【宅建過去問】(平成30年問07)債権譲渡

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債権譲渡に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. 譲渡制限の意思表示がされた債権の譲渡を受けた第三者は、その意思表示の存在を知らなかったことにつき重大な過失があっても、当該債権を取得することができる。
  2. 債権の譲受人が譲渡制限の意思表示の存在を知っていれば、さらにその債権を譲り受けた転得者がその意思表示の存在を知らなかったことにつき重大な過失がなかったとしても、債務者はその転得者に対して、その債務の履行を拒むことができる。
  3. 債権譲渡の意思表示の時には発生していない債権であっても、債権譲渡の対象とすることができ、この場合、譲受人は、債権が発生した時点で、当該債権を当然に取得する。
  4. 譲渡制限の意思表示がされた債権をもって質権の目的とした場合において、質権者がその意思表示の存在について悪意であっても、当該質権設定は有効となる。

正解:2

1 正しい

譲渡制限の意思表示がされた債権も譲渡の対象となり、その債権譲渡は有効です。譲受人が悪意だったり、重過失がある場合であっても、このことに違いはありません(民法466条2項)。

※譲受人が譲渡制限の意思表示について悪意又は善意でも重過失がある場合、債務者は、譲受人に対する債務の履行を拒むことができます(同条3項。肢2)。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
譲渡制限の意思表示(民法[19]1(2)②③)
年-問-肢内容正誤
[共通の設定]
AがBに対して債権を有しており、Aがこの代金債権をCに譲渡した。
譲渡の有効性
1R03-06-1譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合、当該債権譲渡の効力は妨げられないが、債務者は、その債権の全額に相当する金銭を供託することができる。

230-07-1
譲渡禁止特約のある債権の譲渡を受けた第三者は、その特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失があっても、当該債権を取得することができる。

330-07-4
譲渡禁止特約のある債権をもって質権の目的とした場合において、質権者がその特約の存在について悪意であっても、当該質権設定は有効となる。
423-05-1AB間の代金債権には譲渡禁止特約があり、Cがその特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合であっても、Cはこの代金債権を取得することができる。
債務者の履行拒絶
1R03-06-3譲渡制限の意思表示がされた債権の譲受人が、その意思表示がされていたことを知っていたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって譲受人に対抗することができる。
215-08-1AB間の債権に譲渡禁止特約が付いている場合で、Cが譲渡禁止特約の存在を過失なく知らないとき、BはCに対して債務の履行を拒むことができない。
転得者が存在する場合
130-07-2
債権の譲受人が譲渡禁止特約の存在を知っていれば、さらにその債権を譲り受けた転得者がその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がなかったとしても、債務者はその転得者に対して、その債務の履行を拒むことができる。
×
228-05-1AのBに対する債権に譲渡禁止の特約があり、Cがその特約の存在を知りながら債権の譲渡を受けていれば、Cからさらに債権の譲渡を受けた転得者Dがその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がない場合でも、BはDに対して債務の弁済を拒否することができる。
×

2 誤り

債務者の履行拒絶

債権の譲受人が、譲渡制限の意思表示の存在を知っていたり(悪意)、重大な過失によって知らなかった(善意重過失)場合、債務者は、譲受人に対する債務の履行を拒むことができます。

転得者に対する履行拒絶

譲受人がさらに債権を譲渡した場合、債権を譲り受けた転得者に対する履行を拒絶することはできるでしょうか。
この場合、転得者自身を基準に判断することになります。

本肢では、転得者には重過失がありません。そのため、債務者は、転得者に対する債務の履行を拒むことはできません。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
譲渡制限の意思表示(民法[19]1(2)②③)
年-問-肢内容正誤
[共通の設定]
AがBに対して債権を有しており、Aがこの代金債権をCに譲渡した。
譲渡の有効性
1R03-06-1譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合、当該債権譲渡の効力は妨げられないが、債務者は、その債権の全額に相当する金銭を供託することができる。

230-07-1
譲渡禁止特約のある債権の譲渡を受けた第三者は、その特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失があっても、当該債権を取得することができる。

330-07-4
譲渡禁止特約のある債権をもって質権の目的とした場合において、質権者がその特約の存在について悪意であっても、当該質権設定は有効となる。
423-05-1AB間の代金債権には譲渡禁止特約があり、Cがその特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合であっても、Cはこの代金債権を取得することができる。
債務者の履行拒絶
1R03-06-3譲渡制限の意思表示がされた債権の譲受人が、その意思表示がされていたことを知っていたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって譲受人に対抗することができる。
215-08-1AB間の債権に譲渡禁止特約が付いている場合で、Cが譲渡禁止特約の存在を過失なく知らないとき、BはCに対して債務の履行を拒むことができない。
転得者が存在する場合
130-07-2
債権の譲受人が譲渡禁止特約の存在を知っていれば、さらにその債権を譲り受けた転得者がその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がなかったとしても、債務者はその転得者に対して、その債務の履行を拒むことができる。
×
228-05-1AのBに対する債権に譲渡禁止の特約があり、Cがその特約の存在を知りながら債権の譲渡を受けていれば、Cからさらに債権の譲渡を受けた転得者Dがその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がない場合でも、BはDに対して債務の弁済を拒否することができる。
×

3 正しい

(この選択肢は、出題予想問題です。)

債権譲渡の時点では発生していない債権(将来債権)を債権譲渡の対象にすることも可能です(民法466条の5第1項)。この場合、債権が発生した時点で、譲受人は、その債権を当然に取得します(同条2項)。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
将来債権の譲渡(民法[19]1(2)③)
年-問-肢内容正誤
1R03-06-2債権が譲渡された場合、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、その後に発生した債権を取得できない。×
228-05-3
AのBに対する債権がCに譲渡された時点ではまだ発生していない将来の取引に関する債権であった場合であっても、AからCへの債権譲渡は有効である。
319-09-3
契約時点ではまだ発生していない将来債権でも譲渡することができ、譲渡時点でその債権発生の可能性が低かったことは譲渡の効力を直ちに否定するものではない。

4 正しい

譲渡制限の意思表示がされた債権を譲渡するのではなく、その債権を対象として質権を設定したというケースです。

質権は、宅建でのマイナー論点ですので、アウトラインだけまとめましょう。質権は、担保物権の一種です。したがって、譲渡人が自らの債務を履行すれば、質権が現実化することはありません。譲渡人に債務不履行があった場合に、譲渡人の債務者に対する債権を、譲受人が行使することになります。細かいことは省いて、「結局、譲受人が債権を行使することになるのだから、債権譲渡とだいたい同じ」と割り切ってしまいましょう。
債権譲渡に関する理屈で考えると(肢1)、譲受人が悪意又は善意重過失の場合でも、債権譲渡は有効です。質権でも同様に考えます。質権者が譲渡制限の意思表示の存在について悪意である本肢のケースでも、質権設定は有効です。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
譲渡制限の意思表示(民法[19]1(2)②③)
年-問-肢内容正誤
[共通の設定]
AがBに対して債権を有しており、Aがこの代金債権をCに譲渡した。
譲渡の有効性
1R03-06-1譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合、当該債権譲渡の効力は妨げられないが、債務者は、その債権の全額に相当する金銭を供託することができる。

230-07-1
譲渡禁止特約のある債権の譲渡を受けた第三者は、その特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失があっても、当該債権を取得することができる。

330-07-4
譲渡禁止特約のある債権をもって質権の目的とした場合において、質権者がその特約の存在について悪意であっても、当該質権設定は有効となる。
423-05-1AB間の代金債権には譲渡禁止特約があり、Cがその特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合であっても、Cはこの代金債権を取得することができる。
債務者の履行拒絶
1R03-06-3譲渡制限の意思表示がされた債権の譲受人が、その意思表示がされていたことを知っていたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって譲受人に対抗することができる。
215-08-1AB間の債権に譲渡禁止特約が付いている場合で、Cが譲渡禁止特約の存在を過失なく知らないとき、BはCに対して債務の履行を拒むことができない。
転得者が存在する場合
130-07-2
債権の譲受人が譲渡禁止特約の存在を知っていれば、さらにその債権を譲り受けた転得者がその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がなかったとしても、債務者はその転得者に対して、その債務の履行を拒むことができる。
×
228-05-1AのBに対する債権に譲渡禁止の特約があり、Cがその特約の存在を知りながら債権の譲渡を受けていれば、Cからさらに債権の譲渡を受けた転得者Dがその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がない場合でも、BはDに対して債務の弁済を拒否することができる。
×

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【宅建過去問】(平成30年問07)債権譲渡” に対して4件のコメントがあります。

  1. みーちゃん より:

    追加ですみません。
    肢4も違うと思います。

    3.譲渡禁止特約に反して債権を譲渡した債権者は、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかである等の事情がない限り、その特約の存在を理由に、譲渡の無効を主張することができない。
    4.譲渡禁止特約のある債権をもって質権の目的とした場合において、質権者がその特約の存在について悪意であるときは、当該質権設定は無効となる。

    1. 家坂 圭一 より:

      みーちゃん様

      肢3と同じ理由で、出題時の問題文を修正しています。
      そちらへの返信を御覧ください。

  2. みーちゃん より:

    この問7肢3は問題文が本試験と違うのではないでしょうか?

    1. 家坂 圭一 より:

      みーちゃん様

      御質問ありがとうございます。
      このサイトは、
      「次の本試験を受験する人をサポートする」
      ことを目的にしています。

      法改正等の影響で、出題時のままの問題文では、問題が不成立だったり、勉強する意味がなくなることがあります。
      その場合、問題文を修正して、「次の本試験受験に役立つように」メンテナンスを行っています。

      この問題の肢3・4も、その一例です。
      令和2年4月1日施行の民法に照らすと、出題時のままの問題文は、意味のない記述になってしまいます。
      そのため、問題文に修正を加えました。

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