【宅建過去問】(令和01年問02)意思表示


AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消した後、CがBから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えた場合、AC間の関係は対抗問題となり、Aは、いわゆる背信的悪意者ではないCに対して、登記なくして甲土地の返還を請求することができない。
  2. AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消す前に、Bの詐欺について悪意のCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていた場合、AはCに対して、甲土地の返還を請求することができる。
  3. Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失がなければ、Aは、Bから甲土地を買い受けたCに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。
  4. Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失があったとしても、AはBに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。

正解:4

設定の確認

1 正しい

■第三者の位置付け
  1. 買主Bが売主Aをだます
  2. AとBの売買契約が成立
  3. AからBへの所有権移転登記
  4. Aが詐欺により取消し
  5. BがCに売却
  6. Cが所有権移転登記

というプロセスを経ており、転売を受けた第三者Cは、詐欺による取消後の第三者にあたります。

■登場人物の勝ち負け

この場合、売主Aと第三者Cとの優劣関係は、対抗問題として考えます(大判昭17.09.30。民法177条)。
つまり、買主Bを起点として、

  • 取消しによる物権の復帰を求める売主A
  • 買主からの取得を理由に所有権の移転を求める第三者C

という二人の間に二重譲渡類似の関係があると考えるのです。
本肢では、Cがすでに所有権移転登記を備えています。したがって、Aは、Cに対して甲土地の所有権を主張し、その返還を請求することができません。

★必要知識(講義編)

詐欺による取消し後の第三者(民法[03]2(3)②)

■類似過去問
内容を見る
詐欺による取消し後の第三者(民法[03]2(3)②)
 年-問-肢
内容
正誤
1R01-02-1[AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた。]AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消した後、CがBから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えた場合、AC間の関係は対抗問題となり、Aは、いわゆる背信的悪意者ではないCに対して、登記なくして甲土地の返還を請求することができない。
223-01-3A所有の甲土地につき、AとBとの間で売買契約が締結された。 AがBにだまされたとして詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消した後、Bが甲土地をAに返還せずにDに転売してDが所有権移転登記を備えても、AはDから甲土地を取り戻すことができる。×
319-06-1不動産売買契約に基づく所有権移転登記がなされた後に、売主が当該契約に係る意思表示を詐欺によるものとして適法に取り消した場合、売主は、その旨の登記をしなければ、当該取消後に当該不動産を買主から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。
409-06-1Aが、Bに土地を譲渡して登記を移転した後、詐欺を理由に売買契約を取り消した場合で、Aの取消し後に、BがCにその土地を譲渡して登記を移転したとき、Aは、登記なしにCに対して土地の所有権を主張できる。×

2 正しい

■第三者の位置付け
  1. 買主Bが売主Aをだます
  2. AとBの売買契約が成立
  3. AからBへの所有権移転登記
  4. BがCに売却
  5. Cが所有権移転登記
  6. Aが詐欺により取消し

というプロセスを経ており、転売を受けた第三者Cは、詐欺による取消前の第三者にあたります。

■登場人物の勝ち負け

この場合、売主Aは、契約の取消しを善意の第三者対抗することができません(民法96条3項)。逆にいえば、第三者が悪意である場合、取消しを対抗することが可能です。
本肢のCはBの詐欺について悪意です。したがって、Aは、Cに対して甲土地の所有権を主張し、その返還を請求することができます。
判断の基準になるのは、第三者Cの善意・悪意です。Cが所有権移転登記を受けているからといって、結論に違いはありません。

★必要知識(講義編)

詐欺による取消し前の第三者(民法[03]2(3)①)

■類似過去問
内容を見る
詐欺による取消し前の第三者(民法[03]2(3)①)
 年-問-肢
内容
正誤
1R01-02-2
[AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた。]AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消す前に、Bの詐欺について悪意のCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていた場合、AはCに対して、甲土地の返還を請求することができる。
228-03-2
売主Aが買主Bの詐欺を理由に甲土地の売却の意思表示を取り消しても、取消しより前にBが甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合には、DがBの詐欺の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはDに対して甲土地の所有権を主張することができない。
×
314-01-4買主が建物を、詐欺について善意の第三者に転売して所有権移転登記を済ませても、売主は詐欺による取消しをして、第三者から建物の返還を求めることができる。×
408-05-1第三者が移転登記を受ける際に、売買契約が買主の詐欺に基づくものであることを知らなかった場合で、当該登記の後に売主により売主・買主間の売買契約が、取り消されたとき、第三者は、売主に対して土地の所有権を対抗できる。
501-03-1A所有の土地が、AからB、BからCへと売り渡され、移転登記も完了している場合、Aが、Bにだまされて土地を売ったので、その売買契約を取り消したときは、そのことを善意のCに対し対抗することができる。×

3 正しい

■錯誤の効果

まず、意思表示の当事者であるAB間について考えます。
意思表示に錯誤がある場合、①それが要素の錯誤であり、②表意者にがなければ、表意者は、意思表示の無効を主張することができます(民法95条)。
本肢のAは、「要素の錯誤がある」「重大な過失がない」の要件をみたしていますから、錯誤による意思表示の無効を主張することができます。

■第三者への対抗

Aはこの無効をBから甲土地を買い受けたCに対しても主張することができるでしょうか。
無効というのは、当初から何の効力も発生しないという意味です。そして、無効というのは当事者間だけでなく、第三者に対しても主張することが可能です。したがって、Aは、Cに対しても、錯誤による意思表示の無効を主張し、甲土地の返還を請求することができます。

※「当事者間で無効であるのにそれを第三者に対抗できない。」というのは、通謀虚偽表示に関する善意の第三者のように、第三者を保護する特別の規定がある場合に限られます(同法94条2項)。

★必要知識(講義編)

要素の錯誤(民法[02]4(2)②)
重過失がある場合(民法[02]4(2)②)
第三者への対抗(民法[02]4)

■類似過去問
内容を見る
錯誤:要素の錯誤(民法[02]4(2)②)
 年-問-肢内容正誤
1R01-02-3[AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた。]Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失がなければ、Aは、Bから甲土地を買い受けたCに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。
2R01-02-4[AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた。]Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失があったとしても、AはBに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。
×
317-02-1要素の錯誤を理由に、意思表示が無効となることはない。×
413-02-1要素の錯誤に該当し、重過失がない場合、無効の主張ができる。
510-07-4要素の錯誤があれば無効主張できるが、重過失ある場合には主張できない。
602-04-3売主Aが要素の錯誤により契約をした場合、Aは、重大な過失がないときは、Aと買主B間の契約の無効を主張し、転得者Cに対して所有権を主張することができる。
錯誤:重過失がある場合(民法[02]4(2)②)
 年-問-肢内容正誤
1R01-02-3[AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた。]Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失がなければ、Aは、Bから甲土地を買い受けたCに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。
2R01-02-4[AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた。]Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失があったとしても、AはBに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。
×
330-01-2[AがBに甲土地を売却した。]Aが甲土地を売却した意思表示に錯誤があったとしても、Aに重大な過失があって無効を主張することができない場合は、BもAの錯誤を理由として無効を主張することはできない。
421-01-1表意者に重過失がある場合、無効主張はできない。
517-02-3表意者に重過失がある場合、無効主張はできない。
613-02-1要素の錯誤に該当し、重過失がない場合、無効の主張ができる。
713-02-4表意者に重過失がある場合、無効主張はできない。
810-07-4要素の錯誤があれば無効主張できるが、重過失ある場合には主張できない。
906-02-2無過失のときに限り、錯誤無効を主張できる。×
1002-04-3売主Aが要素の錯誤により契約をした場合、Aは、重大な過失がないときは、Aと買主B間の契約の無効を主張し、転得者Cに対して所有権を主張することができる。
錯誤:第三者への対抗(民法[02]4)
 年-問-肢内容正誤
1R01-02-1売主Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失がなければ、Aは、買主Bから甲土地を買い受けたCに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。
202-04-3売主Aが要素の錯誤により契約をした場合、Aは、重大な過失がないときは、Aと買主B間の契約の無効を主張し、転得者Cに対して所有権を主張することができる。

4 誤り

(肢3参照。)
Aには要素の錯誤があります。しかし、一方で、重大な過失もあったわけです。この場合、Aは、意思表示の無効を主張することができません。甲土地の返還を請求することも不可能です。

★必要知識(講義編)

要素の錯誤(民法[02]4(2)②)
重過失がある場合(民法[02]4(2)②)

■類似過去問
内容を見る
錯誤:要素の錯誤(民法[02]4(2)②)
 年-問-肢内容正誤
1R01-02-3[AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた。]Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失がなければ、Aは、Bから甲土地を買い受けたCに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。
2R01-02-4[AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた。]Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失があったとしても、AはBに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。
×
317-02-1要素の錯誤を理由に、意思表示が無効となることはない。×
413-02-1要素の錯誤に該当し、重過失がない場合、無効の主張ができる。
510-07-4要素の錯誤があれば無効主張できるが、重過失ある場合には主張できない。
602-04-3売主Aが要素の錯誤により契約をした場合、Aは、重大な過失がないときは、Aと買主B間の契約の無効を主張し、転得者Cに対して所有権を主張することができる。
錯誤:重過失がある場合(民法[02]4(2)②)
 年-問-肢内容正誤
1R01-02-3[AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた。]Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失がなければ、Aは、Bから甲土地を買い受けたCに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。
2R01-02-4[AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた。]Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失があったとしても、AはBに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。
×
330-01-2[AがBに甲土地を売却した。]Aが甲土地を売却した意思表示に錯誤があったとしても、Aに重大な過失があって無効を主張することができない場合は、BもAの錯誤を理由として無効を主張することはできない。
421-01-1表意者に重過失がある場合、無効主張はできない。
517-02-3表意者に重過失がある場合、無効主張はできない。
613-02-1要素の錯誤に該当し、重過失がない場合、無効の主張ができる。
713-02-4表意者に重過失がある場合、無効主張はできない。
810-07-4要素の錯誤があれば無効主張できるが、重過失ある場合には主張できない。
906-02-2無過失のときに限り、錯誤無効を主張できる。×
1002-04-3売主Aが要素の錯誤により契約をした場合、Aは、重大な過失がないときは、Aと買主B間の契約の無効を主張し、転得者Cに対して所有権を主張することができる。

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