【宅建過去問】(平成27年問40)8つの規制(個数問題)


宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

  • ア Aは、Bとの間で建築工事完了後の建物に係る売買契約(代金3,000万円)において、「Aが契約の履行に着手するまでは、Bは、売買代金の1割を支払うことで契約の解除ができる」とする特約を定め、Bから手付金10万円を受領した。この場合、この特約は有効である。
  • イ Aは、Bとの間で建築工事完了前の建物に係る売買契約(代金3,000万円)を締結するに当たり、保険事業者との間において、手付金等について保証保険契約を締結して、手付金300万円を受領し、後日保険証券をBに交付した。
  • ウ Aは、Bとの間で建築工事完了前のマンションに係る売買契約(代金3,000万円)を締結し、その際に手付金150万円を、建築工事完了後、引渡し及び所有権の登記までの間に、中間金150万円を受領したが、合計額が代金の10分の1以下であるので保全措置を講じなかった。
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. なし

正解:4

設定の確認

ア 誤り

宅建業者が自ら売主となる場合の手付は解約手付とされます(宅建業法39条2項)。つまり、契約の相手方が履行に着手するまでの間であれば、買主は手付を放棄し、売主は手付の倍額を償還して、契約を解除することができます。これよりも買主に不利な特約は無効です(同法39条3項)。

本肢のケースで、手付金は10万円です。買主は、この10万円を放棄しさえすれば、契約を解除することができます。それにも関わらず、売買代金の1割(300万円)を支払わなければ解除ができないと特約しているのです。この特約は、買主に不利なものであるため、無効です。

■類似過去問
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手付解除の方法(宅建業法[18]3(2))
 年-問-肢内容正誤
129-28-エ
宅地建物取引業者Aは、自ら売主として新築マンションを分譲するに当たり、売買契約の締結に際して買主から手付を受領した。その後、当該契約の当事者の双方が契約の履行に着手する前に、Aは、手付を買主に返還して、契約を一方的に解除した。×
228-28-ウ
宅建業者が買主から手付金500万円を受領した場合、買主に当該手付金500万円を償還して、契約を一方的に解除することができる。
×
327-40-ア3,000万円の建物の売買に関し「売主が履行に着手するまで、買主は、売買代金の1割を支払うことで契約の解除ができる」とする特約を定め、Bから手付金10万円を受領した。この場合、特約は有効。×
425-38-ウ当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、売主は買主に手付金・中間金の倍額を支払い、買主は売主に手付金・中間金を放棄して、契約を解除できる旨の特約は有効である。×
522-39-3売主が、売買契約の解除を行う場合、買主に対して「手付の倍額を償還して、契約を解除する。」という意思表示を書面で行うことのみをもって、契約を解除できる。×
620-40-1売主は、解除にあたり、手付の3倍返しが必要という特約は有効。
719-34-1売主は、手付を償還すれば解除できる。×
818-39-3売主は、手付を償還すれば解除できるという特約は無効。
918-41-1売主は、手付解除をした買主に対し、違約金の請求が可能。×
1015-41-1「相手方が履行に着手するまで、買主は手付金の半額を放棄し、売主は手付金の倍額を償還して、契約を解除できる」という特約は、有効である。
1113-41-3売主は、手付を返還すれば解除できるという特約は有効。×
1211-33-1「当事者の一方が契約の履行に着手するまで、買主は手付金を放棄して、売主は手付金の2.5倍を償還して、契約を解除できる」旨の定めは無効である。×
1307-43-3「買主は手付金の半額を放棄すれば解除できる」という特約があっても、手付金全額を放棄しなければ解除できない。×
1407-45-2「買主は手付金・中間金を放棄し、売主はそれらの倍額を償還して、契約を解除できる」という特約は、有効である。×
1506-43-3「買主は手付の半額を放棄し、売主は手付全額を償還して、契約を解除できる」と定めても、売主は手付の倍返しが必要。
1606-43-4「買主が履行に着手するまで、売主は手付の3倍額を償還して解除できる」と定めた場合、売主は手付の倍額償還だけでは解除できない。
1705-43-1「買主は手付金を放棄し、売主はその3倍額を償還して、契約を解除できる」という特約は、宅建業法に違反する。×

イ 誤り

未完成物件に関する売買契約ですから、手付金等が代金の5%(150万円)又は1,000万円を超える場合に保全措置が必要になります(宅建業法41条1項)。本肢では、300万円の手付金を受領するのですから、保全措置を講じる必要が生じます。
保全措置として保証保険契約を利用する場合、保証保険契約を締結するだけでなく、「保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付すること」が要求されます(同項2号)。この措置を講じた上で初めて、手付金等を受領することができるのです。

本肢は、「後日保険証券をBに交付した」としている点が宅建業法違反です。

■類似過去問
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保全措置が不要な場合(未完成物件)(宅建業法[19]3(1))
 年-問-肢内容正誤
130-38-2
[宅地建物取引業者である売主は、宅地建物取引業者ではない買主との間で、戸建住宅の売買契約(所有権の登記は当該住宅の引渡し時に行うものとする。)を締結した。]当該住宅が建築工事の完了前で、売買代金が2,500万円であった場合、売主は、当該住宅を引き渡す前に買主から保全措置を講じないで手付金150万円を受領することができる。
×
228-28-ア
代金4,000万円/手付金200万円・中間金200万円→中間金受領後に保全措置を講じれば宅建業法に違反しない。
×
328-43-ア
代金3000万円/手付金600万円→保全措置が必要。
427-36-ウ代金2,400万円/手付金120万円以下→保全措置を講じずに受領できる。
527-40-イ代金3,000万円/手付金300万円。手付金等について保証保険契約を締結して、手付金を受領し、後日保険証券を交付した。×
627-40-ウ代金3,000万円/手付金150万円/中間金150万円→保全措置は不要。×
726-33-2代金5,000万円/手付金1,000万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない。
826-33-3代金5,000万円/手付金100万円・中間金500万円→中間金受領前に500万円の保全措置を講じれば宅建業法に違反しない。×
925-40-4代金4,000万円/手付金100万円・中間金200万円→手付金が代金の5%以内であるから保全措置は不要。×
1023-38-3代金3,000万円/代金に充当される申込証拠金5万円・手付金200万円→申込証拠金についても保全措置が必要。
1123-38-4代金3,000万円/手付金200万円・中間金200万円→中間金についても保全措置が必要。
1221-39-3代金5,000万円/手付金500万円・中間金250万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない。
1321-39-4代金5,000万円/手付金2,000万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない。×
1420-41-1代金5,000万円/手付金200万円→保全措置を講じずに受領した。
1520-41-3代金1億円/手付金1,500万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない。
1619-43-2代金1億円/手付金1,500万円・中間金1,500万円→手付金・中間金それぞれにつき保全措置が必要。
1716-44-1代金の1/10以下で、かつ、1,000万円以下であれば、保全措置不要。×
1813-41-1代金4,000万円/申込証拠金10万・手付金300万円→申込証拠金についても保全措置が必要。
1913-41-4代金4,000万円/手付金300万円・中間金100万→中間金につき保全措置が必要。
2009-39-1代金5,000万円/手付金200万円→手付金につき保全措置は不要。
2105-43-3代金6,000万円/手付金500万円・中間金1,000万円→手付金について中間金受領の際にまとめて保全措置。×
2203-49-2代金1億5,000万円/申込証拠金30万円・手付金2,000万円・中間金6,000万円→保全措置の対象は2,000万円。×
2302-42-1代金1億円/手付金900万円・中間金4,100万円・残代金5,000万円/引渡し・登記の移転は残代金の支払いと同時→保全措置は不要。×
2401-42-1代金1億2,000万円/手付金1,500万円・中間金4,500万円→中間金受領の際に保全措置を講じればよい。×
保全措置と受領の順序(宅建業法[19]4(2))
 年-問-肢内容正誤
128-28-ア
中間金受領後に、保全措置。
×
227-40-イ
代金3,000万円/手付金300万円。手付金等について保証保険契約を締結して、手付金を受領し、後日保険証券を交付した。×
324-34-ア受領後に保全措置。×
423-37-2完成物件につき代金の20%の手付金を受領する前に保全措置。
522-41-エ受領後遅滞なく保全措置を講じる旨を買主に説明した上で、保全措置なしに手付金を受領。×
615-41-3手付金受領後直ちに、保全措置。×
709-44-2手付金受領後すみやかに、保全措置。×
803-49-1手付金受領後1週間以内に、保全措置。×

ウ 誤り

未完成物件に関する売買契約ですから、手付金等が代金の5%(150万円)又は1,000万円を超える場合に保全措置が必要になります(宅建業法41条1項)。
そして、「手付金等」とは、「契約締結日から引渡し前に支払われる代金に充当される金銭」のことをいいます(同法41条1項)。本肢の「中間金」は、「建築工事完了後、引渡し及び所有権の登記までの間」に受領するものですから、「手付金等」に該当します。

タイミング 手付金等の額 保全措置
手付金受領時 150万 不要
中間金受領時 150万+150万=300万 必要

手付金を受領した時点では、代金の5%ジャストなので、保全措置を講じる必要はありません。中間金を受領した時点で手付金等の額は300万円となり、代金の5%を超えます。したがって、Aは、中間金を受け取る前に300万円全体について保全措置を講じる義務を負います。

※未完成物件と扱うか完成物件と扱うかは、売買契約締結時点の状況によって判断します。本肢では、契約締結時点で未完成物件なのですから、最後まで未完成物件として扱います。途中で建築工事が完了していますが、完成物件へと扱いが変わるわけではありません。

■類似過去問
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「手付金等」とは(宅建業法[19]2)
 年-問-肢内容正誤
130-38-1
[宅地建物取引業者である売主は、宅地建物取引業者ではない買主との間で、戸建住宅の売買契約(所有権の登記は当該住宅の引渡し時に行うものとする。)を締結した。]当該住宅が建築工事の完了後で、売買代金が3,000万円であった場合、売主は、買主から手付金200万円を受領した後、当該住宅を引き渡す前に中間金300万円を受領するためには、手付金200万円と合わせて保全措置を講じた後でなければ、その中間金を受領することができない。
228-28-ア
建築工事完了前のマンションで4,000万円/手付金200万円・中間金200万円→中間金受領後、手付金と中間金について保全措置を講じた。
×
328-43-ウ
建築工事完了前のマンションで3,000万円/手付金150万円・中間金350万円→中間金受領の際に500万円について保全措置を講じなければならない。
426-33-3建築工事完了前の建物で5,000万円/手付金100万円・中間金500万円→中間金受領前に500万円の保全措置を講じれば宅建業法に違反しない。×
525-40-4建築工事完了前のマンションで4,000万円/手付金100万円・中間金200万円→手付金が代金の5%以内であるから保全措置は不要。×
624-34-ア代金に充当される中間金→「手付金等」にあたる。
724-34-イ代金の一部となる申込証拠金→「手付金等」にあたる。
823-38-3代金に充当される申込証拠金→「手付金等」にあたる。
923-38-4中間金→「手付金等」にあたる。
1013-41-1代金に充当される申込証拠金→「手付金等」にあたる。
1113-41-4中間金→「手付金等」にあたる。
1203-49-2手付金に充当される申込証拠金は保全措置の対象にならない。×
保全措置が不要な場合(未完成物件)(宅建業法[19]3(1))
 年-問-肢内容正誤
130-38-2
[宅地建物取引業者である売主は、宅地建物取引業者ではない買主との間で、戸建住宅の売買契約(所有権の登記は当該住宅の引渡し時に行うものとする。)を締結した。]当該住宅が建築工事の完了前で、売買代金が2,500万円であった場合、売主は、当該住宅を引き渡す前に買主から保全措置を講じないで手付金150万円を受領することができる。
×
228-28-ア
代金4,000万円/手付金200万円・中間金200万円→中間金受領後に保全措置を講じれば宅建業法に違反しない。
×
328-43-ア
代金3000万円/手付金600万円→保全措置が必要。
427-36-ウ代金2,400万円/手付金120万円以下→保全措置を講じずに受領できる。
527-40-イ代金3,000万円/手付金300万円。手付金等について保証保険契約を締結して、手付金を受領し、後日保険証券を交付した。×
627-40-ウ代金3,000万円/手付金150万円/中間金150万円→保全措置は不要。×
726-33-2代金5,000万円/手付金1,000万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない。
826-33-3代金5,000万円/手付金100万円・中間金500万円→中間金受領前に500万円の保全措置を講じれば宅建業法に違反しない。×
925-40-4代金4,000万円/手付金100万円・中間金200万円→手付金が代金の5%以内であるから保全措置は不要。×
1023-38-3代金3,000万円/代金に充当される申込証拠金5万円・手付金200万円→申込証拠金についても保全措置が必要。
1123-38-4代金3,000万円/手付金200万円・中間金200万円→中間金についても保全措置が必要。
1221-39-3代金5,000万円/手付金500万円・中間金250万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない。
1321-39-4代金5,000万円/手付金2,000万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない。×
1420-41-1代金5,000万円/手付金200万円→保全措置を講じずに受領した。
1520-41-3代金1億円/手付金1,500万円→保全措置の上で受領すれば宅建業法に違反しない。
1619-43-2代金1億円/手付金1,500万円・中間金1,500万円→手付金・中間金それぞれにつき保全措置が必要。
1716-44-1代金の1/10以下で、かつ、1,000万円以下であれば、保全措置不要。×
1813-41-1代金4,000万円/申込証拠金10万・手付金300万円→申込証拠金についても保全措置が必要。
1913-41-4代金4,000万円/手付金300万円・中間金100万→中間金につき保全措置が必要。
2009-39-1代金5,000万円/手付金200万円→手付金につき保全措置は不要。
2105-43-3代金6,000万円/手付金500万円・中間金1,000万円→手付金について中間金受領の際にまとめて保全措置。×
2203-49-2代金1億5,000万円/申込証拠金30万円・手付金2,000万円・中間金6,000万円→保全措置の対象は2,000万円。×
2302-42-1代金1億円/手付金900万円・中間金4,100万円・残代金5,000万円/引渡し・登記の移転は残代金の支払いと同時→保全措置は不要。×
2401-42-1代金1億2,000万円/手付金1,500万円・中間金4,500万円→中間金受領の際に保全措置を講じればよい。×

まとめ

正しいものは、一つも存在しません。正解は、肢4。


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