合、父母のどちらか一方の同意が必要である。
×
8H22-01-1土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになるので、未成年者が土地を売却するに当たっては、その法定代理人の同意は必要ない。
×
9H20-01-2未成年者は、営業を許されているときであっても、その営業に関するか否かにかかわらず、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。×
10H17-01-4自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方Bが未成年者であり、法定代理人から宅地建物取引業の営業に関し許可を得ている場合、Bは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。
×
11H14-02-3未成年者であっても、成年者を代理人とすれば、法定代理人の同意を得ることなく、土地の売買契約を締結することができ、この契約を取り消すことはできない。×
12H11-01-1満18歳に達した者は、成年とされる。
13H01-03-2A所有の土地が、AからB、BからCへと売り渡され、移転登記も完了している。Aは、Bに土地を売ったとき未成年者で、かつ、法定代理人の同意を得ていなかったので、その売買契約を取り消した場合、そのことを善意のCに対し対抗することができない。
×
未成年後見人(民法[01]2)
年-問-肢内容正誤
1R02s-03-3未成年者に対して親権を行う者がないときは、家庭裁判所は、検察官の請求によって、親族の中から未成年後見人を選任する。×
2H26-09-3未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。×
3H26-09-4成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。

4 正しい

成年後見人は、後見開始の審判のときに、家庭裁判所が職権で選任します(民法843条1項)。したがって、成年後見人は、必ず、家庭裁判所が選任する者です。
一方、未成年後見人には、①指定未成年後見人と②選定未成年後見人の2種類があります。両者のうち原則的な形態は、①指定未成年後見人で、これは、未成年者に対して最後に親権を行う者が遺言で指定します(同法839条1項)。この①指定未成年後見人がないときには、家庭裁判所が②選定未成年後見人を選任するわけです(同法840条1項)。

①指定未成年後見人 最後に親権を行う者が遺言で指定
②選定未成年後見人 家庭裁判所が選任
(指定未成年後見人がないとき)

したがって、未成年後見人の中には、家庭裁判所が選任する者でないもの(①指定未成年後見人)が含まれています。

■参照項目&類似過去問
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成年被後見人(民法[01]3(1))
年-問-肢内容正誤
1R04-03-1成年後見人は、後見監督人がいる場合には、後見監督人の同意を得なければ、成年被後見人の法律行為を取り消すことができない。×
2R04-03-2相続の放棄は相手方のない単独行為であるから、成年後見人が成年被後見人に代わってこれを行っても、利益相反行為となることはない。×
3R04-03-3成年後見人は成年被後見人の法定代理人である一方、保佐人は被保佐人の行為に対する同意権と取消権を有するが、代理権が付与されることはない。×
4R04-03-4成年年齢は18歳であるため、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しない。
5H26-09-1成年被後見人が第三者との間で建物の贈与を受ける契約をした場合には、成年後見人は、当該法律行為を取り消すことができない。×
6H26-09-4成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。
7H20-01-1成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。
8H18-12-1成年者Aが精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況になった場合、Aの推定相続人はAの法定代理人となる。×
9H15-01-3成年被後見人が成年後見人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合、成年後見人は、当該意思表示を取り消すことができる。
10H02-04-1成年被後見人は、契約の際完全な意思能力を有していても契約を取り消すことができる。
未成年者(民法[01]2)
年-問-肢内容正誤
1R04-03-4成年年齢は18歳であるため、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しない。
2R03-05-119歳の者は未成年であるので、携帯電話サービスの契約や不動産の賃貸借契約を1人で締結することはできない。×
3R03-05-3営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。×
4H28-02-1古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。
×
5H26-09-3未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。×
6H26-09-4成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。
7H25-02-2営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには、父母双方がいる場合、父母のどちらか一方の同意が必要である。
×
8H22-01-1土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになるので、未成年者が土地を売却するに当たっては、その法定代理人の同意は必要ない。
×
9H20-01-2未成年者は、営業を許されているときであっても、その営業に関するか否かにかかわらず、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。×
10H17-01-4自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方Bが未成年者であり、法定代理人から宅地建物取引業の営業に関し許可を得ている場合、Bは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。
×
11H14-02-3未成年者であっても、成年者を代理人とすれば、法定代理人の同意を得ることなく、土地の売買契約を締結することができ、この契約を取り消すことはできない。×
12H11-01-1満18歳に達した者は、成年とされる。
13H01-03-2A所有の土地が、AからB、BからCへと売り渡され、移転登記も完了している。Aは、Bに土地を売ったとき未成年者で、かつ、法定代理人の同意を得ていなかったので、その売買契約を取り消した場合、そのことを善意のCに対し対抗することができない。
×
未成年後見人(民法[01]2)
年-問-肢内容正誤
1R02s-03-3未成年者に対して親権を行う者がないときは、家庭裁判所は、検察官の請求によって、親族の中から未成年後見人を選任する。×
2H26-09-3未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。×
3H26-09-4成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。

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